不動産売買で価格交渉の限界値はどれくらいだろう…?
マイホーム購入は夢と期待で「ワクワク」しますけど、同じくらい、不安で「ドキドキ」しますよね。大きなお買い物ですから「住宅ローンの返済はできるのかな?」「損していないかな?ダマされていないかな?」と不安になってしまうのはあたりまえのことで、少しでも安い金額で購入したいな…と誰でも考えるはずです。
ゆめ部長の経験では、90%以上のお客さまから「価格交渉はできますか?」との相談があるんですよ。そこで「価格交渉の限界値はどれくらいなんだろう?」という疑問に回答してみたいと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
ゆめ部長が考える不動産の価格交渉「限界値」
先に結論を言っちゃいますね。
通常の価格交渉では「物件価格の5%」が限界値でしょう。
具体的な数字で見てみますと、こんな感じです…
4,580万円 ⇒ ▲230万円 ⇒ 4,300万円
6,580万円 ⇒ ▲330万円 ⇒ 6,200万円
この数字は通常の価格交渉で考えられる「限界値」ですから、実際の取引では物件価格の5%を超える価格交渉を通すのはなかなか難しいです。
もともと高値で販売している。
売主さまの売却期限が迫っている。
などの事情があれば、物件価格の5%を超える価格交渉が通る可能性はあります。
しかし、通常の取引では
「100万円未満」
「100万円+端数部分」
あたりを目指してどれだけ値下げを勝ち取れるか?という感じでしょう。
もちろん物件価格次第ですので、高額物件であれば「200万円+端数」「300万円+端数」という価格交渉を狙うのはアリだと思います。
2021年8月追記…
現在、ウッドショックなどの影響もあり新築一戸建てが飛ぶように売れています。分譲会社が在庫不足になるほどの売れ行きですから、今購入するお客さまは、価格交渉がかなり厳しいことを知っておいてください。2021年に入ってから「交渉NG」で何度か突き返されてしまっています。
過去の値下げ実績を公開!
価格交渉の限界値を「物件価格の5%」と書きましたけど、実は、ゆめ部長の過去最高の値下げ額は 2,700万円 です。
1億3,000万円の売土地 ➡ 1億300万円 で契約!
なぜ、このような大幅値下げができたのでしょうか…?
この大幅値下げを成功させたのは、ミニバブルが起こり、土地が急激に上昇していた2007年頃でした。「売主の不動産会社が在庫を処分したくて売り急いでいる!」との情報をキャッチできたことが1番大きな勝因だったと考えています。
さらに、
住宅ローンなしの現金払い!
即契約可能!
即決済(=引渡)可能!
という条件を強みにして強気でお話をまとめました。
ミニバブルで価格が上がり過ぎてしまい、買い手がつかなかった時期だからこその値下げ額です。2021年時点のマイホーム売買では実現しません!
余談…
周辺の成約事例よりも圧倒的な安値での契約を勝ち取れたので、お客さまにすごく喜んでもらえると思っていました。
しかし、契約後の言葉は…
「もっと安くできたんじゃないの!?」
「仲介手数料は安くならないの?」
「私、損させられていない?」
という悲しいものでした。
アンテナを張って情報を集め、初めて現地を見に行った時から何度も売主さまに連絡を取り続けてこの条件を取り付けたのに…。
お客さまのために頑張っても報われないことがある。それが、不動産仲介なんだな…ということを学んだ案件になりました。
余談は終わりにして、ゆめ部長の実績( 自慢話 )として、売主である不動産会社の「決算期」を狙った成功事例をあと2つ紹介させてください。
成功事例1…
5,680万円⇒5,200万円
一気に480万円値下げ!
成功事例2…
4,380万円⇒3,800万円
段階的に値下がりしたところに最後の一撃!
「交渉してみたら偶然うまくいった!」わけではありません。
売主の不動産会社が決算期に数字が足りなくて焦っているところを狙い、引渡までタイトなスケジュールながら、ギリギリ間に合う日程での契約を提案しました。そのために、買主さまの住宅ローンを事前に通しておき、手付金は事前におろしてもらい、準備ができていることをアピールして値下げを勝ち取りました。
このような事例もありますから「5%が限界値」とは言い切れません。しかし、売主さまの事情もあるでしょうし、買主さまが事前に完璧な準備をしておき、さらに、売主さまの都合に合わせてあげることも必要なのです。
「買ってあげるんだから下げてよ!」という姿勢では絶対に交渉はうまくいきません。ここ、大事ですからね。
ちなみに…どちらも仲介手数料は無料♪
価格交渉できる額を増やしたい!という方へ…
もう1つ、価格交渉を通す方法をお話しましょう。
不動産の売買契約では相手方もいるわけですから、価格を下げて欲しいとお願いする代わりに、他の条件なら全て受け入れる!という交渉方法が効果的です。
他の条件というのは…
■ 売買契約日
■ 引渡期日
■ 手付金額
■ 瑕疵担保責任
■ 現況引渡
などです。
「売買契約」が仕事帰りの夜になったとしても、安くなるならOKですよね!
仕事が忙しくても、午前休を取って「引渡期日」を売主さまに合わせてあげましょう!金額下げてもらうんですから…それくらい協力できますよね!?
