マンション・土地・戸建売却の「一括査定」をオススメしない理由
マンション・土地・戸建を売却する際に「一括査定サービス」を利用している売主さまがたくさんいるようです。複数の不動産屋さんから「無料」&「手軽」に査定金額を教えてもらえるメリットに魅力を感じるため、利用者が増えてしまったのでしょう。
しかし!この一括査定には注意しなければいけないことがあります。一括査定サービス全てを否定するつもりはありませんけど、裏側がどうなっているのか…?を知りつつ、うまく利用してもらいたいと願っています。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産売却の一括査定とは…?
不動産売却の「一括査定」とは…
売却不動産(マンション・土地・戸建)の情報を一括査定サイトへ登録すると、一括査定サイトの運営会社から複数の不動産屋さんへ情報が送られ、それぞれの不動産屋さんから査定金額を教えてもらえるというサービスです。不動産屋さん1社1社へ連絡せずに利用できる手軽さがあり、しかも、無料で利用できるため利用者が多くなっています。
現在、20以上の一括査定サービスがあります。
たとえば…
■ すまいValue
■ HOME4U
■ LIFULL HOME’S
■ イエイ
■ イエシル
■ イエウール
■ マンションナビ
などなど。
なんで、こんなにあるんでしょうね??
不動産売却「一括査定サイト」の仕組みを理解しよう!
不動産売却「一括査定」の仕組みを解説しますね。
一括査定サイトの運営会社は、マンション・土地・戸建を売却したいお客さまからWebページを通じて査定依頼を獲得すると、提携している不動産屋さんへお客さまの情報を送ります。
売主さま(一括査定サイトへ登録)
↓↓↓
運営会社(情報を不動産屋さんへ流す)
↓↓↓
1社目:夢不動産
2社目:ドリームコーポレーション
3社目:ゆめ企画
4社目…5社目…………
このとき、運営会社は、不動産屋さん1社あたり10,000円~20,000円の情報提供料を受け取ることができます。一括査定サイトによって不動産屋さんへ査定依頼できる数に差がありますけど、3社~10社へ依頼できるサイトが多く、6社へ査定できるサイトが1番多いでしょうか。
仮に、6社から1件あたり15,000円を受け取れるなら、この運営サイトは、1件の査定依頼獲得で90,000円も稼げることになります。10,000円でも10社なら100,000円、20,000円で4社限定なら80,000円ですね。
では、ここで質問です。
このお金は、一体、誰が支払うと思いますか?
・
・・
・・・
答えは「不動産屋さん」です。
「そりゃあ、そうだろうね。」と思った皆さん!ここで終わらせたらいけません!!よ~く考えてみると、不動産屋さんが支払う高額な情報提供料は、売主さまが支払っている仲介手数料から不動産屋さんが支出しているわけですよね。
そうすると…
「売主さま」が支払っているとも考えられませんか?
「過剰なサービス」を「無料」で受けられるからと言って、気軽に利用してしまう…。結果として、下がる余地があった仲介手数料を下げられなくなるわけです。仲介手数料が高い理由は、不動産取引の実務に携わらず、仕組みだけ作って楽に儲け過ぎている会社の存在を許してしまっているから…という見方もできると思います。不動産業界は、IT業界・広告業界にお金を奪われ過ぎです!
もう少し一括査定の仕組みを深堀して解説すると、この情報提供料は「運営会社」だけでなく「アフィリエイター」も受け取っていることが多くあります。
「アフィリエイター」というのは、販売主の商品を自分のWebページなどで紹介することで販売し、成果に応じて広告収入を得る人たちのことです。つまり、アフィリエイターは不動産のプロではありません。
そんな人たちが「一括査定サイトが魅力的だから利用しよう!」とアピールして一括査定サイトへ誘導します。そこで皆さまが査定を依頼してくれたら、広告料を稼げる…という仕組みになっています。
このアフィリエイターたちのやり方を教えてしまうと、複数の一括査定サイトを同時に利用することをオススメしてきます。1つの一括査定サイトだけじゃなくて、2つ、3つと同時に依頼してもらった方が稼げるからです。
このアフィリエイターの言葉通りに3つの査定サイトへ皆さまが依頼した場合、10社・20社・30社が査定をすることになります。この時の不動産業界の広告費負担は30万円にもなる可能性があるんです。それに、これだけたくさんの会社が人件費を使っていることも考えてみてください。
これでも「仲介手数料が高いよ!」と言えますか??
仲介手数料を安くしたいのであれば、こういうムダなサービスを利用しないことも大事なんじゃないかな…と、ゆめ部長は考えています。(ゆめ部長は一括査定サイトには参観していません。だから、仲介手数料を安くすることが可能です!)
