株式会社 麻布ハウス
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水曜日
2018年12月30日
不動産売買の知識

売却代金受領日≠鍵の引渡日にする「引渡猶予特約」を宅建マイスターが解説します!

住み替えをする場合…住宅ローンの関係で、売却の代金受け取り・購入の代金支払いを同日で行わなければいけないことがあります。この場合、売却した不動産の荷物をいつ動かせばいいんだろう…という問題が発生します。

 

そこで、代金を受け取り、所有権移転登記は行うけれど、鍵の引渡しを1週間ほど待ってもらうようにお願いしたりします。これを「引渡猶予特約」と言います。売却をスタートする前にぜひ確認しておきましょう!

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~


【目次】

1.  不動産売買における通常の残代金決済手続き

2.  引渡猶予特約がいらないケース

3.  引渡猶予特約をお願いされる理由

 3-1.  ホテル住まい + 荷物預りサービスでお金がかかる

 3-2.  購入物件への先行搬入は難しい

4.  不動産売買契約書と重要事項説明書の文言・覚書

5.  覚書の内容を解説します

 5-1.  お金の精算

 5-2.  危険負担・瑕疵担保責任

 5-3.  善管注意義務

 5-4. 家賃

6.  最後に…

不動産売買における通常の残代金決済手続き

特約は特別な約束です。特約を付ける意味を確認するために、まずは通常の手続きを確認しておきましょう。

 

前提知識として残代金決済(=引渡)の流れを簡単に説明しておきます…

 

STEP.1…

 

残代金決済を迎える日までに引越を終わらせて簡単なお掃除をします。銀行手続きと法務局で登記をする関係で、残代金決済は午前中スタートです。そのため、朝一で引越を開始するのは難しいです。

 

STEP.2…

 

買主さまが指定する銀行か不動産屋さんの店舗に集まり、買主さまから残代金(売買価格-手付金)を受け取ります。そのお金を住宅ローン返済口座に入金すると、住宅ローンの残債分が自動的に引き落とさて完済するのが一般的です。

 

STEP.3…

 

司法書士先生が、売主さまの抵当権抹消登記、買主さまの所有権移転登記・抵当権設定登記を行います。

 

抵当権というのは、銀行が住宅ローンでお金を貸す際に、不動産につける権利で、もし貸した人がお金を返せない場合は競売にかけて優先的に返済を受けられる権利のことです。この抵当権を抹消しないと引き渡しができません。

 

STEP.4…

 

売主さまの口座へお金が着金したことを確認できたら、領収証を交付し、鍵と物件資料の原本を買主さまへ引き渡します。通常、ここで鍵を渡します。

 

STEP.5…

 

購入の住宅ローンを実行するためには、売却した不動産の抵当権が抹消できることが条件になります。STEP.3で無事に終わっていますから、これで購入先の住宅ローン融資が実行されて、お金を支払うことができます。

 

STEP.6…

 

購入したマイホームへ引越!

引渡猶予特約がいらないケース

売却と購入を同時に行うからこの特約が必要になるわけですから、次のような場合、この記事の内容は気にしなくてOKです!

 

 購入の残代金決済を先行して行う場合

実家に引越済みの場合

一時的にでも賃貸へ入る予定がある場合

海外転勤で引越先が決まっている場合

 

こうやって見ていくと、よくわかりますね!

引渡猶予特約をお願いされる理由

買主さまの立場で考えると「そんな特約つけないでうまくやってよ…」と思う気がしませんか?そこで、買主さまにこの特約を理解してもらうために、特約をお願いしたい理由を書いておきます。

 

本音を言ってしまえば、最悪の場合はお金で解決できるんですけどね…。

【理由1】ホテル住まい + 荷物預りサービスでお金がかかる

荷物を残代金決済日の前日よりも前に運び出し、荷物預りサービスを利用しつつ、一時的にホテル住まいをすれば、この特約は必要ありません。

 

しかし、これにはかなりの費用がかかります…

 

荷物の預かりは「引越業者」と「トランクルーム専門会社」を利用します。

 

引越会社によっては引越料金に含めてくれる業者もありますが、日数と量によって変わってくるようです。なお、全ての引越し業者がこの一時預かりサービスを行っているわけではありません!

