不動産の瑕疵(かし)やデメリットを隠す売主さまにNO!売却依頼をお断りしてこそプロの仕事!
不動産売却をすることになったとき、皆さまは「マイホームの不具合を正直に絶対報告する!」と言い切れますか?「ちゃんと説明するよ!あたり前じゃん!!」と言ってくれる人もいると思いますけど、不具合を告知してしまうと100万円単位で金額が下がるかもしれない場合、残念ながら、本来は誠実な人であったとしても嘘をつきたくなってしまうみたいなんですよね…。
売主さまがどんなことを隠したがるのか…ゆめ部長の経験から5つの話を紹介しますので、誠実でいることの「難しさ」と「大切さ」を一緒に考えてみませんか??
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
【1】修繕積立金が崩壊していることを隠す売主さま
修繕積立金というのは、マンションの共用部分(外壁・屋根・エントランス・廊下など)を維持・修繕するために行われる「大規模修繕」に備え、所有者が毎月お金を積み立てる制度のことです。管理費と一緒に口座から引き落とされるのが一般的ですね。
この修繕積立金の計画があまかったために、1年に1度開催される総会で次のような議題が話し合われていることがありました。
■ 修繕積立金を段階的に値上げして数年後に5倍に上げる
■ 各住戸の所有者が臨時負担金として100万円を負担する
恐ろしい話ですよね(汗)
同じマンション内の類似物件が3,000万円で成約していた履歴があったとしても、このように具体的な議題が直近であがっていたとしたら、どうなると思いますか…?
マイホームを購入する立場で考えてみるとよくわかりますけど、大幅に値段を下げてもらわないと絶対に購入しないはずです!!修繕積立金の負担が重くのしかかるだけでなく、修繕積立金制度が崩壊しているマンションは、流通性が下がり、資産価値も大幅に減少してしまうのは簡単に予想できることですからね。
売主さまが安い修繕積立金しか支払ってこなかったということは「今まで支出を安く抑えられてきた」わけですから、この価値減少分は売主さまが負担するべきだと言えるでしょう。
ところが…。
このような議題が上がっていることを隠そうとする売主さまが意外と多くいます。1年に1度開催される総会では議事録が配られますし、修繕積立金を上げるという話を聞いたら気になって仕方がないはずですから「知らなかった」はずがないわけです。
しかし、自分からはこの問題をしゃべらない…。
ゆめ部長が調査をして「修繕積立金が大幅に上昇する予定があるようですけど…?」と聞くと、「そうだっけ?でも予定があるだけだから、買う人に伝えなくていいでしょ?うまくやってよ。」なんて言われたこともあります。
いいわけ…ないですよ(怒)
【2】近隣での自死・他殺・自然死などの心理的瑕疵を隠そうとする売主さま
一戸建てでも、マンションでも、室内だけでなく、周辺での「自死」「他殺」「自然死」などは重要な問題ですよね。このような物件の問題を心理的瑕疵(しんりてきかし)と呼びます。
霊感はなかったとしても、マイホームやその近所で心理的瑕疵があったら怖すぎますから、多くの買主さまが購入を諦めてしまうでしょう。
そうすると、売主さまはどうするか…。
「過去のことだからバレないよね?」
こうやって言い訳するようになります。
確かに、裁判例などを見ても、告知すべきかどうかに明確な基準は定められていないため、難しい問題のように感じられるかもしれません。しかし、心理的瑕疵は些細な事でも告知するのが原則です。
ゆめ部長は霊感がありませんからユーレイを見たことはありません。でも、購入するなら、早めにお祓いを依頼しなければ怖くて室内に入ることすらためらわれます。
だから心理的瑕疵は絶対に教えて欲しい!!
それに、心理的瑕疵があれば資産価値が下がりますから、どうしても購入したいのであれば金額交渉することも検討しなければいけません。
数千組のお客さまとお話をしてきた経験から言いますと、目に見えないものを恐れるこの感覚は特別なものではなく標準的なものです。「オレは怖くないぞ!」とか…そんな売主さまの発言は受け付けませんよ!
