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2021年08月12日
不動産売買の知識

宅建マイスターが考える仲介手数料の自由化

不動産売買の仲介手数料は「成約価格×3%+6万円(税別)」が「上限」と定められています。上限が定められているだけですから、半額にしようと、無料にしようと、それは企業努力によるもので自由ということになります。

 

しかし、「一般財団法人土地総合研究所アンケート調査」(2015年1月実施)によると、80%以上の企業が上限基準を適用しているそうです。皆さんは、この仲介手数料についてどのように考えますか?

 

不動産取引の現場を説明しながらゆめ部長の意見書いてみますので、適正な仲介手数料額について一緒に考えてみましょう!

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~

仲介手数料は「高すぎる」案件と「安すぎる」案件が混在している!

仲介手数料の「上限」金額の計算式を見てください。

 

(成約価格×3%+60,000円)×1.1

 

3%がかけられる元になる数字は「成約価格」になります。かかる経費や労力があまり変わらなかったとしても、成約価格の金額によって報酬に大きな差が出てしまうのが問題点だと言えるでしょう。

 

たとえば、不動産価格が500万円であれば、消費税込みの仲介手数料は23万1,000円ですが、5,000万円であれば171万6,000円となります。

 

この取引が「両手仲介」で売主さま・買主さまの両方から仲介手数料の上限金額をもらうことができる場合、不動産価格が500万円だと46万2,000円なのに対して、不動産価格が5,000万円だと343万2,000円というビックリ!!な大金になります。

 

不動産売買のお仕事はどんどん難易度が上がってきていますから、取引を行うことで生じる「仲介会社の責任・リスク」を考慮すれば、消費税抜きの売上が21万円では安すぎて会社経営できる状態ではなくなります。一方、消費税抜きの売上が312万円では、サービスの対価として高すぎると誰もが感じるはずです。

 

このように、「両手仲介」or「片手仲介」・成約価格・物件の難易度によって、仲介手数料が高いといえる場合もあれば、安いといえる場合もあるということです。

 

なお、不動産仲介手数料に関する判例(最判昭43.8.20)では下記のように判示しており、国土交通省も同じ考えをしています。

 

報酬として当事者間で授受される金額は、その場合における取引額、媒介の難易、期間、労力、その他諸般の事情が斟酌されて定められる性質のものと言うべき

 

このように考えれば、既に権利関係が明確であり、書類も全て揃っている「新築戸建の仲介」は難易度が低い案件になるため、両手仲介で6%をもらうのは報酬の取りすぎと言えそうですね。

 

ちょっと追記しておきますけど、「新規未公開物件」を購入するのであれば仲介手数料は支払うべきだと思います。よく考えてもらえば「情報料」がかかるのは当然だと理解できるはずです。他のお客さまに優先してその情報を提供してくれたわけですからね!

 

参考記事…

仲介手数料「理想」と「現実」のギャップ…不動産取引のあるべき姿を全力で考える!

両手仲介を狙った物件の囲い込みであなたは損をしていませんか?

レベルの高い仕事を求めるなら…仲介手数料の上限撤廃は必須

ちょっと前の話になりますけど「宅建マイスター」のテキストが郵送されてきました。さっそく読んでみると…「宅建士」の上級資格にあたるだけあって、難易度の高いことが求められているなぁ~と感じました。

 

テキストに記載されている内容には大賛成ですが、求められているレベルが高いぶん、「仲介手数料の自由化」・「仲介手数料の上限撤廃」を実現することが条件だろうな…と思いました。

 

「社会が期待する不動産取引のサービスレベルと仲介手数料」に関してゆめ部長の意見を書いてみますので、読んでみてください。

 

テキストには「宅建マイスターは、取引に内在する危険を察知し、法務局・区市役所だけでなく、近隣聞き込みや分譲会社へのヒアリングなども含めた十分な調査をしたうえで、顧客が納得するまで説明をしてトラブルを未然に防ぐ必要がある」と書かれていました。

 

これだけ見れば、「そりゃそうでしょ。普通じゃない!?」と思われるかもしれませんが、実は、一般的な不動産屋さんの仕事はこのレベルに全くたどり着けていません。

 

不動産取引は1点物の売買になるためスピード勝負になることが多く、1週間も2週間も時間をかけて物件調査をしている時間はないですし、問題が発生したら動くスタンスの不動産屋さんが多いですから、リスクを予見して…なんてことをしているのは稀なのです。(断言します!)

 

もし、リスクが予見できている場合、担当者はどうしているのかというと、契約書類に「~が存在する可能性があります。」「~の制限を受ける可能性があります。」という文言を入れておき、自分たちの責任回避を図っています。

 

この文言を見て皆さんはどう思いますか?