1つの一括査定サイトへ誘導するだけならともかく、2つ・3つと誘導させる手口は許すわけにはいきません!!不動産屋さんも、お客さまも大迷惑です。
2022年2月20日追記…
ゆめ部長のブログにもアフィリエイト広告の勧誘がありました。注文住宅の一括間取作成サイトからで、1組の送客で12,000円もくれるそうです。成果報酬の実績例として、月に100万円・150万円も稼いでいるアフィリエイターがいるそうですよ。アフィリエイターの仕事 = 悪 とは思っていませんけど、不動産の素人が適当な記事を書き、お客さまを騙して誘導するのは絶対に許せません(怒)
一括査定は「高額査定」「しつこい営業」があたり前
不動産売却の一括査定を利用すると、3社~10社の不動産屋さんから査定金額を教えてもらえます。この時、不動産屋さんは一括査定サイトの運営会社へ報酬を支払う…ということを説明しましたね。
3社~10社の不動産屋さんの立場で考えてみたら、媒介契約を取得できなければ「赤字」になりますし、競合がひしめく状況で勝ち残らなければ、上司に激怒されて長時間の説教タイムに突入してしまいます。
じゃあ、この不動産屋さんたちはどうするのか??
答えは簡単です。
■ 査定金額を本当の査定額より10%~20%高くする
■ しつこい電話・突撃訪問をかける
査定金額を高くされても売れないと意味なし。そんな会社を選ぶわけないじゃん!な~んて…思いましたか?思いましたよね??
ふふふ…。あまいですね。
だって、そう思っている人の多くが、金額が高い査定書を見ると喜ぶんですよ。査定金額を高くするのは、実はかなり効果的だったりします。不動産売却査定をやっていると本当に実感しますよ。「高値査定」の絶大な威力を。
※ゆめ部長は20%も高いムダな査定書は作りません。
そして「今時、突撃訪問?」と思いましたか?
ところが本当に訪問してくるんですよ。「いやぁ~近くに来る用事があったから、ついでに寄ってみましたよー。ハハハ~」という感じです。
…すっごく嫌ですよね??
一括査定サイトがどうやって稼いでいるのか…それを理解できれば、どのような営業を受けるリスクがあるのかがわかります。
そろそろバレる頃かな…?
えぇ、そうですよ。
ゆめ部長は一括査定サイトが大っキライなんです。
参考記事…
アフィリエイターの記事はレベルが低い!
先ほど説明したように、一括査定サイトへ誘導する記事は、アフィリエイト収入を狙った人たちが書いています。
じゃあ、どういった人たちがアフィリエイターをしているのか…?
ゆめ部長が見る限り…
■ 不動産取引をかじったことがある宅建士
■ 不動産取引を経験したことがないFP
■ 不動産取引が専門ではない不動産鑑定士
などです。
■ 実は営業が苦手だから得意な執筆で稼ぎたい。
■ 本業がうまくいかないから副収入を稼ぎたい。
こんなモチベーションで書かれた記事に一括査定サイトへの誘導リンクが貼られています。不動産取引がよくわかっていないのに、なんで、一括査定が素晴らしいと断言できるのか…。ゆめ部長からすれば、無責任にもほどがあると思います。
もちろん、1つの意見として一括査定をオススメするのは構いません。問題なのは、専門家の仮面をかぶったり、信頼できる専門サイトのように見せていることでしょう。
アフィリエイターは、とにかく「一括査定サイトへ売主さまを誘導する」というGOALを目指して記事を書きます。結論が先にあって、そこへ誘導したいだけですから、質が高い記事なんて書けるはずがありません。
記事のネタも少ないですから、他のサイトから盗用しているのも見かけます。「参考にしました!」というツイートが届いて見てみたら…「文章までほぼ同じじゃん!」という被害にあったこともあります。
かなり愚痴っぽくなってしまいゴメンナサイ。でも、一括査定サイトをオススメしている人の目的を知っておくことは大事だと思いますので、許してくださいね。
アフィリエイターには嫌われても構いません。
一括査定のお問い合わせに対応した経験を語る!
ゆめ部長はサラリーマン時代に一括査定サイトからのお問い合わせに対応したことがありますので、その被害体験(!?)を語ります。
一括査定サイトは「無料で」「気軽に」「不動産屋さんから営業を受けずに」利用できると思っている人がすっごく多かったです。その結果、不動産屋さんは次のような被害を受けることが結構あります。
被害体験1…
「なんで電話してくるんですか?そんなことお願いしていませんけど(怒)」
査定書をメールですぐに送っても返信なし。
メールで状況確認してもムシ。
資料を郵送しても連絡なし。
仕方なく電話してみるも留守電だったりガチャ切り。
会社の指示で再度電話した時に間違って出てしまったらしく、機嫌が悪くなって怒られてしまいました(涙)
被害体験2…
「とにかく査定金額だけ教えてくれればそれでいいよ。今すぐ売るわけじゃないしさ。(上から目線)」
なんとなく金額が知りたいという興味だけですか…?それだけで不動産屋さんは無料で査定書を作らなければいけないのでしょうか??
