レインズ(REINS)をわかりやすく解説!
レインズ(REINS)とは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略で、不動産屋さん専用の物件検索サイトのことです。
不動産屋さんに集まってくる「売りたい」「買いたい」という情報をマッチングさせることで売買契約を成立させる役割を持ちます。不動産取引の透明性と、適正・円滑・迅速な取引の実現を図ることを目的にしたもので、国土交通省と ( 公財 ) 不動産流通推進センターが共同して設計・開発した情報処理システムです。
不動産売買を行う前にレインズの仕組み・ルールを抑えておくことは有益なので一緒に勉強しておきましょう!
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
レインズを詳しく解説 (興味なければ飛ばしてOK)
レインズは国土交通大臣の指定により、全国で次の4機構が設立されています。
■ ( 公財 ) 東日本不動産流通機構
■ ( 公社 ) 中部圏不動産流通機構
■ ( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構
■ ( 公社 ) 西日本不動産流通機構
ゆめ部長は、( 公財 ) 東日本不動産流通機構を利用しています。東日本は東京だけでなく、北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・新潟・山梨・長野をカバーしています。
指定流通機構の会員となるためには、全国宅地建物取引業協会連合会 ( 全宅 ) ・全日本不動産協会 ( 全日 ) ・不動産流通経営協会 ( FRK ) ・全国住宅産業協会 ( 全住協 ) の構成員であり、宅建業を営む会社である必要があります。なお、宅建業法違反をしていると会員になれないこともあります…。
レインズのシステムは7:00~23:00まで。12月28日~1月3日までは休業となります。早朝深夜に物件検索できないのは、営業職としては少し不便に感じるところですね。
レインズの仕組み(不動産売却サポートの例で説明します)
上記の図は、ゆめ部長が「売却」をサポートする際に、レインズを使って情報を拡散させるイメージをまとめたものです。1~4を順番に見てみましょう。
STEP.1
「ゆめ部長に売却を任せてみよう!」と決断したら「媒介契約」を結びます。
STEP.2
物件外観・室内・周辺環境の写真を撮影して販売図面を作成します。この販売図面はレインズに登録されます。
STEP.3
レインズに情報を登録すると、そのエリアで活動している不動産屋さんが情報をすぐに見つけてくれます。不動産屋さんは毎日レインズで最新情報をチェックしていますから、あっという間に情報を拡散できます。
STEP.4
情報を見つけた不動産屋さんは、販売図面を使って登録顧客へ物件を紹介します。さらに、新規の買主さまを見つけるために、自社のWebページやスーモなどのポータルサイトへ物件を掲載したり、新聞折込・店頭図面掲載・現地販売会開催・近隣へのポスティングなどの広告活動を行ってくれます。
ちょっと深堀…。
STEP.1 ~ STEP.4の流れで情報を共有する…。実は、これは理想論であって現実の利用方法とは異なっています。この話は長くなるので、理解するために必要なキーワードだけ抑えておいてください。
「片手仲介」
売主さまだけを担当する または 買主さまだけを担当するの片手仲介です。売主さまだけを担当すれば、仲介手数料は売主さまからしかもらえず、買主さまだけを担当すれば、仲介手数料は買主さまからしかもらえません。売主さまを担当する不動産屋さんと、買主さまを担当する不動産屋さんの2社が売買契約に係わる形態になります。
「両手仲介」
1社の不動産屋さんが、売主さま・買主さまの両方を担当します。仲介手数料は売主さま・買主さまの両方からもらうことができるため、片手仲介の2倍儲かる契約形態です。
「囲い込み」
不動産売却を依頼されたら、片手仲介ではなく両手仲介したいのが不動産屋さん。レインズに掲載した結果、他の不動産屋さんが買主さまを見つけてしまうと片手仲介になってしまうため、他の不動産屋さんが売却物件を紹介できないように妨害する行為のことです。
詳細は次の参考記事に詳しく書いてあります!
