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2019年12月04日
不動産売買の知識

AIを使った不動産の瞬間査定(自動査定)の精度がまだ低い理由を宅建マイスターが解説します!

マンションの査定金額を確認するのに、不動産屋さんにお問い合わせをしなくても良い時代になりました。この記事を読んでくださっている勉強熱心な皆さまなら、AIを使った「瞬間査定」・「自動査定」サービスを見たことがあると思います。

 

便利なサービスではありますけど、正直「精度はイマイチ」というのがゆめ部長の実感です。ゆめ部長の経験から理由をまとめますので参考にしてください!

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~

不動産の瞬間査定・自動査定とは…

瞬間査定・自動査定というのは、物件情報を入力すると、AI(人工知能)が不動産の価格を査定してくれるというサービスです。不動産テック(不動産とテクノロジーを融合した新しいサービス)の流れで、すごい勢いで新しいサービスが発表されています。

 

ちなみにですが…査定金額の算出をする際に、膨大な数の取引事例や、国土交通省が発表する公示価格やなどをAIが分析しているそうです。算出方法の解説を読んでみても、難しくてゆめ部長にはよくわかりません…。

 

メリットは…

 

不動産屋さんへ行かずに査定金額を確認できる。

不動産屋さんからの営業攻撃を避けられる。

データに基づいた金額を確認できる。(経験と勘ではない)

 賃料も一緒に教えてくれる。

物件の注意点を教えてくれるサイトも出てきた!

運営会社の狙い(瞬間査定⇒一括査定への誘導)を知ろう!

瞬間査定・自動査定は、会員登録すれば無料で利用できます。それでは、運営会社はどこで利益を上げているのでしょうか…?簡単に解説しましょう。

 

瞬間査定・自動査定などのサービスは便利に見えますから、無料で利用できれば、Webページへたくさんの人が集まります。

 

このサービスの査定金額は実際に現地を見ない行う机上査定でしかありません。そこで、「もっと詳細な価格を知りたいなら不動産屋さんへ相談しよう!」と提案して一括査定サービスへ誘導してくるのです。

 

サービスの運営会社は、査定を希望している売主さまを不動産屋さんへ紹介すれば、広告料を受け取れるシステムになっています。

 

参考記事…

不動産売却「一括査定」の仕組みを理解して利用するのを止めよう!

AIが不動産屋さんの査定にまだ勝てない理由

膨大なデータを集め、独自のアルゴリズムを使って査定をしたところで、物件ごとの事情を把握できなければ、個別性の強い不動産を正確に査定するのは難しいでしょう。

 

現場を見なければわからないこと。

 

例えば…

 

301号室は目の前に建物があり真っ暗。1階上の401号室は視界が一気に開けて開放的だった。

築10年しか経っていないのに室内がフルリノベーションされていた。だから高値で成約できた案件だった。

不動産業者が買い取ったから成約価格が相場よりも安い案件だった。

 住人が飛び降り自殺して売却物件付近で亡くなっていた。

近隣の新築マンションが超高値で発表され、売却マンションが一気に注目を浴びるようになったため、相場が急上昇していた。

 

などなど。

 

現場を知っているかどうか…?

物件のヒアリングを含めた調査を行ったかどうか…?

 

によって、得られる情報の量と質は大きく変わります。

 

公的機関が公表しているデータと成約事例をどんなに集めてきても、わからないことがたくさんあります。特殊事情があり、たまたま「激安」だった・「超高値」だった…そんな成約事例のデータに引っ張られて査定してしまうと、相場からズレるのは当然ですよね。

不動産売却経験を2つ紹介します!

ゆめ部長も瞬間査定・自動査定の会員登録しています。お客さまが利用しているサービスを理解していないと、正しいアドバイスができませんからね。

 

ゆめ部長が売却をサポートした案件で、

 

瞬間(自動)査定価格  <<<  成約価格

 

だった案件を紹介しますから、確認してみてください。

【1】2つ上に同じ広さ・同じ向きの部屋がしばらく売れ残っていたタワーマンション

ゆめ部長が売却をサポートしたお部屋は…

 

成約価格が4,080万円

瞬間査定・自動査定の価格は3,600万円~3,900万円

 

最大で480万円の開きになるのは、ちょっと驚きませんか…?13%も高値ですよ!正直、ゆめ部長も驚いた案件です。

 

タワーマンションは総戸数が多いので、成約事例のデータは複数集めることができました。そこで、分譲時の価格表を使い、成約価格が分譲時価格からどれくらい増減しているのか…?その増減率を計算しました。

 

その結果は…

 

分譲時価格-5%前後での成約事例が2件。

-15%前後の成約事例が2件。

 

さらに、現在販売中のお部屋として、2階上の部屋が同じ広さで販売中でしたが、長い時間成約していませんでした。(分譲時価格-5%程度の販売価格)

 

これらのデータを基にして考えると、分譲時価格-5%程度の成約を目指すのは難しいかな…そんな判断になるのは理解できるところでした。

 

しかし、このお部屋には凄い魅力がありました!

