「売却不動産募集!」チラシに書かれた購入希望情報はウソばっかり!
自宅ポストに「売却物件大募集!」のチラシが入っていたことがあると思います。このチラシには「すぐにでも購入したいお客さまがいます!」なんて書かれていますけど、このチラシの内容をみなさんは信じられますか?「信用しちゃう!」そんな純粋なあなたのために、この記事で不動産屋さんの裏側をお話しましょう。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
「売却不動産大募集!」のチラシとは
売却物件大募集!チラシというのは、上の画像のようなチラシのことです。
■ マンション売却成功の3ヶ条
■ ホームステージングしませんか!?
■ 成約御礼
■ こんなお客さまがいます!
などなど。
全部、ゆめ部長のマイホームへ投函された「マンション売却募集チラシ」です。
高値売却の提案をしたり、実績や登録顧客をアピールしたりすることで、「売却するなら、是非、当社へ!!」というアピールをするのが目的になります。
大手に勤務していた時は「成約御礼」は効果的だと聞いたことがあります。なぜなら、成約実績があることをアピールしつつ、「買い逃したお客さまがいます!」と営業をかけられるからです。皆さまも「じゃあ、売却をお願いしようかな~」と心が揺れそうじゃないですか??
他には、高級感があるDMを使うパターンもあります。費用をかけて営業をかけられると、自分が評価されているような気がしてしまうかもしれませんね。
ちなみに、住所と氏名を調べられているので「なんか、気持ち悪いなぁ…」と感じる人もいるかもしれませんけど、これは、登記事項証明書(謄本)を調べればある程度わかりますので違法性は全くありません。念のため。
過去のチラシを整理していたら、おそらく夏場に入れてくれたのでしょう…ウチワまでありました(笑)
で、今回の記事で皆さまに伝えたいのは…
「こんなお客さまがいます!」というチラシ…
これは本当に嘘ばっかり!ということです。
というわけで、本題に入っていきましょう!
「売却不動産大募集!」のチラシに書かれていること!
ゆめ部長が住んでいる築2年のマンションにも「売却不動産大募集!」のチラシは毎週投函されています。駅から離れたマンションなので、大人気物件ほど多くはありませんけど、それでも数ヶ月で50枚以上のコレクションになりました。
このコレクションと、ゆめ部長が大手で勤務していた時に見たアピール文を紹介しますので、一緒に見ていきましょう~~
アピール文1…
「〇〇マンション」限定で購入を検討されているお客様がいらっしゃいます!先日、タッチの差で2番手になってしまったお客さまがどうしても購入したいとおっしゃっていますので、売却を検討されているなら是非お声がけください。
アピール文2…
「〇〇小学校」学区のエリア限定で至急お住まいをお探しです!特に、社宅退去・賃貸の更新期限が迫っているお客さまは急いでいらっしゃいます。「希望物件が出たらすぐに教えて欲しい!」とのことで、密に連絡を取り合っています。内覧可能でしたらすぐにご案内できると思います。
アピール文3…
「〇〇線」沿線で予算6,000万円~7,000万円で一戸建てをお探しです。夫婦共働きのため保育園や小児科などが近くにあると検討しやすくなります。
アピール文4…
「2世帯住宅」を注文建築するために広い土地をお探しです!予算は1億円以上ある裕福なお客様です。
アピール文5…
税理士から社宅を建築するように勧められている会社社長からの依頼です!検討できるのは200坪以上の大きな土地になります。
【おまけ3つ】
床暖房・ディスポーザー付きでLD12帖以上の2LDK~を予算5,000万円で探しています。
3人家族でお住まいになる予定です。キッチンからリビングの状況が見えるように対面キッチンの部屋を探しています。3LDK~予算7,000万円
夫婦2人で住むための1LDK~2LDKを探しています。オートロック・宅配ロッカー等マンションの設備重視で検討しています。
この3つ…どう思いますか?
ありきたり過ぎて心に刺さりませんよね。「なんでもいいから、とにかく売却相談をしてちょうだい!」というメッセージに読めてしまいました…。
【おまけ】はここまで。
まぁ、ホント、いろいろありますね。
マンションポエムと同じで「みんなアレコレよく思いつくな~」と、ゆめ部長は感心しています(笑)
「売却物件募集の」チラシをまく理由
不動産屋さんは「売却物件」をたくさん集めたいと考えています。
なぜなら…
集めた売却物件の買主さまを自社で見つけられると「成約価格×6%+12万円」の仲介手数料を稼ぐことができます。そして、この物件は自分だけが窓口になる「未公開物件」にできますから、両手仲介をしやすく、売り上げにつなげやすいのです。
マイホームを探しているときに、不動産屋さんから「これは私だけの未公開物件ですけど、コッソリ先に教えちゃいますね!誰にも言わないでくださいよ~」と言われたら…どうですか?
