これを読めば絶対に損をしない!「仲介手数料」をわかりやすく解説!【初級編】
仲介手数料とは、不動産屋さんが売主さまと買主さまの間に入って売買契約を成立させたときにもらう報酬のことです。「仲介手数料3%」ということをなんとなく聞いた覚えがある人は多いと思います。しかし、「そんなの知らない!」という人もいると思いますので、仲介手数料に関して知っておいて欲しい基礎知識をわかりやすく解説したいと思います。
7000文字オーバーの長文記事ですけど、「不動産屋なんて信用しちゃダメ。」ってことを知っているなら、ダマされない知識をつけるために頑張って最後まで読んでください!必ず、役に立ちますからね!!
不動産業界15年・宅建マイスター・2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~
仲介手数料の計算式を細かく見てみよう!
最初に仲介手数料の計算式を見てみましょう。ほとんどの人が知らないと思いますけど、実は、仲介手数料は次のように3段階に分かれて計算しています。
■ 物件価格が200万円まで … 5%
■ 物件価格が200万円~400万円まで … 4%
■ 物件価格が400万円以上の部分 … 3%
例えば3,000万円の不動産を購入した場合で具体的に計算してみます。
200万円×5% + 200万円×4% + 2,600万円×3%
10万円 + 8万円 + 78万円 = 96万円
なお、ここに消費税10%が加算されますので、
96万円 × 1.1 = 1,056,000円 となります。
消費税が8%から2%上昇したので、19,200円高くなりました…(涙)
上記のように、200万円まで、200万円~400万円まで、400万円以上と3つに分けて毎回計算するのはちょっとメンドウですよね。そこで、実務では「速算式」を利用して金額を算出しています。
物件価格が400万円を超える場合に利用でき次のように計算します。
( 物件価格 × 3% + 6万円 )× 1.1
「+6万円」が謎だと思うので解説しましょう。
全ての部分を3%になおしてみると…
5%の部分は「3%+4万円」
4%の部分は「3%+2万円」
3%の部分はそのまま「3%」となります。
まとめると「3%+6万円(4万円+2万円)」になるわけですね。
なお、不動産会社が売主になる新築戸建やリノベーション済みの中古マンションなどは、建物に消費税が課税されますから、物件価格から消費税を引いた金額に対して仲介手数料を計算します。
そうしないと、消費税という税金に対して仲介手数料が発生するなってしまいますからね。わかりづらいので具体例をあげてみます。
物件価格5,000万円(内、建物消費税100万円)の新築戸建を購入する場合で計算してみましょう。
【(5,000万円 - 100万円)× 3% + 6万円 】×1.1 = 1,683,000円となります。
仲介手数料の早見表…
不動産価格100万円~5,000万円の仲介手数料早見表【消費税10%ver.】
不動産価格5,100万円~1億円の仲介手数料早見表【消費税10%ver.】
2019年5月12日追記…
低廉(ていれん)な空き家等の売却に関しては、不動産屋さんが売主さまから仲介手数料以外に調査費用を請求できるようになりました。
具体的には…400万円未満の空き家等を売却する売主さまに対しては、最大で「18万円+消費税」まで請求可能です。詳細は下記記事をどうぞ~
2019年8月15日修正…
2019年10月からの消費税増税に合わせ、仲介手数料の計算式を8%から10%に修正してあります。
「3%+6万円」は法律で定められた「上限」でしかない!
仲介手数料は宅地建物取引業法(略して宅建業法「たっけんぎょうほう」)第46条と国土交通省告示にて受領できる金額が定められています。
このことから、法律で成約価格の「3%+6万円」をもらうことが保証されていると勘違いしている不動産屋さんがいるのですけど…完全な間違いです。不動産屋さんの権利として認められているわけではなく「3%+6万円」までしかもらったらダメだよ!と制限されているだけです。
『法律で仲介手数料が「3%+6万円」と決められているから割引はできないんですよ~』なんて説明がウソだとわかりますよね。「法律で決められているなら仕方ないか…」と諦めてしまった人は勉強不足ですよ!