 

室内がメチャクチャ綺麗で、ハウスクリーニングを入れたんですか…?と思うほどの美しさでした。水回りもピカピカ。室内もスッキリしていて好印象!こういう部屋は、やっぱり高く売れますよね。

 

高額な商品ですから、第一印象が大事です。

 

結局、売主さまと相談して高値売却にチャレンジして、結果的に分譲時価格-3%弱の金額で成約させることができました。

 

データを収集しただけではわからないことですよね。そして、売主さまもこの魅力をかなり強いアピールポイントとは認識されていませんでした。

 

「不動産屋さんの判断も大事でしょ!?」という主張が伝わりましたか?

【2】高層階と低層階が並んでいる高級マンション

複数の不動産屋さんで査定金額が2,000万円以上の差が出た案件です。

 

ゆめ部長の査定が6,000万円後半

瞬間査定・自動査定は6,000万円~6,400万円

成約価格は大体7,000万円

 

このマンションの査定が大きくズレた理由は3つありました。

 

理由1…

 

大通り側に高層棟があり、その裏側に低層棟が建っていました。成約事例は2つありましたが、どちらも低層棟の方で分譲時もあまり人気がなかったそうです。

 

理由2…

 

成約事例がマンション価格が高騰する前(平成24年)の事例と、価格が上昇し始めた頃(平成25年)の2件しかありませんでした。売却時期は価格高騰後でしたから、安い時期の成約価格を基に算出したらいけません。ちなみに…成約事例の坪単価は全く同じでした。平成25年に売却した売主様は、不動産屋さんの査定を信じて損をさせられてしまったのでしょうね。

 

理由3…

 

売却対象のお部屋は高層棟で、南側の低層棟がちょうどなくなり視界が開けるお部屋でした。高台に建つマンションだけあって、抜群の風通しと開放感がありました。当然、成約事例の低層棟と同じ評価なわけがありませんよね。

 

この案件で言えることは、このマンションを実際に見て、成約事例データの信用度を分析して、売主さまから情報をヒアリングしたからこそ、正しい金額で成約できたということです。

 

瞬間査定・自動査定通りに売却していれば、最大で1,000万円も損をしていた可能性があった案件でした。

精度は間違いなく向上している。戸建ても査定してくれるようになった!

不動産テックの流れで新しいサービスの開発競争が激化していますから、どんどん精度は高まってきていると思います。新しく発表されたサービスを使ってみると、ゆめ部長の査定とほぼ同じ数字を出してくれることも出てきました。

 

最大限、物件の魅力を引き出して、相場よりも少し高値を狙っているゆめ部長の査定に合わせてくるというのは…お見事ですね。まぁ、たまたまかもしれないので、もう少し使って精度を確かめたいと思います。

 

なお、今まではマンションばかりでしたが、最近は戸建ての査定まで行ってくれるようになりました。本当にすごいな…と素直に驚きますけど、一言、注意だけしておきます。

 

一戸建ての査定は建物評価が難しく、不動産屋さんによって評価が大きくズレやすいと言えます。つまり、工夫して販売すれば高値を勝ち取れる可能性がマンションよりも高いということなんです。

 

あまり瞬間査定・自動査定を信用し過ぎず、売却活動をスタートする前の参考価格にしてくださいね。

最後に…

瞬間査定・自動査定のサービスを完全否定しているわけではありません。それどころか、不動産屋さんの査定が本当にあっているのか…それを確かめるために、1つの参考資料として査定価格を利用することはオススメしたいくらいです。

 

信用し過ぎたらダメですけど、役に立つサービスになってきていると感じています。うまくサービスを使って納得のいく売却を実現してください!

 

なお、このWebサイトでは瞬間査定・自動査定を導入しないの?という声もありましたけど、他のサイトで確認できるので、それで良いのかな…と思っています。

 

瞬間査定・自動査定をこのページに設置することもできますが、月額利用料が発生します。その費用分を別のサービスに充てたり、手数料を下げることに使った方が良くないですか?(自社開発は費用がかかるのでムリです…。)

 

というわけで、設置は予定していません。ごめんなさい。販売価格は判断材料をたくさん集めて一緒に考えましょう。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年、仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも…不動産業界にはなんか暗いイメージがあり、このままではダメだと思っています。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人たちが楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。会社が幸せの発信基地になり、小さなHAPPYが拡がって欲しいと願っています。できることを1つずつ。コツコツ「幸せの種」をまいていきたいですね。
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