不動産の売買契約書は2通作成!印紙税節約のために売主コピー・買主原本保管をやめた方が良い理由を解説します!
不動産の売買契約では、通常、売買契約書を締結します。この売買契約書には印紙税が課税されるため、印紙代を節約するべく、売買契約書を1通だけ作成し、売主さまが写し(コピー)を保管し、買主さまが原本を保管することがあります。
ゆめ部長もこの方法で売買契約を締結したことが何度もありますけど、どうやら、この方法には問題があるようです。本日勉強した内容をまとめますので、不動産売買をする皆さまの参考になれば幸いです。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産の売買契約書に関する基礎知識!
まず最初に、民法の原則を軽く見ておきます。
売買契約は「買います!」「じゃあ、売ります!」という意思表示の合致があれば成立し、売買契約書の作成は必要ないとされています。
しかし、不動産は高額であり頻繁に取引されるものではない商品です。それなのに、「買うよ」「売るね」なんて口約束だけで売買契約が成立し、所有権が移転するというのは、一般社会の常識には合致しませんよね。
通常であれば、下記のような諸条件の交渉があるでしょう。
■ 売買価格
■ 手付金額
■ 支払い時期
■ 引渡時期
■ 所有権移転登記申請の時期
■ 契約解除の定め
■ 住宅ローンの利用条件
■ 契約不適合責任の内容
などなど。
これらの内容について合意に至り、
売買契約書へ盛り込み、
売主さま・買主さまの双方が納得できる形でまとめ上げ、
最終確認をしたうえで署名捺印をする
これなら、誰もが納得できるのではないでしょうか!?
売買契約成立の基準を2つ紹介します。
判例…
■ 正式な売買契約書の作成
■ 相当額の手付金授受
どちらかを満たせば売買契約が成立したと判断される傾向があるそうです。
大手仲介勤務時の経験…
■ 売買既契約書の署名捺印
■ 手付金の授受
両方が揃って初めて売買契約の成立としていました。売主さま・買主さまの双方にとって公平であり、トラブルを防止するのに最適な考え方だと、ゆめ部長は考えています。
この項目の最後に、売買契約書を作成することで得られる効果を確認します。
■ 当事者の権利・義務の明確化
■ 契約内容についての当事者の意識の強化
■ 契約条件の整理
■ 裁判における立証の容易化
つまり、売買契約後の紛争・トラブルを防止することができるわけですね!「言った!」「言わない!」の言い争いになっても、裁判では、売買契約書の内容が正しいと推定されますから、不動産と言う高額な商品の売買で契約書を作成しないなんて…法律上OKでも、あり得ない!ということがわかると思います。
基礎知識はこれくらいでイイと思います!
次は、
売買契約書には印紙税が課税される!
残念なお知らせですけど、売買契約書を作成すると「印紙税」という税金が課税されてしまいます。「売買契約書を作成することで不動産取引の法律関係が安定するという経済的メリット」に対して課税されるみたいですね…。
不動産売買価格に対して課税される印紙税額を5つだけ紹介します。詳しくは下にある参考記事を読んでみてください!
■ 100万円超 ~ 500万円以下
1,000円(2,000円)
■ 500万円超 ~ 1,000万円以下
5,000円(10,000円)
■ 1,000万円超 ~ 5,000万円以下
10,000円(20,000円)
■ 5,000万円超 ~ 1億円以下
30,000円(60,000円)
■ 1億円超 ~ 5億円以下
60,000円(100,000円)
売買契約書を2通作成すれば、印紙代も2倍。
税金おそるべし…。
参考記事…
不動産売買契約の印紙代節約方法…(オススメしない)
売買契約書は作成した方がイイ!
でも、悲しいことに、税金が課税される…
ここまでOKですね。で、本題に入ります。
この印紙税を節約するために、売買契約書を1通だけ作成するという方法があります。
1通の売買契約書に、売主さま・買主さまの双方が署名捺印を行い、印紙は1通分だけ貼付(ちょうふ)して消印をします。
売主さま:写し(コピー)保管
買主さま:原本保管
買主さまは、住宅ローンを利用する際、金融機関から売買契約書の原本提示を求められることがあるため原本を保管します。
印紙代は折半(1/2)または買主さま負担とする2パターンがありますけど、通常は折半にするべきでしょう。
なお、税法上は印紙税の脱税にはなりません。
税務署に電話確認済みです。
【 注意! 】
写しに下記の文言を記載して押印しないでください。
「この写しは原本と相違ないことを証明します。 」
記載すると課税文書になります。
印紙を貼付しなければ印紙税法違反です。
売買契約書を買主さまだけ保管することのデメリット!
ゆめ部長は、過去、上記のように印紙税の節約をお客さまへ提案してきました。
しかし、これは止めた方が良いとのことでした。
売買契約書に記載された事項でトラブルがあり、裁判になってしまった場合、次のようなデメリットがあるそうです。
売主さまが保管する写しと、買主さまが保管する原本に異なる記載がなされている場合、原本の方が証拠能力が高いため、売主さまが弱い立場になる可能性があるとのことでした。
仲介会社が入れば、仲介会社も写しを保管していますから、原本を保管する側が内容を改ざんしたとしても証拠が残るでしょう。しかし、不動産会社が関与しない個人間売買…たとえば…隣人に土地を売却する契約を当事者だけで行うような場合(仲介会社へ依頼しない)は、要注意だと言えそうですね。
ゆめ部長は、中堅規模の会社で勤務していた時だけでなく、契約書類の作成に厳しい会社に勤務していた時も印紙節約の売買契約を行いました。また、他の不動産屋さんからも売買契約書1通形式での契約を何度も打診されたことがあります。
というわけで、今後の売買契約では「売買契約書は2通作成」で統一することにしました。
最後に…
不動産業界で長く仕事をしていても「法律違反のリスクがある契約」・「トラブルになり得る危険な契約」を知らず知らずのうちに行っていることがある…ということを改めて実感しました。
勉強 ⇒ 実務 ⇒ 勉強 ⇒ 実務 …を繰り返す
アウトプット前提でインプット
日々の業務の中に「暗記」する時間も確保
この3つを意識して高速で学び続けて行くことを宣言し、本日の記事を終わりたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
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