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2018年12月30日
不動産売買の知識

宅建業法改正「建物状況調査(インスペクション)の説明義務化」仲介現場から見る課題

宅地建物取引業法が一部改正され、2018年4月1日からインスペクション (建物状況調査) の説明が義務化されました。義務化されることになった理由、説明する内容、インスペクションが盛んなアメリカから学べることなどをまとめます。

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~

 

【目次】

1.  建物状況調査・住宅診断とは…

2.  宅建業法が改正されることになった理由とは?

3.  説明義務化されたインスペクションとは?

4.  いつ・どのように説明されるのでしょうか?

5.  中古住宅の流通量が多いアメリカから学ぶ問題点

6.  インスペクションに対して怒りを覚えた経験を紹介

7.  最後に…

建物状況調査・住宅診断とは…

言葉の定義がよくわからないですね…。こうやって日本語を難しくしてしまうから、建物の専門家ではない不動産屋さんの現場が混乱するんだと思います。この記事は勉強したことをまとめるという目的もありますので、調べながら書き進めていきます。

 

インスペクションのリーディングカンパニーといえば「さくら事務所」さんなので、そこのWebページを覗いてみたら…

 

「建物状況調査」:大きな病気なら見つかる健康診断

「住宅診断」:気になる部分や細部まで検査する人間ドック

 

ということで、建物状況調査は住宅診断に含まれているようですね。では、「インスペクション」という言葉はどうなのでしょうか…

 

またまた「さくら事務所」さんのWebページによると…

 

ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場からまた専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。

 

建物状況調査も住宅診断もインスペクションでよさそうですね。建物を検査することは全てインスペクションだと書いてあるWebページもありました。

 

ということで、まとめておくと…

 

宅建業法で義務化された「建物状況調査」は、「住宅診断」よりも調査範囲が狭いものになるけど、住宅診断と同様に「インスペクション」になる!

 

勉強を進めたら、加筆していきますね。

宅建業法が改正されることになった理由とは?

日本の中古住宅は、キズや汚れが多い・見えないところに問題があるかもしれない・これからどれくらい使えるかわからない…など、買主さまの心配事が尽きないため、新築住宅と比べて流通量がかなり少ない状況です。

 

アメリカ・イギリスなどでは、80%~90%が中古住宅の取引になっていますし、古い建物の方が評価される仕組みも出来上がっているそうです。一方、日本は中古住宅の流通量が少なく、取り壊しまでの期間も他国と比べて圧倒的に短いですから、日本人は住宅を持つことで資産を失っていると言えます。もったいない!

 

日本の木造住宅の寿命は約30年。四季があり、高温多湿な環境であることも一因ですね。参考までに、不動産査定では、建物価値は10年で半分になり、20年~25年で残存価値が10%程度になるものとして計算されることが多いです。

 

そこで、インスペクション ( 住宅診断 ) を日本の不動産取引の中にも浸透させることで、住宅取得者が建物価値を維持・向上させる意識をもち、良質な中古住宅の流通量を上昇させようと考えたのです。

 

日本の住宅は、スクラップ&ビルドの「フロー」からメンテナンス・リノベーションによる「ストック」へと舵を切ることになりました。これが、宅建業法が改正された背景になります。

説明義務化されたインスペクションとは?

今回の宅建業法改正で説明が義務化される「建物状況調査」では、下記の検査項目に関する非破壊・目視による調査結果になります。

 

■ 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの

■ 雨漏りや水漏れが発生している、または、発生する可能性が高いもの

■ 設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの

 

目視による非破壊検査になりますから、床下点検口がなければ床下は見ないですし、
点検口を開けても断熱材がビッシリ詰まっていれば奥の方は見ません。劣化箇所の範囲や原因を特定することまでは行わないことになります。

 

なお、義務化されたのはインスペクションという制度を周知するための説明のみで、インスペクションの実施は義務化されていません。

いつ・どのように説明されるのでしょうか?

媒介契約時…

宅建業者がインスペクション業者をあっせんできるかを書面で明示

重要事項説明時(インスペクションを行った場合)…

宅建業者がインスペクションの結果を買主さまに明示(詳細な説明なんてムリですよ…。何を考えているのかわかりません…。)
 

売買契約時…

建物状況を売主さまと買主さまが相互に確認し、宅建業者がその内容を書面化して双方に交付

 

媒介契約時には「あっせん無し」で、重要事項説明時と売買契約時には「インスペクション未実施」と説明するだけで終わっている契約が多いと言えます。この制度はまだこれからのものですから、過度の期待はしすぎないでください。

 

買主さまは「えっ、これだけですか…?」という反応になりますよね。

中古住宅の流通量が多いアメリカから学ぶ問題点

アメリカでは、不動産会社がインスペクション業者を紹介することで癒着が起こり、売買契約に影響が出そうな調査結果を報告書に記載しないように圧力をかけるという問題が生じました。

