不動産売却でかかるお金(諸費用+税金)
不動産売却でどれくらいの諸費用が必要になるのか…なんとなくでもイメージできますか?諸費用の目安をわかっているだけでも、売却資金の分け方や住み替え計画を立てやすくなります。税金を含めた諸費用の節約方法も解説しますので一緒に勉強しておきましょう!
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産売却の諸費用の一覧をチェック!
不動産売却諸費用の一覧をチェックしましょう!
■ 仲介手数料
■ 印紙代
■ 登記費用(司法書士先生報酬)
■ 住宅ローン一括返済手数料
■ 税金
■ その他(測量・解体・残置物撤去費用・弁護士費用・税理士費用)
不動産購入時ほど諸費用はかかりませんので安心してくださいね!それでは、1つ1つの費用を順番に確認していきましょう。
仲介手数料
仲介手数料は不動産屋さんの報酬になります。この仲介手数料は「成功報酬」になりますから、売買契約が成立しない限り、机上査定・訪問査定・販売図面作成・販売活動などで費用は請求できないことになっています。
仲介手数料は売買契約完了時に全額の請求権が発生するのですけど、媒介契約書には「引き渡しまでのサポートをする」と記載されていますから、ほとんどの不動産屋さんが契約時に50%・残代金決済時(=引渡日)に残りの50%をもらっています。
次に仲介手数料の金額に関してです。金額は下記の計算式で算出します。(消費税が10%になりましたので計算式を「×1.08」から「×1.1」に修正しました。)
【成約価格(建物消費税を除く)×3%+6万円】×1.1
具体的に仲介手数料額を計算してみましょう!
成約価格3,000万円 … 105万6,000円
成約価格4,000万円 … 138万6,000円
成約価格5,000万円 … 171万6,000円
成約価格7,000万円 … 237万6,000円
成約価格 1億円 … 336万6,000円
成約価格 3億円 … 996万6,000円
やることは同じはずなのに、成約価格が高くなるとなんで仲介手数料が上がるの…?皆さま、そんな疑問があるのではないでしょうか。
その疑問へゆめ部長なりの回答をすると…
1番大きな理由は仲介責任にあると考えています。不動産仲介会社は売買契約に対して「仲介責任」を負います。売買金額が高くなれば、その分、責任が大きくなり損害賠償リスクも高まるのです。
3億円の不動産売買を仲介したにもかかわらず、仲介手数料が100万円ではリスクに対する報酬が釣り合わなくなってしまいます。これは時計・車・美術品などでも同じですよね。
仲介責任は年々重くなってきているのは間違いありません。実際、受領した仲介手数料額を大幅に超える数千万円の損害賠償責任が生じた案件もあると研修で習いました。どんな物件でも「超低額な定額制」を採用している会社は、このリスクを把握しているかな…と心配になります。
参考記事…
印紙代
印紙税という税金は「売買契約書を作成することで不動産取引の法律関係が安定するというメリットに対して課税するもの」だそうです。
よくわからないですけど、何かと理由をつけて課税したいのでしょうね~。小さい紙1枚に数万円とられるのは、ハッキリ言っていい気はしません ( 怒 )
グチはこれくらいにして、具体的に金額を見ていきましょう!印紙税は売買契約書に記載されている金額によって変わってきます。
1,000万円超 ~ 5,000万円以下 : 10,000円
5,000万円超 ~ 1億円以下 : 30,000円
1億円超 ~ 5億円以下 : 60,000円
この数字は2019年10月時点での税額です。印紙税の軽減が利用できる期間が延長されましたので、令和2年(2020年)3月31日までに作成された売買契約書は上記の軽減された金額でOKです。
なお、軽減がなかった場合は次のようになります。
1,000万円超~5,000万円以下:20,000円
5,000万円超~1億円以下 :60,000円
1億円超~5億円以下 :100,000円
※ 売買契約書の記載金額は消費税抜きの金額でみます。
※ 5,000万円ちょうどは10,000円でOKです。
印紙は売主さま・買主さまの双方がそれぞれ保管する売買契約書の原本に貼付(ちょうふ)するのが原則ですけど、節約のために原本1部、コピー1部とすることも可能です。
お客さまが印紙を用意する場合、郵便局で「収入印紙」を購入してください。売買契約が土日の場合、24時間営業している大きな郵便局に行けば購入可能です。
郵便局で発行される領収証は捨てないで保管しておきましょう。将来売却する際に利益が出たら税金が課税されるのですが、利益から印紙購入費用などを経費として差し引くことができます。この時に領収証で証明する必要があります。
5年以内の売却で利益が出ると、所得税・住民税が39.63%もかかります。印紙代が1万円だと約4,000円、3万円だと約12,000円も税金を納めずに済むのです!
