不動産売買における心理的瑕疵(欠陥)を勉強しよう!
売買する不動産において、過去に自殺・他殺などの事件事故や自然死で発見が遅れたなどの事情があった場合、不動産の流通性が下がり、不動産価格は下落します。自分が購入するなら事前に「知りたい情報」でも、売却する立場になると「黙っていたい情報」になり、告知義務があるかどうかが争われることがあります。この点に関して、間違った情報を信じているお客さま・勘違いしている不動産屋さんがたくさんいるため、勉強しながら情報をまとめてみたいと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
「心理的瑕疵」とは…
心理的瑕疵(しんりてきかし)とは、不動産取引で使われる言葉で、心理的抵抗を受ける可能性があることを言います。不動産で自死・孤立死・病死・事故死・殺人事件などが過去に発生していた場合、「怖い…」と感じる人はたくさんいるのではないでようか。このような心理的抵抗のことを心理的瑕疵と呼びます。なお、「心理的瑕疵」は法律用語ではなく、裁判では「心理的欠陥」と表現されることが多いみたいです。
不動産取引で心理的瑕疵が注目を浴びたのは、事故物件公示サイト「大島てる」が有名になったのが大きいと思います。このサイトは自由に投稿できるシステムになっているため、あっという間に情報が集まり、注目を浴びたのでしょう。
上級宅建士「宅建マイスター」のセミナーで勉強したことですが、「大島てる」は不動産屋さんなら誰もが知っているサイトなので、このサイトに掲載されている情報に関しては、宅建士は確認した方が良いとのことでした。(嫌がらせ、間違いによる投稿もありますし、全てが網羅されているわけではない点には注意が必要です。)
不動産取引のプロとしてCS(顧客満足)を第一に考えた仕事。これからの時代、さらに重要になりそうですね。
参考Webページ… 大島てる
参考知識1…
2020年4月1日に新民法が施行され、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変わりました。しかし、「瑕疵」という言葉は、不動産取引において、キズ・欠陥・欠点を表すものとして浸透しているため、今後も利用して問題ないそうです。
参考知識2…
言葉の使い方も気を付けましょう。
■ 自殺 ⇒ 自死
■ 孤独死 ⇒ 孤立死
「殺」という言葉にはネガティブなイメージがあります。「孤独」は、亡くなった方がどう思っているか…?によるはずなのに、勝手に孤独だと決めつけているわけですから、使い方には注意しなければいけませんね。人権感覚は大事。
2020年6月29日追記…
この記事を執筆してから「特殊清掃」というお仕事に興味を持ちました。最近、ネット記事やYoutube動画などでよく目にするようになりましたので、皆さまも知っているかもしれませんね。ゆめ部長もいくつか記事を読み、動画も見てました。そこで「孤立死」に関して学んだことを追記しておきます。
まず、厚生労働省が発表している「日本の1日」を見てください。(平成26年~平成29年)
日本で1日に亡くなる人は3,672人
がん :1,022人
心疾患 : 559人
脳血管疾患 : 301人
事故 : 111人
仕事中の事故: 3人
老衰 : 279人
自死 : 58人
こうやって見ると、寂しい気持ちになりますね…。
なお、孤立死は年間3万人。
1時間あたり3人にもなるそうです。
人はいつか死にます。
どこで死ぬかなんてわかりません。
たまたま自宅で亡くなっただけで、「孤独死」と言われたり、「心理的瑕疵」と表現されてしまいます。「孤独死」という言葉からは「寂しい人」のような雰囲気が感じられますし、「心理的瑕疵」という言葉は法律違反でもしているような印象すらあります。でも、批判されるようなことではないんですよね。
そこで、孤立死に関しては、「孤独」や「死」という言葉を使わないで表現する方法が考えられているそうです。亡くなった人の尊厳や家族の気持ち。そこにも思いを巡らせながら、不動産取引の現場でお仕事をしていきたいと思いました。
すいません…余談が長すぎました。
話を戻しますね。
不動産屋さんの心理的瑕疵に関する調査義務
通常、仲介会社は心理的瑕疵に関する調査義務がありません!!
ちょっと…驚きましたか!?
