不動産買取業者に売却すると「相場より20%~30%安い」はウソかも!?
インターネットや雑誌で「不動産買取業者へ売却すると相場より20%~30%も安くなってしまう!」という話を目にしたことはありませんか??5,000万円が相場なら3,500万円~4,000万円になってしまいますけど、本当にそこまで安くなってしまうものでしょうか。不動産取引の最前線で働いている感覚では「そんなに安くない!」と感じていますし、現在の不動産取引は売手市場が続いていることからも「ウソ情報」じゃないかな…と思っています。
この記事では、溢れかえる情報で迷ってしまわないように、不動産業界の裏側を解説しながら、不動産買取業者の選び方・売却時の注意点・買取のメリットとデメリットなどをわかりやすく解説します。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
安く売らせて小遣い稼ぎ!?悪徳仲介会社は実在する
まずは、衝撃的な裏話を暴露するところから始めましょうか…。
仲介会社が不動産買取業者へ仕入案件を紹介するとき、相場よりも安い金額で話をもっていけば「お小遣い」をもらえることがあります。この「お小遣い」は、1万円・5万円とかの少額ではなく、30万円・100万円という大金になることがよくある。そう聞いたら…驚きますか??
ゆめ部長は、サラリーマン時代、仕入業務に携わったことがあるんですけど、大手仲介会社の担当者から最高で150万円も請求されたことがあります。他には「領収証は発行したくないから商品券で30万円ちょうだい」とか「会社にバレないように現金で利益の一部をバックして!」とかもありました。物件紹介にはお小遣いの相談もセットだったのです。
もっと驚く話をしておきましょう。
「あの人、あの現場を、あの業者に買ってもらっただけで300万円もらったらしいよー」なんて噂を聞いたことがあります。領収証なしで300万円…これ、脱税ですよね。
ここで記事のタイトルをもう1度見てください。
不動産買取業者に売却すると
「相場より20%~30%安い」はウソかも!?
わかってきましたか?
仲介会社は買取業者からお小遣いをもらいたくて、「安い金額でしか売却できない!」と言い張って売主さまを丸め込もうとするかもしれないのです。
不動産買取業者への売却は、メリット・デメリットがあります。メリットに魅力を感じられる場合は前向きに検討してよいと思いますが、「相場よりも20%~30%安くなるのがあたり前」という営業トークにはダマされないように注意してくださいね。
ここで言っているのは、ムダに安い金額で売却させられないように注意してほしいということです。▲30%になるのが当然な不動産だってもちろんあります。また、「安く売らされた!」と主張する人が相場を掴めていなくて、実は、妥当な金額だった…なんてこともよくあります。
適正価格で不動産を売却するのは意外と難しいものです。だからこそ、信頼できる不動産屋さんを味方に付けなくちゃいけないわけです!!
ゆめ部長の売却サポート…
不動産買取業者のメリット・デメリット
不動産買取業者へ売却するメリット・デメリットをまとめてみます。
【メリット】
■ 決断が速く現金化を急げる
■ メンドウな責任が発生しない
⇒ 契約不適合責任免責
■ 現況での引渡も相談できる
■ 住宅ローンによる契約解除がない
■ 近隣に知られずコッソリ売却できる
■ 広い土地でも1度の契約で完了できる
【デメリット】
■ 売却金額が相場よりも安くなる
■ 買取に条件を付けられることがある
⇒ 確定測量の実施
⇒ 私道の通行掘削承諾取得など
不動産売却で優先させたいことを明確にできていれば、上記のメリット・デメリットを見ながら簡単に判断できますよね!