すっごく悲しい気持ちになりました。なぜ、上から目線に耐えながら、無料で査定しなければいけないのか。変ですよね~。
長くなるから被害体験は2つだけにします。
こんな被害ばかり受けている不動産屋さんが一括査定をどう思っているのか…。予想はつくかもしれませんけど、友達から聞いた話などを書いておきます。
「安くても売るって言うなら対応したらイイんじゃない?」
「電話禁止なんてムシだよ。即、電話。出ないなら訪問しちゃいなよ。」
「面倒だからAI査定の金額を伝えればいいよ。」
反響(お問い合わせ)が順番制の会社だと、一括査定からのお問い合わせを「ハズレ」だと考えるようになり、高値査定競争すらしなくなることもあります。それほど、一括査定からのお問い合わせの質は低いものなんですよね。
ちなみに、一括査定サイトを利用して媒介を取得できる確率は、優秀な会社で7%くらいだと聞いたことがあります。綺麗でわかりやすい査定書を急いで作り、充実した資料を同封して即日郵送するのにこの程度。しかも、専任媒介ではなく一般媒介を含めての成績だと聞いて驚きました。
約15件で1件媒介契約を取得する。そのうち成約になるのは何件あるのかな…?競争が激しいから、一般媒介でも受け付けて、高値でも媒介を取得しちゃう。そうすると、成約率は30%くらいとか?
そしたら…50件に1件しか成約しないってことじゃん!こんなの…営業スタッフがやる気になるわけがないし、70万円前後も広告費を使わないと契約にならないって…。仮に成約率が50%だったとしても、広告費は40万円前後になる!!
それでも一括査定サイトに不動産屋さんが頼る理由は、集客に苦戦しているからです。何もしないと倒産してしまうので焦るのでしょう。「一括査定サイトに参加しませんか?」という営業を受けて参加を決めてしまい、利益が出ないのになぜか継続しています。
お問い合わせの獲得を一括査定に頼っている時点で負け組。まぁ、利用している不動産屋さんが悪いとも言えそうですけどね。
一括査定サイトの不正課金を見つけた!
— name (@nomuramikataro) YYYY年MM月DD日
2020年7月18日追記…
Twitterを見ていたら衝撃的なツイートを見つけました。
クラウドソーシング仕事依頼サイトで一括査定に申込をしてくれる人(サクラ)を募集している!との投稿です。「依頼概要」をザックリ抜き出してみます。
コチラの依頼をご覧いただきありがとうございます。
この依頼は、
①ネットで申し込める「不動産一括査定」に実際に申し込む。
②申込入力画面・申込後のメールのキャプチャを撮って納品。
③いくつかの質問に回答。
これらをやっていただくお仕事です。
なるべく、家を売りたいと考えいる人の方がいいですが、
なんとなく、現在の自宅の価値が知りたい人でも大丈夫です。
よろしくお願いします。
抜き出しはココまでです。
考えられるのは次の2パターンでしょうか…
パターン1
一括査定サイトの運営会社が、利用している不動産会社へ送客して課金するために「売る気はなくてもOKだから一括査定依頼を出して!」と依頼を出している。
パターン2
アフィリエイターが自分のWebページでこの一括査定サイトを紹介している。自分のWebページを経由して一括査定の依頼をしてもらえれば、このアフィリエイターに報酬が入るため依頼を出している。
どちらも、「得られる報酬」と「1件3,000円」の出費を天秤にかけて、利益が出る!と考えての募集なのだと思います。
1件3,000円支払っても利益が出る…ということは、課金される不動産会社は、もっと多くの広告費を課金されるわけです。そして、この問い合わせは売り上げになりません。もっと言えば、対応した分の人件費も赤字です。
これ、業務妨害じゃないでしょうか??
このような一括査定の悪い噂は何度も聞いたことがありました。ポータルサイトの旧「HOME’S」の反響課金もサクラが多いと言われていましたから、不動産屋さんはこの事実を知っているはずです。
だから、不動産屋さんは本気で対応しない。
一括査定…本当にメリットがありますか!?
最後に…
一括査定は気軽に利用できますけど、その分、不動産屋さんの負担はかなり大きなものになります。たくさんのお客さまがこのサービスを利用する結果、仲介手数料を値下げできなかったり、サービスの質が下がるという問題が生じているのです。
不動産を売却するなら、自分から積極的に不動産屋さん(エージェント + 不動産会社)を探して問い合わせをするようにしてください。一括査定サイトを儲けさせるよりも、Win - Winの関係を築きやすくなりますからね!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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■ 2020年07月19日 投稿
■ 2022年02月20日 リライト
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日