新住所登記・旧住所登記をわかりやすく解説!
不動産屋さんや銀行から「新住所登記・旧住所登記」という言葉を聞いて戸惑っているお客さまが多くいるように感じています。特に「新住所登記」の場合、引越が終わっていないのに住民票を先に移転しなければいけないため、不安になってしまうのでしょう。そこで!「新住所登記」を求められる理由・メリット・デメリットについて解説したいと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
2021年10月23日追記…
予想通りこの記事はたくさんの人に読まれている人気記事になりました。不動産屋さんから新住所登記について説明してもらえなくて不安になり、ネットで情報を集めている買主さんが多いからかもしれません。ゆめ部長が代わりに説明しますから、ゆっくり読んでいってくださいね。
「新住所登記」・「旧住所登記」とは…?
「新住所登記」は「引越先」の住所で登記すること。
「旧住所登記」は「現在」の住所で登記することです。
「新住所登記」というのは、引越はまだ終わっていないけど、住民票を引越先へ移転してしまい、新しい住所で登記手続きを行うことを言います。
上の画像(登記事項証明書のサンプル)を見てください。住宅ローンを利用する場合であれば、次の3か所に新しい住所が記載されます。
■ 表題部
■ 権利部(甲区)
■ 権利部(乙区)
このうち、権利部(甲区)と権利部(乙区)の2か所を「新住所」で登記します。なお、ゆめ部長は、表題部については「旧住所」で登記しています。
それに対して「旧住所登記」は、現在の住所が上記3か所に記載されます。
「新しいマイホームを購入したのに、今まで住んでいた住所が記載されちゃうの??」とか「引越前に住民票って移転できるんだっけ??」そんな疑問があると思いますので、これから解説していきますね。
参考知識…
新築一戸建てを購入した場合、表題部は「旧住所」で登記を行い、権利部(甲区・乙区)は「新住所」で行うことが多いです。理由は、日程がカツカツになること・表題部は売却時に住所変更が必要ないことの2つです。新住所登記をしても、表題部には昔住んでいた住所が残ってしまうため、もし「○○社宅」という名称を残したくない場合は不動産屋さんに相談してみてください。
参考記事…
新住所登記のメリット
新住所登記をする最大のメリットは、将来、購入した不動産を売却する際に行う「住所変更登記」の費用を節約できることでしょう。何のことだかサッパリわからないと思いますので、具体例をあげながら簡単に説明していきますね。
練馬区に住んでいるゆめ部長が、中野区で新築一戸建てを購入して「旧住所登記」を選択しました…という仮のお話で見ていきましょう。
購入した中野区にある新築一戸建ての登記事項証明書に記載された所有者は「練馬区に住んでいるゆめ部長」です。しかし、住民票・印鑑登録証明書・運転免許証はどうでしょうか?引越してから2週間以内に住民票を移転しないといけないので、住民票と印鑑証明書どちらも中野区住所になります。当然、運転免許証も中野区にしますよね。
登記事項証明書:練馬区○町○丁目○番○号
印鑑登録証明書:中野区○町○丁目○番○号
住 民 票:中野区○町○丁目○番○号
運 転 免 許 証 :中野区○町○丁目○番○号
ここで、10年後、ゆめ部長が住み替えをすることになり「中野区」の自宅を売却した!そんなお話を想像してみてください。
イメージできましたか?
不動産を売却するときには、登記事項証明書(上の緑色の画像です。)の「甲区」に記載された所有者と、印鑑登録証明書・住民票・運転免許証に記載された所有者が一致していないといけません。上の状態だと、ゆめ部長の名前は一致していても、住所が一致していないですよね。これだと、手続きできません!
