「耐震基準適合証明書」のメリットを徹底解説!
築20年を超える木造戸建や、築25年を超えるマンションでも、住宅ローン控除などの減税が受けられるようになる書類「耐震基準適合証明書」について、宅建マイスターが徹底的に解説します。
2022年2月8日追記…
2022年税制改正案が国会で審議中です。改正案が可決されると、登記事項証明書(謄本)に記載された新築日が「昭和57年1月1日以降」であれば、耐震改修を行っていない旧耐震基準の建物だったとしても、耐震基準適合証明書を取得せず「新耐震基準適合住宅」として扱われ、住宅ローン控除などの減税が受けられるようになります。本日の追記では、この改正案が可決されることを前提に記事を大幅に修正します。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
耐震基準適合証明書とは…?
「耐震基準適合証明書」とは、建物の耐震性が、現在の建築基準法に適合していることを建築士先生などが証明した書類です。
発行できるのは…
■ 建築士事務所登録をしている建築士
■ 指定確認検査機関
■ 登録住宅性能評価機関
■ 住宅瑕疵担保責任保険法人
などがあるようですけど、ゆめ部長は、耐震基準適合証明書の取得業務に慣れている知り合いの建築士先生にお願いしています。
なお、フラット35を利用するために必要な「適合証明書」とは異なりますから注意してくださいね。建築士先生の話では、フラット35の「適合証明書」は取得しやすいですけど、「耐震基準適合証明書」は取得基準が厳しくなっているそうです。
耐震基準適合証明書には減税を受ける要件の1つ「築年数」について緩和できる効果がある!
次の「減税」を受けるためには建物に「築年数」の要件が定められています。
■ 住宅ローン控除
■ 住宅取得等資金贈与の特例
■ マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例
■ 登録免許税の軽減
■ 不動産取得税の軽減
2022年2月8日追記…
2022年税制改正案を国会で審議中です。改正案が可決されると、耐震基準適合証明書を取得しなくても、登記事項証明書(謄本)の新築日が昭和57年1月1日以降であれば「新耐震基準適合住宅」として扱われ、上記の減税が受けられるようになります。(国交省へ電話確認済み。)3月下旬ころに改正案が可決され、4月以降に新税制が施行されるはずです。
改正前の築年数要件を残しておきます
~~~ 2022年 改正予定部分 ~~~~~~~~~
築年数の要件は…
マンションなどの耐火建築物 : 築25年以内
木造戸建など耐火建築物以外 : 築20年以内
耐震基準適合証明書を取得することができれば、上記の年数を超えてしまった建物でも、住宅ローン控除などの減税を受けることができます!
築年数の計算は次の通りです。
建物登記日(新築年月日)~ 引渡日 まで
微妙な場合は税務署 または 税理士先生に確認してください。引渡日が数日ズレただけで100万円単位の損失が出るわけですから、注意しないと大クレームですね。
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「面積」要件は緩和されないので要注意!
よくある勘違いとして…
「耐震基準適合証明書を取得できれば、床面積50㎡未満でも住宅ローン控除を受けられるんですよね…?」
という質問があるのですけど、
これは NG! ですからご注意を。
緩和できるのは「築年数」だけになります。
こんなにお得!耐震基準適合証明書のメリット
耐震基準適合証明書を取得して「築年数」の要件が緩和されたら、どんな減税を受けられるようになるのか…?を一緒に見ていきましょう。
全部で5つ。しっかりチェックしてくださいね!