参考記事…
登記費用(抵当権抹消・住所変更)
住宅ローンを借りて購入した不動産を売却する場合、その不動産には 抵当権が設定されています。引渡時に抹消することが条件になりますので、残代金決済日 ( = 引渡日 ) に、買主さまから受け取ったお金で住宅ローンを一括返済して、法務局で抵当権を抹消する手続きをしなければいけません。
この手続きは司法書士先生の仕事です。司法書士先生への報酬、登録免許税という税金が発生します。
また、登記簿謄本に記載されている所有者の住所が印鑑証明書とズレてしまっていたり、結婚後に名字が変更になった場合、登記簿謄本の表記を変更することになり、やはり司法書士先生への報酬と登録免許税がかかってきます。
抵当権抹消と住所変更を合わせても2万円~5万円くらいです。5万円に近づく場合は複数の金融機関から融資を受けていて、共有名義になっている場合などです。なお、所有権移転登記・抵当権設定登記は買主さま負担になります。
ちなみにですが…たまに「登記を自分でやりたい!」という要望もあるのですが、ゆめ部長は基本的にお断りしています。
売却の場合は抵当権抹消と住所・苗字変更だけですから、自分でやってもそれほど難しいものではないそうです。しかし、この登記手続き中は謄本を取ることができなくなり、権利移転の登記もできなくなってしまうという問題が生じます。
数万円の司法書士報酬を節約するために、引渡日を延期するリスクを考えてみて欲しい…というのが本音です。のんびり構えていた結果、手続きがギリギリになって引渡日の直前に謄本を取れないかもしれない…これは大きな問題になります!
ついでに言いますと、平日しか法務局が開いていないわけですから、わざわざ有休を取ってまでやることではないですよね。
用語解説「抵当権」…
銀行からお金を借りて購入した不動産に対して銀行が設定する権利です。もし返済できなくなった場合、銀行は抵当権を実行して競売にかけ、優先的に貸したお金を回収できるようになります。
住宅ローン一括返済手数料
住宅ローンを借りていた場合、抵当権を抹消するために残額を一括返済することになります。この一括返済には手数料が必要です。
一括返済手数料は金融機関によって異なります。22,000円・33,000円・55,000円が多い印象ですが、金融機関によっては、数年で一括返済する場合、残額の2%(+消費税)を違約金として支払わなければいけないということもあるので要注意です。
事前に住宅ローンの借入をしている金融機関に確認しておきましょう!