弁護士先生の報酬も自由化されましたけど、不動産屋さんは自由化されません。このことからも、社会的に信頼されていないという危機感を持たなければいけないと思います。信用されていないから制限されているなんて、悔しくないのでしょうか!!
怒ってみても仕方がないので、このお話はまた別の記事で。
不動産屋さんが、売主さまと買主さまの双方を担当して売買契約を成立させた場合、両方から「3%+6万円」をもらうことができます。
5,000万円の中古マンション(消費税非課税とします。)で両方からもらえると、5,000万円×6%+12万円で312万円が不動産屋さんの報酬になります(驚!!)
この「6%+12万円」が宅建業法で定められた報酬の上限額になりますが、どちらか一方から「6%+12万円」をもらうことはできません。一方からの報酬は「3%+6万円」が上限になるのです。(代理ではなく仲介の場合)
このあたりまで抑えておきましょう。
参考知識…
独占禁止法第8条では、事業者団体による競争制限行為を禁止しています。つまり、報酬額を制限すると自由な競争ができなくなるからダメだよ、と言っています。しかし、この仲介手数料の上限額設定は、国交省大臣が告知して報酬額を決めているのであり、3%+6万円の範囲内で自由に競争できるため、独占禁止法違反にはならないと考えられるようです。
仲介手数料は割り引いてもOK。正直、現場はすごくキツイですけどね…
先ほど記載しましたけど、仲介手数料は法律で「上限」が定められているにすぎません。「3%+6万円」の半額「1.5%+3万円」でもいいですし、「3%+6万円」を超えないなら定額50万円でも問題ないわけです。もちろん無料もOKです。
企業努力で半額・無料・定額制にするのは自由ですから、それぞれの不動産屋さんが差別化を図るために仲介手数料の割引を行う時代になりました。
ちなみにですけど…。上限が決められているわけですから、10%の仲介手数料を請求すれば法律違反になります。もしそんな請求をされた場合は、すぐ都庁に相談しましょう(東京都の場合)。不動産屋さんは免許制で営業していますから、免許権者の都庁に怒られるのはとても困るのです(秘)
ここで仲介手数料割引に対する意見を書かせてください。
最初に結論を言いますと、23区の平均価格で6%は取り過ぎですけど、平均手数料額が2%前後ではかなり苦しいと言えます。
ゆめ部長の経験を踏まえてお話しますと…
ゆめ部長は仲介手数料無料で新築戸建の購入をサポートする会社を経営していたことがありますし、仲介手数料無料or半額の会社に勤務したこともあるのですけど、感覚としては、不動産取引の仕事をマジメにしっかりやろうとすれば、1取引の平均で3%を切るのは厳しいな…と感じました。
定額30万円や50万円、半額などの会社はたくさんありますけど、正直、この報酬でプロとして「フルサポート」するこのはかなり苦しいですから、このような会社に過度な期待はしないほうが良いでしょう。(適度な期待で利用するのは問題ないですし、フルサポートを求めないのであればOKだと思います。)
仲介手数料無料or半額の会社では、原則として両手仲介をしませんでした。そのため、1取引あたりの平均仲介手数料率は2.1%くらい。仲介手数料が安くても一所懸命やりましたけど、4000時間以上働いて年収が1,000万円…。時給換算すると2,000円ちょっとでしたから、自分の知識や経験が軽く見られすぎていると思いましたし、家族にも迷惑ばかりかけることになってしまいました。
どこまで不動産屋さんのサポートを求めるか…?によりますけど、激安の仲介手数料をウリにしている不動産会社に過度なサービスは求められない。そんなお話でした。
仲介手数料は何に対して支払うの?
