仲介手数料の無料や半額・定率制・定額制・報酬交渉制・キャッシュバック…いったいどうなる?不動産業界
不動産売買の仲介手数料は、無料や半額だけでなく、0.7%などの定率制・一律30万円などの定額制・報酬交渉制・キャッシュバックなど…考えうるサービスがそろそろ出尽くしたんじゃないかな…と思うほどいっぱいあります。
そこで、今回の記事は、他社さんの仲介手数料サービスをまとめながら、ゆめ部長のサービスと比較してみます。
不動産業界15年・宅建マイスター(上級宅建士)・2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~
仲介手数料最大無料 または 半額の会社
新築戸建やリノベーション済みのマンションなど、不動産会社が売主さまになる不動産を購入したり、不動産買取会社へ売却するのであれば、仲介手数料を無料にしてくれる会社があります。
しかし、居住中の中古不動産など、売主さまが個人の不動産を購入したり、個人へ売却するのであれば、仲介手数料は半額かかる…というサービスになっています。
無料になる不動産もあれば、半額になる不動産もある。だから「無料」の前に「最大」が付いているわけですね。
不動産によっては、新築戸建でも仲介手数料が半額になることがありますし、個人が売主さまの中古マンションでも仲介手数料が無料になることもあります。どの物件なら無料にできるか…?は、不動産屋さんに確認してみてください。1分で調べられますから、気になる物件があれば、どんどん聞いてみましょう!
ゆめ部長はこのサービスで売上を伸ばしていた会社に勤務したことがあります。下記の参考記事で詳細を語っていますから、興味があればお時間がある時にどうぞ!!
参考記事…
仲介手数料無料 + キャッシュバック(購入のみ)
新築戸建やリノベーション済みのマンションなど、不動産会社が売主さまになる不動産を購入する場合、仲介する不動産屋さんは、売主さまから「成約価格×3%(税込が多い…)」の仲介手数料をもらうことができます。
そのため、買主さまの仲介手数料を無料にしつつ、この報酬の1/2を買主さまへ「キャッシュバック」してあげたとしても「成約価格×1.5%+3万円」を稼ぐことができます。
正直なところ…「お金をあげるからウチで契約してね。」というサービスはいかがなものかと思います。集客することも競争の1つですから「悪い」とまでは言いませんけど、不動産のプロとしてのプライドは感じられませんよね。
なお、買主さまから受領する仲介手数料の半分をキャッシュバックして、実質1.5%にすることは「値引」と同じです。そのため、景品表示法の問題にはなりません。下記リンクの【4】を見てください。
しかし、売主さまから受領した仲介手数料の1/2(1.5%+3万円)を買主さまへ横流しするのは「値引」ではありませんよね。これはお金をあげているわけですから「景品表示法」ではアウトなのではないかな…と思いますけど、いかがでしょうか?家を買ったら高額なお金をもらえるって…どう考えても変な話です。
2018年10月25日追記…
都庁に行く用事があったので確認してみました。「宅建業法では仲介手数料の上限を定めているだけなので、キャッシュバックは宅建業法違反ではありませんが、景品表示法には気を付ける必要があるでしょう。」とのことでした。景品表示法違反になるかは、仲介手数料の1/10を超えるかどうか…のはずですから、やはりアウトな感じですね。このあたりは専門部署で調査しましたら再度追記します。
2019年8月25日追記…
最近は「仲介手数料無料+キャッシュバック」をマネする不動産屋さんが増えてきていますね。ググってみると、たくさん出てきて驚きました!いくつかWebページを読ませてもらったのですが、ちょっと本当に大丈夫か…と思う会社がある中で、本当にお客さま目線で頑張っている会社さんもありました。「キャッシュバックは悪だ!!!」と多くの不動産屋さんは言うでしょうけど、必ずしもダメなわけではないかもしれません。城南地区であれば、1取引での仲介手数料が0.7%でも50万円以上の報酬になる物件もたくさんありますから、工夫次第で成立するかも。ゆめ部長はキャッシュバックはしませんけどね。もし、キャッシュバックの不動産屋さんにお願いするのであれば、担当してくれる営業スタッフで判断することを強くオススメします。
不動産売却を仲介手数料無料にしている会社
ゆめ部長の「手数料0円売却」と同じサービスになります。
【重要なお知らせ!】現在は「仲介手数料半額の不動産売却」のみで「手数料0円売却」はお休み中です。ごめんなさい…。