 

トランクルームに一時的に預ける場合、当月日割 + 翌月分がかかり、さらにセキュリティーカード代で2,000円程度支払うこともあるようです。思ったよりもお金はかかりそうですね。

 

そして、ホテル代も安くはありません。単身であれば安く抑えられますけど、4人家族だとどうでしょうか…?

 

これだけで10万円~20万円程度の費用が発生するので、できれば、買主さまに鍵の引渡しを1週間ほど猶予して欲しいわけです。

 

参考引越時の荷物預りサービス

【理由2】購入物件への先行搬入は難しい

買主側に特約のお願いをするよりも、購入先の売主に「先に荷物だけ搬入させてください。」とお願いすればいいじゃないか!という提案もありますが、これはできません。

 

購入物件が既に空室だったり、新築物件だった場合、確かに荷物だけでも先に搬入させてほしいな…と思うところではありますが、これは大きなトラブルに発生する可能性があるためNGです。

 

先行して荷物を搬入した結果、室内に大きなキズを付けてしまったとします。「まぁ、自分が住むんだからしょうがないな…」と思っていましたが、思わぬ理由で契約を解除することになってしまいました。

 

そうすると…荷物を搬出してキズを補修する義務が生じます。簡単に補修できたとしても、新築物件やリノベーション済みのお部屋だったら、その後の販売に影響を与える可能性は高いでしょう。「損害を賠償しろ!」なんてトラブルになったらイヤですからね。

不動産売買契約書と重要事項説明書の文言・覚書

引渡猶予の特約


本契約は売主が買換えの為、本物件の引渡しを残代金支払後1週間猶予するものとし、別紙 「引渡し猶予覚書」に内容を確認のうえ売主、買主署(記)名押印することとします。

 

引渡猶予に関する覚書

 

売主 ●● と買主 ●● とは、平成 ● 年 ● 月 ●● 日締結した末尾表示不動産(以下「本物件」という。)を目的とする不動産売買契約(以下「原契約」という。)に関して次のとおり合意しました。

 

第1条           

買主は、原契約第6条(所有権の移転の時期)および 原契約第7条(引渡し)の定めにかかわらず、売主に対して本物件の引渡しを平成 ● 年 ● 月 ●● 日まで猶予するものとします。

 

第2条           

売主は、前条の引渡しまで本物件の管理責任を負うものとします。

 

第3条           

原契約第12条(公租公課等の分担)に定める電気・ガス・水道料等の負担については、宛名名義の如何にかかわらず、第1条の引渡しをもって区分し、当日までの分を売主負担、翌日以降の分を買主負担とします。また、固定資産税・管理費等の精算は、引渡し期日の平成 ● 年 ● 月 ●● 日を基準日として算出します。基準日よりも引渡し日が早まったとしても、再精算は行いません。

 

第4条           

第1条の引渡し完了前に天災地変等の不可抗力により、本物件の全部または一部が滅失もしくは毀損した時は、その損失は売主負担とし、原契約第10条(引渡し完了前の滅失・毀損)の規定に基づき処理するものとします。

 

第5条           

売主・買主は、この覚書に約定しない事項については、原契約に基づき処理することを確認します。

 

以上、合意成立を証するためこの覚書2通を作成し、売主・買主記名押印のうえ各1通を保有します。

覚書の内容を解説します

引渡猶予の特約は、売主さまの都合で、買主さまに協力をお願いするものです。そのため、所有権移転登記が完了し、権利も移転されてはいますが、その不動産を所有することで発生するコスト、売買契約書で定めた責任に関しては、売主さまが引継ぎをします。

【1】お金の精算

固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金などの精算は残代金決済時に行います。しかし、引渡猶予の特約は「猶予する期限」を定めたものですから、場合によっては、期限前に引渡を行うことがあります。

 

この場合、鍵の引渡日に合わせて再精算するのは大変です。数百円から千円程度のお金を精算するために書類を取り交わし、振込手数料を負担するって、どうだろう…と思いませんか?