【1】住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、居住した年から10年間または13年間、住宅ローンの年末残高(上限あり)に応じて所得税・住民税から控除する制度のことです。
2022年2月8日追記…
住宅ローン控除については、「令和4年度の住宅税制改正概要」で「控除率、控除期間等を見直すとともに、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置等を講じた上で、適用期限を4年間延長する。」との記載があります。簡単にまとめると、お客さまによっては改悪になってしまいますけど、2021年12月1日以降に契約したお客さまでも、入居が2025年(令和7年)までなら住宅ローン控除を利用できるようにしましたよ!ということです。詳細は別の記事で解説しますので、ここでは、改正内容を表で確認しておいてください。
下記の図は国土交通省が作成したものです。
かなり複雑になりましたね(汗)
ゆめ部長が見ても頭が痛くなります…
それでも、住宅ローン控除の恩恵は大きいです。
具体例を2つ見ておきましょう。
例1)一般的な新築一戸建てを購入した場合
3,000万円×0.7%×13年=273万円(最大)
例2)一般的な中古マンションを購入した場合
2,000万円×0.7%×10年=140万円(最大)
ペアローンなら夫婦で利用できるのもポイントです!
ここで、個人の売主さまが、昭和56年12月31日以前に建築されたマンションを売却するケースを想像してみてください。
登記簿の新築日が住宅ローン控除の対象になる「昭和57年1月1日以降」を満たしていないので住宅ローン控除を利用できません。もし、あと少し築年数が新しければ、例2)のように、買主さまは最大140万円もの税金を還付してもらうことができたのに…。買主さまの立場なら、きっと、「住宅ローン控除が利用できないなら価格を下げてよ!」と思うのではないでしょうか!?
この場面で登場するのが「耐震基準適合証明書」です。耐震基準適合証明書を取得できれば、昭和56年12月31日以前に建築されたマンションでも住宅ローン控除を利用できるようになります。書類の発行はどのマンションでもOKなわけではありませんけど、発行できるマンションなら数万円の費用で耐震基準適合証明書を作成してもらえます。
というわけで!昭和56年12月31日以前に建築されたマンションを売却するなら、耐震基準適合証明書を取得できるかを販売開始前に確認するべきなのです。少しでも高く成約せるためには、「商品をそのまま売るのではなく、磨いて輝かせてから売る。」これが大事ですよ。そんなに難しくないことだけど、実は、ここまでやっている不動産屋さんは少数派です。(大手の担当者さんもわかっていない…)
熱く語りましたけど、令和4年の税制改正で耐震基準適合証明書が活躍する場面は激減しそうですね。
【2】住宅取得等資金贈与の特例
住宅取得等資金贈与の特例とは、両親・祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、下記のように贈与税を非課税にできる制度です。
2022年2月8日追記…
「令和4年度の住宅税制改正概要」で改正される予定です。消費税10%かかる物件か、消費税が非課税の物件かで分けるのをやめ、省エネ等住宅・省エネ等住宅以外の住宅用家屋のどちらも限度額が500万円下がります。なお、2023年(令和5年)12月31日までに贈与を受けなければいけません。
省エネ等住宅 :1,000万円
その他の住宅用家屋: 500万円
1,000万円になるのは「省エネ等住宅」に該当する場合です。住宅性能評価書などを確認し、次のうち、どれか1つの基準を満たせばOKです。
■ 耐震等級2以上
■ 免震建築物
■ 断熱等性能等級4
■ 一次エネルギー消費量等級4以上
■ 高齢者等配慮対策等級3以上
なお、耐震基準適合証明書を取得しても「省エネ等住宅」であることの証明にはなりません。「登記簿上の建築日が昭和57年1月1日以降の住宅」という要件を緩和して最大1,000万円まで非課税にできるだけですから、この点は注意してくださいね。
特例を使わず1,000万円を贈与してもらう場合の税金は…
親から18歳以上の子に贈与した場合は210万円、親から18歳未満の子に贈与した場合は275万円が贈与税となります。なお、贈与税の納税義務者はお金をもらった人です。贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であり、両親から1,000万円贈与を受けたとしても、210万円を納税しなければいけないので、790万円しか使うことができませんね。
耐震基準適合証明書のスゴさがわかってきましたか?
