不動産売却査定の失敗経験【2】取引数が少なかった品川区の売土地
前回のお話…不動産売却査定の失敗経験【1】「大手ハウスメーカー施行の大型開発現場」に続き、今回は2つ目の案件です。「査定金額と成約金額」「他社の査定書」などを比較しながらまとめてみます。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
査定した不動産の概略
売主さまに相続が発生し、相続人さまの1人が居住している敷地の一部(庭先)を分割して売却することになりました。
不動産表記で最寄駅から6分~7分くらいの駅近ながら、閑静な住宅地に現場がありました。西側5mの私道に接道し、土地は整形地で面積が約20坪。容積率が200%あり、3階建プラン入る魅力的な物件でした。
不動産があまり売りに出ない場所でしたから、近隣での成約事例がとても少ない上に、路線価(相続税や贈与税を計算する基になる価格。実際に売れる金額より安い!)と、実勢価格(売れる金額)がかけ離れていました。
都心の査定では路線価は頼りになりませんね…。
売却不動産の査定金額と成約金額はどうだったのか?
事例が少ないため、過去複数年まで遡って成約事例を調べるだけでなく、販売中の新築一戸建てや成約済みの中古戸建の価格まで参考にしながら丁寧に査定価格を算出しました。
査定金額 :4,920万円~5,560万円
売出提案価格:5,580万円~5,780万円
成約価格 :6,450万円(販売開始価格が6,980万円)
売出提案価格の上限値で成約価格と比較しても、1坪あたり@40万円の違いがありました。だいぶ差が開いてしまい恥ずかしい限りです…。
他社の不動産査定書を比較してみると…
他の不動産屋さんもみんなで仲良くハズしていましたので、まとめてみます。
R社:5,650万円~6,200万円
N社:6,680万円
T社:7,880万円~7,980万円
地場:5,000万円前後
改めて各社の査定を見てみますと、5,000万円前後~8,000万円の査定に対して成約価格が6,450万円ですから、N社以外は大きく外していたということになります。これは、みんなで反省しなければいけませんね。
しっかり反省して次へいかすために、なぜ査定金額と成約金額がここまで大きくずれたのか?を考えてみました。
このエリアでは成約事例が少なく、売買の取引が十分に積み重ねられていないため「相場」が形成されていませんでした。そのため「平均的な成約単価よりも高い金額・安い金額のどちらにでも振れる可能性があった」というのが大きな理由だと考えています。
今回の事例の場合、買主さまが少し高めに購入してしまった…という可能性が高いのではないかと考えています。実際、現場からすぐ近くで販売していた「土地面積15坪・北道路」の成約事例から逆算しますと、対象地は5,000万円後半となります。
ここで覚えておいて欲しいことは、人気があるエリアに集まってくるのはお金持ちなので、気に入ってくれたら割高でも契約になる可能性がある!ということです。
タワーマンションなど相場が形成されている物件での超高値成約は難しいですけど、事例が少ないエリアの土地・一戸建てであれば、高値成約の可能性があります。この点も踏まえた価格設定をするようにしましょう。
余談ですが…
「不動産価格は土地の面積で変化する」ことを知っていますか?
一般的には3階建て3LDKのプランが入る15坪(約50㎡)前後の土地が1番高くなり、30坪・50坪という土地は面積が大きすぎるため、坪単価が安くなる傾向があります。
じゃあ、小さく分割すればイイじゃん!と言いたくなるでしょうけど、「最低敷地面積の規制」により分割できなかったりします。ちなみに、武蔵野市の低層住宅地では120㎡規制がかかっているんですよ!
土地の面積で不動産価格が変化する理由は単純です。
3LDKのプランが入れば購入希望者が大幅に増えて需要が増えますから、金額は上昇します。一方、50坪の土地を購入できる人は少ないですから、需要が少なく金額は下落するのです!
人気のあるエリアですと、予算が1億円というお客さまも増えてきますから、15坪の成約事例よりも、20坪・30坪あった方が逆に単価が上がったのかな…ということも考えられますね。
最後に…
取引事例が少ない場所では、「売却」「購入」どちらも慎重に行うようにしましょう。
売却の場合、最初は少し高値から販売を始めてください。この記事を読んで、不動産屋さんの言い値で販売することが危険であることがわかったと思います。大手仲介会社の査定がこれだけズレるわけですからね!
購入の場合、その金額が妥当なのか、販売物件と成約事例を集めて検討してください。近隣で高値成約があり、その金額につられて新しく売りに出される物件の金額がどんどん上がった事例を何度か見たことがありますから要注意です。
もっと高く売れる物件を安く売ってしまったり、高値物件に手を出して損をしてしまわないように、皆さまが自己防衛を意識できたなら、恥を覚悟でこの記事を書いた意味もあったということです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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