実は、ゆめ部長も驚きました。正直、弁護士先生の講習会で、不動産屋さんに心理的に関する調査義務がない!と明言されるとは思いませんでした。
紹介された判例の一部を紹介すると…
対象物件が自殺等の事故物件であることは極めてまれな事態であることからすれば、事故物件性の存在を疑うべき事情がない場合にまで、売買の仲介に当たる宅地建物取引業者に事故物件であるかを調査すべき義務があると認めることはできない。(事故物件であることを疑うべき事情があれば、独自に調査して、その調査結果を説明すべき義務は負う。)なお、控訴人らは隣人に確認すれば容易に事故物件であることを確認できたことを指摘するが、この点は調査義務の有無を左右する事情には当たらない。
売主さまから告知を受けたり、物件調査の過程で知った場合なら、宅建士は説明する義務を負いますが、あえて「心理的瑕疵の有無」を調査する必要はないということです。
でも…これってどうなんでしょう?
今ではWebサイト「大島てる」が有名になりました。Webサイトで検索すれば、売買対象物件における心理的瑕疵の有無が2分~3分で最低限は確認できてしまいます。それでも、調査する義務がない!と言い切ってしまっても良いのか…。
正直、ゆめ部長は違和感があるんですよね。
不動産取引はテクノロジーの力によって大きく変わり始めていますから、古い判例に捉われすぎるべきではないような気がします。この点は要注意かな…と考えていますが、皆さんはどう思いますか??
次は、心理的瑕疵の説明義務について見ていきましょう。
不動産屋さんの心理的瑕疵に関する説明義務
不動産取引においては、
■ 売主さまの守秘義務(宅建業法45条・75条の2)
■ 買主さまへの重要な事項の告知義務(宅建業法47条第1項)
この2つが衝突する場面があります。
守秘義務と告知義務。どちらも大切な権利ですね。
さぁ、どちらを重視すれば良いでしょうか?
答えは … 「告知義務」です。
不動産仲介会社の宅建士は、高額な不動産取引をトラブルなくサポートすることが仕事です。心理的瑕疵について知っているのであれば、売主さまに取引の安全性を確保することの大切さをしっかり説明し、告知することの同意を得なければいけません。もちろん、プライバシー・個人情報の取り扱いには十分に配慮し、亡くなった方・遺族のことをむやみに話さないことが大切ですよ。
もう少し詳しく見ていきましょう。
「告知するべき瑕疵に該当するかどうか…?」はどうやって判断すればいいと思いますか?たとえば、次のようなケースはどうでしょうか。
■ TVでも取り上げられた一家惨殺事件
■ 夫婦喧嘩で夫が刺殺された事件
■ 近隣トラブルによる前面道路付近での殺人事件
■ 自死
■ 病死・自然死・事故死で当日発見
■ 病死・自然死・事故死で3か月後に発見
■ マンションで飛び降り。部屋近くで死亡
■ 風呂場で心臓発作。病院で死亡。
どうですか?
判断が難しくないですか??
不動産屋さんと上記事例について話をすると、「告知するべき瑕疵に該当するかどうか」について、勝手な思い込みで、「該当しない。だから説明義務はない。」と判断する人がたくさんいることに驚きます。宅建士によって判断基準が異なれば、消費者が困惑してしまうので困ったものですよね…。ちなみに、ゆめ部長は宅建マイスター(上級宅建士)としてCSを意識した仕事をしていますので、上記事例は全て告知します。
2021年12月15日追記…
2021年10月8日 国土交通省が心理的瑕疵に関する告知のガイドラインを策定しました。これで、勝手な基準で「説明義務なし。告知はいらない!」と不動産屋さんは言えなくなるでしょう。詳細は次の項目で解説しますね。(追記・終)
次に、心理的瑕疵の存在を説明されていなかったことで、買主さま が 売主さま を訴えて裁判になった場合について勉強しておきましょう。
弁護士先生のセミナーで教えてもらった基準を紹介します。
説明義務の対象となるか(瑕疵に該当するか)についての3原則と4要素
3 原則
【1】個別性の原則
【2】時間希釈の原則
【3】本来非公開の原則(事件の詳細を聞く権利はない!)
