5物件同時に大幅な価格交渉を入れて1番安くなった不動産を購入したい!【イヤだな…と思うお問い合わせ 7】
不動産取引の現場で「イヤだな…」と思ったお問い合わせをゆめ部長がぶった切るシリーズ【全10話】の【7話目】です!
「複数の物件へ同時に大幅値引きの交渉を入れてほしい」というお問い合わせがありました。
5物件にまとめて交渉を入れるというやり方は、売主さまに対してとても失礼なことですし、個人が高額な取引を行う不動産売買では絶対にやったらダメです!今回は「自称、価格交渉が得意なオジサン」に物申します!
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
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不動産屋さんの努力をあっさり裏切る人は「お客さま」ではありません!
数年前…ゆめ部長がサラリーマン時代のことですけど、複数の物件を内覧したいとのお問い合わせと一緒に次のようなメールが届きました。
「内覧して気に入ったらまとめて価格交渉を入れて欲しいと考えています。なお、すでに他社の不動産屋を通して30件以上内覧済み。若干、これまで時間とコストをかけてくれた担当者への礼儀を考えましたが、諸費用 + 価格で最安値契約を目指しているため御社へ連絡しました。ビジネスですから、担当者への対処に関して心配はいらないと思いますが、よい対処法があればあわせて教えてください。」
文章のムダな箇所を削るとこんな感じでした。
このメールを見た瞬間…
「あぁ…ウザイなぁ。やりたくないなー」
「はぁーーー……(ため息)」
口が悪くて申し訳ないですけど、
本当にイライラっとしました(怒)
まとめて複数の物件に対して価格交渉して欲しいという要望も「なに言ってるんだろ、この人…」と思いましたが、今までの担当者さんへの対応がひどすぎるのがすごくイヤでした。
「ビジネスだから30件案内させてタダ働きでもしょうがないよね!」って、それ、業務妨害で犯罪ではないでしょうか!?だって、もともと、仲介手数料を支払う気がなくて30件も案内させたんですよね。これのどこが「ビジネス」なのでしょうか?
アタマおかしいんじゃないですか?
1組のお客さまのために30件も案内したら、成約になったとしても会社は厳しいです。営業マンの給料や機会損失まで考えなければならないため、会社としては赤字ギリギリかもしれないくらいです。それにもかかわらず、長い間付き合ってくれた担当者さんをあっさり裏切り、時間とコストを「若干」かけただけという認識。
内覧前に予約を入れて、鍵の手配をして、鍵の返却だってあったでしょう。事前に物件資料に目を通し、案内当日に向けて資金計算書も作成していたかもしれません。
1日5件で3時間だけでも、6回で18時間。
1日3件で5時間かかったなら、10回で50時間。
「若干」じゃないよ!
「大層」な時間とコストだよ!!
心で叫びながらも、ゆめ部長はサラリーマン。
上司に相談したら「やってよ。」と言われてしまい、仕方なく対応しました。他社の不動産屋さんで内覧済みなら「トラブル防止」を理由にお断りできたのですが…。サラリーマンって辛いよなぁ。
ちなみに、「よい対処法があれば教えてください。」への回答をすると…「その担当者さんを通して購入するべき。」です。それ以外の回答はありません。
話を元に戻します。
現場を見る前から価格交渉をしたいと言っても仕方がないので、まずは現場を見てみましょうと提案をして、「まとめて価格交渉したい」という要望は後で説得しようと考えました。
なんとなく予想していた通り、メールのやり取りはとても大変でした。物件の問い合わせメールがたくさん送られてくるし、意味のわからない細かい質問もしつこく送られてきました。
それでも、根気強く返信していたら気に入られ、「こんなに的確に回答してくれたのは初めてだよ。」と褒められてしまいました。
褒められたのに心が動かず、まったく嬉しくありませんでした。この人が本気でイヤだったのは間違いありません。 (余計な話でした…。)
その後、5回ほど現地の案内を重ね、最終的に5物件が候補に残りました。2件は明らかに相場よりも高いチャレンジ価格で販売していましたが、残りの3件は相場に合っていると感じられました。どのマンションに決めるのかな…と思っていたら、驚くべき内容の依頼が…。
「この5物件全部に大幅交渉を入れてみて。そこで交渉が通った物件の中から購入するかどうかを検討するから。」
5物件同時に大幅価格交渉なんて…やるわけがない!