なお、条件を付けないように交渉することもできますけど、その分、契約金額が下がっていきます。測量はしたくない…、隣地ともめているから境界確認をしたくない…、私道の承諾書を取得したくない…全部OKにしてくれる会社は金額でバランスを取っているだけです。
ゆめ部長が不動産買取業者の買取を提案する具体例…
具体例1…
離婚が決まり近所に内緒で売却を終わらせたいという相談があった場合。
具体例2…
経営している会社で急な資金が必要になったなど、早期に現金化したいという相談があった場合。
具体例3…
実家を相続したけど、住んだことがないため建物の状態がわからない。契約不適合責任を負うのは不安だから免責で契約をしたい場合。
具体例4…
再建築不可・借地権などで売買契約までに相当の時間がかかることが想定されるため、早期に決着をつけたいという相談を受けた場合。
具体例5…
ゴミ屋敷・事件事故物件で現況売却が困難な場合。
具体例6…
土地が広くて一括購入の需要がない場合。
「時間」「リスク」「めんどくさい」をお金で解決するイメージを持つとわかりやすいかな??と思います。
次に、不動産買取業者の裏側を見ていきましょう。
不動産買取業者の利益はどれくらい?
不動産買取業者は、新築住宅を建築したり、リノベーション工事を実施することで不動産の価値を高めます。知識・経験・アイディアにより、かけた費用以上の価値を生み出すことで利益をあげているのです。また、売主さまの「時間」「リスク」「めんどくさい」を引き受ける分も会社の利益になります。このリスクを最小限にして利益を上げられるか…?ここがプロとしての力量が問われる部分です。
知識・経験・アイディアがあり、
時間をかけ、
リスクを取り、
メンドクサイことにも対応する。
だから、ある程度の利益を見込めなければ、不動産を買い取ることはできません。では、実際にどれくらいの利益を見込んで事業化するのでしょうか…?買取事業の裏側をのぞいてみましょう。
買取業者によって狙う利益は異なります。最近は競争が激しいため、販売価格の10%前後という会社が多いように感じますけど、15%以上や20%以上という強気の会社もあります。5,000万円で販売予定なら、一般的に狙う利益は、400万円(8%)~750万円(15%)くらいだと思います。
「そんなに儲かるの!?」と思いましたか…?
たしかに、1つの取引で数千万円儲かる案件もありますけど、同じ額だけ赤字になるリスクだって負わなければいけません。不動産は本当に恐ろしいもので、リーマンショック・東日本大震災などであっという間に倒産した会社はたくさんあるんですよ。こんなリスクを負いながらビジネスをするわけですから、多めの利益はあって当然だと思います。
ただ、今は圧倒的に売主さまが強い時期です。不動産買取業者の競争も激化していますから、強気な利益設定ができない状況になっていることでしょう。
不動産屋さんの醍醐味!?…
再建築不可の土地・マンション用地に隣接する袋地・底地などを安く仕入れて、利益率100%・1,000%・3,000%という莫大な利益を出せることだってあります。不動産の醍醐味はこういうところ…らしいですよ。
不動産買取業者の中で高値買取できる会社
広めの土地は買取業者の提示金額に大きな差が出やすいです。たとえば、土地の真ん中に新しい道路をいれて5棟現場にする買取業者と、新しい道路はいれないで6棟現場にする買取業者では、6棟現場を企画できた方が利益を増やせるため買取金額を上げられます。
1棟でも多く商品化するためには、分割方法を検討する企画力だけでなく、行政との調整能力も必要になるでしょう。このように、少しでも利益を上げられるように工夫できる買取業者だと、高値の買取金額を提示してくれやすくなります。
土地の仕入競争に勝たなければ、建売分譲ができず売上を作れないため、工夫して生み出した利益の大部分を買い取り金額に上乗せして提示することが多いそうです。これができる買取業者は良い物件を買い漁っていますよね~
参考知識…
大きな土地は個人で購入する需要が少なく、小さく分割して売却しようとすれば「宅建業の免許」が必要になります。1度の土地売却のためだけに宅建業免許を取得するのは現実的ではないので、不動産買取業者への売却を検討することになります。詳しくは… 不動産を何度も売却するなら宅建業の免許が必要になる!