4 要素
【1】事故の態様と場所
【2】事故後契約までの経過期間
【3】事故の公知性(購入者・借主が事故を知る蓋然性)
【4】契約の目的と状況
ちょっと難しいですよね…(汗)
いろんな判例を読んでみると、上記の内容を裁判官が考慮して判決を出しています。
たとえば…
数十年前、地方にある一戸建で殺人事件発生。長時間経過しているにもかかわらず、地元では誰もが知っている話であり風化していなかった場合、この事件を買主へ告知しなかった売主に損害賠償責任があるとされた事例があります。
この事例のように、上記基準「3原則と4要素」を使って判断しなければいけない理由は、心理的瑕疵について明確なルールが決められていないからです。流動的・柔軟な対応が必要であり、事例の積み重ねから判定するしかありません。だから、難しいんですよね…。
2021年12月15日追記…
上記追記の通り、心理的瑕疵に関する告知のガイドラインが定められましたので、説明義務の有無に関する判断は簡単になるかもしれません。ただ、買主さまが心理的瑕疵が存在するかを重要視しているかどうかによる…という曖昧な留意事項が定められていることから、今後も説明義務の有無を巡るトラブルを完全に防ぐことは困難だと言えるでしょう。やはり、知っていること・簡単に調べられる範囲については、全て説明するべきだという考えに傾いていきます。(追記・終)
最後に、弁護士先生からの注意事項を紹介しておきます。
先生は自死・事故について全て伝えることには否定的な立場でした。人が亡くなることはプライベートなことであり人に話されたくない内容のはず。また、遺族にはプライバシーもあるのだから、否定的にとらえるべきことではない。とのお話でした。
参考記事…
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
2021年12月15日追記した項目です。
国土交通省が心理的瑕疵に関する告知の基準「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を令和3年10月8日に策定しました。このガイドラインは、学識経験者による議論・過去の裁判例の蓄積などを踏まえ、現時点で妥当と考えらえる一般的な基準を取りまとめたものになるため、今後、このガイドラインに基づく取引事例が積み重なる中で内容が修正されていく可能性があるそうです。
それでは、概略を解説していきます。
調査について…
不動産屋さんは、売主さまに対して、心理的瑕疵に該当する事項について「物件状況報告書」へ記載してもらうことで調査を行います。もし、知っている事実を隠してしまい「告知事項なし」と虚偽の記載をした場合、売主さまは損害賠償請求される可能性があります。
不動産屋さんの調査方法が「売主さまからの告知」になるため、Webサイト「大島てる」やインターネット、近隣聞き込みなど自発的に情報収集する必要がありません。「大島てる」のチェックだけであれば、すぐにできるのに…と思いますが、情報に正確性がないため不要らしいです。
なお、マンションの取引では、物件調査として、管理会社から「重要事項に係る調査報告書」を取得するため、そこに心理的瑕疵に関する情報が記載されていないか?については当然確認する必要があるでしょう。
告知について…
ガイドラインで「告知不要の場合」が定められました。
【1】
自然死・日常生活の中での不慮の死(転落事故・誤嚥など)
【2】
マンションの隣接住戸、共用部分で起こった「自死や他殺」・「遺体の発見が遅れて行われた特殊清掃」
不動産屋さん・大家さんからすれば、ありがたい基準になりそうですが、隣・上下階の部屋で他殺があったのに気にならないって…そんなことあるんですかね??ニュースなどで凄惨な事件が報じられた後、みんなが退去してしまった…なんてこともあるわけですから「一般的な感覚」からはズレた基準だと思います。
なお、【1】【2】に該当するケースでも下記の場合は告知しなければいけません。
■ 事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案
■ 判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合
■ 心理的瑕疵について買主さまから問われた場合
■ 把握しておくべき特段の事情があると認識した場合
う~ん、告知不要なケースがだいぶ減りそうですね。
さらに、「留意事項」では次のように記載されています。
個々の不動産取引においては、買主・借主が納得して判断したうえで取引が行われることが重要であり、宅地建物取引業者においては、トラブルの未然防止の観点から、取引にあたって、買主・借主の意向を事前に十分把握し、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識した場合には特に慎重に対応することが望ましい。
買主さまに「心理的瑕疵は気になりますか?」と尋ねれば、ほぼ全員が「気になる」と回答するはずであり、「気にならない」と回答しても「金額が安ければ…」という条件が付くのではないでしょうか。そうすると、「買主さまの意向を十分把握する」ことを不動産屋さんへ求めてしまったら、実質的に、全て説明しなければいけないことになり「告知不要」なケースはなくなってしまいそうなのですが…これは逆にトラブルを生む可能性もあるのではないでしょうか??
ちょっと否定的な意見を書いてしまいましたけど、1つの基準を提示したことは大きな一歩であり、意味があったことだと考えています。「不動産屋さんの責任」「財産価値減少への不安」「知る権利」「遺族感情」など全てのバランスを取るのは難しいですけど、どちらかに寄りすぎず、安心して不動産取引ができる環境になるように、みんなで意見を出していけるとイイですね。
最後に、まだ、ガイドラインで示されていない事項を記載しておきます。
■ 建物が取り壊された場合の土地取引
■ 搬送先の病院で死亡した場合
■ 転落により死亡した場合の落下開始地点
参考…
参考記事…
新民法施行!不動産売買契約での注意点
2020年4月1日に施行された新民法第95条第1項では、次のように定められています。
意思表示は、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
んー、これも、わかりづらい。
つまり…買主さまが不動産屋さんに対して
■ 陽当り・風通し・眺望が良いマイホームを購入したい!