「手付金額」は多い方が売主さまが安心できます。銀行で事前におろしておくか、1日の上限50万円の制限を解除しておいてください。安くなった分を時給換算したらいくらになるでしょうか?
大幅な値下げができたなら、「建物価値0円・土地値」と考えて、「瑕疵担保責任免責」や「現況引渡」を受け入れるのもアリですよね。解体しない・測量しない・境界を確定させないからこそ安いのです。
さらに、売買契約で売主さまの不安を少なくするために、住宅ローンの「事前審査内定通知書」を提示できるようにしておきましょう。本審査まで通っていればローン解約の心配がなくなり、さらに良い結果を導ける可能性が出てきます。
このように、一方的にお願いばかりをするのではなく、譲れるところは譲り、最重要な条件に焦点を絞って交渉するのがコツですよ!
実際にあった驚くべき値下げ要求…
次のお話はサラリーマン時代に実際にあったお問い合わせです。
「本気じゃないですよね!?」
「冗談ですよね…」
そう言いたくなる驚きの内容です。
では、見ていきましょう~。
「Webページに価格交渉を頑張ってくれると書いてあるのを見ました。5,000万円で販売しているこの物件が3,500万円になればすぐ買います。とりあえず、値下げしてくれるか、売主に聞いてみてもらえますか?」
この物件は建築中の新築一戸建てでした。不動産業者の売主さんは1棟で1,500万円も利益は出ませんから、3,500万円で売却してしまえば、がんばって仕入れた土地に建物を建てている途中で赤字を確定させることになります。
「私はお得に買いたいです。」
「あなたが赤字になっても関係ないので売ってください。」
そう言っているのと何も変わりません。
「不動産のことはシロウトだから利益がどれくらいあるかなんて知らない!どの辺が妥当かなんてわからないからしょうがないでしょ!?」
なんてこと、言わないで欲しいですね。
相場なんて少しネットで情報を集めればザックリつかむのは簡単にできます。わからないなら、3,500万円で売っている物件を見に行ったらいいと思うのです。もっと西側エリアのバス便の中古物件まで広げないと3,500万円では見つからないですよね?
ハッキリ言います!!
この手の常識がないメールには返信もしません。失礼だと言われるかもしれませんけど、ゆめ部長は、大事なお客さんのために時間を使いたいのです。たくさん現地をご案内したいし、不安や悩みも聞いて解決したい。だから、わけのわからない人に時間を使う暇なんて一切ありません!。
ナマイキなことを書きました…。
気分を害された人はゴメンナサイ。
「値下げしたら仲介手数料も下がるから交渉する気ないんでしょ?」という質問への回答
「値下げしたら不動産屋さんの報酬(仲介手数料)も下がるから、そうやって価格交渉に消極的なんでしょ?」
たまに言われることなので、回答しておきますね。
不動産屋さんの仲介手数料は、成約価格に対して「3%+60,000円(税別)」を上限に受け取れることになっていますから、価格交渉をすると確かに報酬は減ります。
具体的な数字で見てみましょう。
5,000万円の場合の仲介手数料は…
5,000万円×3%+6万円+消費税10%で171.6万円
▲500万円で4,500万円になった場合の仲介手数料は…
4,500万円×3%+6万円で+消費税10%で155.1万円
165,000円の違いが出てきます。
この数字だけ見ると、仲介会社が価格交渉なんてしたくない!と思っているのでは…と疑いたくなるかもしれませんけど、すごく大事なことを忘れています。
それは…仲介会社の仕事は「All or Nothing」だということです。
16.5万円の報酬を減らしたくないために▲500万円の交渉を断ってしまえば、今まで頑張ってお仕事をしていたとしても、報酬が「0円」で終わってしまうかもしれません。
0円と155.1万円。
どっちを選ぶか。悩みようがないですね…?
もう1つ、ゆめ部長がキライな要望を紹介します。
「言うだけタダだから大幅値下げの交渉をしてよ!」という要望に対する回答
「言うだけはタダなんだから、ダメもとでも、交渉を受けてくれるか聞いてくれたらいいじゃん!」
これ、よく言われましたね…。
回答しておきます。
不動産屋さんの仕事はエリアがある程度限定されていますので、相手担当者と再度顔を合わせることがよくあります。「また無茶な価格交渉してくるんだね」なんて怒らせて悪い印象を持たれてしまえば、業界内で「信用」を失っていくことになるのです。
全部の物件に「一律15%」の価格交渉をしている営業マンもいましたけど、その人の交渉のために会社全体が信用を失ってしまえば、大切なお客さまのための交渉がうまくいかなくなる可能性がでてきます。
価格交渉は「言うだけタダ」ではないことを理解してください!
最後に伝えたい大事なこと
「価格交渉して絶対にお得に購入したい!」と考えすぎてしまうあまりに、ご家族みなさんの希望が忘れ去られてしまっていることが多々あると感じています。これは、経済面を重視する男性に多い傾向があります。
「家族みんなでもっと幸せな時間を共有したい。だからマイホームを買おう!」
そう考えたのではないでしょうか?大事なことを見失わないように、しっかり心にとどめておいてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
参考記事…
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■ 2020年01月04日 更新
■ 2021年08月16日 更新
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