訪問査定で「このマンション限定で探しているお客様がいます!」はウソ
不動産売却は不動産屋さん同士の競争が激しくなっていますから、ウソをついてでも売却物件を獲得しようとする営業マンがたくさんいます。「弊社にはこのマンション限定の購入希望者がいます!」なんてウソで売却を任せてもらおうとしてくるのですけど、このフレーズに心が揺れてしまう売主さまもたくさんいることでしょう。
そこで、皆さまが不動産屋さんに騙されないように、大手仲介会社での勤務経験もあるゆめ部長が「不動会社の裏側」を隠さず教えます!この記事の知識は不動産売却で役立つはずです。さぁ、一緒に勉強していきましょう。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
売却依頼の争奪戦が行われる現場ではウソをつかないと勝てない営業マンが多い
売却査定でお客さまの自宅へ訪問すると、他社さんの営業マンが予定時間をオーバーして粘っていたり、訪問が終わった不動産屋さんの査定書がたくさん置いてあることがよくあります。
売主さまが2社・3社に声をかけているのはあたり前で、場合によっては10社以上に声をかけていることだってあります。
これだけ競合しているにもかかわらず、ほとんどの不動産屋さんには、差別化できる「魅力的なサービス」がありません。そして、会社のサービスが劣る分をカバーしなければいけない担当者には「知識・経験・情熱」が不足しているのです。
■ 不動産会社のサービス
■ 営業マンの実力
どちらもイマイチですから、当然のことながら売主さまの記憶に残らず、売却依頼を獲得することができません。こんな苦い経験を何度も繰り返すうちに「ウソをついてでも…」と考えるようになっていくのでしょう。
売主さまを引き付けるウソの営業トークはこれ ⇒⇒⇒
「弊社にはこのマンション限定でお探しのお客様がいますから、お任せいただければ、次の土日にでもご案内することができます。」
…依頼したくなりそうですよね??
ゆめ部長のお客さまもこの営業トークにやられました。競合した不動産屋さんに負けた時、売主さまから言われたことを書いておきます。
「駅前に店舗がある地域密着の会社だし、担当の○○さんはこのマンションを5回も契約したことがあるらしいの。それでね、前回買い逃した人が登録していて売りに出るのを待っているらしいのよ!だから、今回は縁がなかったということで。」
結果は…しばらく売れず。
追跡調査しなかったのでその後はわかりません…。
営業マンは毎月ノルマに追われているもの。苦しくなるとウソくらいついてしまいます。もしかしたら…「ウソをついてでも案件を取ってこい!」と上司に怒鳴られて仕方なくやっているのかもしれませんけどね。
■ 売却サービスの見直し
■ 営業マンのレベルアップ
ウソをつく前にこの2つをオススメしたいところです。
次は、ついたウソをどうやってカバーするのか…?を解説します。
ウソだとバレたら怒られてしまいますし、売主さまが他の不動産屋さんに行ってしまうかもしれませんよね。そこで、「ウソ」を「本当のように見せかける」ように頑張るわけです。具体的な手口を見ていきましょう。
大手に勤務していたときのウソをカバーする方法
ゆめ部長が大手仲介会社に勤務していた時のカバー方法を教えます!
ある日の営業会議でのやり取り…
上司
「〇〇(営業マンの名前)が預かったマンションだけどな、チラシ入れたけど1件も案内が入らないんだよ。ウチにお客さまがいると言っちゃったから、誰かダミーで案内入れろよ!」
社内の営業マン
「それじゃあ、昨日来店したお客さんを案内しましょうか?ちょうど案内する物件がなかったので、今後の参考のために見ておきましょう!とか言って連れていきますよ!」
すぐにバレそうじゃない?と思いますよね。
しかし、まずバレません。
なぜなら…
マイホームを探し始めたばかりのお客さまは、予算オーバー物件も含めて、とにかくいろいろ見てみたいものだからです。「このマンション限定で探していることにしてください。」という口裏あわせくらい、あっさりと協力してくれます。
それに、売主さまから「なんでこのマンション限定なんですか?」という質問はこないので通常はバレません。もし質問があっても、営業マンが間に入って適当に回答してしまえばウヤムヤにできてしまいます。
これで、「購入希望のお客さまを実際に案内した」という実績はできましたね。次は、「購入しない理由」を考えなくてはいけません。(悪い人たちですね~)
ごまかす理由なんていくらでも考えられる!