このフレーズの攻撃力がスゴく高いのは想像しやすいことでしょう。
というわけで、稼ぎやすい売却物件をできるだけ多く集めるための1つの手段として、売却物件募集チラシをまいているのです。
決して、
暇な営業マンの暇つぶしとして、
上席への頑張っているアピールとして、
売れない営業マンの罰として…
ではないですよ。
たぶん…。
ゆめ部長は新人の頃「エリア限定・マンション限定」で探しているお客さんのために、そのエリア・そのマンションでの売却情報を見つけようとチラシをまいていたことがあります。ゆめ部長は本当にお客さまがいたましたが、こんなマジメな人は少ないでしょう…。(自画自賛)
ちなみに、今はWeb集客1本に絞っていますので、チラシは一切まいていません。大手の看板や地域密着の知名度がないと、チラシだけで売却物件を探すのは効率が悪すぎますからね。
ゆめ部長はムダな仕事を減らすことで、お客さまへ親身な対応をする時間を作り、仲介手数料を安くしています。効率性を重視した仕事を意識すれば、もっと良いサービスを提供できると考えています!
参考記事…
チラシに書かれた「購入希望者」なんて存在しない!?
いくら大手のブランドがあっても、「売却物件大募集!」とチラシに書いただけで売却情報が集まるほど簡単にはいきません。そこで、このチラシにリアリティを加味するべく「架空の購入希望者」をつくり上げます。
「購入希望のお客さまがいるので、あなたの不動産を売ってください!」というストーリーだと、チラシを手に取った人は「自分の不動産を高く評価してくれているんだな!」と感じます。そのシーンを自分のこととして想像してみたら、なんだか嬉しくなってきませんか?
嬉しくなった人、きっと、いますよね!
そう、こうやってダマされていくのです。
大手は各沿線の主要な駅に店舗を置いていますから「〇〇学区限定・〇〇マンション限定」というチラシには信用力があります。大手のブランド + 自尊心をくすぐるようなチラシ。なかなかの威力がありますね。
顧客名簿を探せば該当するお客さんがみつかりそうですから、完全にウソ広告とは言えないかもしれませんけど、学区限定でも、新築一戸建てと築20年の中古戸建では価格に差がありますし、マンション限定でも、間取り・方位・階数で予算がだいぶ違います。もっともらしく読めてしまいますけど、よく考えてみたら、なんかウソっぽいな~と思えて信用できなくなってきませんか?
社宅とか2世帯住宅の話はどうでしょうか?
このストーリーで狙っているのは、相続などで大きな一戸建てやアパートなどを売却するケースです。「社宅・2世帯のお話はお客様の希望に合いませんでしたが、建売会社が高値で購入を希望しています!」と言って、建売住宅用地を探している不動産会社を紹介してきます。建売会社は土地の仕入れができなければ新築一戸建てを分譲できないわけですから、担当者やその上席にお小遣いをあげたり、接待するなんてことはよくあることです。
こうやって仲介手数料をできるだけ多くもらえて、しかも自分が楽しめる方向に誘導していくのです。お小遣いを貯めて高級車を買ったり、マンションを買ったり…そんなウワサをたくさん聞いてきました。あぁ…イヤな業界だな。
ちょっと脱線しましたので話を戻します。
チラシに書かれた購入希望者は「現在」いるのではなく「未来」にいるのです。そして、その未来の購入希望者は「安く買いたい!」と願っています。ゆめ部長のように、本当に限定で探しているお客さまのためにチラシをまいている不動産屋さんは極めて少数派だということを知っておきましょう。
コンプライアンスの問題からは簡単に逃げられる!
チラシにウソばっかり書いていたらコンプライアンスで大問題ですよね。特に大手仲介会社はコンプライアンスに引っかかるのは避けたいところでしょう。
そこで、顧客名簿が残っているお客さまの希望条件や、本当にあった問い合わせの希望条件を「緩くして」チラシへ記載しています。
「コンプライアンスに引っかかるでしょ!」と言われても「実際、過去に問い合わせがあったんだから嘘じゃないですよ!」と逃げられるわけですね。
チラシの嘘からクレームに発展!行政から呼び出された不動産会社の話
「売却不動産大募集チラシ」の嘘がバレてしまい、大変な目にあった不動産会社の話を紹介しておきます。
状況はこんな感じ…
「購入希望者がいる」という嘘のチラシを投函
↓
売主さまから「本当にいるなら、是非!」と媒介を受ける
↓
全然、内覧がない
↓
売主さまが知り合いの不動産屋さんへ相談
↓
専任なのにレインズ登録がないことが発覚
↓
指摘したらレインズ登録
↓
レインズ登録証明書の発行日を偽造して発行
↓
売主さま、キレる
↓
「売れる!」と言った金額での買い取り請求
↓
当然、不動産会社は断る
↓
行政庁が社長を呼び出す
↓
「買取はしない!その代わり仲介手数料無料で売却する」
↓
行政担当者、怒る。「じゃあ、業務停止だね」
↓
社長、焦る。「ごめんなさい。買い取ります」
↓
解決!!
