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2020年04月06日
不動産売買の知識

日本の不動産仲介業で「バイヤーズエージェント」を実現するのが難しい理由

不動産取引では、1社の不動産屋さんが、売主さま・買主さまの両方を担当する「両手仲介」が数多く行われています。買主さまは「安く買いたい!」という立場で、売主さまは「高く売りたい!」という立場。つまり…1社の不動産屋さんが売主さま・買主さまの両方を仲介する場合、買主さまを優先すれば売主さまが損をして、売主さまを優先すれば買主さまが損をする構造になっています。

 

不動産屋さんは、売買契約が成立すれば仲介手数料という報酬を得られます。自分がどやったら稼げるか?が最優先事項なので、売主さまが損をしようと、買主さまが損をしようと「知ったこっちゃない」というのがホンネでしょう…。

 

このように、利益が相反する両者を1つの不動産屋さんが仲介するのは明らかにムリがあるわけです。そこで、買主さまの利益だけを守ることに特化して不動産取引を成立させる専属のエージェントが求められ、誕生したのが「バイヤーズエージェント」です。

 

購入をサポートするのであれば、理想的なバイヤーズエージェント。しかし、日本の不動産仲介業で実現するのは非常に困難な状況にあります。この記事で、不動産仲介業の闇とあるべき姿について考えてみてください。

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~

バイヤーズエージェントは不動産仲介の理想的なスタイルだけど現実は…

買主さまの利益だけを考え、買主さまだけを味方する。買主さま専属のエージェントとして買主さまの不動産取引をサポートするバイヤーズエージェントは、本当に理想的だと考えています。

 

しかし、理想と現実は大きく異なるものですよね。

まず、日本の不動産仲介の実態を知っておきましょう。

 

現在の不動産取引では、売主さまから「3%+6万円」、買主さまからも「3%+6万円」の仲介手数料をもらう「両手仲介」を狙う業者が圧倒的多数だと言えます。

 

両手仲介が成立すれば「成約価格×6%+12万円」の報酬になるわけですから、不動産屋さんにとっては、買主さまが損をしようと、売主さまが損をしようと関係はなく、何とかして契約を成立させようと迫ってくるわけです。

 

ここの問題は、不動産屋さんが「自分が儲かるための契約」を目指すがために、高い仲介手数料を支払ってしてくれるお客さまの信頼を裏切っていることにあります。依頼者の利益を無視して自分たちの利益を追求するなんて、どう考えたっておかしいと思いますよね。

 

1つ具体例を考えてみましょう。

 

皆さまは5,000万円の中古戸建を気に入りました。この物件はA不動産会社の専任物件なので、売買契約になるとA不動産会社は両手仲介になります。

 

イメージできましたか?

 

室内は汚れ・キズ・不具合が多く、リフォーム費用の見積もりは200万円でした。この分を値下げしてほしいと考え「4,800万円で購入を希望します!」という内容で不動産購入申込書をA不動産会社へ提示しました。その際に「実は…とても気に入っているので価格交渉が通らなかったとしても購入したいです!交渉がダメなら再検討するのですぐに連絡ください!!」と伝えてしまいました。

 

結果、どうなったと思いますか?

 

結果は、価格交渉なしの満額で売買契約を締結しました。なぜ、価格交渉ができなかったのか。不動産屋さんの仕事の裏側を一緒に覗いてみましょうね。

 

実は、この物件にはB不動産会社から4,850万円で購入申込が入っていました。このB不動産会社のお客さまと売買契約になると、A不動産会社は両手仲介にならず儲かりません。

 

そこで、本当は4,900万円でもまとまりそうなところ、皆さまがすごく気に入っている弱みを突いて「価格交渉はできません!満額にしてすぐ契約しましょう!」と強引にまとめてきたのです。

 

B不動産会社には「満額で申し込みが入ったので、こちらを1番手にします。」と電話だけして価格アップの機会も与えません。B不動産会社には嫌われますけど、自分の売上は2倍になって大満足。

 

まぁ、売主さまには喜ばれたでしょうね。

でも、買主の皆さまはどうでしょうか?

 

A不動産会社の利益のために100万円高く購入させられて、仲介手数料は宅建業法の上限である「3%+6万円」を支払ったわけですから、「なんだそりゃあーー」となりますよね!?