参考知識…
令和2年4月~令和3年3月までに売買契約が締結された場合の非課税額は1,500万円・1,000万円、2020年3月までに売買契約が締結された場合の非課税額は3,000万円・2,500万円でした。消費税増税後、非課税額は一気に増額されましたが、だいぶ縮小されてしまいましたね…(涙)
【3】マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例
マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例とは、両親・祖父母から住宅の取得資金として贈与を受けた場合、2,500万円までは贈与税を課税せず、相続発生時に、贈与した財産と相続財産を合算して相続税を課税する制度です。
読んでもわかりづらいですよね。
簡単に言えば…「相続税」と比べて「贈与税」は税率が高くて払うのが大変だから、相続財産の一部を前払いで貸しておこうということです。
相続財産の一部を前払いで貸しているだけですから、相続税が課税されるほどの資産をお持ちであれば、2,500万円に関しては相続時に相続税が課税されますので注意してください。
両親・祖父母からの援助を前提としている買主さまは、築年数を気にしてマイホームを探さなければいけません。しかし、耐震基準適合証明書を取得できることがわかっていれば、この点をしっかりアピールして検討候補に加えてもらえる可能性が出てきますよね。
【4】中古マイホームの登録免許税軽減の特例
登録免許税というのは「登記」をするときに課税される税金です。軽減を受けられるのは次の2つになります。
■ 建物(所有権移転登記)の登録免許税…
20/1,000 ⇒ 3/1,000 ▲85%
■ 抵当権設定の登録免許税…
4/1,000 ⇒ 1/1,000 ▲75%
耐震基準適合証明書を取得したとしても、土地(所有権移転登記)の登録免許税は変わりません!(令和5年3月31日までは 20/1,000 ⇒ 15/1,000 へ軽減されてはいます。)
参考事例を2つ書いておきます。
1つ目は物件価格が1億2,000万円のマンション。住宅ローンの借入額が8,000万円で、耐震基準適合証明書「あり」「なし」2つの見積もりを取ったことがあります。
耐震基準適合証明書「あり」の登録免許税
所有権移転登記 882,200 円
抵当権設定登記 80,000 円
住宅用家屋証明 11,300 円
耐震基準適合証明書「なし」の登録免許税
所有権移転登記 1,121,000 円
抵当権設定登記 320,000 円
約47万円の節約になったことになります。なお、耐震基準適合証明書を取得できるから、登録免許税の減税を受けるための書類「住宅用家屋証明」を取得できることになります。司法書士先生に「住宅用家屋証明」の取得を依頼すると、登録免許税の1,300円と報酬で約1万円かかります。
2つ目は物件価格9,000万円のマンション。住宅ローンの借入額が8,750万円で、耐震基準適合証明書「あり」「なし」2つの見積もりを取りました。
耐震基準適合証明書「あり」の登録免許税
所有権移転登記 319,400 円
抵当権設定登記 87,500 円
住宅用家屋証明 11,300 円
耐震基準適合証明書「なし」の登録免許税
所有権移転登記 401,000 円
抵当権設定登記 350,000 円
約33万円の節約になりました。
【5】中古マイホームの不動産取得税軽減の特例
「固定資産課税台帳(名寄帳)」または「固定資産税・都市計画税課税明細書」に記載された新築日が「昭和57年1月1日」以降であれば、耐震基準適合証明書を取得しなくても税の軽減を受けることができます。不動産取得税は築年数と面積の基準が緩いことを知っておいてください。
なお、23区で取得する「評価証明書」「公課証明書」には「建築年次」の記載はありません。横浜市の書類には記載されていましたが…。
だんだん眠くなってくる頃でしょうか(笑)
不動産取得税の計算では、土地・建物のどちらも「控除額」を利用できるようになります。この控除額のおかげで数十万円も節税できることがあるんですよ。
【建物】不動産取得税の計算式…
(固定資産税評価額 - 控除額)× 3%
控除額が築年数によって変わります。耐震基準適合証明書を取得することで、1981年12月31日より築年数が古い物件にも控除額が適用されます。
1997年 (平成9年) 4月1日 以降 : 1,200万円
1997年 (平成9年) 3月31日 以前 : 1,000万円