そこで、所有権移転登記を申請する際に、ゆめ部長の住所を「練馬区」から「中野区」へ変更するために「住所変更登記」することになります。司法書士先生の報酬で1万円~2万円かかるので「もったいないかも…」そんな話になります。
これが「新住所登記」を選択していれば、中野区の新築一戸建てを購入した際、登記事項証明書の所有者は「中野区に住んでいるゆめ部長」となっています。これなら、住所変更登記が不要になり、1万円~2万円の費用を節約できました。これが最大のメリットかな…と思います。
もう少しメリットを解説しておきましょう。
皆さまが居住用のマイホームを購入した場合、登記に対して課税される税金「登録免許税」を軽減するために「住宅用家屋証明」を取得することになります。
この書類を取得するためには「現在の住居に関する書類」が必要になります。お客さまが現在どこに住んでいるか…で求められる書類が下記のように変わるので見てください。
■ 賃貸に居住中 ⇒ 賃貸借契約書
■ 社宅に居住中 ⇒ 社宅証明書
■ 持家を売却 ⇒ 売買契約書 or 媒介契約書
■ 持家を賃貸 ⇒ 賃貸借契約書 or 媒介契約書
■ 実家 ⇒ 両親の申立書
この中で「社宅証明書」は「原本」を求められるのですが、総務部から発行してもらうのに時間がかかり、提出が間に合わないことがあります。この場合、新住所へ住民票を移転して「新しい住所の住民票」を取得することで社宅証明書の代わりになります。
住宅用家屋証明は「居住用」であることを証明できるなら税金を安くしてあげる…という書類で、セカンドホームや投資用物件などでないことを証明できればOKです。「購入した不動産へ住民票を移転した」=「自己居住用」だと判断できますから、セカンドホームや投資用ではないことを証明できますね。
新住所登記のメリットを紹介してみましたけど、あまり魅力的にに感じなかった人が多いかもしれません。しかし、不動産屋さんが新住所を勧める理由はメリット以外にもあるので見ていきましょう。
銀行は新住所登記を求めてくる!
多くのお客さまは住宅ローンを組んでマイホームを購入します。
自己居住用としてローンを組むんだから、金利は低く抑えてあげようじゃないか!という商品が「住宅ローン」ですから、対象は自己居住用のマイホームのみであり、投資用物件には利用できません。
しかし、投資用物件を購入するのに、金利が安い住宅ローンを利用しているケースがたくさん見つかってしまい銀行は困っています。少し前には全期間固定の住宅ローン「フラット35」を投資物件購入に悪用していることが大きな問題となっていましたよね。
このような状況ですから、お金を貸す銀行としては、融資をするお客さまが本当に自己居住用のマイホームを購入するのかどうか…正直、疑っているのです。
そこで、融資実行前に、融資対象のマイホームへ住民票を移転してもらい「新住所の住民票」を提出してほしいと求めてきます。
「購入した不動産へ住民票を移転したということは、自分が住むために購入したんだろう!」と考えられますから、これで、自己居住用のマイホームに対して融資を実行した…という形式が整うわけです。
まぁ、購入した不動産へ数日だけ住民票を移し、後日に戻す…という手法で悪用している人もいますから、決定的な対処法にはならないはずですけどね。
次は、新住所登記の「デメリット」です。
新住所登記のデメリット
新住所登記のデメリットもいくつかありますので、必ず把握しておいてください。
デメリット1…
新住所登記は、実は、法律違反です。
住民基本台帳法では、引越「後」14日以内に転入届 または 転居届を提出することになっています。新住所登記は引越「後」ではなく、引越「前」に住民票を移転するわけですから…法律違反ですよね。
区役所・市役所で手続きをする際に「引越はいつしましたか?」と聞かれるときがあるので「引越は終わっていますよ!」と言わなければいけません。つまり、嘘をつくことになる…これが最大のデメリットでしょう。嘘をつくのが苦手な人・どんなに小さくても法律違反をしたくない人は止めた方がイイですね。
デメリット2…
郵便物が入居前の新居へ届くことがあります。
建築中で郵便ポストがない新築一戸建ての現場や、中古物件で売主さまの表札が付いている現場だと、行政からの書類が返送されてしまい、行政に引越していないことがバレるかもしれません。
また、表札を付けていない現場(マンションの集合ポストなど)だと、居住中の売主さまが使用しているポストに買主さまの郵便物も届けられて混ざってしまうことがあります。引渡日の2週間以上前に住民票を移転する場合は、売主さまに保管してもらうように協力をお願いするか、郵便局で転送(引越先から現在の自宅へ)をかけておくのがよいでしょう。
