不動産を売却・購入したときの確定申告
確定申告とは…?
「確定申告」とは、1年間の所得を合算して税額を計算し、翌年の確定申告期間 (通常は 2月16日~3月15日 ) に申告・納税することです。給与所得者ではない個人事業主が行うイメージを持っている人が多いと思いますけど、医療費控除など、納税額の軽減を受けたい人なども確定申告が必要です。
ゆめ部長は不動産屋さんなので、不動産の確定申告について、「売却」と「購入」にわけて解説していきますね。
【1】売却したときの確定申告
不動産を「売却」したときは、売却利益 ( 譲渡所得 ) が出たなら確定申告が必要です。また、課税対象の利益を少なくする特例を利用したい場合や、損失が出た際に税金の軽減を受ける制度を利用したい場合も確定申告しなければいけません。
譲渡益が出た場合…
■ 3,000万円特別控除
■ 10年超所有軽減税率の特例
■ 特定居住用財産の買換え特例
譲渡損が出た場合…
■ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
■ 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
その他…
■ 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例
■ 空き家の3,000万円特別控除
【2】購入したときの確定申告
不動産を「購入」したときは、住宅ローン控除や贈与税特例などを受ける場合には確定申告が必要です。減税や特例を受けない場合は確定申告は必要ありません。
贈与税の申告…
■ 住宅取得等資金贈与の特例
■ 住宅取得の相続時精算課税制度
■ 相続時精算課税制度 ( マイホームではない )
■ おしどり贈与
所得税の申告…
■ 住宅ローン控除
税金の制度名は漢字が並びすぎで見ていると眠くなりますよね…。ゆめ部長も宅建試験では「税金」が1番苦手でしたので、皆さんの拒絶反応はすごく理解できます(笑)でも、税金が軽減されたり、支払った税金が戻ってくるわけですから、損をしないように勉強しておきましょう!
確定申告の時期はいつ?
確定申告は「翌年の確定申告期間に行う」と説明されても…ちょっとわかりづらいですよね。
なぜなら…
2021年に「売買契約」
2022年に「引渡」
というように、売買契約と引渡が年をまたがってしまうことはよくありますから、いつを基準にして「翌年」なのか悩んでしまうからです。実際、いつ確定申告すればイイですか?という質問はけっこうたくさんあるんですよ。
このFAQに回答すると…
不動産売買の確定申告時期は「引渡日を基準にして翌年」となります。
■ 不動産を売って引渡した年
■ 不動産を買って引渡を受けた年
上記の翌年・2月16日~3月15日 ( 土日が入ると確定申告時期が数日ズレる年があります。 ) に税務署へ確定申告を行います。
この記事をリライトした2021年に売買契約を行い、2021年中に残代金決済 ( =引渡 ) を行った場合は、翌年の2022年2月16日~3月15日に確定申告をしてください。
2021年に売買契約を行い、2022年に残代金決済 ( =引渡 ) を行う場合は、確定申告するのは翌々年の2023年になります。
確定申告はどこで行うの?
確定申告は「時期」だけでなく「場所」も悩ましいかもしれないので解説しておきます。
不動産を売買すると住所移転することが多いので「どこの税務署で確定申告すればいいの?」という疑問が生じるかもしれません。
確定申告する場所は…
「引越先の管轄税務署」です。
練馬区立野町に引越したら ⇒ 練馬西税務署
練馬区豊玉北に引越したら ⇒ 練馬東税務署
中野区大和町に引越したら ⇒ 中野税務署
なお、「住民票の住所」と「住んでいる場所」が異なる場合は、住んでいる場所の税務署で申請してください。住民票の移転は関係ありません!
確定申告の事前相談
税務署に電話確認してみたところ、確定申告の事前相談は受け付けていないそうです。「確定申告時期に相談窓口へ来てください。」との回答でした。
税務署からのアドバイスも書いておきます。
「初日・期限ギリギリはかなり込み合うので、確定申告期間の真ん中あたりで1度税務署を訪れ、不足書類がないかの確認を行い、納税するゆとりを持ってください。」とのお話がありました。
忙しい人・この手の申請が苦手な人は、有料になりますけど、税理士先生に相談することをオススメします。8万円~10万円くらいで申告書類を作成してもらえるので、確実・安心・楽に確定申告することができますよ。
確定申告はどうやってするの?
自分で確定申告する場合、申告方法は4つあります。
■ 税務署へ行く
■ 税務署の時間外文書収受箱への投函
■ 国税電子申告・納税システム ( e-Tax )
■ 郵送
「税務署で丁寧に教えてくれた」という体験談を聞くこともありますけど、「長時間待たされたし、説明が雑で不親切だった。正直よくわからなかった(怒)」という不満の声もたくさん聞いてきました。それに、不動産の税金はすごく複雑で難しいので、e-Taxとか、郵送だと「本当にコレでいいの?」ってすごく不安になるはずです。
この不満・不安を解消するためであれば、10万円というお金は決して高くないですから、税理士先生に任せてしまうことを検討してみてくださいね。
税金はどうやって納税するの?
税金の納税方法は「贈与税」「所得税」「住民税」で少しずつ異なりますので見ておきましょう。
【贈与税】
■ 現金納付:金融機関・税務署・コンビニ ( 30万円まで )
■ 電子納税:e-Tax ( ダイレクト納付・インターネットバンキング )
※ 振替納税はできません。
※ 納税期限は贈与があった翌年の2月1日~3月15日です。
【所得税】
■ 現金納付:金融機関・税務署・コンビニ ( 30万円まで )
■ 振替納税
■ 電子納税:e-Tax ( ダイレクト納付・インターネットバンキング )
※ 納税期限・時期は2つにわかれます。
現金納付:所得のあった年の翌年2月16日~3月15日
振替納付:3月15日までに振替納税の手続きをして4月15日頃
【住民税】
■ 特別徴収 ( 給与から天引き )
■ 普通徴収 ( 納税通知書が届いて4回払いまたは1括払い )
不動産を売却して利益が出た場合のお話…
不動産の売却益(譲渡所得)に対しては「所得税」「住民税」が課税されます。「所得税」は確定申告時期に課税されるからいいとして、「住民税」は前年度の所得に対して納税額が6月頃に確定するため、どのように課税されるのか?練馬区の税務課でヒアリングしてみました。(住民税は国税ではないので区役所・市役所が管轄になります。)
回答 ⇒
確定申告の時に上記の「特別徴収」か「普通徴収」かを選べます。給与天引きだと12分割になり、6月から翌年5月までの1年間は前年度よりも高い住民税が給料から差し引かれます。納税通知書で支払う場合は、6月に届く納税通知書に基づき、4分割払い or 一括払いとなります。
たとえば、マンションを購入して3年後に売却して、利益 ( 譲渡所得 ) が1,000万円だった場合、住民税は1,000万円 × 9%で90万円にもなります。12回払いなら75,000円/月、4回払いなら225,000円ですから、利益を使って一括払いしないと痛税感がありそうですね(涙)
税金の還付がある場合
税金の還付がある場合、申告書を提出してから1ヶ月くらいすると、指定した預金口座に振り込まれます。
最後に…
ゆめ部長は不動産取引が専門の宅建マイスターです。税務に関するプロではありませんので、個別具体的な案件は税務署 または 税理士先生に相談してくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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