 

両手仲介という日本における不動産取引の構造があるから、

 

売主さまだけの味方をする「セラーズエージェント」

買主さまだけの味方をする「バイヤーズエージェント」

 

のどちらも実現しづらい状況にあります。

 

ちょっぴり営業しちゃうと、ゆめ部長の不動産売却プランなら、売主さまだけを味方できます!興味があれば下欄のバナーをクリックしてみてくださいね!!

 

参考記事…

「両手仲介を狙った売却不動産の囲い込み」とは?実態と対処法を織り交ぜてわかりやすく解説します!

買主さまが「不動産屋さんに期待するサポート」は実現されない!3つの理由

日本の不動産仲介業をもう少し知っておきましょう。

 

マイホームを購入する場合、皆さんは不動産屋さんに対して次のようなサポートを期待しませんか?

 

■ 住宅ローンの返済シミュレーションとアドバイス

■ 自分に合った住宅ローンプランの紹介

■ 迅速な物件紹介と内覧手配

■ 物件の+ポイントと-ポイントの指摘

■ プロの物件調査と報告

■ 価格交渉

■ わかりやすい重要事項説明

■ 引渡までの手続きをスムースにするサポート

■ トラブル発生時の相談・解決

 

などなど。

 

マイホームは一生に1度かもしれない大きなお買い物ですから、要望が増えるのは当然のことだよね、と思います。

 

ところが…

 

普通の不動産屋さんでこんなサポートは行われません。

3つの理由を挙げて解説します。

 

理由1…

 

タダ働きリスクがあるから。上記のような要望に応えるために一所懸命サポートをしても、他社で購入されてしまえば努力は報われず、給料0円のタダ働きになります。仲介手数料が「成功報酬」ということに問題があります。

 

理由2…

 

すべての要望を聞いていたら、いつまで経っても契約ができないから。1組のお客さまのために10回も現地案内を繰り返していると、上司から怒られてしまいます。「そんな客追ってないで、契約になる客を追えよ!」と…。ダメな上司は嫌ですね。会社勤めだと不動産仲介の仕事はオモシロくないので、仕事が好きなら独立しましょ。

 

理由3…

 

充実したサポートを行えるだけの知識・経験・専門性が欠けているから。宅建試験に合格していない営業マンもたくさんいる困った業界です。宅建試験に合格するのは入口でしかないのにな…。

 

不動産屋さんの報酬体系が厳しく制限されすぎている

不動産会社の考え方が金儲け主義すぎる

営業マンのレベルが低すぎる

 

これでは、売主さまだけを味方するセラーズエージェントとは呼べないですし、セラーズエージェントが仕事として成立しづらいですよね。

 

参考記事…

宅建マイスターが考える仲介手数料の成功報酬制廃止【不動産業界の改善点 】

ゆめ部長が不動産購入をサポートするなら!!

ゆめ部長が購入をサポートするならこうしたい!

そんな理想を語ってみます。

 

「はじめまして、こんにちは。」の挨拶は、落ち着いて話ができる場所での面談からスタート!!

 

マイホーム購入のきっかけ・希望・予算・期限などをヒアリングして、一緒に購入計画を組み立てます。その日のうちに物件紹介を行い、次回のアポイントは現地内覧をセットします。その際に、住宅ローンの審査で必要な書類を集めていただき、気に入った物件が見つかった時にはすぐに動ける準備だけ先に済ませておきます。

 

現地内覧で「ここに住みたい!」と思える候補物件に巡り合えたら、物件調査を行い、価格交渉も行います。その結果として「この物件はご縁がなかったと思ってやめましょう。」というアドバイスも正直に伝えてあげたいですね。

 

契約書類はゆめ部長が責任を持って作成して、わかりやすく重要事項説明を行います。ストレスなく、スムースに手続きできるように、早めにわかりやすいご案内を作成します。

 

そして、お引渡が終わった後でも、トラブルがあれば相談に乗り、解決方法を一緒に探してサポートしていきたい。

 

どうでしょうか?