ダミー案内ですから、契約にはなりません。
このままでは売主さまが他の不動産屋さんに行ってしまうかもしれません。そこで、理由をいろいろと並べてごまかそうとします。
このマンションで3LDKのお部屋が出たら「すぐに買う!」とお客さまから聞いていたので「熱い!」と思っていたのですが、
■ 両親と同居することになり4LDKを探すことになったそうです。
■ 子どもが走り回るから戸建てを探すことになりました。
■ 風水のアドバイスで今年は自宅から東南側がいいようです。
■ 駐車場のサイズが合わないことが判明しました。
■ 長期修繕計画を見たら不安になってしまったようです。
etc... etc... etc...
営業マンからの報告
「~~~という理由で、今回は見送ることになってしまいました。他のお客さまもいますし、広告活動も頑張っていますから、次に期待しましょう!!」
「ホントかよ!?」と最初は疑っていても
「一生に一度の買い物だからしょうがないか…」
「他のお客さんを一所懸命探してくれているし…」
「前向きに頑張ろう。」
こんな感じで受け入れてしまう売主さまが多いようです。
文句言うのも、他の不動産屋さんに変更するのも、メンドウになってくるのかもしれませんね。
顧客名簿(ウェイティングリスト)なんてあてにしたらダメ!
売主さまは複数の不動産屋さんへ同時に査定依頼をしていることをお話しました。
これは、買主さまも同じです。
大手のR社・S社・N社・T社だけでなく、地元の老舗会社などにも顧客登録している可能性が高いでしょう。浮気しているなんてあたり前すぎるほどにあることですし、ゆめ部長は当然のことだと思っています。
このことを理解していれば、
「弊社にはこのマンション限定で探しているお客さまが登録していまして…」という営業トークがきたら、「その人は他の不動産屋さんの顧客名簿にも登録されているはずだ!!」とすぐに考えられますね。
顧客名簿について大事なことを解説します。
顧客名簿に登録されている人の多くは「ずっと購入できていない人」です。バッサリ切ってしまうと「買えない人たちリスト」でしかありませんよね。
それに、数年かけて気に入った物件を見つけた時、顧客名簿の人たちってスレていますから、長年付き合ってくれた営業マンを驚くほどあっさり裏切る傾向があります。いくつもの被害体験があるゆめ部長が言うのですから間違いありません!
この人たちは、顧客登録していない不動産屋さんからでも購入します。顧客登録をしてもらい、密な連絡を取り合い、信頼関係を構築しているかどうかなんて全く関係がないのです。
だから、顧客名簿はいりません。
マンション限定で探しているお客様がどのように情報を集めるかを考えてみてください。おそらく、新規登録されないか、アンテナを張って毎日ネット情報をチェックしていると思いませんか?
スーモなどのポータルサイトに売却情報を掲載すれば、感度が高いアンテナに引っかかり、直接お問い合わせをもらえることでしょう。大事なのは、情報をしっかり公開して拡散させることなのです。顧客名簿で契約を狙うということは、囲い込みをしているのと同じです。そんなことをしたら競争がおきませんよ…?
ターゲットは明確な動機があって3ヶ月以内に購入できるお客さまだけでいい!
マイホームを「買える」お客さまは、希望条件・購入時期をしっかり決めて探し始めますから、3か月も探せば素敵なマイホームに巡り合って購入してしまうものです。
1年…2年…5年…と探している人もいますけど、ターゲットとして狙うのはこの人たちではなくて、探し始めだけど購入動機が明確で決断が早いお客さま、あるいは、1年かけて情報収集が終わり、いよいよ購入時期が来た!というやる気みなぎるお客さまです。
顧客登録の多さをアピールされたら…
顧客登録数が多い=購入しない人ばっかり…ということを思い出してください。希望条件が厳しくて買わないわけですから「見に来てほしくない!」とすら思ってしまいませんか?「ずっと買わない人とお付き合いするなんて大変だなぁ~」と同情しておけばよいと思います。
ちなみにですけど、ゆめ部長のマイホーム探しはたった10時間でした。不動産のプロであるゆめ部長が決めたのではなく、嫁さんが「ここに住みたい!」と言ったことで決まりました。
そろそろマイホームを探そうよ。
⇒ あら、素敵なマンションがあるじゃない!
⇒ ここに住みたい!!
⇒ よし契約しよう!!!
男気あふれる決断力!?に惚れ惚れした経験でした(笑)
参考記事…
最後に…
不動産仲介の報酬は「All or Nothing」「0 or 100」です。売却依頼を受け、成約させられなければ、どんなに仕事をしても給料にはなりません。だから、不動産屋さんは必死なのです。
皆さまは、こんな必死な営業マンを相手にするわけですから、最低限必要な知識を身につけ、ウソを見破れるようにならなければいけません。「タダ働き」が多すぎる不動産営業マンに「ウソをつくな!」というのはムリがあるという前提で自己防衛してもらえればと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日