 

そこで、猶予の期限として定めた日を基準日として精算金を算出し、残代金決済時に精算することにしています。数日早く引き渡す場合に損をするのは売主さまです。わずかな金額ですし、売主さまの都合で定めた特約ですから、不公平ではありませんよね。

 

なお、電気・水道は少し変わります。本来は引渡日の前日までを売主さまが負担することで問題ありませんが、引越日に鍵を引渡すことにした場合、少し考えなければいけません。

 

引越当日は電気も水道も使いますよね。最後に簡単なお掃除もすれば、いつもより多めに電気代・水道代がかかる可能性があります。そのため、水道と電気は引渡日の当日までを売主さまが負担するということで手続きをしてもらっています。

 

細かい!と思いますよね…。しかし、最近は数百円に厳しいお客さまが増えています。振込手数料の540円・864円をどちらが負担するかでクレームになることもありますからね。できるだけトラブルを防げるようにしたいと考えています。

【2】危険負担・瑕疵担保責任

危険負担というのは、売買契約~引渡日までの間に自然災害等により、建物が壊れたり、使えなくなった場合、その責任をだれが負うのですか?というお話です。

 

不動産売買では、民法の原則を覆す特約を結び、この責任は売主さまが負います。この危険負担は鍵の引渡日まで延長されることになります。当然ですね。

 

瑕疵担保責任は、引渡日から3ヶ月以内に隠れた瑕疵(かし)が見つかった時は、売主さまが責任を負うというものです。

 

この引渡日も鍵の引渡日から起算しますよ、ということです。これもあたり前だと納得できることだと思います。

【3】善管注意義務

善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)というのは「善良な管理者の注意義務」の略で、人の物を預かっているのだから、通常よりも注意してよ!という義務です。

 

鍵の引渡日まで、建物・設備をしっかり管理してください!

【4】家賃

引渡しを猶予するなら、その分は家賃を払って欲しい!と思うかもしれませんね。

 

しかし、この猶予期間に家賃は発生しません。

 

売買契約時点で売主さまから条件を付けられていた場合は、価格交渉の材料として話をしておきましょう。その分も含めての値付けだと言われたらどうしようもありませんが…。

最後に…

売主さまは引渡猶予の特約を付けることを当然の権利だと思っていて、買主さまにリスクが生じさせることを理解できていません。

 

この記事を読んでくれた皆さまは大丈夫だと思いますけど、この特約は買主さまに協力をお願いするものだということをお忘れのないようにお願いします。

 

「売却する条件だから、気に入らなければ買わなければいい。」そんなことを言ってしまうと、皆さまが望んでいる高値成約を目指せなくなります。商品力はこういう特約による負担があるかどうか…でも変わってくることを理解しておきましょう。

 

最後に…この特約を付ける場合は、販売図面の中に「売主さまはお買い替えのため、1週間の引渡猶予をお願いします。」と記載するべきです。後出しだとトラブルになる可能性がありますので、必ず、販売スタートまでに決めるようにしてください!

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。よかったら、Twitterもフォローしてください!!

この記事を書いた人
ゆめ部長 ユメブチョウ
ゆめ部長
不動産のことが大好き!宅建マイスター&2級FP技能士の「ゆめ部長」です!営業スタッフとして、たくさんのハッピーなご縁を結ぶ経験を積んでから、「Webページ製作スタッフ」 兼 「スペシャルエージェント」として活躍中♪毎日のお仕事に情熱をもってワクワク取り組んでいます!夢は、みんなに頼られる優しい不動産屋さんとしてTV出演すること!!

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