レインズは性善説に立ち、不動産屋さんがお客さまの利益のために一所懸命がんばることを前提にしています。とてもよいシステムですが、しっかり機能していないのがすごく残念です。
参考記事…
不動産購入をサポートする場合
今度はゆめ部長が「購入」をサポートする場合を説明します。
お客さまから購入希望条件をヒアリングしたらレインズで物件を検索します。90%以上の物件は販売図面が登録されていますので、希望に合いそうな物件の販売図面をまとめてお送りします。物件概要・写真・間取図などが1枚の図面に集約されているので見やすくて比較検討しやすいと思います。
ただ、最近はレインズへ掲載されている物件のほぼ全てがネットに掲載されるようになりましたし、両手仲介を狙っている不動産屋さんはレインズよりも先にスーモなどのポータルサイトへ掲載しますから、レインズで物件検索する意味があまりなくなってきています。
それでも、物件検索が苦手なお客さま、時間がないお客さまのために、ゆめ部長がオススメできる物件を探すことはよくあります。
なお、新築一戸建てやリノベーション済みの中古物件など、不動産屋さんが売主になる物件はレインズへの登録義務がありません。そのため、皆さんが大好きな「未公開物件」はレインズに掲載されていません。レインズに掲載された時点で「未公開」ではなく「公開」ですからね。
感覚としては、販売物件の70%~80%くらいがレインズに掲載されているのかな…と思っていますが、エリアによって掲載率は変わるみたいですよ。
レインズへの登録期限が法律で定められている
先ほどのSTEP.1では「媒介契約」とまとめてしまいましたけど、媒介契約は全部で3種類あります。宅地建物取引業法(略して宅建業法「たっけんぎょうほう」)でレインズへの登録期限が次のように定められています。
■ 専属専任媒介契約は媒介契約締結日の翌日から5営業日以内
■ 専任媒介契約は媒介契約締結日の翌日から7営業日以内
■ 一般媒介契約は登録義務なし
不動産屋さんの定休日は日数にカウントしませんし、媒介契約を結んだ日の当日も含みません。たとえば、火曜日と水曜日が定休日の不動産屋さんと日曜日に専属専任媒介契約を結ぶと、1日目が月曜日、2日目が木曜日…5日目が日曜日となります。
また「媒介契約締結の日」とは、媒介契約書を交付した日ではなく、媒介契約締結の意思の合致があった日となります。そうしないと、不動産屋さんが書類を交付せず、いつまで経ってもレインズに登録しない可能性があるためです。
なお、一般媒介契約はレインズへの登録義務はありませんが「レインズの利用規定」では、積極的に登録するように要請されています。しかし、大手も含めてマジメに登録している不動産屋さんは少数派と言えるでしょう。
レインズ登録証明書を受け取って登録内容を確認しよう
不動産屋さんがレインズに情報を登録すると「登録証明書」が発行されます。発行後、売主さまへ交付するように義務付けられていますが、交付していない不動産屋さんもたくさんありますから確認をお忘れなく!
登録証明書の下欄には、URL・ID・パスワードが記載されています。ログインした後、書面の右上にある「取引状況」が「公開中」になっていること、販売図面が登録されていることを確認しておいてください。
なお、取引状況は次の3種類があります。
■ 公開中
■ 書面による購入申込みあり
■ 売主都合で一時紹介停止中
「公開中」以外であれば「囲い込み」をするつもりかもしれません。もし、見つけた場合は指摘して修正してもらってくださいね。
注意!!
不動産屋さんに「囲い込み」をさせないための新しい取り組みですけど、これだけで囲い込みをしているかどうかの判断はできないため、実はたいした効果は見込めません。
なぜなら…
レインズに情報は登録してある。
取引状況は「公開中」になっている。
しかし…
担当者が電話に出ない。
「お客様の都合で内覧できません」とウソをつく
こんな対応をして囲い込みを隠そうとするからです。きっと囲い込みだろうな…と気が付くことはできても、確定的な証拠を突き付けるのは少し大変なのです。
「じゃあ、どうしたらいいんだーー!」と思ったら、上の方に貼っておいた参考記事「囲い込み」とは?両手仲介を狙う不動産業界の闇をわかりやすく解説を読んでみてくださいね。
レインズへ成約情報を登録して査定に役立てる
不動産屋さんはレインズに物件の販売情報を登録します。物件が成約したら、成約年月日・成約価格の情報をすぐにレインズへ登録しなければいけません。なお、レインズに登録義務がない一般媒介契約の場合も成約情報の登録に努めることとされています。
多くの不動産取引事例データをレインズに蓄積できれば、不動産屋さんが査定をする際に貴重な情報源となります。成約事例のデータが多ければ多いほど相場を掴みやすく、売主さま・買主さまのどちらも納得のいく取引を実現しやすくなるわけです。
しかし…残念ながら、大手でさえ登録義務を果たしていないことが結構あります。査定で競合した際に売主さまから査定書を見せてもらうと、自社で成約した物件情報を査定書に綴じ込んであるんですよね…。他社の成約事例を査定で使わせてもらっているのに、自社の事例はレインズに登録しないで秘密にするという姿勢が良くありません。
マメ知識 「守秘義務」 VS 「情報公開」…
成約情報は個人情報を含むものになりますから、宅建業法第45条の守秘義務が課されます。しかし、宅建業法第34条の2第2項 ( 査定金額の根拠を明示する義務 ) を果たすために必要な限度においては、この義務を守らない「正当な理由」があるとされています。つまり、査定金額の根拠を示すためにレインズの成約事例を活用することは守秘義務違反ではないということです。ただし、成約事例の取り扱いには十分な配慮を求められますから、査定の依頼者さまにも協力をお願いしています。
レインズは一般公開されるかも…?
レインズ会員の不動産屋さんにはIDとパスワードが発行されています。アカウント情報を教えてしまえばお客さまも閲覧できますけど、今のところ、一般公開されていないため、お知らせすることはできません。
しかし、不動産屋さんだけが情報を知っている「情報の非対称性」がお客さまに不利益を与えてきた歴史がありますし、不動産テック(不動産×リアルエステート=リアルエステートテック)の波が押し寄せていますから、レインズの一般公開は近いうちに実現されるかもしれませんね。
最後に…
不動産売買をする人がレインズの仕組みを知ることで、不動産屋さんが悪さをしづらくなったらイイなぁ~なんて期待を込めて記事を執筆しました。
不動産屋さんに騙されないためには最低限の知識を身につける必要があります。この記事を読んでオモシロイ!と感じてもらえたら、他の記事もどんどん読み進めてくださいね。
皆さんの不動産売買がうまくいきますように!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日