もし、心理的瑕疵を隠して契約してしまうと、売買契約が終わった後でも損害賠償請求される可能性が高いと言えます。裁判例を見ても損害賠償請求を認めていますので、正直でいることが大事ですね。
ゆめ部長は次のような心理的瑕疵があれば必ず告知しています。
■ 浴室で心臓発作。病院で死亡。
■ マンション内で飛び降り。101号室前で死亡。
(上階の401・701号室などを売却する場合)
■ 20年前に他殺。
賃貸に出して5組が居住した後に売却。
■ お年寄りが孤独死。1か月後に発見。
■ 建物建築中に職人さんが事故死。
心理的瑕疵が「軽度」だと判断できれば、販売図面には「告知事項あり」とは記載せず、内覧希望があった時に説明するにとどめます。
もちろん、売買契約時の「物件状況報告書」「重要事項説明書」「売買契約書」には、売主さまを守るためにも心理的瑕疵の内容を記載しています。
霊感の有無・ユーレイが怖いかどうかなどは個人差があります。気にしない人は気にしないでしょうけど、認識の違いで大きなトラブルに発展しやすい問題と言えますよね。
ちょっと補足…
心理的瑕疵は「個人情報」だから秘密にしておきたい。そう考える気持ちはわかります。しかし、不動産は高額な商品になりますから、買主さまの「取引の安全性」も守らなければいけません。この点はご理解ください。
それと、多くの不動産屋さんが独自の見解で心理的瑕疵の有無を判断していますが、ハッキリ言って危ないです。なぜ勝手に判断するのか…その自信が謎です。不動産屋さんが「告知不要!」だと言っていたからって安心しないようにご注意を。
2021年8月24日追記…
令和3年に「不動産取引における心理的瑕疵に関するガイドライン」の案が国土交通省から発表されました。(追記・終)
参考記事…
【3】隣人トラブルを隠そうとする売主さま
隣人トラブルって…実はたくさんあるんですよね。
ゆめ部長が過去もっとも衝撃を受けた話は…
【汚物を●●●して、近隣にばら撒く人がいる。】
●●●は衝撃的過ぎて秘密です。どうしても聞きたい人は、ゆめ部長に会った時に聞いてください。でも、気持ち悪くなるから聞かない方がいいかも…。
他には、こんなこともあります。
■ 介護している両親のオムツを庭で燃やして悪臭がする。
■ 暴力団事務所が近くにあり、抗争中は怖い人と警察が増える。
■ オペラ歌手?が練習中に窓を全開にして美声を披露している。
■ ゴミ袋を全て空けて中身をチェックするおじさんがいる。
■ 私道を我が物顔で占拠する人がいる。
■ 朝から晩までワンちゃんが吠え続けている。
■ 子供の足音がウルサイからって天井を棒で何度も突いてくる。
などなど。
まぁ、世の中いろんな人がいますからね。人それぞれ感じ方も違うから難しい問題になっています。「感じ方が違う」というのは便利な逃げ言葉になっているのかな??
売主さまは悪意で教えてくれないことがありますけど、隣人トラブルだと思っていないことがあります。特に自宅として住み続けていると感覚がマヒしてしまうのは理解できるところではあります。
というわけで、売主さま・買主さまの両方へアドバイスを送りますね。
売主さまへ…
とにかく、自分がマイホームとして住み始めたと仮定して想像しましょう。「聞いてなかったぞ!」と怒りたくなりそうなことがあれば、必ず、買主さまへ告知してくださいね。
買主さまへ…
一生に一度の大きなお買い物!失敗はできない!!というのであれば、自分の足で現場を歩き、自分の目で周辺を確認し、自分の耳で近隣住民から情報のヒアリングを行いましょう。なお、有料サービスになりますけど、近隣トラブルを調査してくれる会社があります。気になる人は次のサイトをチェックしましょう! 近隣調査トナリスク
【4】雨漏り・傾きなどを隠そうとする売主さま
雨漏り・傾きなど、建物の問題を隠そうとする売主さまも意外と多くて困ります。
ゆめ部長がお客さまと内覧したマンションの話をしましょう。
築年数がかなり経っているマンションの最上階でした。駅近の立地であり、お孫さんにすぐ会える距離だったことをとても気に入ってもらえました。しかし、このお部屋はゆめ部長が購入をストップしました。
なぜなら…
室内に入ってすぐ、カビ臭くて、ジメジメしているように感じられました。天井を見ると、天井と壁の角がグルっと一周薄いピンクの線が入っていましたから雨漏りが疑われます。しかも、1つの部屋だけでなく、全室同じ状況でした…。
売主さまは数年前にリノベーション済みマンションを購入したと言っていました。そうすると、わずか数年でカビだらけになっていたことになります。
売主さまと担当の大手仲介会社に聞いてみたら「あれ?これ、なんでしょうね~」と、とぼけられてしまいました…。あとで調べてみると、過去に雨漏りが問題になり、管理組合で検査をしたものの原因を特定できなかった…ということが判明しました。やっぱり、売主さまは何か知っていたはずなんですよね。
こういうの…ダメですよ。
ゆめ部長が売主さまを担当していたら、原因究明してくれないなら媒介契約を解除するほどの悪質な案件です。
参考記事…
【5】故障・不具合・キズ・汚れを隠そうとする売主さま
故障・不具合・キズ・汚れは大した問題じゃないと思いやすく、中古物件だから「経年劣化」があるのは当然だよ!と軽く考えがちかもしれません。でも、高額な不動産を購入する買主さまも同じように考えるでしょうか…?