売主さまからの仲介手数料は無料にして、買主さまからは仲介手数料をしっかりもらうことで成立します。販売力に自信がないのか…このサービスを打ち出している会社はほとんどありませんね。
このサービスには正直デメリットがあります。それは、買主さまをゆめ部長が自分で見つけなければいけないことです。一般媒介契約を結びますので宅建業法違反ではありませんが、「物件の囲い込み」をすることになります。
不動産屋さんのネットワーク「レインズ」を使ったり、他社さんの協力を得ることができませんから、情報の拡散力が弱くなり、競争を起こしづらくなります。そのため、高値成約を目指す場合には不向きだと考えています。
しかし、「残債が多くて仲介手数料が支払えない…」「買い替えで仲介手数料が高額になり過ぎる…」「離婚するからお金をなるべく残したい…」など、仲介手数料がネックになっているお客さまだっているわけですから、その人たちの手助けをできないだろうか…と考えて作ったサービスです。
物件の囲い込みをすることになるため、圧倒的な高値での成約はムリでも「相場+α」での成約なら狙える自信があります!この点は安心してください。
ちょっと営業トークになってしまいましたね…。
このサービスを利用する場合は、販売力と実績があり、会社・担当者が信用できるかどうかの見極めが重要になります。
Webページや、スーモなどのポータルサイトで魅力を最大限引き出したり、近隣住民に向けたオープンハウスを開催したり、それぞれの会社に強みがありますので、しっかりチェックしておきましょう。
不動産屋さんに求めるサービスの中で、何かを犠牲にする必要があることを理解できるのであれば、仲介手数料を無料にすることができます!ゆめ部長の場合は、成約価格を犠牲にはしませんが、オープンハウス開催・チラシのポスティング・新聞折込広告などのアナログな営業活動は切り捨てています。
2018年10月25日追記…
「物件の囲い込み」は宅建業法違反では…?という疑問があると思います。この点、都庁でヒアリングしましたら、「売主さまの承諾を得られていれば、宅建業法違反ではない。」とのことでした。上記の通り、ゆめ部長はデメリットをしっかり説明していますから、問題ないわけです!
参考記事…
仲介手数料が低率な「定率制」
定率制の説明に入る前に、不動産仲介の一般的な型を確認しておきましょう。
上記の図は、売主さま・買主さまの両方から仲介手数料をもらう両手仲介の場合で、それぞれから「成約価格×3%+6万円」の報酬を受領したケースです。
前提の知識として、不動産屋さんは最大で「成約価格×6%+12万円」の仲介手数料を受領できるから、報酬を割り引ける余地がある!ということを知っておいてください。ただし、地方の物件やワンルームなどでは6%でも安すぎることがあるため、必ずしも仲介手数料が高いわけではありません!
それでは、低率な定率制のお話に入ります。
低率と言っているのは、仲介手数料半額…つまり「成約価格×1.5%+3万円」の会社に対抗するために「もっと安くするからお問い合わせをしてね!」という値下げ競争が作り上げたサービスになります。
半額の半額で0.7%にしたり、65%OFF…つまり1/3にしたりしています。0.7%の仲介手数料だけで片手仲介すると、宅建業法の上限で両手仲介した場合の88%OFFになります。生活費を稼げればいいのでしょうかね…。
千代田区・中央区・港区・目黒区・品川区などのエリア限定で平均単価が高いのであれば、成立するサービスなのかもしれませんけど、このエリアのお客さまを満足させられるだけの知識・経験があるのかどうか。ちょっと心配かもです。
仲介手数料が定額制
【1】価格帯別の定額制(段階定額制)
1つ目は金額が安い物件は少しお得にして、ある程度高い金額の物件は上限を定めている感じです。例えば…次のような価格設定をしています。
■ 1,000万円 の物件は定額 20万円(約16万円お得)
■ 2,000万円 の物件は定額 30万円(約36万円お得)
■ 3,000万円 の物件は定額 40万円(約56万円お得)
4,000万円 以上は全て一律 50万円(税別)
また、一棟ビル・マンションなどの投資物件を扱っている会社では、一律100万円にする代わり、投資家さんから管理を受託することを狙っている会社もありました。仲介手数料を入口にするというのは、リフォーム会社や建築会社と同じですね。
【2】低額な定額制
Webページをグルグル回っていると、本当に驚くほどの低額な定額制もありました。一部をご紹介しますと…
■ 一律 300,000 円(税別)
■ 一律 220,000 円(税込)
■ マンション限定 498,000 円
■ 一律 182,900 円(語呂合わせ?)