建築中の現場なら仮のポストを設置しなければいけませんし、新築一戸建てならテプラなどで表札を作って貼ってこなければいけません。ちゃんと対応すれば、新住所登記は意外と手間がかかるんですよね…。
デメリット3…
日程がけっこうカツカツになりやすい。
住民票移転が早すぎると郵送物が届くことがあり、住民票移転が遅すぎると手続きが間に合わないことがあります。特に、夫婦ペアローンの場合、ネット銀行を利用する場合は注意しなければいけません。ここで詳細は解説しませんけど、ゆめ部長が「旧住所登記」を勧めたのに「新住所登記」を選ぶわけですから、しっかり協力してくださいね。
以上、3つのデメリットを紹介しました。
このデメリットを理解できていない不動産屋さんが多い印象です。たぶん、銀行の担当者さんもわかっていません…。だから、何も説明せず、気軽に新住所登記を勧めてトラブルになるのだと思います。
今まで聞いたことがあるトラブルとしては、居住中の売主さまの許可を得ずに住民票を移転したことがバレて怒られた…(怒るようなことではないかもしれませんが、残代金を受け取っていないのに自宅に住民票を重ねられたら気分は良くないかもしれませんね。)とか、役所で引越していないことがバレた…(引越していないと正直に言ってしまった。)とか、夫の印鑑証明取得は妻への委任状だけでは即日取得できないことを説明してもらえず、間に合わなかった…などがあります。
ゆめ部長のオススメ…
旧住所登記をしたとしても、売却時に少し費用がかかり、引越後に住所移転した住民票(原本)を銀行へ郵送するだけですから、ゆめ部長は「旧住所登記」をオススメしていますよ!!
2020年4月20日追記…
旧住所登記をした場合、引越後に住所移転した住民票を銀行に郵送するのではなく、住所変更登記を行い、登記事項証明書の甲区・乙区の住所を新住所へ修正するように求められることがあります。ゆめ部長がいつも利用しない地銀・信金などで求められることがあるようで、費用は3万円~5万円程度です。(売却時に抵当権抹消と一緒に依頼すれば1万円~2万円になります。)住民基本台帳法を改正して、2週間前でも住民票移転を受け付けてくれたらイイのにな…。
お子さんの通学・通園に気を付けよう
住民票で学区が決まることもあるようですので、お子さんの住民票を一緒に移動しても大丈夫かどうか…確認するようにしてください。
なお、銀行からは原則として「家族全員記載」の住民票を求められますが、お子さんの住民票は残したまま、ご主人さまだけ住民票を移転するのもOKだったことがありました。持分があるご主人さまだけ(夫婦ペアローンなら夫婦だけ)新居へ住所を移転した住民票があればOKなのか…も確認しておきましょう。
住民票移転時に注意してほしいこと
先ほども触れましたけど、「住民基本台帳法」には、転入日 or 転居日から14日以内に届出をしなければいけない…と記載されています。
つまり「引越後」2週間以内に手続きをするのが本来の正しいやり方になるわけですから、引越前に引越が終わったことにして「転入届」or「転居届」を提出すると、法律に違反したことになります。
とはいえ、金融機関から引越先の住所に変更された「住民票」と「印鑑証明書」の提出を求められることを役所は知っていますから、厳しく問い詰められることはないでしょう。少なくとも、ゆめ部長のお客さまが役所にお叱りを受けたことは1度もありません。
役所仕事ですから「実は…まだ引越できていないんですけど…いいですか?」なんて言われると担当者も困ってしまいます。だから、「引越は昨日終わりました!ふぅー疲れたなぁ~」と笑顔で言い切る!これがポイントになるでしょう。
最後に…
ちょっとだけ営業させてください。
ゆめ部長は新築一戸建ての購入を仲介手数料無料でサポートしています。よかったら、次の記事を読んでもらえると嬉しいです!⇒ 新築一戸建てを「仲介手数料無料 + 諸費用節約」で購入しよう! 皆さまからのお問い合わせを心よりお待ちしています♪
営業はここまでです。
新住所登記をするための解説をしてきましたけど、ゆめ部長なら「旧住所登記」を選びます。「法律違反」だと思うとちょっと気が引けますし、その他の手続きで忙しい時に、2つの役所を回るのも大変だからです。(転居届なら1つだけですね。)
多くのお客さまは「新住所登記」を選びますけど、皆さまはどうしますか?記事をしっかり読んで考えてみてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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