「個人間売買」はオススメしない!不動産仲介会社なしで行う取引に潜むデメリット
メルカリやヤフオクやジモティーなどで個人間売買は活発に行われるようになりましたが、不動産も両親・親戚・友人・賃借人・隣人が購入するというケースや、相続・離婚をきっかけに関係者が購入するケースが増えてきました。
それに伴い、「不動産屋さんに仲介を頼まないで仲介手数料を節約したい!」と考える人がさらに増加する可能性が高そうなので、不動産屋さん抜きで行う個人間売買の問題点などをこの記事でまとめておきます。
先にゆめ部長の考えを伝えておくと、不動産取引の素人同士で高額な不動産売買を行うのは絶対にやめた方が良いと思います。「個人間売買は止めておこう」という立場の記事であることを前提に読んでみてくださいね。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産屋さんに頼まない個人間売買のメリットは…仲介手数料の節約だけ
不動産屋さんにマイホーム売買をお願いすると仲介手数料が発生します。
仲介手数料は宅建業法という法律で、上限が「成約価格×3%+6万円(税別)」と定められています。このお金は、売主さま・買主さまの両方から受領することができますから、不動産屋さんの最大報酬は「成約価格×6%+12万円(税別)」になります。
物件価格が2,500万円なら … 174万9,600円
物件価格が5,000万円なら … 336万9,600円
物件価格が7,500万円なら … 498万9,600円
となりますから、節約したいと考えるのは当然ですよね。参考に仲介手数料の早見表を付けておきます!
たしかにお金は節約できます。でも、それだけです。お金の節約というメリットに対して負うリスクや大きなデメリットがありますので、一緒に勉強していきましょう!
ほぼ話がまとまっている個人間売買なら仲介手数料は安くできます!
不動産屋さんが受領する仲介手数料には様々な仕事に対する対価が含まれています。
売却するなら…物件を磨き・光らせて・魅力をアピールして販売する労力の対価も含まれています。
購入するなら…物件を探し・案内して・住宅ローン書類を取り次ぎ・諸費用を説明する労力の対価が含まれています。
最初からお話がまとまっているのであれば、この手間がまるごとなくなるわけですから、仕事が減った分、仲介手数料を割り引くことは可能になるわけです。
全ての会社が仲介手数料を割り引くわけではないと思いますが、相談に乗ってくれる会社はたくさんあるはずですよ!
不動産屋さんのサービス内容を1つ紹介しておきますね。
ほぼ話がまとまっているのであれば、仲介手数料を大幅に値引きして仲介するサービスを打ち出している不動産屋さんがあります。売主さま・買主さまのどちらも仲介手数料0.75%ずつで合計1.5%という激安価格の不動産屋さんです。ここを利用すれば、かなり経費を節約できるでしょう。
ゆめ部長の経験を正直にお話しますと…
以前、勤務していた不動産仲介会社でも激安仲介手数料で「仲介」するサービスを行っていましたが、正直、担当したくありませんでした…。
なぜなら、素人同士で中途半端に話がまとまっていると、いろんな誤解が生じていて解きほぐすのが大変だったり、離婚や相続でもめている間に入るのは精神的疲労が大きすぎるからです。
本当に簡単な案件もあるんですけどね。
そのため、ゆめ部長は、仲介手数料の値引き合戦に参戦してまでこの仕事をしなくてもいいかな…と考えています。弁護士先生から仲介を依頼されてお仕事をすることがあるくらいで、積極的に取り組みたいとは思いません。
仲介手数料についてもっと知りたいなら!!
ゆめ部長は仲介手数料に関する記事をたくさん書いています。興味があれば、次の3つの記事も読んでみてください。きっと、今回の記事を深く理解できるようになるはずです!
参考記事…
「仲介」ではなく「サポート業務」を行う会社もある
不動産屋さんが「仲介」するサービスだけでなく、不動産屋さんではない「司法書士・行政書士・弁護士・税理士・不動産鑑定士」などが「売買契約をサポート」するサービスを提供している会社・事務所もあります。
…詳しくはググってみてください。
どの会社・事務所も驚くほど安い金額でサポートしているようです。
契約書作成だけなら3万円
全てのサポートをしても最大30万円
とか…。
不動産売買は必ずしも不動産屋さんが仲介しなくてもOKなので、契約書だけ作ってあげますよ!というサービスも成立するのでしょう。行政書士・司法書士・弁護士であれば、不動産売買契約書を安く作成する代わりに相続業務をやらせてね!という営業もかけられるのかな??