1989年 (平成元年) 3月31日 以前 : 450万円
1985年 (昭和60年) 6月30日 以前 : 420万円
1981年 (昭和56年) 6月30日 以前 : 350万円
1975年 (昭和50年) 12月31日 以前 :230万円
1972年 (昭和47年) 12月31日 以前 :150万円
1954年 (昭和29年) 7月1日~1963年 (昭和38年) 12月31日 : 100万円
※旧耐震基準の建物では、耐震基準適合証明書を取得するのが難しくなります。
【土地】不動産取得税の計算式…
固定資産税評価額 × 1/2 × 3% - 控除額
控除額は次のA・Bどちらか大きい金額です。
なお、ほぼBを使って非課税になります。
A:45,000円
B:( 土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2) ×(課税床面積 × 2) ×3%
※Bの課税床面積は最大200㎡まで
固定資産税評価額は、1月1日時点での不動産所有者に対して6月頃に郵送されてくる「課税明細書」で確認できます。紛失している場合は、評価証明書(または公課証明書)を取得することになります。
なお、評価証明書とは、固定資産課税台帳に登録された事項のうち、評価額、課税標準額、所有者、所在などを証明する書類です。23区の評価証明書であれば、23区内どこの都税事務所でも取得できます。23区外であれば市役所で取得します。
耐震基準適合証明書のサンプル画像を見てみましょう!
耐震基準適合証明書は用途ごとに原本が必要で、下の図のピンクのように、用途に応じて「○○用」と記載されています。なお、夫婦ペアローンで住宅ローン控除を受ける場合は1通のみで良いそうです。
ゆめ部長が依頼している建築士先生の場合は、用途に応じて1通ずつ作成していますので、最大で3枚必要になります。1通22,000円(税込)合計で66,000円(税込)です。
全て利用できるのであれば、いったいどれだけお得になるか…。耐震基準適合証明書の取得費用なんて簡単に回収できちゃいますね。
耐震基準適合証明書は…いつまでに、どこに、提出するの?
税金は種類によって管轄が異なりますので、いつ、どこに、提出するのかを確認しておきましょう。
住宅ローン控除・贈与税・相続時精算課税…
確定申告時に税務署
登録免許税…
住宅用家屋証明書取得時に市区町村
住宅用家屋証明書の取得は司法書士先生に依頼するのが一般的ですから、耐震基準適合証明書の原本を先生へ預けておきます。
不動産取得税…
不動産取得税申告時に都税事務所・県税事務所
固定資産税減税(耐震改修促進税制)…
耐震改修後3ヶ月以内に市区町村
昭和57年1月1日より前の建物であり、耐震改修費用が50万円を超えるなどの条件があります。
地震保険の耐震診断割引制度…
保険会社 写しでOKです。
耐震基準適合証明書は誰が発行を依頼するの?
発行を依頼するのは誰でも構いません。また、費用を負担するのは、売主さま・買主さまのどちらでもOKですし、不動産屋さんがサービスで取得してくれるのであれば、それも問題ありません。
買主さまが耐震基準適合証明書の発行を依頼すると「証明申請者」は売主さまの名前で作成することになります。
耐震基準適合証明書の発行に必要な書類はこれ!
一戸建てとマンションで必要書類が異なります。
マンション…
■ 謄本
■ 販売図面(間取図)
■ 台帳記載事項証明書 または 検査済証
■ 重要事項調査報告書
重要事項調査報告書は旧耐震マンションの場合のみ。耐震診断の有無を建築士先生が確認するために必要です。
一戸建て…
■ 謄本
■ 販売図面(間取図)
■ 平面図
■ 台帳記載事項証明書・検査済証・建築計画概要書
■ 建築確認申請書1面~5面 または 火災保険の加入書
■ 矩計図(かなばかりず)
全てが揃っていなくても発行可能かどうかを確認できる場合があります。販売開始前には確認しておきたい書類ばかりですから、売主さまは書類集めに協力してくださいね。買主さまの場合は不動産屋さんに任せておけば大丈夫です。
耐震基準適合証明書発行までの期間と費用
建築士先生によって、期間も費用もだいぶ変わります。
ゆめ部長がいつも依頼している建築士先生は、土日含めて最短4日くらいで耐震基準適合証明書の原本を郵送してきてくれます。1部22,000円ですから、3通取得しても66,000円となります。発行費用が10万円前後の先生も多いのでお得ですね!