ウェイティングリストとかも信じちゃダメですよ。
なぜか…気になった人は次の記事を読んでみてください!
参考記事…
実はかなりの人がダマされている!
「そんなチラシを信じるわけないでしょ!」と思っている人、危ないかもしれませんよ!「オレオレ詐欺」とか「宗教」とかと同じで、ダマされないと思っている人の方がダマしやすいのかもしれませんからね。
ゆめ部長のもとへ「売却を依頼しているけど、担当者の対応が悪くて…」「大手に依頼したのに売れないんだけど、どうしたらいいの?」というお問い合わせがたくさんあります。そこで、なぜそこの不動産屋さんに売却を依頼したのか聞いてみますと、実は、この売却物件大募集!チラシを見て「すぐに買主さんが見つかると思った。」というお話が意外なほどに多いのです。大手のブランド力は絶大ですね…。
ついでにもう1つ。
電車に乗っているとき、隣にいた頑固そうなおじいちゃん達の会話。
自宅を売ることにしたんだけどさ、毎週チラシを入れてくる会社に売らせてやろうと思ってるんだよな。だって、あそこの会社、3店舗からチラシを入れてくるんだぜ。やる気が違うだろうよ。仕方ねーから、任せてやろうと思ってさ。
大体、こんな内容でした。
頑固なおじいちゃんは自己重要感がとても強いので、そこをうまく刺激しているのでしょう。こんな上から目線のおじいちゃんも虜にしちゃうなんて…スゴイ。
というわけで、皆さまは簡単に騙されちゃダメですよ!
ゆめ部長のマンションでも騙されている!?
ゆめ部長のマンションは築2年ちょっとなので、少しずつ、売りに出さる部屋を見かけるようになってきました。
新型コロナウイルスの影響で
売却・住み替えする人がいるのかな…?
不動産屋さんは、マンションの売却依頼を受けると、そのマンションの集合ポストへ販売図面を投函します。
■ マンション内の住み替え
■ マンション内の買い増し(子ども夫婦が住む!)
■ 売却案件獲得
こんなお問い合わせを狙えるからですね。
このチラシをよ~く見てみると…
「売却不動産募集チラシ」を入れた担当者さんに売却を依頼している住人さんが多いんですよね~
■ マンションエキスパート○○です!
■ ○○町の担当です!
こんなアピールを添えて、顔写真・似顔絵付きのチラシを保管しているので間違いありません。
結果、どうなったか…?
「お客さまがいる!」という話ではなかったの!?
そう思うほど、販売が長期化しています。
「オレは騙されないぞ!」と思っていても
実は、あっさり騙されている…。
これが、現実ですよ。
それと、ゆめ部長のマンションは大手分譲なので、
やっぱり、その系列会社が販売しているのですけど、
これも、失敗パターンだと思います。
「このマンションでは当社が○○部屋仲介しました!」
「相場はしっかり把握しています!!」
って、不動産屋さんは言いますよね!?
でも、これ、全部両手仲介なんですよね。
つまり、自分たちで決めやすい金額を
「相場」と読んでいるわけです。
時間があれば次の記事も読んでみてください。
参考記事…
三井・住友・三菱・野村などブランドマンションはグループの仲介会社に売却を依頼すれば高く売れるのか…?宅建マイスターが考えをまとめました!
最後に…
売却物件大募集!チラシに記載されたお客さまが実在する可能性はとても低いので注意してください。
もし本当に限定のお客さまが登録していた場合ですけど、
その不動産屋さん以外の会社から売りに出されたら、その不動産を購入しないのでしょうか…?そんなことはありませんよね!?気に入っているのであれば、どの不動産屋さんから販売されても購入するはずなのです。
お客さまから「あたなからしか購入しない!」と言われるほどの信頼関係を築ける優秀な営業さんって、ほんの一握りだと思います。だから、「本当にお客さまがいたらどうしよう…」なんてムダな心配はしないでください。
納得のいく売却を成功させるためには、不動産屋さんの営業トークをすぐに信じたりしないで、少しだけ冷静に考える時間をつくることが大事です。判断できずに心配になってしまったなら、ゆめ部長に会いに来てくださいね。一緒に考えれば、きっと大丈夫ですよ。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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