不動産売却を高値で受けたくない…不動産屋さんの本音を3つの理由から考える
ゆめ部長のWebページでは、他社の不動産屋さんで売却がうまくいかなかった売主さまからの相談もたくさんいただいています。
売主さまの話を聞いてみると「少しでも安く売らせようとするんですよ!高い仲介手数料を払うのにヒドくないですか!?」という怒りの声もあります。そこで、「不動産屋さんが不動産売却を高値で受けたくない理由」をこの記事で解説しますね。
不動産屋さんを擁護するための記事ではなく、売主さまが自己防衛できるようになって欲しいという願いを込めて書きますけど、同時に、高すぎる金額で販売させられる不動産屋さんのつらい立場もわかってもらえたら嬉しいです。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
理由1:不動産売却では時間・労力だけでなくお金もかかる!
不動産の売却活動をスタートするためには、査定書作成・訪問査定・物件調査・販売図面作成・レインズやポータルサイトへの情報登録・資料のPDF化などが必要になり、かなりの時間と労力が必要になります。
仕事が早くないフツーの不動産屋さんだと2日分の仕事量になるはずです。
このように時間と労力がかかるだけでなく、広告費用や調査費用などでお金も意外とかかります。マンション売却で具体的に見てみますと…
■ ネット謄本取得 全部事項証明書:1通335円
■ 査定用の間取図・分譲時価格表取得:300円~1,000円
■ 広告用の間取図作成:500円~1,000円
■ 評価証明書取得:400円~1,000円前後
■ 重要事項調査報告書取得:3,000円~20,000円前後
■ 新聞折込広告:10万円前後(部数によります)
■ suumoなどのポータルサイトへ複数掲載:1件数千円~10万円弱
■ その他(オープンハウス開催・ホームステージング・インスペクションなど)
上記の数字はかなりザックリとしたものになります。重要事項調査報告書(買主さまへ報告すべき内容が記載された書類)は取得から契約まで1か月経過していれば再取得しなければいけませんし、suumoなどのポータルサイトは、登録件数が多い会社は1件あたりのコストが安くて済みますが、掲載件数が少ない会社は高額になってしまいます。この他にも交通費や人件費もかかってきますよね。
というわけで、不動産取引1件だけでも、かなりのお金が必要だということをわかってもらえたかと思います。
高くて売れない物件のために、ここまで、時間・労力・お金を投入できないのは仕方がないことでしょう。
理由2:販売が長期化すると会社が広告費をかけられなくなる
上記のように、販売活動には広告費・人件費などのランニングコストが必要ですから、販売が長期化している「売れない物件」には、会社が予算を回してくれなくなります。
ゆめ部長の経験を少し書いてみます。
大手勤務時は「売れる物件なので継続して広告を出させてください!」と店長にアピールして広告枠を使わせてもらっていました。それでも売れないと「広告したかったら“ 値こなし ”して来い!」と言われることになります。
“ 値こなし ”とは、販売価格を下げるように売主さまを説得することです。「値下げして来い!」という店長と「高く売りたい!」という売主さまとの板挟みになるわけですね。
中堅会社勤務時は“ フルコミッション営業 ”でしたので、広告費は半額だけ会社負担で残りは自己負担でした。そのため、エリアを絞って新聞折込広告を出しても、1回の経費で5万円以上自腹を切っていたのです。
広告費をかけられない
↓
成約にならない
↓
タダ働きが増える
売主さまからのプレッシャーがかかる
↓
仕事が嫌になる
↓
高値で売却依頼を受けたくない!と思うようになる。
こんな流れでしょうか。
利益を出すために仕事をしているわけですから、販売期間がムダに長期化すれば、不動産屋さんが耐えられなくなるのは当然のことですよね。逆の立場を見てみると、すごくよくわかることだと思います。
余談ですけど…
広告している物件の販売価格が高くて成約にならなくても、お問い合わせがたくさんあるならOK!という考え方もあります。なぜなら、1組のお問い合わせをもらうのに、10万円前後の広告費をかけている不動産屋さんがたくさんあるからです。売れなくても10組からお問い合わせがあれば100万円分の広告効果があるので元が取れるという計算になるそうです。
理由3:成功報酬という「0 or 100」リスク
不動産屋さんが広告費をかけづらいのは、仲介手数料の仕組みにも問題があります。それは、仲介手数料が「成功報酬」で「0 or 100(All or Nothing)」だということです。
どんなに時間・労力・お金をかけて頑張ったとしても、相場よりも高い金額ではなかなか売れません。媒介契約期間が終わり、他の不動産屋さんに切り替えられてしまうと、全てが損失になります。
販売方法が悪かったり販売力がないのであれば、それは不動産屋さんが悪いので仕方ありません。しかし、あまりにも高い金額で売却活動をさせられた結果、長期間成約できず、あっさり他社に切り替えられてしまう…そんな悲しい経験を不動産屋さんは何度もしています。
しかも、売れないことを会社の責任にされて、散々文句を言われた後にですよ…。
当然、他の不動産屋さんに行っても売れるわけがありませんから、この売主さまは支払う仲介手数料以上の損害を不動産業界に負わせている可能性があります。成約するまでは「無料だから」という理由で、自分が納得するまで、なんでもやらせようとする人が多くて困っています。
こういう経験を数多くしているから、不動産屋さんは対応が悪くなったり、高値で売却することに消極的になっているのでしょう。不動産屋さんを擁護するつもりはないのですけど、そういう面もあるということです。
最後に…
不動産を売却するために、どれだけ時間・労力・お金をかけても、成約にならなければ不動産屋さんは報酬を一切受け取ることができません。つまり、売れなければ「赤字」になるということですね。
このような不動産取引の仕事・仕組み・問題点を知っていれば、なぜ、不動産屋さんにやる気がないのか・高値で売却することに消極的なのかがわかるようになるはずです。単純に「楽して早く儲けたいから」という理由だけではないので、このWebページの読者さんは、どうやったら不動産屋さんを味方に付けて頑張ってもらえるかも考えてみてほしいと思います。
支払う仲介手数料と受けるサービスは、足し算「+」と引き算「-」で考え、不動産屋さんを味方に付けて納得のいく売却を実現してください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日