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2020年07月06日
不動産売買の流れ

不動産売買で確認してほしい登記事項証明書の中身を宅建マイスターが解説します!

不動産の売買契約を締結する際、ゆめ部長のような不動産仲介会社が重要事項説明を行います。重要事項説明書には、登記事項証明書(登記簿謄本)の内容を記載するんですけど、聞きなれない言葉が多いため初見で理解するのは難しいと思います。しかも、宅建士の重要事項説明では、登記事項証明書を一緒に確認せず、ただ音読するだけのこともよくあるのが現実なのです。

 

そこで、不動産を購入するにあたり知っておいてほしい「登記事項証明書のチェックポイントや基礎知識」をまとめておきますので、売買契約前に勉強してみてください。所有権を侵害する権利が付いていないか…確認できるようになりましょう!

 

不動産業界15年宅建マイスター2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~

登記事項証明書の基礎知識を学ぼう!

登記事項証明書(登記簿謄本)の基礎知識から勉強しましょう。

 

まずは、登記事項証明書の見本を見てください。

 

1枚目:一戸建て

2枚目:マンション

登記事項証明書の構造は次のようになっています!

 

一戸建てはシンプルです。

 

表題部

権利部・甲区(所有権に関する事項)

権利部・乙区(所有権以外の権利に関する事項)

 

マンションはちょっと複雑な感じがしますね。

 

上記の登記事項証明書は「敷地権登記」がされています。敷地権登記というのは、たとえば、101号室の売買をする場合、建物(101号室)と、101号室が所有する土地の持分を一体として取り扱うというものです。建物だけ売却、土地だけ売却はできない!ということになります。

 

敷地権マンションの構造は表題部だけ次のように変わります。

 

表題部(一棟の建物の表示)

表題部(敷地権の目的である土地の表示)

表題部(専有部分の建物の表示)

表題部(敷地権の表示)

 

表題部が4つあり、

上の2つがマンション全体の建物+土地

下の2つがお部屋(101号室)の建物+土地

 

これを知っているだけでも、

登記事項証明書を見やすくなるはずです!

 

表題部は不動産の場所・形状などが記載されます。建物を新築した際には「表題登記」を行い、増築などの変更があった場合には変更登記を行わなければいけません。この登記は1ヶ月以内に行う必要があり、違反すると10万円以下の過料になります。

 

権利部には現在の所有者・所有権を制限する権利(抵当権など)が記載されます。権利部の登記は任意ですけど、所有権移転登記を行わないことはありません。残代金決済日(=引渡日)に司法書士先生が同席し、その日のうちに登記を行います。

 

所有権移転登記:甲区

抵当権設定登記:乙区

 

この記事は、不動産売買を行うにあたり、安心して取引を行うために知っておいてほしい最低限の知識を解説するものですから、権利部の甲区・乙区でチェックするべきポイントを解説することになります。

 

もし、詳しく勉強したいのであれば、司法書士先生・土地家屋調査士先生が執筆している記事を読んでみるのがオススメです!

 

では、甲区・乙区のチェックポイントを解説します。

権利部・甲区でチェックして欲しいこと!

権利部・甲区は所有権に関する事項が記載されています。

 

と、言われてもわかりませんよね…(汗)

具体的にチェックポイントを見ていきましょう。

 

チェックポイント1…

 

現在の所有者と持分を確認してください!

 

登記事項証明書の「権利者その他の事項」で所有者の氏名・住所を確認してください。次に、売買契約を締結する売主さまが「本物の所有者」なのか…を下記書類と照合してチェックします。

 

登記済証(権利証)・登記識別情報通知

実印+印鑑登録証明書

運転免許証・パスポート

住民票・戸籍の附票・戸籍の除票・戸籍謄本

 

具体的なチェック方法は次の参考記事をどうぞ!!

 

参考記事…

不動産売買契約で売主さまが用意する物を宅建マイスターが解説します!

 

チェックポイント2…

 

「差押」されていないかを確認しましょう。

 

住宅ローンの返済ができなくなると、お金を貸した金融機関が競売の申立てを行い、裁判所を通して売却されてしまいます。また、固定資産税+都市計画税・国民健康保険料・住民税などを滞納すると、行政から不動産を差し押さえられ競売にかけられてしまいます。

 

差押登記が残ったままの不動産を引き渡されると困りますので、売買代金を使って差押登記をしっかり抹消できることを確認しなくてはいけません。「差押」が記載されている場合には、どうやって抹消する予定なのか…、司法書士先生へ相談しているのか…、宅建士に質問した方が良いです。

 

チェックポイント3…

 

「所有権移転請求権仮登記」はありませんか?