税金(譲渡所得税)
譲渡所得税は、不動産売買で利益が出た場合に課税されます。この税金は本当に難しくて、不動産屋さんは理解できていないと思います。ここでは簡単な説明だけしておきます。まずは計算式からです。
■ 所有期間5年以下…
利益 × 39.63 %
■ 所有期間5年超…
利益 × 20.315%
■ 所有期間10年超…
6,000万円以下の利益 × 14.21 %
6,000万円超の利益 × 20.315%
「利益」の計算方法は下記の【1】-【2】-【3】になります。
【1】譲渡収入金額
売買代金 + 固都税清算金
【2】取得費
購入代金 + 購入時諸費用 - 建物減価償却費
【3】譲渡費用
売却時諸費用
意外と見落としがちなのが、【売った金額 - 買った金額】ではないということです。
建物減価償却分は「利益」としてみる計算になりますから、長年所有しているマンションだと利益が多くなってしまうことに注意が必要でしょう。
なお、領収証をしっかり保管しておくと、思わぬ費用が諸費用として認められることがあるそうです。勝手な判断をせずに、必ず、税理士先生または税務署に確認を取ってくださいね。
なお、利益が3,000万円までなら非課税にできる制度(居住用財産の3,000万円特別控除)があります。この制度を利用できれば、「利益-3,000万円」で計算した残りの利益に対してのみ、上記の税額をかけて課税されることになります。
ただし、住み替えの場合は特に注意をしてほしいのですけど、「居住用財産の3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」とは選択適用になるという罠があります。
不動産屋さんが「購入物件では住宅ローン控除があるから最大で400万円も税金が戻ってきます!」とアピールしてくるものだから「使えて当然!」そう考えてしまうとイタイ目にあうかもしれませんよ…。
売却利益が多い時は迷わず税理士先生へ相談しましょう。「3,000万円控除を利用した場合の譲渡所得税がいくらになるのか?」「住宅ローン減税は最大でどれくらい使えそうなのか?」を計算してもらえたら安心ですね。
その他(測量・解体・残置物撤去費用・弁護士費用・税理士費用など)
マンションであれば必要ありませんけど、一戸建てや土地を売却する場合は、測量費用・解体費用・残置物撤去費用などが必要になります。
測量・境界標復元費用 : 30万円~80万円
解体費用 : 100万円~300万円
残置物撤去費用 : 10万円~50万円
その他かかる可能性があるものをみておきましょう。
相続案件であれば、弁護士先生・税理士先生・司法書士先生への相談費用が必要になります。売却前に相続登記までは必要ありませんけど、遺産分割協議書は必要です。
離婚案件であれば弁護士先生との相談が必要でしょう。共有名義の不動産であれば離婚協議書などを確認します。
判断能力が低下していれば、成年後見制度を利用しなければいけない可能性があります。その場合は、弁護士先生・司法書士先生への相談が必要です。
不動産は高額な商品ですから、買主さまが安心して取引できるように、上記のような準備をしなければいけません。費用は掛かりますけど、逆の立場になったとして想像してみると納得できますね。費用の見積もりは士業先生に依頼してください。
逆に戻ってくるお金があるかも!?
かかる費用ばかりでなく、一部戻ってくるお金もあるかもしれません!
まずは、「銀行保証料」です。
住宅ローンを借り入れするときに、100万円あたり約2万円(35年返済の場合)の銀行保証料を支払っている場合が多いと思います。ネット銀行などは「銀行保証料」という名目ではなく「銀行事務手数料」という名目で支払っていることがあります。この場合は残念ながら戻ってきません(涙)
銀行保証料は、もし住宅ローンの返済が滞ってしまったら、立て替え払いすることを保証してもらうために支払う費用です。一括返済すれば保証は不要になりますから、35年分まとめて支払っているなら、残りの年数分の一部を還付してもらえるのです。
支払ったお金の残年数分すべてが戻ってくるわけではなく、だいぶ減った額で戻ってきますので期待し過ぎないでくださいね…。
次に、「火災保険料」もチェックしましょう。
今は最長で10年になりましたが、数年前までは35年間一括で加入していた人も多かったはずです。特に一戸建ては保険料が高いので、忘れずに解約の手続きをして還付を受けるようにしてください。
最後に、売却で損が出てしまった場合の話です。
この場合、損失分を給与収入と損益通算できる可能性があります。給与収入は金額に応じて所得税・住民税を支払っていますから、給与収入(+)と譲渡損失(-)を合わせて給与収入を0円として扱ってもらえれば、その年の所得税は0円で翌年の住民税も0円になります。当然、確定申告は必要ですから忘れずにお願いします。
なお、損益通算・繰り越し控除の特例を利用できるかどうかは税理士先生・税務署に確認してください。住み替えするかどうかによっても要件は変わります。
最後に…
ここまでお疲れ様でした!ボリュームがあって読むだけでも大変だったと思います。
でも、こうやって正しい知識を積み重ねておけば、不動産屋さんに頼り過ぎないで済むようになります。受け身の姿勢では簡単に騙されてしまいますから、この記事も2回・3回と読み直して知識武装を目指してくださいね。
なお、税金は複雑で不動産屋さんの知識では太刀打ちできません。個別具体的な相談は、必ず、税理士先生または税務署へ確認しましょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日