■ 閑静な住宅街でのんびり生活したい!
■ 霊感があるから事件事故がある物件は避けたい!
など、購入目的や要望を伝えた場合、売買契約書・重要事項説明書に容認事項として心理的瑕疵が明記されていたとしても、この目的や要望を満たしていないなら契約解除のリスクが生じることになります。
新民法はすでに施行されましたけど、不動産取引の現場では、まだ対応しきれていないと言えます。もし、買主さまが「あれも嫌、これも嫌、ついでに、それも嫌!」と言ったらどうするんでしょうね…?
新民法はこれから勉強会が開かれると思いますので、積極的に参加して学び、このWebページに反映させていきます。
心理的瑕疵の判例を確認してみよう!
判決で示された結論は、他の全ての事案に妥当するものではありません。様々な事情を斟酌(しんしゃく)して、個別事案ごとに判断する必要があります。このことを念頭に、具体的にどんな判断がなされたのかを確認してみましょう。
損害賠償額の判例
■ 事例1…
8年前に殺人事件発生。しばらく建物は残っていたが解体して半年後に売却。引渡後、買主が殺人事件があったことを知り裁判。心理的瑕疵にあたるとして、売買代金の5%に相当する損害賠償請求を認めた。(大坂高判 H18.12.19)
■ 事例2…
売買契約の3年7ヶ月前、アパート火災による死亡事故発生。買主は建売会社で5棟の新築一戸建てを分譲する計画を立て更地で契約した。売主の告知義務違反による賠償責任を認めたものの、5区画の内の1区画に対してのみ、売買代金の10%足らずの200万円が相当とされた。(東京地判 H22.3.8)
■ 事例3…
投資用不動産の売買契約。契約の約2年前に元所有者の娘が睡眠薬を服用。病院に搬送され、2週間後に病院内で死亡。軽微な瑕疵ではあるが、不動産減価による損害額を売買金額の1%とした。(東京地判 H21.6.26)
■ 事例4…
交差点を隔てた対角線の位置に、暴力団事務所があることが判明。宅地として通常保有すべき品質・性能を欠いているため、暴力団事務所の存在は土地の瑕疵にあたるとして、売買代金の20%に相当する損害を認めた。(東京地判 H7.8.29)
マンション内に暴力団組員がおり、住人に迷惑が及び行為をしていた事例では、売買代金の10%に相当する損害を認めた事例もあります。(東京地判 H9.7.7)
■ 参考:瑕疵に該当するとされた事例…
売買されたマンションが前入居者によって相当長期間にわたり性風俗特殊営業に使用されていたことが心理的瑕疵に該当するとされた。この事例では、売主に対する損害賠償は認めず、仲介会社に対して慰謝料70万円を限度として請求することを認めた。(福岡高判 H23.3.8)
瑕疵に該当しないとされた判例
■ 事例1…
土地の売買において、17年前に発生した焼死者を出した火災事故は土地の瑕疵に該当しないとされた(東京地判 H26.8.7)
■ 事例2…
建築中のマンションのエレベーターシャフト内で発生した作業員の死亡事故は瑕疵に該当しないとされた(東京地判 H23.5.25)
■ 事例3…
マンションの5階にある1部屋を売買。過去に4階部分で傷害事件があり、犯人がエントランスで自死した事件は瑕疵に該当しないとされた(東京地判 H15.9.19)
心理的瑕疵あり物件の下落額を経験値で語る
ゆめ部長の経験から、心理的瑕疵物件の販売価格を語ってみます。
ゆめ部長は東京23区と周辺エリアを中心に仕事をしています。そのため、不動産の流通性が高いエリアになりますので、地方と比べれば、心理的瑕疵による不動産価値の下落は少な目だと思います。この前提で読んでみてください!
