専任物件の抜き行為が多すぎるので対応策を調べてみました。罰則・違約金・費用償還など
前回の抜き行為に続き、ゆめ部長の専任物件へまたまた抜き行為を狙った手紙が投函されていました…。売主さまが呆れた様子で写真を送ってくださったのが下の画像です。あまりにも頻発するので、対応策を調べてみました。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
どんな手紙が入っていたのか文章を見てみましょう~
言いたいことが山積み過ぎて笑っちゃう手紙を公開します。問題だと思う箇所はピンクでツッコミ・解説を入れてみますので、一緒に手紙を読んでみましょう。それではどうぞ~(オレンジが原文です。)
突然のお手紙失礼致します。●●コンサルティングの●●と申します。●●様のご所有されております『●●マンション●●号室』ですが、ご購入を希望されているお客様を、直接ご紹介させていただけないでしょうか。
ゆめ部長は売却不動産を囲い込まずに「完全公開」しているのに、貴社からのご案内がいまだにないのですけど、まさか…これからお客さまを探すつもりですか!?
他社様を通してご案内する事も可能なのですが、
そうしてください。お願いします。
情報伝達等の手続きが煩雑になってしまいますと、
内覧予約をいれるのがそんなに大変ですか…?
購入意欲にも少なからず影響いたしますので、
こんな手紙を投函する暇があったら予約してくださいよ…。購入意欲に影響するんですよね?
直接お話しを進めることが出来れば双方のメリットにつながるのではと考えております。
売主さまが御社の提案を受けて売買契約をした場合、媒介契約を解除していなければ約定報酬額に相当する金額を違約金として請求できます。
また、解除していたとしても、ゆめ部長に落ち度がない場合は「媒介契約履行にかかった経費の償還」を請求できます。つまりメリットよりデメリットの方が大きくなる可能性が高まるのです。
私どものスタンスとして、常にオーナー様のメリットを最重視し、
オーナー様のメリットを最重視するということは、高値で購入するお客さまを見つけてきてくれることであって、貴社に仲介手数料を支払いながら相場で購入したいお客さまと契約することではありません。
売買・賃貸問わずに保有物件の最大限の活用法をご提案させて頂いております。●●様のご希望に合わせ、売買・賃貸同時募集のご提案等、柔軟かつ積極的に対応させていただきます。もしご興味を持っていただけましたら是非一度、私宛にご連絡いただけますでしょうか?
つきましては、私の携帯番号をお伝え致しますので、携帯、もしくは会社までご連絡を頂ければと思います。ご連絡、楽しみにお待ちしております。宜しくお願い致します。
会社ロゴ・会社情報つき
仕事が雑すぎて…(笑)
ここまでしっかり証拠を残していくものかなフツウ…。文章がおかしいことも考えると、会社が若者の新人さんに抜き行為をやらせているのかもしれませんね。
担当者と会社名は伏せておきました。戦ってもいいのですけど、ムダに争うことはできるだけ避けたいので、売主さまからクレーム・相談がなければ、とりあえず1度目は見なかったことにしています。
追記…
抜き行為に関する「違約金の請求」「費用償還の請求」を書き足していた時に、ふと手紙を置いていった人が気になってみたのでネットで調べてみたら、30代・業歴7年の営業マンでした。新人じゃないなら、重罰を科せるようにした方がいいんじゃないかな?
不動産の抜き行為はそもそも違反なの…?
抜き行為を理解するために具体例で見てみましょう。
ゆめ部長が売主さまと専任媒介契約を締結していたとします。この場合、●●コンサルティングが購入希望者を案内したいときは、販売の窓口になっているゆめ部長を通さなければ内覧できません。これが専任媒介契約というものです。
それにもかかわらず、●●コンサルティングが売主さまへ直接コンタクトを取って説得した結果、媒介契約期限前にゆめ部長との専任媒介契約を解除して●●コンサルティングと専任媒介契約を結び直します。そうすると、何の落ち度もないゆめ部長がお客さまを奪い取られたことになります。
このような行為のことを「抜き行為」と言いますから、どう考えても悪いことなのは間違いありません。それでは、何を根拠に●●コンサルティングが「違反」だと言えるのでしょうか?
国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく専任媒介契約書の条文には特に記載されていませんが、レインズ利用規定第14条 ( 情報の利用 )には「元付業者の承諾を得ることなく、売却等依頼者への連絡・交渉をしてはならない」と記載されていますから、ここにひっかかります。
また、東日本レインズ 処分規定には、専任媒介を受けている不動産屋さんの承諾を得ずに売主さまへ連絡・交渉した場合、注意・戒告の処分を受けると記載されています。さらに、売買契約まで成立させた場合はレインズの利用を6か月以上停止できるとされています。
売主さまにも責任は発生します。
上に記載した内容と重複しますけど、専任媒介契約書の条文には ( 違約金の請求 ) ・ ( 費用償還の請求 ) という2つの条文があります。
違約金の請求…
専任媒介は複数の不動産屋さんに依頼できません。それにもかかわらず、依頼者が重ねて売却を依頼して売買を成立させた場合、約定報酬額に相当する金額の違約金の支払を請求できると書かれています。
ゆめ部長との専任媒介契約を解除したうえで、●●コンサルティングと専任媒介契約を結び直したなら、ここは問題ないでしょうけど、この担当者だとこの点も不安ですね。
費用償還の請求…
不動産屋さんに落ち度がないにもかかわらず、専任媒介契約を解除した場合、媒介契約履行のために使った費用の償還を請求できると書かれています。
抜き行為をした会社に仲介手数料を支払い、解約をした不動産屋さんからも違約金または費用償還を請求されてしまいます。まぁ、抜き行為に乗ったわけですから自業自得でしょうね。
最後に宅地建物取引業法(宅建業法)を見ておきましょう。
この法律は不動産屋さんからお客さまを守るものですから、不動産屋さん同士のトラブルには適用されません。抜き行為を「宅建業法違反だ!」という不動産屋さんを見ますけど、宅建試験の記憶をたどって冷静に考えてみましょう。宅建業法違反ではありませんよ!ましてや、お客さまに対して「宅建業法違反だ!」なんて言ったら恥ずかしいので、お気を付けください。
そういうゆめ部長も勘違いしていました…(汗)
東日本レインズへ抜き行為の罰則に関して聞いてみた!