 

「存在する可能性」や「制限を受ける可能性」があるのはわかりましたけど、その後、解決するために費用と時間がどれくらいかかるのか…などの重要情報が書かれていませんよね。

 

これでは顧客の満足度を高めることは絶対にできませんが、現在の不動産取引で行われている契約はこのレベルなのです。

 

CS(顧客満足度)を高め、業務レベル向上を図ることはゆめ部長も強く望んでいますから、理想を掲げて日々努力を継続していく気持ちはあります。しかし、顕在化している問題点の調査だけでなく、潜在的な問題点を担当者の知識と経験から予見し、そのリスクを詳細に調査したうえでお客様へ説明する…そこまでのことを全ての案件で行うことが「当然のこと」として期待されてしまうのであれば、それは、正直かなり厳しいと思いました。

 

例えば、森泉さんの『幸せ!ボンビーガール』で出てくるような、敷地の四方を囲まれている再建築不可物件を相続する場合はどうでしょうか。

 

長年にわたる近隣トラブルや親族間の争いがあるかもしれません。他人の争いの間に不動産の専門家として入って売主さまと一緒に対応することになれば、長期間、多大な労力をかけることになりますし、ストレスもかなり大きなものになりそうです。(弁護士法には要注意)

 

建物の再建築・リノベーション工事の可否などを役所と相談したり、測量をして隣地との境界確定を行う必要も出てきそうですし、賃貸・民泊向きであるかをアドバイスする必要があるかもしれません。

 

プロフェッショナルの仕事として、お客さまのためにここまでやることは正しいことだと思いますが、時間と労力に対する報酬が釣り合わないという問題が発生します。そのため、現在の仲介手数料額に関する法律の制限がある限り、全ての案件でこの理想の実現を目指すことは現実的ではないと言えるのです。

 

問題解決に多大な時間・労力・専門性が求められるような案件にもかかわらず、物件価格が1,000万円だと、両手仲介しても報酬は最大で72万円になります。これではあまりにも報酬が少なすぎ、不動産屋さんからの十分なサービスを期待できるわけがないと考えています。

 

それなら…どうするか??

ゆめ部長の回答は、

次で解説する「仲介手数料の自由化」です。

仲介手数料は自由化されるべき!

弁護士・税理士・司法書士は報酬規程が既に撤廃されています。しかし、宅建士は依然として報酬規程が撤廃されていません。その理由を考えてみましょう。

 

過去の不動産取引に対する世間の評価は低く、不動産屋さんは悪いことをするというイメージがついてしまっていますよね。実際、TVニュースを見ていると、警察に捕まった人の職業をわざわざ「不動産業」と書いています。これは「犯人は不動産屋か。そりゃあ悪いことしそうだな!」と誰もが想像しやすいからでしょう。このようなことからも、不動産屋さんへの評価が決して高くないものだということを感じさせます。

 

こんな印象を持たれている業界ですから、仲介手数料の上限を決めておかないと、お客さまを騙してたくさんお金を取るんじゃないの!?と疑われているのは間違いないでしょう。だから、報酬規程が宅建士だけは撤廃しづらいのだと思います。

 

しかし、仲介手数料の上限を「3%+6万円」に設定したことで、実は次のような問題が生じていますので知っておいてください。

 

地方の不動産売買を見てみましょう…

 

物件価格が安くても「3%+6万円(物件価格400万円以上)」ですから、地方でお仕事をしている不動産屋さんは報酬がかなり少なくなってしまい、経営は苦しいはずです。

 

ゆめ部長はここ数年で、埼玉県の入間市・狭山市・鶴ヶ島市、千葉県の習志野市で契約をしました。隣地との権利関係が不明確であり、権利関係の調整で苦労しましたし、物件資料を紛失していたので、平均的な仲介業務と比較すると難易度が高くなりました。しかし、物件価格は東京都内と比べると安いため、どの案件も仲介手数料が仕事に見合わない額となってしまったのです。

 

仕事は大変なのに報酬が少ない…こんな状況で不動産屋さんがマジメに仕事をすることなんて期待できませんよね。実際、権利関係の調整や物件調査をしっかり行わず、適当な内容で売買契約を締結しているケースが現場では散見されます。

 

これは大きな問題だと思いませんか??

 

難易度が高く、時間もかかる案件であり、物件価格が安いなら、仲介手数料は物件価格の10%くらいまでは認められてよいのではないでしょうか。その代わり、しっかりとプロの仕事をしてもらうのです。

 

逆に、物件をお客様がネットで検索し、銀行もネットで申し込みをするのであれば、プロとしての仕事は少なくなりますから、仲介手数料は「半額の1.5%」で十分だと思います。

 

このように、案件ごとに仲介手数料をある程度自由に増減できたら、不動産取引がもっと活発になり、流通量が増えると考えています。デメリットもありますけど、検討する価値がありそうだと思いませんか…?

 

是非、仲介手数料の自由化を実現したいです!!

