暴力団関係者との不動産売買契約は違約解除の対象です!「反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除」を解説します!
宅建業者が不動産取引を行う場合、暴力団等反社会的勢力による被害を防止するために、重要事項説明書・売買契約書へ「暴力団等反社会的勢力排除条項」を入れるようになりました。書類の文言が少しわかりづらいので、解説してみたいと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産売買契約書類の記載事項を確認してみましょう!
重要事項説明書・売買契約書のどちらにも同じ文言が入っています。
本当にわかりづらい書き方をしていますよね…。細かい文言も大事らしいのですが、皆さまは反社会的勢力ではないわけですから、内容だけ把握できるように抜粋して解説しておきます。
1. (1)・(2)
自ら(役員含む)が、暴力団等反社会的勢力でないことを確約します。
1. (3)
反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないことを確約します。
1. (4)
自らまたは第三者を利用して、次の行為をしないことを確約します。
【1】相手方に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為
【2】偽計または威力を用いて相手方の業務を妨害し、または信用を毀損する行為
「偽計」:人を欺くこと
「威力」:人の意思を制圧すること
2. + 5.
上記1. (1)~(4) の確約に違反があった場合、相手へ催告することなく契約を解除することができます。解除された側は、解除した側に対して、違約金として売買代金の20%相当額を支払います。
3. + 4. + 5. + 8.
買主は、自らまたは第三者を利用して、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約します。
買主がこの確約に違反した場合、売主さまは買主へ催告することなく契約を解除することができます。買主は売主さまに対し、違約金として売買代金の20%相当額を支払い、さらに違約罰として売買代金の80%相当額を支払うことになります。
契約を解除されて所有権を失い、さらに、物件価格と同額の違約金を支払うわけですから、かなり厳しい定めになっていると言えますね。
なお、「宅建業者が売主」・「宅建業者でない者が買主」の場合、この規定は適用されません。
暴力団等反社会的勢力排除条項を不動産売買契約書に入れないことのリスク
「暴力団等反社会的勢力排除条項」は売買契約書に必ず入れなければいけない条項ではないそうです。しかし、この条項を入れておかなければ大きなリスクが発生しますから、絶対に入れておくようにしましょう!
もし、売買契約を締結した後に相手が反社会的勢力であることがわかったとしたら…恐くてすぐに解除したくなりますよね。
売買契約を解除しようとしたとき、排除条項があれば、相手に催告をすることなく契約を解除できますから手続きが簡単になります。しかし、排除条項がなければ、契約内容について不当な要求を突き付けられたり、脅迫されたとしても、契約をすぐに解除することは難しいそうです。
怖い人を相手にすることのストレス、難しい相手とのやり取りで使う時間と労力、弁護士先生のサポートを受けるための費用なども痛手ですよね。
この排除条項は反社会的勢力にとって苦しい条項になっていますから、忘れずに売買契約書と重要事項説明書へ記載してもらうようにしてください!通常の売買契約書類には記載されていますけど、契約書類のひな形を更新していない不動産会社も見ますので注意は必要だと思います。
もし、反社会的勢力の排除条項を入れてくれないのであれば、契約すること自体を見直した方が良いと思います。不動産屋さんからしても自分を守るために入れておきたい条項ですから、反社会的勢力と関係がなければすぐに入れてくれるはずです。
不動産屋さんは反社会的勢力の排除条項を理解していない…
暴力団等反社会的勢力排除条項とか、犯罪収益移転防止法とか、テキストを何度読んでも全く頭に入ってきません。「わざと難しく書いていませんか…?」と疑いたくなるほど難解ですし、ムダに長い法律名を見ているだけでやる気がなくなります。
本当にこの法律を作った目的を達成したいのであれば、法律を守る側がわかりやすく作るべきだと思います。小さい文字でページを埋め尽くしたテキストを作っても、不動産屋さんが理解できないことくらいわかるはずです。私たちは法律の専門家ではありませんからね!
実際、不動産取引の実務ではこんな感じです…。
他社の不動産屋さんが重要事項説明しているのを聞いていると、「皆さんはヤ○ザではないですよね?それじゃあ飛ばします(笑)」という対応になっています。
犯罪収益移転防止法で求められる書類や個人情報の同意書だって「コピーしてくる間に記入しておいてくださいね。」と言うだけで、何の説明もしていないのが普通なんですよ。
お客さまへの説明や確認をせず、会社に提出するための書類をただ集めることが目的になっていることに強い危機感を覚えています。インスペクションとかもそうですけど、不動産取引が難化していくスピードに現場が全く追いついていないので、1度この差を埋める時間が必要なのではないか…?と考えています。
最後に…
この記事で解説した「反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除」は、利用する頻度は低いですが、かなり重要な内容になります。
重要だから仕方ない…ということはわかっているのですけど、結構な文字数を重要事項説明書・売買契約書・媒介契約書へ重複して盛り込むことになり、売買契約が全体的にわかりづらくなっている点は気がかりです。
民法改正の流れで不動産売買契約書類はさらに複雑化していくと言われていますから、現場もお客さまも付いて行けるのか…そろそろマジメに考え直すべき時期だと思います。
ちょっと関係がない話が長くなってしまいましたね。今日の記事はこの辺で終わりにします。本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
参考記事…
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日