なお、多くの人は「住宅ローン控除用」と「登録免許税の減税用」が必要になりますから、2通で44,000円になります。贈与を受けられる羨ましい人は3通です(笑)ちなみにですけど、ゆめ部長の先輩が昭和50年のマンションを購入した際、不動産取得税軽減用でも耐震基準適合証明書が必要になり、県税事務所の窓口でお願いしたら、原本確認・コピー後に、原本還付してくれたそうです。エリアによって取り扱いが異なるかもしれないので要確認ですけどね。
迅速・安値で依頼できる先生を紹介できるのもサービスの1つだと考えています。もちろん、ゆめ部長にバックマージンはありません!
確認事項…
「建築士先生の紹介をしてほしい。」とのお問い合わせが結構ありますけど、先生の紹介はしていませんのでご了承ください。
検査済証がなくても取得できるの…?
建築士先生にヒアリングしたところ、検査済証がない場合でも、新耐震基準と同じ耐震性があることを証明できれば取得できるそうです。現状のままでは耐震性がないと判断されたら耐震補強工事を行うことになります。一戸建てならできそうですが、マンションは難しそうですよね。
一戸建ての場合は、3階建ての木造住宅までしか知り合いの建築士先生に依頼できません。2×4(ツーバイフォー住宅)・RC・ハウスメーカー施工などは対象外になります。
一戸建ての場合は耐震ソフトで診断を行うと耐震性が自動判定されるそうです。意外だったのは、建築基準法を満たしている建物でも、2件に1件は耐震強度がなく、書類の発行には耐震補強工事が必要になるとのことでした。
数値は「1.0」で合格ですが「0.6」くらいになることも多く「0.3」だと耐震補強工事費は70万円~80万円(通常の建売住宅)かかります。1階の南側に大きな窓があるような建物は「1.0」の数値が出づらいです。精密診断を行い、耐震性の心配がなくなるレベルで補強する場合は200万円~300万円もかかるのだとか…。
結論…
原則として検査済証「あり」の物件が対象になります。「なし」の場合は耐震診断を行い、耐震性がないと判断されたら耐震補強工事が必要です。
旧耐震基準のマンションでも取得できるの…?
新耐震基準と同じ耐震性があることを証明できれば取得できます。
マンションで耐震診断を行い、その結果が良くなかった場合はまず取得できません。また、1階がピロティの場合・マンションがL字型の場合は、耐震性が劣るため発行は厳しいです。
2020年6月27日追記…
この記事を執筆してから、大通り沿いのマンションに「東京都耐震マーク」が貼られていないかチェックする癖がつきました。いろんなマンションを見てみると、1階がピロティのマンションでもこのマークが貼られていることがあって驚きました!ピロティやL字でも絶対にダメというわけではなさそうですよ。
用語解説「ピロティ」…
1階部分が駐車場になっていて、柱と柱の間に壁がないマンションを見たことないですか?このような構造がピロティです。マンションは上に高い建物ですから、その重みが壁なしの柱にかかることを考えれば、耐震性が低そうなことは想像がつきますね。
引渡を受けてから耐震改修工事を行う場合の注意点
2014年に法改正があり、引渡後に改修工事を行い、耐震基準適合証明書を取得した場合でも減税を受けられるようになりました。
木造の一戸建てを購入した場合に該当しそうですね。
この制度を利用するには次の注意点があります。
引渡後に耐震改修工事を行い、それから耐震基準適合証明書を取得して住宅ローン控除を受けたい場合、住民票の移転時期に注意してください。
耐震改修工事完了の証明書を受けた日以降から6か月以内に入居する必要があり、この「入居」の時期は実際の引越日ではなく住民票の移転時期で決められます。
引渡 ⇒ 耐震改修工事 ⇒ 証明書取得 ⇒ 入居
引渡を受けるためには銀行から住宅ローンの融資を実行してもらうことになりますが、銀行からは融資実行前に住民票を移転するように依頼されるのが一般的です。この通りに進めると住宅ローン控除などを利用できなくなりますので、理由を説明して断るようにしてくださいね。
銀行の指示に従って新住所登記をすると…
入居(住民票移転)⇒ 引渡 ⇒ 耐震改修工事 ⇒ 証明書取得
この流れだと上記の基準を満たさなくなるのがわかると思います。
東京都耐震マーク表示制度
あまり知られていない「東京都耐震マーク表示制度」について勉強しておきましょう!