 

1つ要望を付け加えておくと、「コンサルフィー」などの名目ではなく「仲介手数料」として正当な報酬を請求できるようになって欲しいと願っています。

 

補足…

 独占禁止法第8条では、事業者団体による競争制限行為を禁止しています。つまり、報酬額を制限すると自由な競争ができなくなるからダメだよ、と言っています。しかし、仲介手数料の上限額設定は、国交省大臣が告知して報酬額を決めているのであり、3%+6万円の範囲内で自由に競争できるため、独占禁止法違反にはならないと考えられるようです。他の士業は独禁止法違反を理由に報酬が自由化されましたけど、独占禁止法違反ではないと言われてしまうと改正は難しそうですね。

仲介手数料の自由化は顧客から選ばれた宅建士に限定して認める!

仲介手数料の自由化を果たすためには、お客さまから選ばれる担当者でなければいけません。これからは「個人」が輝く時代ですから、SNSなどでセルフブランディングしてもいいですし、宅建士の上級資格・CFP・一級建築士・不動産鑑定士・行政書士・ホームインスペクター・マンション管理士などとのダブルライセンスでセルフブランディングを図るのもいいでしょう。

 

ゆめ部長は宅建マイスターという資格を保有しています。これは宅建士の上級資格で不動産取引のスペシャリストであることの証明になります。同じように「不動産コンサルティングマスター」という資格も宅建士の上級資格です。これは不動産の有効活用や投資などのコンサルティングに関するスペシャリストであることの証明になります。

 

このように、宅建マイスターの有資格者など、一定の能力を認められた人であれば、成約価格×3%+6万円という仲介手数料の上限を撤廃してもいいじゃないか!と声を大きくして言いたいです。

 

仲介手数料を3%と定めないで、もっと高い報酬を支払う代わりに納得のいく売買を実現したいという需要は確実にあるはずです。仲介手数料を自由化して、自分の報酬につながるチャンスが増えれば、時間と労力をいとわず、さらにレベルの高いサービスを提供する会社・担当者が出てくるのではないでしょうか。

 

自分を選んでもらうためにセルフブランディングをしていく!この積極性があるエージェントが評価されるようになって欲しいと願います。

空き家問題と仲介手数料の自由化

「空き家問題」が社会問題として認識されるようになりました。

 

報酬が少な過ぎたり、手間がかかり過ぎて不動産屋さんが売却依頼を受けづらく、「再建築不可物件」・「有効活用しづらい物件」・「地方の低額物件」などが放置されてきたことも原因の1つだと考えられます。

 

不動産屋さんの報酬が増えたからと言ってこの問題がすぐに解決されるわけではありませんけど、他の対策とかけ合わせれば問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

 

たとえば、行政が空き家の有効活用を進めるために、低所得者向けの融資をサポートして購入を支援し、売買・賃貸の契約に協力した不動産屋さんには、行政が10万円でも支払うのはどうでしょうか?空き家が放置されるリスクを考えれば、多少の出費は惜しむべきではありませんよね?

 

不動産屋さんからすると、住宅ローンの融資が受けやすいし、行政から10万円もらえるし、仲介手数料は3%に制限されない。これくらいやるから、やっと、重い腰が上がるような気がします。

 

400万円未満の空き家等については、売主さまからもらえる報酬が少しだけ増えました。不動産屋さんの報酬制限に関する前向きで大きな一歩だと評価していますけど、地方の空き家の流通量を活発にするには不十分です。さらなる改正に期待したいですね。詳細は次の記事も読んでみてくださいね!

 

参考記事…

400万円未満の不動産(低廉な空き家等)を売却するなら仲介手数料が上がるかも…?

最後に…

仲介手数料の上限が撤廃され、サービスレベルに応じた仲介手数料を支払うのがあたり前になれば、不動産会社もお客さまも納得のいく取引を実現できるようになると思います。

 

高付加価値付きサービスを仲介手数料5%で提供したら、これからの日本では富裕層を中心に受け入れられるのではないか…とゆめ部長は考えています。不動産会社が生き残りをかけ、どのようなサービスを提供するかを真剣に考えて行動することが、今後の業界発展には必要です。

 

「仲介手数料の自由化」を達成するためには、まずは不動産業界が健全になることから始めなければいけません。信頼を勝ち取れる業界になるように、ゆめ部長は日々の業務を1つ1つ・コツコツ頑張っていくことを誓います!

 

最後まで読んでくださりありがとうございました!

 

一緒に読んで欲しい記事…

宅建マイスターが考える仲介手数料の成功報酬制廃止【不動産業界の改善点 】

 

2019年08月17日 更新

2021年08月12日 更新

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年、仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも…楽しく仕事をしている不動産業界には薄暗いイメージがあり、このままではダメだと思っています。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人たちが楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。会社が幸せの発信基地になり、小さなHAPPYが拡がって欲しいと心から願っています。できることを1つずつ。コツコツ「幸せの種」をまいていきたいですね。
ゆめ部長の真っ直ぐ不動産仲介 - マイホームの売却や一軒家のご購入をサポート(東京・神奈川・埼玉)
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