 

ここまで頑張るのが本来のあるべき姿だと思います。でも、このような本気のサービスをする「バイヤーズエージェント」が、日本の不動産仲介であたり前になるのは、まだ先のことになるでしょう。(…もしかしたら、永遠に実現できないかも。)

 

現在、ゆめ部長の購入サポートは「仲介手数料無料 or 半額」にしているので、上記のようなサービスまでは実現できないんですけど、いつかは、サービスに見合った報酬を買主さまから受領することで、本気のセラーズエージェントを実現したいと願っています。この時は、売主さまからの報酬0円・買主さまから4.5%とか、いろんな報酬形態が許されて欲しいものです。

不動産仲介業の闇を知っておこう!

不動産会社が売主の場合

不動産会社ではない個人が売主の場合

 

2つのケースに分けて解説してみます。

【1】新築戸建やリノベーション物件など、不動産会社が売主の物件

売主が不動産会社のリノベーション済みマンションを契約したとします。そうすると、不動産仲介会社は、売主の不動産会社と買主さまの両方から、それぞれ「3%+6万円」の仲介手数料をもらうことができます。

 

バイヤーズエージェントを行う場合、ここに問題が生じます。

 

不動産仲介会社は売主さまからも仲介手数料をもらっていますね。つまり、不動産仲介会社にとっては、買主さまだけでなく、不動産会社の売主業者も「お客さま」になります。

 

利益が相反する売主さま・買主さまの両方がお客さまになったら、買主さまだけの利益を考え、味方をするバイヤーズエージェントにはなれません。バイヤーズエージェントとして仕事をしたいなら、売主さまから仲介手数料をもらったらダメなのです。

 

しかし、先ほども書いた通り、不動産屋さんは両手仲介を狙っていますから、売主さまからの仲介手数料を放棄するとは考えづらいでしょう。「バイヤーズエージェント」を掲げている不動産仲介会社でも、売主さまからの仲介手数料をもらっていることがあるようです。これでは、本当のバイヤーズエージェントではありませんので、名前に騙されないように注意しましょう。

 

ゆめ部長が考えるバイヤーズエージェントを実現させる方法は、買主さまから「3%+6万円」の仲介手数料をもらい、売主さまからの仲介手数料を放棄するというものです。

 

この場合「売主の不動産業者からもらえる仲介手数料分は値引できるよね?」と考える人もいるようですけど、それでは、売主の不動産業者から仲介手数料をもらっているのと変わりません。もちろん価格交渉も頑張るのですけど、その他の条件も含めて、売主さまの立場になり、遠慮なく要望を出せることにバイヤーズエージェントの価値があることを理解してください。

 

ただし、不動産会社が売主の物件でバイヤーズエージェントを実現させるには問題が2つあります。

 

1つ目…

 

売主の不動産会社が「メンドウな客はお断り!」と考えていることです。「ウチはその人に買ってもらう必要なんかないんだよ!」という話は何度も聞かされました。売主の不動産会社はムダに強気すぎますから、買主さまの要望を言い過ぎると嫌われてしまい契約できなくなってしまうリスクがあります。

 

2つ目…

 

買主さまが「3%+6万円」以上の仲介手数料を支払うことはないだろうな…という問題です。宅建業法で定められた上限「3%+6万円」ですら「高すぎ!!」と感じているようですから、4.5%・5%・6%を請求しても受け入れられない気がします。まぁ、不動産屋さんの努力次第かとは思いますけどね。

 

参考記事…

売主の不動産会社から「メンドウな客?それなら申込いらないから。」と言われている…そんな残念な裏話

【2】居住中の中古戸建・中古マンションなど個人が売主の物件

個人が売主の中古マンションを契約したとします。そうすると、不動産屋さんは買主さまからのみ「3%+6万円」の仲介手数料をもらうことができます。先ほどのリノベーション済みマンションでは「6%+12万円」だったのが半分になりますね。

 

不動産屋さんは何を考えるかわかりますか…?