東京都耐震ポータルサイトの説明を確認すると…
東京都は平成24年4月に都民が安心して建築物を利用することができるように地震に対する安全性を示す「東京都耐震マーク表示制度」を創設しました。この度、耐震化の取組を更に広めるため、耐震マークの交付対象を都内すべての建築物に拡大します。都民の皆様のご理解ご協力のもと、建物のエントランスにマークを表示していただき、首都東京の安全性を広くアピールするとともに、耐震化のムーブメントを起こし、地震に強い東京の実現に取り組んでまいります。
ブルーの耐震マークがマンションのエントランスに貼られている場合、フラット35の適合証明書だけでなく耐震基準適合証明書も取得できるようです。このマークはマンション全体の物になりますから、建築士先生に該当するお部屋の耐震基準適合証明書を発行してもらう必要があります。
このブルーのマークは、耐震診断・耐震補強を行っているマンションの管理組合が東京都へ申請して受け取っています。駐輪場やピロティだけを補修しているマンションでは発行されないそうですよ。
2020年1月追記…
大通り沿いのマンションを見ていると、大規模修繕工事と一緒に耐震改修工事を行っているのを見かけるようになりました。環七・環八・青梅街道などを自転車で走ってみたら、ブルーマークが表示されたマンションもいくつかありましたので、少しずつ浸透してきているのかもしれませんね。防災意識が高まることは素晴らしいことだと思います!
ゆめ部長が見つけたブルーマークは、耐震補強されたマンションだけでなく、都営住宅・高齢者施設・消防署・地下鉄駅の階段付近などがあります。
イレギュラーだった案件を紹介しておきますね。
1つの敷地に5つの4階建てマンションが建っている現場を調査した時の話です。1号棟~5号棟のどこにもブルーマークがなく、「耐震性は高くないのかもしれないなぁ…」と思っていたら、小さな集会所の入口に1枚だけ貼られていたことがありました。都営住宅を見たら1棟ごとに1枚ずつ貼られていましたので、貼り方を間違えているケースがあるのかもしれません。
撮影した写真を掲載しておきましたよ↓↓↓
追記はここまで。
本気で勉強しないと今の不動産取引には付いていけませんね~
頑張って勉強しなくちゃ(汗)
参考サイト…
最後に…
耐震基準適合証明書を取得することのメリットは理解できましたでしょうか?
耐震改修工事を行わなくても取得できるケースが多くあります。改修工事が不要であれば、費用・時間・手間はほとんどかかりません。それにもかかわらず、住宅ローン控除をはじめとした減税措置を受けられるわけですから、利用しないなんてもったいなさすぎますよね!
ゆめ部長が勤務していた会社はベテランが揃っていましたけど、販売開始前に耐震基準適合証明書を取得している人は見たことがありません。意識が高い会社・担当者でないとよくわかっていない制度なのでしょう。
差別化を図るためにも、早く・高く売るためにも、ひと手間を惜しまず頑張ることが大事だと、記事を執筆しながら改めて感じました。
というわけで10,000文字を超える長文記事はココまでです。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
参考記事…
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日