 

同じ「順位番号」の欄に【余白】が並んでいた場合は要注意です。□で囲われた「余白」の上に仮登記が付いていることを確認してください。

 

「仮登記」が「本登記」になると、甲区と乙区に登記された後順位の権利は抹消されてしまいます。つまり、売買代金を支払って引渡を受けたのに、所有権を失ってしまう可能性があるのです!請求権は10年で時効消滅しますけど放置したらいけません。

 

司法書士先生の話では、不動産屋さん・銀行・司法書士の全員が仮登記を見落として権利移転してしまっている登記事項証明書を見ることもあるそうなのでチェックしましょうね。

 

チェックポイント4…

 

権利者とその他の事項に「譲渡担保」と記載されていませんか?

 

譲渡担保は難しいので具体例で説明します。

 

ゆめ部長が(株)ドリームから1,000万円を借りました。

(株)ドリームは1,000万円を確実に返済してもらえるように

ゆめ部長のマイホームに「譲渡担保」を設定します。

 

そうすると…

 

所有権はゆめ部長から(株)ドリームに移転します。

 

その後…

 

ゆめ部長が1,000万円を返済すると、

マイホームが無事に戻ってくる!というものです。

 

もちろん、1,000万円を返済できないと、

ゆめ部長はマイホームをそのまま失います(涙)

 

抵当権と違うのは、

担保の所有権が移転するかどうかです。

 

問題点はココ!!

 

譲渡担保がある不動産を売買する場合、

所有者は(株)ドリームですけど、

売主はゆめ部長となります。

 

しかし、ゆめ部長が返済できなかった場合、

売主がゆめ部長から(株)ドリームに変わります。

 

つまり、状況によって売主が変わってしまうのです!

 

譲渡担保契約がどうなっているのか?この点をしっかりヒアリングしないと安心して不動産売買を行うことはできません。

 

チェックポイント5…

 

所有権移転の原因が「真正な登記名義の回復」になっていませんか?

 

登記名義人が本当の権利者ではないため、本当の権利者に名義を変更するときに記載されます。この場合、現在の所有者がどのようにして所有権を取得したのか、登記事項証明書からはわかりません。

 

そのため、売主さまから経緯を確認しておきたいところです。

 

チェックポイント6…

 

登記の目的に「信託」と記載されていませんか?

 

民事信託(家族信託)を利用しているケースです。

これも具体例で見ていきましょう。

 

ゆめ部長は自分が認知症になることを心配しています。

そこで、認知症になってしまった場合、

息子くんに所有不動産の売却、

収益不動産の管理を任せたいと考えました。

 

そこで…

 

ゆめ部長を「委託者」「受益者」

息子くんを「受託者」

 

とする信託契約書を作成しました。

 

この信託契約書に「息子くんは、ゆめ部長の不動産を管理処分できる」と記載されていれば、皆さまは息子くんと安心してゆめ部長の不動産を購入することができます。

 

甲区に「信託」と記載されていれば、法務局で「信託目録」を取得することができますので、信託条項の記載内容を確認して、売主さまに売却権限があるかを確認しましょう。

権利部・乙区でチェックして欲しいこと!

権利部・乙区は所有権に関する事項が記載されています。

 

具体的には…

 

抵当権・根抵当権

地上権

地役権

賃借権

配偶者居住権

 

などが登記されることになります。

 

これらの権利は、所有権を制限する権利になります。抵当権・根抵当権が残っていると、引渡受けた後に所有権を失う可能性がありますので、必ず、抹消した状態で所有権移転を受けなければいけません。

 

というわけで、それぞれ、簡単に説明します。

 

抵当権・根抵当権…

 

不動産を購入する時には住宅ローンを組みますよね。銀行は皆さまを信用してお金を貸すわけですけど、もし、返済してもらえなかったら…すごく困りますよね。そこで、購入するマイホームに「抵当権」を設定します。返済が滞ってしまった場合、銀行は抵当権を実行して不動産を競売にかけ、優先的に返済してもらうことができます。

 

根抵当権は商売をしている人が利用するものです。

 

2,000万円借りて、2,000万円返済

1,500万円借りて、3,000万円借りて、4,500万円返済

 

このように、何度も融資・返済を繰り返すたびに抵当権の設定・解除をしていたのでは大変ですし、登記費用もかさんでしまいます。そこで「極度額」という枠を設け、この枠内であれば、毎回登記しなくてOKとしたのが根抵当権になります。

 

なお、根抵当権はお金を返済しても消えません。売主さまは金融機関に根抵当権を「解除」や「放棄」をしてもらわなければなりませんが、いくら借りているかが登記事項証明書では不明なため、司法書士先生の話では、少し怖い権利なんですよ…と教えてもらったことがあります。

 

地上権・地役権…

 