答えは「NO!」です。
高額な商品を購入するのだから、ハウスクリーニングをして、故障不具合は全て補修してもらえると思っている買主さまの方が多いくらいですからね。
もちろん、現況で引き渡しをすればOKなんですけど、販売活動をスタートする前に補修・クリーニングをしておき、補修しきれない部分はしっかりと告知しておくべきです。
例えば…ゆめ部長はこんなことをされた経験があります。
■ 床のシミを隠すためにマットを敷いていた
■ 壁の穴を隠すために絵を飾っていた
売買契約が終わり、無事に引き渡しが完了したら逃げ切り成功!と思うのかもしれませんけど、そうはいきません。「経年劣化」かどうか…が争いになる可能性はありますけど、故意に隠していたキズで補修に多額の費用がかかるのであれば損害賠償請求される可能性はあるでしょう。
「黙っておいてよ!」
「これくらい…イイいでしょ?」
何度も聞かされてきたこのフレーズ。
正直、気分悪いですよ。
買主さまから指摘された場合、故意に隠していたものまで、ゆめ部長が売主さまを守ることはできません。なんでもかんでも不動産屋さんに責任を押し付けようとする人が増えていますので、不動産屋さんも自己防衛のために厳しくならざるを得ないケースがあります。ちょっと悲しいですけどね…。
参考記事…
誠実でいることの難しさと大切さ。
ゆめ部長の経験から5つのお話をしてきました。
いかがでしたか………?
やっぱり、お金が絡んだり、メンドウやリスクを被りそうになると、人はごまかそうとしてしまうものかもな…と感じていただけましたでしょうか?
別に、隠そうとしてしまったことを悪くは言いません。だって、人間はそういうものだと思いますからね(苦笑)でも、そんな弱さを認識できれば改善することもできるはず。
不動産売買は、売主さまにとっては大事な資産の売却で失敗はできません。また、買主さまにとっても大きなお買い物であり、家族を守るための大切な資産になりますから失敗はできません。
お互いに重要な取引になるわけですから、契約内容の履行だけでなく、思いやりを持った対応をすることも意識してください!
何かトラブルが発生したとき、そこに至るまでのやり取り次第で、トラブルを円満に解決できるかどうかに大きな影響があるものです。ゆめ部長は「相手への思いやり」と「誠実な行動」は自分を守ることにも繋がると考えています。
最後に…
真っ直ぐ不動産では、売主さまに寄り添いながら売却をサポートしています。しかし、売主さまに寄り添うからと言って、買主さまを騙してよいというわけではありません。あくまでも、物件力を高め、魅力を引き出し、情報を拡散させることで高値・早期の成約を狙うサービスですから、ここは間違わないでくださいね。
ゆめ部長は、プロとして、不動産取引を安全・安心に実現させたいと強く願っています。デメリットを隠して高値成約を狙いたい!という売却依頼に対しては、ナマイキながらお断りすることをご了承ください。
今日も5,000文字オーバーの長文になってしまいました(汗)本日も最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
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