マジメに仕事をやりたい私なら、この報酬で仕事をするのは「ムリ」と言い切ってしまいそうな金額もあります。マンション契約するのに調査費だけで3万円超えることだってよくあることですから「いや…おかしいでしょ!?」と、独りでブツブツ言いながらページを徘徊してしまいました (笑)
2019年8月25日追記…
上記の税込金額は2019年10月からの消費税増税に合わせて再計算しました。
仲介手数料が報酬交渉制
ソニー不動産は、時間・コスト・労力・担当者レベルなどによって、仲介手数料が変わるというサービスをやっていた記憶があるのですが、先ほど見てみたら、ハッキリとは書いていませんでした…。赤字が続いてやめてしまったのでしょうか?
まだ続いているのであれば報酬交渉制と言えるかもしれません。
ゆめ部長が見つけた報酬交渉制は「お客さまを限定する」ことで金額を決めるようでした。法律に詳しい士業(士業)・2回以上不動産取引があるなど、話が通じやすくて仕事の負担が少ないのであれば…ということらしいです。
交渉と言うのは、売れ残り物件に思い切った交渉を入れてみたり、購入したいマンションの売却情報を探して見つけてきたり…というサービス、これに値段を付けて相談しよう!ということなので、これはオモシロイ気がしました。
「500万円値下げ通してくれたら、3%+6万円の報酬を払う。」だけど「300万円以下しか通らなければ、1%だけだぞ!頼む!頑張ってくれ!!」というノリならお互いハッピーな気がしますね。
先輩にこんなノリの人がいて、無茶苦茶な価格交渉をして怒られているのを何度も見たことがあります。それでも1度だけ、1,000万円を超える交渉を通していましたから、攻めまくる姿勢も大事かもしれません。ゆめ部長なら突進するだけの大幅交渉はやりませんけど…。
おまけ…よくわからなかったこと。
仲介手数料無料 + キャッシュバックの会社さんですけど「6,000万円の物件が仲介手数料無料で、180万円のキャッシュバックをしました…」という成功事例が書かれていました。
キャッシュバックを謳っている会社なので、売主さまから受領する仲介手数料の一部を買主さまへ支払っているはずですが、180万円は売主さまから受領する仲介手数料の100%ではないですか!! 1/2キャッシュバックなら90万円のはずですよね。180万円キャッシュバックして、仲介手数料無料だと報酬0円のタダ働きになります…。
そうすると…価格交渉なしの満額で購入してもらう代わりに、売主さまから3%の仲介手数料以外になんらかのお金をもらっているのでは?と思ってしまいます。つまり、価格交渉しないで契約をまとめることを条件に、仲介手数料3%だけでなく、広告費などの名目で別途3%を受け取っている可能性が高いということです。
実は価格交渉できた案件ですから、全くお得ではなかったという話になります。少しわかりづらいですかね…?
もう1つ。「顧客満足度に自信があるから定額制です。」これも、よくわからず…。
顧客満足度に自信があるから、法定上限の仲介手数料!ならわかります。あるいは、経費を削って、ベテランを集めて業務を効率化しているから低額な定額制を実現!というのも理解できます。
全体的に費用が安い制作会社が適当に作ったんだろうな…と感じる、熱量のないWebページが多い印象でした。
最後に…
他社さんの仲介手数料サービスを見比べて発見したことを箇条書きしておきます。
■ 知識・経験・実績をアピールする会社が少なかった
■ 物件の囲い込みが前提であることを隠している
■ 割引をやめたり、割引額を引き下げている会社もあった
■ 値引競争はやり過ぎ感があった
■ 不動産業界の厳しさを改めて実感した
ゆめ部長も仲介手数料の安さもサービスの1つだと考えているので、「手数料を下げるのは仕事に自信とプライドがないからだ!」という意見には賛同しません。しかし、あまりにもやり過ぎてしまうと、会社を存続させることが厳しいのでは…と心配になってしまいました。
また、不動産業界は「簡単にできる!」と思われているようで、売買契約を1件も経験したことがないまま宅建業の免許を取得している会社もあるのですけど、こういう会社は集客できないでしょうから、ランニングコストを賄うために「仲介手数料を下げれば問い合わせが来るはずだ!」と安易に考えている傾向があるとも感じています。
知識と経験がないから仕事もできない
➡ 集客できない
➡ 仲介手数料を下げる
➡ お客さまに迷惑がかかる
こんなことにならないよう、責任感のある仕事をお願いしたいですね。
今日勉強したことをもとにして、サービスをさらに磨いていきたいと思います!本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
仲介手数料の早見表…
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