仲介手数料は、面談・物件紹介・現地案内・条件交渉・物件調査・契約書類作成・売買契約・現地立会・残代金決済手続・トラブルへの対処などに対して支払うお金になります。
2018年11月1日追記…
(公益社団法人)全日本不動産協会の媒介契約書には、「乙(不動産屋さん)は、甲(買主さま)に対し、登記・決済手続等の目的物件の引渡しに係る事務の補助を行います。」と記載されています。
都庁の話では、不動産仲介会社の主たる業務は「売買契約締結」であって、上記の業務は付随業務だと考えるそうです。引渡手続きをサボったとしても宅建業法違反にはなりませんが、媒介契約書にサポートすると書かれていますから、民事上の問題にはなるとのことでした。追記はここまで。
他社さんの諸費用計算書をお客さまに見せてもらうと「住宅ローン代行手数料」という類の名目で54,000円~162,000円くらいの間で請求しているのを見ますけど、本来はこの住宅ローンの取り扱いも不動産仲介の仕事だと私は思います。
おそらく、宅建業法上は請求しても問題がないのでしょうけど、法律の穴を見つけてお金を稼ごうとするあたり、本当にセコくて嫌いです。
本当に難しい案件であれば仕方がないですけど、夫婦公務員で自己資金2,000万円。3,000万円のローンを組みたい。そんな鉄板の案件でも請求するのですから驚くばかりです。こんな費用を請求する会社はお付き合いするのを断ってしまってよいと思いますよ。
2018年11月1日追記…
都庁で聞いてみましたら、住宅ローン代行手数料などを請求するのは好ましくなく、お客さまから都庁に相談があった案件に関しては、不動産会社に返還するよう指導しているそうです!そりゃあ、そうですよね。良かった!良かった!! 興味があれば次の記事読んでみてください!
仲介手数料は「保険」の意味合いもある!
仲介手数料は売主さまから直接購入する場合は発生しません。そのため「売主直売」で購入すれば諸費用を節約できる場合があります。
しかし、ですよ…。不動産という高額な商品を購入するのに、「ウチの商品はしっかり作ってるから安心です!」と言われて本当に不安なく購入できるのでしょうか?
三井不動産の「ファインコート」や野村不動産の「プラウドシーズン」などを購入するのであれば心配いらないと思いますけど(たぶん…)、中小の不動産会社から直接購入するのは正直心配もあるはずです。
価格の妥当性判断、条件交渉、住宅ローンのアドバイスやサポート、わからないことの相談、プロの目から見た物件の問題点指摘、契約書類作成などをプロの仲介会社が担当することで、安全に売買契約を締結できますし、お引渡しまでの手続きもスムースになります。
怖い不動産屋さんに直接言いづらいことも、仲介会社が間に入ることで言いやすくなるというメリットも大きいはずです。(経験上、間違いなく皆さんにとって大きなメリットになっています。)
また、もし物件調査ミスなどがあれば「仲介責任」を問われることになります。この仲介責任は考えているよりも重く、数千万円の損害賠償を請求された事案もあると研修で聞いたことがあります。
仲介会社の仕事がわかると、不動産取引に対して保険をかけているだ。仲介手数料は保険料でもあるんだな!と理解できると思います。
仲介手数料の発生時期と支払時期はいつ?
仲介手数料は売買契約成立時に発生します。そのため、売買契約が成立しなければ、現地案内を10回以上していたとしても報酬は0円のタダ働きになるのです。現地案内などは仲介業務の範囲であり、その報酬は契約成立まで請求権が発生しないわけですから「現地案内料」を内覧時に請求するのは違反になります。
余談ですけど…。正直に言いますと、ただ見たいだけで買わない人は1回3,000円でも請求できた方がよいと思います。「今まで100現場以上見た」と言っているのを聞くと、どれだけ不動産業界にタダ働きをさせるつもりなのか…と嫌になります。こういう人はお金がかかれば絶対に見に行きませんからね。これは断言できます!
