不動産仲介の仕事|仲介手数料には保険料・情報料も含まれる!
不動産を売買する際に支払う仲介手数料。どんなサービスに対して高額な仲介手数料を支払っているか…ちゃんと理解していますか?この記事では、仲介手数料に含まれる一般的なサービス(不動産仲介の仕事)についてまとめつつ、お客さまが見落としている価値についても解説したいと思います。
仲介手数料を詳しく勉強したいなら…
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産仲介の仕事|手数料に含まれるサービス
不動産仲介の仕事は、不動産を売りたい「売主さま」と、不動産を買いたい「買主さま」をマッチングして売買契約を成立させることです。宅建業法上は売買契約の成立までになりますけど、売買契約を行う前に締結する媒介契約書には、引き渡しまでの業務をサポートすると記載されています。
少しわかりづらいですよね…。
不動産仲介の仕事を【売却】と【購入】に分けて具体的に箇条書きしてみましょう!
【売却】
■ 机上査定・訪問査定
■ 写真撮影・間取図作成・販売図面作成
■ レインズ登録(物件情報の拡散)
■ 付帯設備表・物件状況報告書作成
■ 評価証明書を都税事務所で取得
■ 管理会社から資料を取得
■ suumoなどネットに情報を掲載
■ 現地内覧の日程調整
■ 現地内覧の立会い
■ 内覧結果の報告
■ 定期的な媒介報告
■ 申込受領・条件交渉
■ 物件調査
■ 売買契約書類作成
■ 売買契約立会
■ 抵当権抹消手続きのサポート
■ 引渡前の現地立会
■ 引渡手続きのサポート
■ 残代金決済=引渡
【購入】
■ 希望条件整理(面談)
■ 物件紹介
■ 内覧準備(内覧予約・資料準備など)
■ 住宅ローン相談・事前審査内定取得
■ 条件交渉
■ 物件調査
■ 売買契約書類作成
■ 売買契約立会・重要事項説明
■ 住宅診断立会(インスペクション)
■ 引渡前の現地立会
■ 引渡手続きのサポート
■ 残代金決済
過剰なサービスを除けば大体こんな感じだと思いますが、実は、この他にも、仲介手数料には次のようなサービスが含まれていると考えるべきでしょう。
【1】 保険料
【2】 情報料
順番に解説します!
仲介手数料には「保険料」も含まれる
仲介手数料には「保険料」も含まれているものだと、ゆめ部長は考えています。
保険というのは…
保険は、偶然に発生する事故によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭を給付するための制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
不動産売買には隠れた問題がたくさん潜んでいるものです。実際に発生してしまったトラブル事例を見てみましょう~(ゆめ部長のトラブル事例ではありませんよ!!)
事例1 … 道路に接道していなかった
建物を建築する場合「建築基準法上の道路」に敷地が2m以上接道していなければいけない!というルールがあります。
現地に行くと敷地は道路に接道しているように見えましたが、実は…道路が敷地まで届いていなくて、途中で止まってしまっていたのです。現地で位置指定図を見ながらメジャーをあてていれば気が付けたでしょうけど、この作業を怠ったため、「再建築不可」なのに「再建築可能」な不動産として契約してしまったそうです。
再建築不可になると価値は大幅に下落します。これは調査ミスで仲介責任を問われてしまうのは仕方ないでしょう。結局どうやって解決したのかは知りませんけど、受領する仲介手数料よりも大きな損害をお客さまに与えてしまったわけですから…想像するだけでも怖いですよね。
事例2 … 地下NGを見落としていた
前面道路が「建築基準法上の道路」ではなく「通路」でしたが、建築審査会の同意を得られたら再建築は可能な土地でした。しかし、再建築はできるけど「地下はNG」という条件付きの土地だったのです。
お客さまは地下室で趣味の部屋を作ることを希望していて、仲介会社を通して作成した建物プランにも地下室がしっかり描かれていました。お客さまはプランに満足して土地を契約したのに、契約後に地下室が作れないことが判明して激怒…。
これも不動産屋さんの調査ミスですね。
結局、仲介会社が買い取ったそうですけど、とんでもない損失になったのは間違いないでしょう。買い取れる資金力がある会社で良かったですね…。
この2つの事例のように、物件調査ミスによる損害賠償リスク(仲介リスク)を仲介会社は負わなければいけません。プロの仲介会社を排除して個人間売買すれば、仲介手数料を節約できますけど、シロウトの売主さま・買主さまが不動産の隠れた問題を見つけられますか??
仲介会社が入ることでこのようなリスクを大幅に減らせますし、資金力がある会社であれば、損害賠償請求や買い取り請求できる場合もあります。また、不動産屋さんが加入できる保険「宅地建物取引士賠償責任保険(補償額は最高1億円)」に加入することで、お客さまに不測の損害を与えてしまったときに備える宅建士・不動産会社も増えました。
こういう点で、仲介手数料には「保険料」が含まれていると言えますよね。
仲介手数料には「情報料」も含まれる
仲介手数料には「情報料」も含まれていると考えるべきですが、多くのお客さまが見落としている視点ではないかな…と思います。
不動産屋さんは不動産取引をサポートするだけでなく、お客さまに役立つ情報を集めて提供することも大事な仕事になっています。未公開・新着・値下げなどの不動産情報だけでなく、法律改正、税制改正などもそうですね。他には、不動産取引のプロとして、質問へ回答したり、相談に乗ったりすることも情報の提供です。
無料で情報を得られる世の中だからなのでしょうか…「情報=無料」だと勘違いしている人が増えていますけど、お客さまが支払う仲介手数料には、情報提供に対する報酬も含まれていることを知っておいてくださいね!
最近の悩みをちょっとグチります。
「無料相談できるのが当然!」このように考えている人がとても多いようです。広告を貼らず無料公開しているWebページの記事について、読者さんから質問が届くので、仕事に繋がらなくても誰かの役に立てたらいいな…と思い丁寧に回答していましたが、一切返事がないケースが半分くらいあります。
有益な情報を提供するためにお金と時間を投資して、汗をかきながら1つ1つ積み重ねてきた努力が軽く見られてしまうのは本当に残念です。有益な情報・プロの情報が正しく評価される世の中になってほしいですね。
最後に…
仲介手数料が「高い」「妥当」「安い」という議論はよく聞きますけど、仲介手数料に含まれる一般的なサービス(不動産仲介の仕事)まで深堀していることってあまりないと思います。
不動産屋さんは、
なぜ、「妥当」「安い」と言えるのか?
お客さまは、
なぜ、「高い」と言えるのか?
不動産屋さんには経営視点を持って考えてみて欲しいですし、お客さまには仲介手数料に関する知識を学んでから評価して欲しいと願っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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