他人の土地を利用する権利です。敷地の下を地下鉄が通っていたり、上空を高圧線が通っているときなどに設定されます。ゆめ部長の経験では、マンションの敷地の一部が三角形に切られていたので該当箇所の登記事項証明書を取ってみたら、工業用水道送水管設置を目的とした地上権が設定されていたことがありました。

 

これらの権利は所有権を制限するものですけど、引渡時に抹消することはできませんから、制限付きの不動産であることを理解しなくてはいけません。抹消できないことについては、売買契約書の特約事項として記載しています。

 

賃借権…

 

土地を借りる権利です。地主さんは賃借権の登記を嫌がりますけど、登記されている場合は次の内容を確認しましょう。日付・目的・賃料・支払時期・存続期間・敷金・特約・賃借権者など。

 

配偶者居住権…

 

2020年4月1日施行の民法改正(相続法)で創設された権利です。死亡した人の配偶者は「住み慣れたマイホームで過ごしたい」と考えますよね。この要望を叶えることが目的になります。

 

長期の配偶者居住権には財産的価値があり、所有者の所有権を制限するため、乙区に登記されることになりました。

 

配偶者が何歳まで生存するか…そんなことはわかりません。そうすると、配偶者居住権が付いたままの不動産を売却するのは難しいでしょうね。今後は「信託」や「配偶者居住権」が付いた不動産も目にするようになるのだと思います。

重要事項説明書の記載箇所

重要事項説明書で登記事項証明書に記載された内容を説明する箇所を見てください。

 

大事な部分を転記するんですけど、ここを見るよりも、実際の登記事項証明書を見た方がわかりやすいと思いませんか??

 

ゆめ部長の重要事項説明では、次の流れで説明します!

 

登記事項証明書・公図・測量図・建物図面を提示

全体の構造を説明

不動産の表示をサラッと確認

現在の所有者・持分を確認

甲区のチェックポイントを説明

乙区のチェックポイントを説明

最後に重要事項説明書の記載内容で復習

 

これなら、安心ですよね!

 

しつこいようですけど、重要事項説明書の記載事項を音読したらダメだと思います。高額資産の売買ですから、しっかり時間をかけて説明をするべきでしょう。

 

この部分を音読する宅建士は、不動産取引の勉強をしていないから取引の危険性を理解していないのだと思います。知識があると、決して、飛ばしてOKな部分ではありません!

不動産売買契約条項「抵当権等の抹消」を理解しよう!

不動産売買契約条項には次のような記載があります。

 

売主は買主に対し、本物件について、第●条の所有権移転時期までに、その責任と負担において、先取特権、抵当権等の担保権、地上権、賃借権等の用益権その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消します。

 

つまり、不動産の所有権を侵害するような権利が付いている場合、または、売買契約後~引渡までの間に権利が付けられてしまった場合、売主さまは自分の責任と負担でこの権利を抹消してくださいよ!という約束です。

 

いきなり所有権を失うリスクがある「抵当権」付きでも、不動産は売却できてしまいますので注意しましょう。

 

ちなみに、この文言のままだと、残代金決済日(=引渡日)までに抵当権などを抹消することになりますけど、抹消するためには、買主さまから支払われる残代金を使わなければいけません。そのため、売買契約に特約を付け、抵当権などの抹消は所有権移転登記と同時に申請することとします。

 

よく質問があるところです。

しっかり理解しておいてください!

 

復習すると…

 

甲区・乙区に、所有権を侵害したり制限したりする可能性がある内容が記載されていれば、次のことを確認しましょう。

 

抹消するのかしないのか?

  地役権などは抹消できないことがあるのでしたね。

 

抹消する場合は確実に抹消できるのか?

  仮登記や差押は所有権を失う可能性があるので絶対抹消です。

  売買契約書にも抹消するように記載がありましたね。

最後に…

ゆめ部長は、上級宅建士「宅建マイスター」として、わかりやすい重要事項説明を心がけています。しかし、最低限の知識がないお客さまへゼロから説明するのは「ムリだよなぁ…」というのが正直なところです。

 

重要事項説明書のボリュームはどんどん増していますから「しっかり理解したい!」と考えているのであれば、不動産屋さんに期待しすぎず、お客さま自身が積極的に勉強する姿勢が必要です。

 

また、重要事項説明書を音読するような担当者から購入することがないように、自分の目で不動産会社と担当者を選ぶことも大事だと思います。

 

最近は担当者を指名できる不動産屋さんも増えてきていますし、SNSやブログなどで情報発信していることもありますから、しっかり選んでくださいね!

 

本日はここまでです。

最後まで読んでくれてありがとうございました!

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年、仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも…不動産業界にはなんか暗いイメージがあり、このままではダメだと思っています。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人たちが楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。会社が幸せの発信基地になり、小さなHAPPYが拡がって欲しいと願っています。できることを1つずつ。コツコツ「幸せの種」をまいていきたいですね。
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