仲介手数料の発生時期は媒介契約約款に記載されています。仲介手数料は成功報酬になりますから、売買契約が成立した時点で発生しますが、契約書を交付した後でなければ請求できないと定められています。
私たちが加盟している団体の契約書では下記のようにハッキリ書かれていますので、媒介契約書に署名・捺印する前に確認してみてください。
乙の媒介によって目的物件の売買または交換の契約が成立したときは、乙は、甲に対して、報酬を請求することができます。ただし、売買または交換の契約が停止条件付契約として成立したときは、乙は、その条件が成就した場合にのみ報酬を請求することができます。
仲介手数料は契約成立時に100%請求できるわけですけど、媒介契約書には、売買契約後~引渡(残代金決済)の手続きも不動産屋さんがサポートすると記載されています。そのため、業務の半分が残っていると考えて、売買契約時に50%、引渡時に50%を請求する会社が多いです。
次の項目と重複しますけど、売買契約成立時に50%をもらっておかないと、お客さま都合で契約が解除された場合に仲介手数料を一切払ってもらえないリスクがあるということも理由になっています。
世の中広くて、本当にいろんな人がいます。最後になって「お前の仕事はプロの仕事じゃない!だから仲介手数料は支払わない!」と言い出す人もいたそうです。幸いなことに、私はそのようなお客さまと出会ったことはありませんけど困りますね…。
売買契約が解除になった場合の仲介手数料
売買契約成立時点で仲介手数料の請求権は発生しているものの、途中で売買契約が解除になった場合はどうなるのでしょうか?
売買契約後、お客さまに責任がない事情で解除しなければいけなくなった場合、例えば、住宅ローンの本審査が通らなかった、地震で建物が傾いて住めなくなったという事情であれば白紙解除になります。白紙解除は、もともと契約がなかったことにする効果がありますので、仲介手数料の請求権も当然に消滅します。
次に、お客さまの自己都合で解除する場合…例えば、住宅ローンを組むのが怖くて眠れなくなった、両親から実家に戻るように強く言われて田舎に戻ることになったという事情であれば、仲介手数料は請求されます。自己都合でやめるわけですから仕方がないと納得できそうですね。
ただし、手付解除する場合、当然に約定の仲介手数料を請求できるのではなく、相当報酬額しか請求できないとしている裁判例があります。また、不動産屋さんが調査をしていなかったなどの落ち度があれば、請求できる報酬に影響を与えることがあるそうです。
最高裁の判例では、取引額・難易度・期間・労力・その他の事情を考慮して仲介手数料を定めるとされていますから、契約解除する際の仲介手数料は全額払わなくてもよい可能性があることを覚えておいてください。
不動産屋さんはコンサル料などのお金を請求できるの?
不動産屋さんが仲介手数料以外のお金を売主さまへ請求できるのは、次の2つの方法が考えられます。
1つ目は、遠隔地への出張費用や、売主さまから依頼された広告料金などです。
2つ目は、成果物という実体が伴うサービスです。
国土交通省が定めた包括的なガイドライン「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第46条第1項関係の「6.不動産取引に関連する他の業務に係る報酬について」には次のように書かれています…
媒介業務以外の不動産取引に関連する業務を行う場合には、媒介業務に係る報酬とは別に当該業務に係る報酬を受けることができる。この場合にも、あらかじめ業務内容に応じた料金設定をするなど、報酬額の明確化を図ること。
ファイナンシャルプランニングを有資格者が行い、ライフイベント表などを作成しているのであれば、FP相談料を請求できることになりそうですね。
しかし、売却に関するアドバイスなどをしただけであれば、仲介手数料の範囲に含まれるものであり、別途報酬を請求するのは難しいです。不動産屋さんからよくわからない費用を請求されてしまったなら、都庁(県庁)に相談してみましょう。
一般的な仲介業務では、仲介手数料以外のお金を請求することはありません!
最後に…
この記事に書いた仲介手数料に関する知識があれば、不動産取引のイメージをつかみやすくなりますし、悪い不動産屋さんに騙されなくなると思います。無駄なお金を請求されないように自己防衛して、支払う仲介手数料に見合う仕事をしてもらえるように不動産屋さんを監視しましょう!
逆に良い不動産屋さんに巡り合えたとき、この記事に書いたような基礎知識があれば、その会社・担当者がどれだけ優秀なのかをはかることができます。物件だけでなく、会社・担当者との出会いもご縁ですから、良縁を逃さないようにこのWebページで基礎知識を身につけておいてください。
続編の【上級編】はこちら…
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
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