住宅ローンを使うなら重要事項説明書が必要
買主さまが住宅ローンを利用する場合、融資する銀行の保証会社から、不動産屋さんが作成した「重要事項説明書」の提出を求められます。
保証会社だって自分で調査できるはずだし、お金を貸して商売しているわけだから「自分で動けばいいじゃん!」と正直思うのですが、銀行は提出された書類でしか審査を行わないことを譲らないので、どうしようもありません…。
いまはネットで謄本を取得できるのに「法務局で謄本を取得して郵送してください。」と言ってくるあたり、本当に時代遅れだし、頭が固すぎると思います。誰も得しないわけなので、本気で反省を促したいです。
…グチりました。話を戻します。
重要事項説明書は不動産屋さんが作成する書類です。
現地を確認し、法務局で謄本・公図・測量図・建物図面・隣地の所有者事項証明書などを取得し、区役所(市役所)で法律や条例に関する物件調査を行ったうえで作成します。その他にも、契約解除に関する事項、測量・解体・私道の承諾書取得などの条件や、住み替えなどの特約事項を決めて盛り込んでいきます。
マジメに作成するとすごく大変で、丸1日かかる書類になります。なお、難しい物件や遠隔地であれば2日~3日かかることもあり得ますから、2時間でパパっと作成する会社は信用しない方が良いと思います。
仲介リスクを気にしないで楽をしようと思えば、現地へ行かず、Webと電話で物件調査を行って作成することもできますからね。
ちなみに、ゆめ部長の先輩には、離島の中古戸建を電話と郵送のみで契約したツワモノがいます。役所に電話したら資料を郵送してくれたりしていましたから、意外とやればできるみたいですよ。(ゆめ部長はやりませんけど。)
自分たちでやれる!という人へ…
不動産取引をトラブルなく行うのは本当に難しいことです。不動産は高額であるがゆえに、多くのトラブルが発生します。そのトラブルを解決してきた経験から、重要事項説明書・売買契約書に盛り込むべき内容を不動産屋さんが作り上げてきた歴史があります。
弁護士・税理士・司法書士・行政書士・不動産鑑定士・企業の法務部出身・法学部卒業だからと言って、「不動産取引の慣習」を理解できているといえるでしょうか?
また、契約するにあたって必要な書類は、重要事項説明書・売買契約書だけではありませんが、その書類も自分で準備できますか?準備できたとして、どの部分がトラブルになりやすいかを把握できそうでしょうか?
ゆめ部長の経験で言わせてもらいますと…
売主さま・買主さまのどちらかが「自分でやれる!」と考えている場合、相手は自分が不利な契約書にならないか…すごく不安で心配しているものです。それに、価格や引渡条件などの交渉もしたいけど、言い出しづらくて…ということもあるそうですよ。
相手の立場も考えれば、公平・公正に不動産取引を行えるプロに依頼するべきだと思いますけど、いかがでしょうか??
ヤフーとSREの「おうちダイレクト」
2022年6月11日追記…
2015年7月2日に開始した不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」上で不動産所有者が自ら売却を行う「セルフ売却」は2022年6月30日に終了しました。
SRE(旧ソニー不動産)がヤフー不動産と提携したサービスに「おうちダイレクト」があります。これは、売主さまが自分で写真を撮影し、コメントを書いて、好きな金額で販売することをサポートするサービスになります。
物件情報は「Yahoo!不動産」へ掲載され、買主さまからの問い合わせを待ちます。案内や契約書類の作成などはSRE不動産が担当しますから「不動産仲介」サービスになります。仲介手数料は売主さまが無料で、買主さまが「成約価格×3%+6万円(税別)」となっているようです。
この記事で書いている個人間売買では、おうちダイレクトは対象になりません。このサービスはSRE不動産が「仲介」をするサービスであり、個人の売主さま・個人の買主さまが不動産屋さん抜きで不動産取引を行うわけではないからですね!
不動産テックの流れでいろんなサービスが出てきてオモシロイですけど、「おうちダイレクト」はサービスの改善余地がまだまだある段階ですから、定着するまで時間がかかるでしょう。今後の改善・発展には個人的に期待しています。
ブロックチェーン技術により個人間売買があたり前になるかも…?
5G時代の到来で不動産取引にも大きな変革がもたらされそうですね。
5G時代の4種の神器の1つ「ブロックチェーン」技術により、不動産取引の自動化が実現するかもしれない!そんなお話を紹介しておきます。
不動産取引を行うためには、法務局・役所・水道局・ガス会社・都税事務所・税務署など、たくさんの関係者から情報を集める必要があり、契約に必要な情報を収集するだけでも膨大な時間がかかっていました。このデータをブロックチェーン技術により連携・共有できれば、不動産取引のプロがいなくても物件調査が簡単にできるようになる可能性がありそうです。
また、レインズなどの成約情報を一元管理し、ハザード情報などの評価も含めてAIに査定してもらえば、不動産屋さんの査定業務も必要なくなります。(今のAI査定の精度はまだまだイマイチだと思います。)
さらに、ブロックチェーン技術により、「P2P取引(ユーザー間取引)」「スマートコントラクト(設定条件が満たされると自動で契約実行される仕組み)」が実現され、この2つを組み合わせることにより、不動産取引の自動化が実現されるかもしれません。
これだけ環境が整ってくれば、「個人間取引」が活発に行われ、不動産の流通性が高まる時代になるのでしょうね。不動産屋さんはヤバいかも…(汗)
【 参考 】
5G時代の4種の神器
IoT(Internet of Things):データ収集
クラウド :データ保管
ブロックチェーン :データ管理
AI :データの使い方を考える
「ブロックチェーン」の特徴を簡単に記載すると…
■ データをみんなで管理・記録する技術
中央集権化を防止(自律分散型)
■ データを改ざんすることが困難
■ コストを削減できる
詳細は「中田敦彦のYouTube大学」で勉強してください~
参考記事…
最後に…
「売主さま・買主さまが既に決まっている個人間売買」の場合、たとえ人間関係ができている人同士であったとしても、不動産屋さんに「仲介」してもらった方が良いでしょう。
仲介手数料がもったいないのは十分に理解できますけど、あまりにも安いサービスを打ち出している会社や、不動産屋さんではない法律家が行っているサービスでは心配があります。
そこで、ゆめ部長がオススメしたいのは…
信頼できる不動産屋さんを探し、その会社・担当者に仲介手数料の割引を検討してもらえるように交渉することです。Webページを見て「この人は!」と感じた人なら、親身に対応してくれることでしょう。
皆さまの不動産売買がうまくいくように応援しています!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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