知り合いの不動産屋さん(買取・リフォーム専門)から10年くらい前に聞いた話では、凄惨な殺人事件があった部屋でも問題なく売れるとのことでした。
商品化するために…
■ 特殊清掃
■ お祓い
■ フルリノベーション
などを行い、見た目ではわからない状況に仕上げると、事件をしっかり告知しても相場の30%減であれば都心は売れる!と教えてくれました。
かなり安い金額で仕入れられる場合があるみたいで、「結構、儲かったんだよね~」と嬉しそうに語っているのを思い出します…。
次は、ゆめ部長の感覚で語ってみます。
自然死・病死であり、亡くなってすぐに発見された場合なら、価格下落はなしでも売れますし、価格交渉で100万円~200万円下げれば問題なく売れます。
発見が遅れた場合でも、特殊清掃・お祓い・リノベーションを行っているのであれば、価格下落は 10%~15% くらい、建物が解体されていれば 5%~10% くらいでしょう。
殺人事件・自死だと、ちょっと辛いですね。特殊清掃・お祓い・リノベーションを行っているのであれば、価格下落は 20%~30% くらい、建物が解体されていれば 15%~20% くらいでしょうか…。
不動産屋さんによっては「価格下落は50%だ!」と言いますけど、そこまで下げなくても売れると考えています。
じゃあ、「殺人事件の現場を売ってよ!」と言われると、ビビりなゆめ部長はドキドキしてしまうのですけどね…。でも、売主さまが一緒に頑張ってくれるのであれば、しっかりお祓いをしてサポートすることはできます。
怖い気持ちより、プロ意識ですね。
参考サイト…
賃貸の心理的瑕疵
ゆめ部長は売買専門ですし、基本的にはマイホームのみで投資用物件は取り扱っていません。正直…賃貸のことはよくわかりませんので、簡単に触れるだけにしておきます。
賃貸は売買よりも心理的瑕疵の責任は軽くなるようです。
1つ判例を見ながら勉強してみましょう。
(東京地判 H19.8.10)
東京23区1R 単身者向け10室アパート 203号室
平成15.10 賃貸借契約 月額6万円
平成17.10 更新
平成18.10 室内自死
この事例の結論…
■ 相続人・保証人の両方に損害賠償請求が認められた。
■ 極短期間で退去していなければ2次賃借人に告示義務はない
■ 隣接する部屋(103・202・204)への告知義務はない
■ アパート賃借希望者への告知義務はない
■ 損害:賃貸不能期間1年間、減額期間2年間
6万円×12ヶ月、3万円×24ヶ月とした。
心理的瑕疵物件の説明義務について、1つの考え方を示した判例として参考にはなりますが、全ての事案に妥当するわけではない点に注意が必要です。
余談ですけど…
事故物件に1度賃借人が入ればその後は告知しなくても構わないと考え、「お化けなんているはずがない!非科学的だ!」という人に短期間居住してもらうアルバイトが話題になりましたけど、これは微妙みたいですよ。
2020年6月29日追記…
東京都が「賃貸物件は心理的瑕疵に該当する事件・事故などがあったとしても、5年経過すれば説明しなくて構わない」という基準を過去に作ったそうですけど、これは、すぐに取り下げられてしまったようです。事件・事故・自死などであれば、賃貸物件だったとしても知っておきたいと思いますよね。なぜ、こんな基準を出してしまったのか…よくわかりません。
2021年12月15日追記…
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインでは、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した場合は告知義務がないと定められました。借主さまは納得できないんじゃないかな…。
今後の日本では心理的欠陥がある不動産が増える
日本は「高齢化社会」⇒「高齢社会」⇒「超高齢社会」へと突入しています。
高齢化社会:65歳以上の人口割合が7%超
高齢社会 :65歳以上の人口割合が14%超
超高齢社会:65歳以上の人口割合が21%超
平成29年の内閣府発表データによると高齢化率は27.7%
さらに、2065年には38.4%になると予測されています。
人口が減少し、高齢者が増加する…。
医療費は増大し、多死社会になる。
必然的に孤立死が発生する件数は増加するものと思われます。
自死に関しては警視庁のデータで「自殺者数の年次推移」を見てみましょう。
平成10年に3万人を超え
平成15年には34,427人になり
平成23年までは3万人を超えていました
平成24年からは2万人台になり
令和元年は20,169人でした
令和元年まで10年連続で減少してきましたが、コロナ禍による経済苦で自死が増加するのでは…と懸念されています。このまま減少してほしいと願うばかりですが、疫病流行・大地震・リーマンショックのような経済危機が発生すると、自死は増える傾向にあるそうです。
最後に…
この記事でまとめた内容は、2021年12月15日時点のものになります。新しい判例やセミナーで勉強したことがあれば、どんどん加筆していく予定ですので一緒に勉強していきましょう!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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