夫が死亡して団体信用生命保険を利用した場合、税金は課税されるの?
ご主人が亡くなり、団体信用生命保険がおりて住宅ローンの残債がなくなった場合、所得税・住民税・相続税が課税されちゃうのかな…?と心配になりますよね。ゆめ部長もマイホームを購入した際には、自分に「もしも…」のことがあったときに、家族が安心して生活できるかどうかを考えました。
マイホームは大きなお買い物ですから「嫌なことは考えたくない!」と逃げたらいけません。一般の生命保険との違いも比較しながら解説していきますから、しっかり勉強してくださいね!
不動産業界15年・宅建マイスター・2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~
団体信用生命保険とは…?
まず、団体信用生命保険とは何かを確認しておきましょう。
団体信用生命保険(だんたいしんようせいめいほけん)とは…
住宅ローンを借りている人が、死亡したり、高度障害を負って働けなくなってしまった場合に、住宅ローンの残債が0円になるという保険です。「団信(だんしん)」と略して呼ぶこともあります。
住宅ローンの借り入れをする場合、ほとんどの金融機関が団体信用生命保険へ加入できることを借入条件としています。
なお、持病があっても加入しやすい「ワイド団信」という商品もあります。高血圧の投薬治療を受けていたり、過去に手術を受けていても加入できる可能性があるので心配な人は検討してみてください。
持病があって団体信用生命保険に加入できない場合は「フラット35」を検討しましょう。団体信用生命保険への加入が必須ではないのがありがたい住宅ローンです。
団信の保険金に所得税・住民税は課税されるか…?
団体信用生命保険は一般の生命保険とは異なり、保険金は相続人や本人を経由せず、保険会社から金融機関へ直接支払われます。
相続人 ( 死亡している場合 ) または 本人 ( 高度障害を負った場合 ) が保険金を受け取らないため、所得(=収入)にはならず、所得税・住民税が課税されません!
団信の保険金に相続税は課税されるか…?
団体信用生命保険の保険金は、一般の生命保険の保険金とは異なり、相続税の課税対象にはなりません。しかし、保険金で住宅ローンを返済した後の不動産に対しては、その他の財産と合算して相続税の課税対象にはなります。
団体信用生命保険を利用すると、相続する段階で住宅ローン ( 債務 ) が消滅しているため、不動産の評価額がそのまま課税対象になります。それに対して、一般の生命保険であれば、相続の段階で住宅ローンが残っているため、課税対象からこの債務を差し引くことができます。
わかりづらいので、具体例で見てみましょう。
不動産5,000万円 現金1,500万円 住宅ローン4,000万円 として、団体信用生命保険と一般の生命保険の課税対象額を比べてみると…
団体信用生命保険…
5,000万円 + 1,500万円 = 6,500万円
一般の生命保険…
5,000万円 - 4,000万円 +1,500万円 = 2,500万円
住宅ローンを組んで間もなく相続する場合、団体信用生命保険で住宅ローンの残債がなくなると、高額な相続税が発生するかもしれないということですね。
相続税が課税されるかどうかは、不動産の価値・その他の財産の額などによって変わってきます。この記事では、団体信用生命保険は、一般の生命保険よりも相続税が高くなる「可能性がある」ということだけお伝えします。
詳細は税務署・税理士先生に相談してくださいね。
夫婦連生団信は要注意!一時所得に課税される
夫婦連生団信(ふうふれんせいだんしん)という保険を初めて聞いた人のほうが多いと思いますので、具体例を使って簡単に説明します。
夫婦で4,000万円の住宅ローンを「フラット35」で借り、ご主人が主債務者、奥さんが連帯債務者になりました。借り入れは1本のみで、負担割合はご主人60%・奥さん40%とします。
通常の団体信用生命保険の場合、ご主人が死亡すると、住宅ローンの4,000万円は全額免除されますが、奥さんが死亡しても住宅ローンはそのまま残ります。
これに対して、奥さんが死亡した場合でも、住宅ローンが全額免除になる。これが、夫婦連生団信という保険です。
ご主人の年収が900万円で、奥さんの年収が100万円というように、年収に大きな開きがあれば、ご主人は奥さんが死亡しても返済には困らないと考えられるため、利用する必要性が低い保険ですね。どちらかが死亡すると返済に困る場合は加入を検討してみてください。
この保険の何が問題かと言うと…
夫婦連生団信の場合、ご主人が死亡すると、奥さんはご主人の住宅ローンの負担割合 ( 60% ) だけ債務免除を受けることになり、この利益が「一時所得(いちじしょとく)」として課税されてしまうのです。
一時所得の計算式を簡単にすると次のようになります。
【 年収 + ( 収入- 経費 - 50万円 ) × 1/2 】× 税率
奥さんの一時所得は、4,000万円 × 6/10 = 2,400万円です。
奥さんの年収が400万円だった場合、400万円 + ( 2,400万円 - 50万円 ) × 1/2 = 1,575万円が1年間での所得になります。
所得税の税率は超過累進税率になるため、収入が多ければ多いほど税率が高くなります。年間収入が1,575万円だと、税率33%・控除額153.6万円なので、約366万円が所得税です。
年収400万円のときは所得税が約37万円ですから、約300万円の所得税が追加で課税される計算になります ( 驚!! ) なお、翌年の6月以降には、前年よりも高い住民税が課税されるという悲しい事実もお忘れなく。(住民税の税率は10%)
奥さんが連帯債務者でなければ、少なくとも1億6,000万円までの相続財産は非課税で相続できます。それなのに、連生団信を利用すると、所得税と住民税が課税されて損するかもしれない…という結論になります。
なんで、こんなにも複雑なんでしょうね…。
とりあえず、夫婦が連帯債務で住宅ローンを組むとき、団体信用生命保険を夫婦連生にすると、相続税が高くて家を売ることになるかもしれない、というリスクを知っておいてください。
参考記事…
最後に…
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日
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