東日本レインズへ電話で質問してみました。
その回答がこれ!
「レインズの登録情報を見て訪問していればアウトだけど、その他に情報掲載しているスーモ・ホームズ・アットホームなどを見て訪問していればレインズからは罰則を出すことができない」
とのことでした。
つまり…スーモや自社Webページに掲載している時点で罰則を適用するのが難しいということのようですね。(…罰則規定の意味ないじゃん!)
ただし、売主さまが「迷惑を被り困っているため対応策を講じてほしい」との意向であれば、経緯を報告書にまとめ、証拠品とあわせてFAXすることで事実確認をしてくれるとの話がありました。
その場合、相手側の業者が加盟している団体 ( FRK・全日・全宅・全住協 )とレインズが協力して事実確認を行い、 規定に抵触していれば罰則を適用することを検討してもらえるそうです。
罰則は先ほども書きましたけど、売主さまへ無断で連絡・交渉すれば「注意」または「戒告」、売買契約まで成立させれば「6か月以上のレインズ利用停止」となります。しかし、この処分規定は残念ながら「基準」でしかないそうです。
おそらく、大手が訴えられても処分がくだされないように、天下り先の人たちが妨害してくるのでしょう…。ゆめ部長は大手に抜き行為をされて売買契約までされた経験もありますが、この1件のみで、大手仲介会社が6か月もレインズを利用できなくなる…そんなことは通常は考えらえられませんよね。
明確な規定を作って運用しなければ意味がありません。処分規定が「基準」でしかないって…実質処分できないのと同じ意味だと感じました。
記事を書いてから考えたことを追記…
スーモに掲載されているのを見て訪問しているなら、レインズからは罰則を出せないというのはおかしなことです。レインズを確認するだけならわずか1分・2分。ちょっと調べればいいだけのはず。
マンション内に「売却物件募集」のDMを送るなら、すでにレインズに登録されている部屋がないかを確認し、その部屋は除外しなければいけないとテキストに書いてあったのを読んだことがあります。
これと同じ考え方をすれば、やっぱりダメですよね。複雑にしないでアウトにした方が良いと思います。罰則が強化されることを切に願います!!
都庁の不動産業課にも聞いてみた!
納得がいかずモヤモヤするので、次は都庁の不動産業課にも電話をしてみました。
売主さまが宅建業者から夜間に訪問されたり、しつこい勧誘を受けている場合は宅建業法違反になるため指導の対象になるそうですが、直接訪問しただけでは宅建業法違反ではないため都庁からの指導はないとのことでした。
都庁は宅建業法違反を扱っているわけですので、宅建業法上問題がないと言われればどうしようもないですね…。
しつこい勧誘などがあり、売主さまの協力があれば戦えるのかもしれません。
2018年10月27日追記…
別の担当者の意見も聞いてみたいな…と思い、抜き行為に関して後日、再度質問しましたので内容を追記しておきます。
1回手紙を送るだけなら…宅建業法違反ではない!
しかし、お客さまが不動産屋さんの抜き行為を迷惑だと思ったなら、宅建業法違反になる可能性が出てきます。そこで、売主さまが都庁に相談をすると、都庁からも不動産会社に電話をしてくれます。これで注意をした履歴が残りました。
それにもかかわらず再勧誘したら…宅建業法違反になる!
とのことでした。
うん、これくらい明確に言ってもらえるとスッキリしますね。
最後に…
専任媒介契約書の条文・東日本レインズの利用規定と処分規定・都庁の不動産業課を調査した結論としては、何か大きな力がジャマをして、抜き行為があっても不動産会社同士のトラブルでは処分をくだせないように規定が作られているように感じました。
売主さまをこんなムダなトラブルに巻き込むわけにはいきませんから、今の制度でやれることは、抜き行為をした業者を自社内で「取引停止」にすることくらいでしょうか…。その際、ゆめ部長が「物件の不紹介」で「是正勧告・注意・戒告」を受けないように自己防衛するためには、売主さまに協力してもらい「依頼者の意思」を正当な事由として内覧をお断りするしかないでしょう。
物件の抜き行為は売主さまにとって迷惑ですし、その誘いに乗れば責任追及される可能性があるため何も良いことはありません。証拠があって売主さまの証言があれば、警告をすぐに出せるようにしてほしいものですね。
本日はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました!
参考記事…
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
— name (@yumebucho) YYYY年MM月DD日