 

そのため、不動産会社がインスペクション業者を紹介することを禁じている州もありますが、日本の制度では、不動産会社が「あっせんできるかどうか」を説明することになっていますから、あっせんを容認していることになりますね。

 

「インスペクションの費用を売主さまと買主さまのどちらが負担するのか?」「売主さまの協力を得られるのか?」も考える必要があります。

 

アメリカでは、不利益な情報を売主さまが隠蔽するリスクがあるため、買主さまが費用を負担してインスペクションを依頼し、売主さまが調査に協力してくれます。

 

しかし、日本ではインスペクションが浸透していないですし、定期的なメンテナンスを実施している住宅が少ないため、売主さまからインスペクションへの協力を拒否される可能性があります。

 

費用を買主さまが負担すると言っても、住宅の粗探しをされるのは嫌ですし、問題が発生した場合に費用や責任を負担したくないと考えている人の方が、私の経験上、圧倒的に多いのです。この点は時間をかけて解決していくしかないのだと思います。

 

ちょっと一言。

 

あっせんするデメリットもありますけど、インスペクション会社があっせん禁止を盾にして「~の可能性があります。」とだけ報告して「あとは知らない。」という無責任な姿勢が大きな問題だと感じています。

 

調査をする人のレベルにかなりの差があることも課題ですから、仲介現場を混乱させることがないように対応してほしいと思います。もちろん、仲介現場で働く私たちは建物の勉強を頑張らないといけませんね!

インスペクションに対して怒りを覚えた経験を紹介

私の経験を1つ紹介します。

 

インスペクションを行った結果「雨漏りの可能性があります」と報告書に記載されたことがありました。診断を行った担当者さんへ話を聞くと、建築時についた染みが残っているのかもしれないし、少し前の台風で雨風が巻き上げられて吹き込んできたかもしれないし、雨漏りかもしれない。とのことでした。

 

売主さまが「雨漏りなら責任を持って補修をしてから引渡をしたい」と申し出てくれましたが、インスペクションを行った会社からは、工務店の紹介、補修方法や見積もりの提示もできないと言われました。

 

インスペクション会社と工務店の癒着がアメリカで問題になったとはいえ、住宅の素人に報告書だけ渡し、あとは自分で工務店などを探して補修を依頼してほしいという姿勢は、プロの仕事としてはあまりにも無責任だと感じられました。売主さまも同じ気持ちだったようで、怒っているというよりも呆れているようでした…。

 

仕方がないので、現場近くに事務所がある雨漏り診断士に見てもらったら、「こんなの雨漏りじゃない。オレに何を補修しろって言うんだよ?」と言って帰ってしまったそうです。

 

雨漏り診断士には、買主さまのために専門家の診断書を作成してほしいとお願いしましたが、これも断られました。雨漏りの診断や補修は難しいため「雨漏りではない。」と報告書で断言したくないのは理解できますが、これでは、みんなで責任逃れをしているだけですよね。

 

売主さま・買主さまのどちらも不安が残り、私と大手仲介会社の担当者は混乱させられました。本当に、これでいいと思っているのだろうか…(怒)

最後に…

アメリカではインスペクションが根付くのに20年もかかりました。日本では他国の成功事例を学びながら、なるべく短期間で制度を根付かせ、国民の財産が失われないように守っていかなければなりません。

 

定期的な住宅診断、リフォーム、リノベーションを行い建物価値を維持すれば、流通性を維持でき、中古住宅が資産となるはずです。資産となるのであれば、老後に住宅を売却することができます。また、家族との思い出が詰まったマイホームに住み続けられる「リバースモーゲージ」や「リースバック」などの制度も利用できる可能性が高まるかもしれません。

 

資産価値を減少させないためにはどうすればよいか…?マイホームを購入した際にはぜひ考えてみてください。

 

用語解説「リバースモーゲージ」…

高齢者が自宅を担保にして、老後の生活費などを一時金または年金形式で借りる貸付制度のことです。資産価値がないと利用できません。

 

用語解説「リースバック」…

自宅を売却してお金を受け取った後、そのまま買主から自宅を借り受けます。賃料を支払いますが、売却後も自宅に住み続けらえる制度です。この制度も資産価値がないと利用できません。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2019年8月17日追記…

現在、「手数料0円売却」・「セラーズエージェント」はお休み中です。「仲介手数料半額の不動産売却」をご検討ください。

 

事情を説明した記事はコチラ…

【超・重要なお知らせ】「セラーズエージェント」「手数料0円売却」をしばらくお休みにします。

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年…仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも、不動産業界にはなんか暗いイメージがあります。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人財が楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。「全員がHAPPY」なんてムリだけど、ゆめ部長と係わってくださったお客さまにはHAPPYになってほしい。できることを1つずつコツコツ積み重ね「幸せの種」をまいています♪

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