不動産売却査定の失敗経験【1】大手ハウスメーカーの大型開発現場
ゆめ部長が売却査定をしてきた中で、「成約価格」が「査定金額」から大きくズレてしまった案件もあります。そのときの反省を忘れないように、査定が間違った理由を検証してまとめておくことにしました。大変申し訳なく、恥ずかしいお話ですけど、不動産売却を検討されている方の参考になれば幸いです。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
査定した不動産の概略
大手ハウスメーカーが開発した大型現場内の中古戸建。総戸数が50戸以上あるからこその一体感ある街並み、50坪以上ある広い敷地、大手ハウスメーカー施行の建物、リバーサイドの住環境など、とても魅力的な現場でした。
ゆめ部長はこの現場が分譲されたときのことをたまたま知っていました。当時は少し販売に苦戦していたものの、大手ハウスメーカー施行・リバーサイドの緑豊かな住環境という強みで、周辺にある建売物件の平均成約価格よりもだいぶ高い8,000万円~1億円で成約していたと記憶しています。
この現場の中にある、南道路接道・公園隣接の好条件な一戸建てを査定しました。
販売活動スタートから他社成約までを振り返ってみる
査定した現場は…
■ 建物の状況はとても良好
■ 趣味の家庭菜園を楽しまれていたお庭も綺麗
■ 隣接する公園のおかげで南西角地以上の開放感と陽当り
このように、第一印象がとても良かったです。
7,000万円台の半ばなら確実に成約させられるだろう!と考え、最初は8,000万円台の半ばという強気の価格設定で販売をスタートすることになりました。
新築一戸建て ( 土地は半分の約30坪くらい ) が5,000万円前後のエリアですから、中古戸建で8,000万円を購入できるお客さまを見つけるには時間がかかることは想定済みで、売主さまにもそのことを説明してありました。
販売開始してすぐに、スーモ・ホームズ・アットホームなどのポータルサイトや不動産屋さんの自社Webページに販売情報が掲載され、情報の拡散はある程度うまくいきました。ところが、現地内覧の予約や質問の電話がほとんどきませんでした。
「やはり高すぎたか…」と考え、値段を一気に500万円下げた7,000万円台で販売しましたが、その後も内覧予約が1件も入ることなく、あっという間に3か月が過ぎて媒介期限が終了してしまいました。
最初に時間がかかることを伝えていましたが、3ヶ月で内覧が0件では媒介契約の更新をお願いできる立場にはありません。そのため、「他社に任せてみたい」とのお申し出はすぐに受け入れ、深くお詫びをしました。
その後、大手仲介会社が価格を下げて担当しましたが一向に売れず、売主さまがしびれを切らしてしまったのでしょう…。5,000万円台の前半で売却してしまったようです。成約登録価格が「土地面積が半分の建売住宅」と変わらない値段だったことを知ったときは、本当に驚きました…。
この現場では他の号棟も成約事例が新規で登録されていました。成約価格は7,000万円の満額。しかも1か月以内の成約でした。
高値でチャレンジしすぎず、妥当な金額で販売開始できていれば、ここまで安い金額で売却しなくて済んだはずです。少なくとも6,000万円台では成約になっていたと考えられます。
ゆめ部長が責任をもって成約させられなかったことを今でも後悔している案件です。
査定価格と成約価格が大きくずれた理由を考える…
ゆめ部長の査定が間違っていたことは認めますが、成約価格は安すぎたと思います。
土地面積30坪の新築一戸建てが5,000万円前後ですから、大手ハウスメーカーが建築した建物であり、土地面積が60坪もある中古戸建を5,000万円台の前半で購入できた人はかなりお買い得だったのではないでしょうか。
言い訳はこのへんにしておいて、最初の査定が間違った理由をずいぶん考えてみたのですが、おそらく「焦って販売してしまったこと」と「広告費のかけ方の違い」が大きいのではないかと思います。
焦って販売したことは先ほどお話をしましたね。高値を目指して販売活動を長引かせてしまったので、焦りと疲れから最後は投げ売りをしてしまったのだと考えています。
ここでは、広告費のかけ方について深堀していきましょう。
分譲時は大型現場だけあって、豪勢なパンフレットを配布していたでしょうし、購入意欲が高まるモデルルームもあったはずです。分譲時は幅広いエリアからお客さまを集めて検討してもらっていますから、お客さまの数が多くなり、競争が起こることで高値成約を狙えたはずなのです。
しかし、中古市場ではそこまでの広告費はかけられませんから、潜在的な需要を刺激してお客さまを集めることはできません。
よくよく思い出してみると、大手に勤務していたとき、三井の分譲戸建「ファインコート」でも「中古では苦戦する!」という話を社内で聞いていました。これは「ファインコート」だからというわけではなく、野村の分譲戸建「プラウドシーズン」なども同じでした。
これも、分譲時のような広告費を使えないことによる値下がりだったのではないか?と、今になっては思考えるところです。
この記事で1番伝えたいことは次の通りです。
大手分譲のブランド一戸建ては、広告費が価格を押し上げている可能性がある。マンションではこの影響があまりないように感じられるけど、なぜか、一戸建ては影響を受けやすいようだ…。
この結論の妥当性を確認するために、知り合いの不動産屋さんたちにも相談しました。大手仲介会社の役職についていた先輩は「そんなこと、常識でしょ!?」と言っていましたし、誰からも反対意見は聞かれませんでした。
「絶対に高く売れない」とまでは言えないけれど、査定金額を算出する際には注意するべきだと言えそうですね。
最後に…
「ブランドの一戸建てを買わないで!」と言っているのではなく、広告費をたくさんかけている分、販売価格に上乗せされている可能性があるというお話でした。広告費をかけてブランドを保っているわけですから、これは仕方ないことですよね。
ブランド一戸建ての売却査定すると「ブランド物件だから値下がりしていないはずだ!」という強気の売主さまが多いですけど「ブランド物件だから多めに値下がりしている」かもしれないので、注意していただければと思います。
この記事はこれから加筆修正するかもしれません。
大手分譲のブランド一戸建ては広告費がかかっているからその分値段が高い!というのであれば、それは、大手分譲のブランドマンションも同じでは!?と思いませんか?
ゆめ部長もそう考えていました。
しかし「ブランド一戸建ては中古になると値下がりする」と感じている不動産屋さんがゆめ部長の周りに多くいましたので、間違ってはいないのでしょう。
根拠を示せるほど経済がわかっているわけではないので、これから検証を重ね、情熱をもって働いている人たちと意見交換しながら、この記事を完成させていきたいと考えています。
なお、このWebページでは、ゆめ部長の考えや感じたことを自由に発信することで議論を行い、正解にたどり着くことを目的にしています。全て100%正しいことを書こうとすると何も書けませんので、この点お許しください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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