最初のお問い合わせメールで書いてあったことは本気だったようです。全ての候補物件へ300万円~500万円の交渉を入れて欲しいと言われたので、不動産取引の慣習や仕組みを説明して説得を試みました。
価格交渉をすれば、売主さまは大事な資産の売却に関して「この金額で売ってしまってもいいのだろうか…」と、真剣に検討します。その結果、もしこの大幅な価格交渉が通れば、売主さまは契約になることを期待するわけです。
それにもかかわらず、まだ購入するかどうかも決めていなくて、隙あらばもう一声価格交渉を入れようとするのは、どう考えてもマナー違反です。
不動産取引は高額な商品の売買を行うわけですから、複数の候補があった場合、1つずつ交渉を進めていくことになります。もちろん、売主さまが決断を下すのに時間がかかっていたり、他のお客さまと競合してしまっているような場合でしたら、2件目の交渉に取り掛かることもあり得ます。
買主さまにとっては大きな買い物。でも、売主さまにとっても高額な資産の売却です。不動産取引は人間のイヤな部分が出てくるもので、住み替えを担当すると、買うとき・売るときで言うことが逆転する人が少なからずいます。安く買いたい、高く売りたいと考えるのは構いませんけど、相手の立場を少し想像したうえで交渉をするようにしてほしいものです。
「5物件同時に交渉をするのは不動産取引の慣習ではマナー違反のため、ゆめ部長は対応することができません。もう1度、考え直してみてください。」そう伝えた結果、どういう言葉が返ってきたのか…
「不動産の価格交渉は買主が不利」だって!?
「不動産取引で一般的に行われている交渉がゆめ部長の言う通りであれば、買主にとって不利なものであり間違っている!」
「俺は仕事で物凄い金額の値引き交渉を何度も通したことがあるんだ。現金で買うと言えば金額を下げるのはあたりまえだし、自分が納得する条件を引き出すために手を尽くすのが当然だ。」
大きな会社に勤めている人によくある勘違いですね。会社の看板力を自分の実力と勘違いしてしまうのでしょう…。
よく考えて欲しいのですけど、この人が言っているのは B to B (企業間取引)での話です。今回のように売主さまが個人だと B to C になります。B to B での常識なんて、ビジネスをしているわけではないので B to C では通じません。
※B = Business C = Consumer
自分勝手すぎるとお断りすることだってある!
話は通じないし、主張は自分勝手だし…。
この夫婦の幸せを願う気持ちには最後までなれず、ゆめ部長は価格交渉をお断りしました。その後も何度かメールは来ましたけど、当たり障りなくサラッと返信するうちにフェードアウトしていきました。
「どこかで契約したらもったいないじゃん!」と社内では言われましたけど、この手の人は契約になってからもトラブルを起こす可能性が高いと言えます。契約できなくてホッとしています。
【 余談 】
この経験を通して、ゆめ部長は決心しました。
もう1度、会社を設立できたら、
キライな人にはハッキリ「NO」と言おう。
イヤならサポートは断ろう。
その分、頑張るお客さまにエネルギーを注いで応援しよう!
このWebページも最初は当り障りのない言葉で記事を執筆していました。でも、これだと本心が伝わらないと思い、自分のホンネで、自分らしい言葉を使っていくことにしました。
ビジネス向きではないかもしれないし、高額所得者向けでもないとは思いますけど、これで嫌われたらそれはそれで良し。でもきっと、響く人には深く響くはず!そう信じて突き進んでいます。
ゆめ部長が「いいね。」と思ってくださるお客さまからのお問い合わせ、心より、お待ちしています。
最後に…
「不動産取引の慣習」に納得できない人がいるかもしれません。しかし、この慣習は膨大な数の取引を重ねる中で積み上げられてきた「妥当な考え方」なのです。
高額な商品であるが故に、意見が対立して争いごともたくさん発生します。だからこそ、この慣習が生まれたわけですから、この基準に沿って取引を行うことは、トラブルなく取引を成立させるためには大事なことだと言えます。
人と人とのやり取りは温かさがなくなったら寂しいですよね。
というわけで、今日のお話はここまでです。本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
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