 

本当は個人が売主の中古マンションがお客さまの希望にあっていたとしても、不動産屋さんが儲かるリノベーション済みマンションを買うように必死で営業をかけてきます。

 

信じられないかもしれませんが、これが現実です。

 

バイヤーズエージェントとしてのプロ意識がないと、儲かる方へ気持ちが簡単に流されてしまう可能性大だと思います。

 

この記事を書いている2018年8月時点では、売手市場が続いています。この状況で、バイヤーズエージェントとして買主さまのために頑張りすぎると、売主さま側から「申込を受け付けません。」と言われてしまうおそれがあります。

 

また、売主さま側の不動産屋さんは自分で買主さまを見つけたいわけですから、売主さまへ「メンドウなお客さんだから断っていいんじゃないですか?」と伝えて申込を壊そうとするかもしれません。

 

2020年4月6日追記…

コロナウイルスの影響で不動産取引は厳しいものになると予想されます。経済の停滞は不動産価格に影響を与えますから、不動産価格は下落していくかもしれません。オリンピック閉幕後あたりから「売手市場」が終わり「買手市場」へ転換していくと予想していましたが、この予想は前倒しになる気がしています。これからしばらくは、バイヤーズエージェントが活躍できる時かもしれませんよ!

これからどうなる…?日本の不動産仲介業

不動産取引は年々難しくなってきています。

 

宅建業法改正では、インスペクションと瑕疵保険の項目が増えました。マンションの定期点検に関する説明事項や、自然災害に関する事項の説明も必要になりました。

 

金融機関の競争が激化したことで住宅ローン商品が増え、不動産仲介の現場が混乱していますし、お客さまの働き方が多様化したことによる住宅ローン審査の難化もなかなか辛い問題になっています。

 

正直、不動産取引の現場では「よくわかっていない人」「ついていけていない人」がものすごく増えている印象があります。

 

こうなると、頼りない不動産屋さんに疲れたお客さまを中心に「安心できる取引をサポートして欲しい」という要望が高まり、自分だけの利益を守ってくれるプロの不動産屋さんを探す時代が来る予感がします。

 

本気のサービスを提供する場合、宅建業法で定められた仲介手数料の上限「3%+6万円」では経営が厳しいはずですから、同時に「仲介手数料の自由化」が議論され始めて近い将来に実現されて欲しいと願っています。

 

ゆめ部長の経験を紹介すると…

 

価格交渉

金融機関と住宅ローン商品の紹介

住宅ローン控除

贈与税の非課税枠拡大

すまい給付金

 

などのアドバイスを行い、合わせ技で数百万円の利益を出したことが何度もあります。しっかり買主さまに利益を出し、かつ、プロとしてのサポートを提供できる実力があれば、1取引で成約価格の5%を仲介手数料として受領してもいいのでは…そう考えています。

 

もっとお客さまの満足度が高いサービスを提供できなければ、生き残れない時代になる!マジメに働くゆめ部長にとって、この荒波は大歓迎かも。

最後に…

不動産取引は難しくなっているのに、仲介手数料無料サービスなどの登場により、仲介手数料額は年々減ってきているという問題があります。

 

そして、不動産取引の難しさは、法律や制度の改正だけではありません。「悪質クレーマー」としか思えない人への対応にも時間を取られるようになってしまいました。

 

それでも耐えて仕事をしているわけですけど、私たちの仕事は「All or Nothing」「0 or 100」です。住宅ローン審査を通して現地を10回案内したとしても、未公開物件が出てきて他社で契約になってしまえば、今までの仕事はタダ働きになってしまいます。

 

こんな問題を抱えた業界だからこそ、お客さまの利益を考えている余裕がないのだと考えています。

 

これから「バイヤーズエージェント」「セラーズエージェント」は増えてくると思いますけど、上記のような問題を解決できない限り、増えるスピードは加速できないでしょう。

 

1つ1つ問題が解決され、お客さまのために頑張る健全な業界になれるように、まず、「セラーズエージェント」・「仲介手数料半額の不動産売却」この2つのサービスを通して、業界に一石を投じたいと思います。

 

1歩ずつでも、着実に歩んでいきます。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参考記事…

不動産売却は「セラーズエージェント」にお任せください!

 

お知らせ…

「セラーズエージェント」「手数料0円売却」は現在準備中です

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年、仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも…不動産業界にはなんか暗いイメージがあり、このままではダメだと思っています。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人たちが楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。会社が幸せの発信基地になり、小さなHAPPYが拡がって欲しいと願っています。できることを1つずつ。コツコツ「幸せの種」をまいていきたいですね。
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