不動産買取業者との契約実績
【1】2000万円後半のチャレンジ価格で販売していたマンション
築30年過ぎているマンションで室内は荒れ放題。売主様からの許可を得て土足で入室するほど汚れていました…(汗)
ゆめ部長の査定金額は2,000万円台半ばでしたが、高めの金額で販売してみたいとの要望があり、2,000万円台後半から販売を開始しました。金額が高すぎるため、予想通り内覧はほとんどなく、せっかく見に来てくれたお客さまからは「室内が汚くてムリ…」という感想でした。
値下げしないと絶対に売れないな…と思っていたところ、不動産買取業者さんから「2000万円台半ばで購入を検討したい」という驚きの提案をもらいました!
「販売が好調過ぎて在庫がなくて困ってます。」と言っていましたが、リノベーションした後の販売価格は、駅に近くて、築年数が新しいマンションと同じくらいになると聞いていたで、正直、「本当に買ってくれるの…?」と半信半疑だった記憶があります。
結局、他の部屋の取引事例から算出した最初の査定金額とほぼ同じ金額で無事に契約!もし…相場の▲20%~▲30%でしか買い取りできないなら1,750万円~2,000万円にしかなりませんでした。この案件は幸いなことに▲5%未満で成約できましたから、わからないものですよね。
【2】5,000万円台後半で販売していた中古戸建
中野区にある中古戸建のお話です。
物件情報をうまく拡散させることができて現地内覧は20件以上ありました。ところが…3か月経っても売れる気配が一切なく時が過ぎていきました。内覧はたくさんありましたけど、残念ながら「金額が高い」と評価されてしまったようです(涙)
住み替え先をの目途が立ったので「そろそろ、200万円だけ値下げしてみましょうか…」なんて打ち合わせしていたところに、不動産買取業者から「300万円下がれば買い取りしたいです!値下げは検討できませんか?」という嬉しい相談が届きました。
現金化まで1カ月
契約不適合責任免責
現況引渡でOK
300万円だけ値下
売主さまからすると、
飛び上がるほど嬉しいお話でした。
内覧したお客さまからは「5,000万円前半まで下げられないですか?」との相談がいくつかあったので、このあたりが相場だったはずです。もし、タイトル通り、相場の▲20%~▲30%だったら4,000万円前後…恐ろしいくらいの大損になってしまいますよね。
というわけで、結論!!
「不動産買取業者への売却は相場より20%~30%安くなる」という噂は間違っている可能性が高い。必ずしも20%~30%安くなるわけではない!
2021年9月28日追記【重要】
20%~30%安くなる場合がない!とは書いていません。たとえば、1,000㎡の土地に200㎡の道路を新設して100㎡×8区画にして分譲する場合、買取業者さんが販売できるのは800㎡分しかありませんので、近隣の1坪あたりの単価(1区画100㎡くらい)と比べれば、買取価格が20%~30%安くなるのは当然です。この記事で伝えたかったのは、絶対に20%~30%安くなるわけではないから、信頼できる不動産屋さんを見つけて相談してほしい!ということでした。(追記・終)
最後に…
ゆめ部長は高値成約を目指していきたいので、業者買取を積極的にお勧めしてはいません。それでも業者買取のメリットが魅力的であれば、複数の不動産買取業者さんへ物件情報を流すことで高値成約を狙っていきます。
また、業者買取の場合はゆめ部長の仕事が楽になりますし、業者さんから仲介手数料をもらえますので、売主さまからの仲介手数料は無料で構いません。高値で買える会社を見つけたうえで仲介手数料無料。これなら納得できますよね??
いろんな選択肢を提案するためには、売主さまへのヒアリングがとっても大事になります。売却を検討中でしたら、一度どこかでお会いしてお話を聞かせてください。お問い合わせを心よりお待ちしています!!
ちょっと補足…
ゆめ部長は「不動産買取業者」ではありません。売主さま・買主さまを結ぶ「仲介会社」になります。「ブログ記事を読んだんですけど、ゆめ部長は相場で買い取ってくれるんですよね?」というお問い合わせがありましたので補足しました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
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