不動産売買契約の登録免許税を宅建マイスターが徹底解説します!
不動産を売買する際に行う「登記」に税金が課税されるっことを知っていますか?登記費用の見積もりをよく見ると、司法書士先生の報酬よりも「登録免許税」という税金が多いことに気が付くはずです。今回の記事では登録免許税に関してまとめてみますね。
不動産業界15年・宅建マイスター・2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~
不動産売買の登記で課税される登録免許税とは…?
登録免許税とは…「登記」をすることに対して課税する税金です。
税金はメリットがあることに対して課税されるわけですけど、じゃあ「登記」はなんのために行うのでしょうか。まずはココを見てみましょう~~
不動産は高額なものですから、安心して売買するためには「誰が所有者なのか?」がわからなければ、怖くて取引することができませんよね。そこで…登記簿に不動産の「所在・面積・所有者など」を記載して一般公開するようになっています。
この「誰が所有しているのか…?」を登記簿に記録するためには、不動産の所有者が「登記」しなければいけないのです!
このように、権利者が「この不動産の所有者は私ですよ~」ということを登記していると、第三者に対して対抗できるようになります。
ちょっとわかりづらいので簡単に解説しますと、例えば、ゆめ部長が、Aさん・Bさんの2人へ同時に不動産を売却する契約をしたとしましょう。(ブラックゆめ部長登場!)
これを二重売買といいますけど、この場合のAさんとBさんのどちらが権利を主張できるか…?という問題に対して、民法は「登記をして対抗力をつけた人を優先する」と定めています。
こうやってみると、登記の効力を理解しやすいですね!
ちなみにですけど、この対抗力をつけるための登記には強制力がありません。権利を主張したかったら自己責任で登記してね。ということになっています。登記をしない人を見たことがないですけど、トラブル防止のために登記が重要だということは押さえておきましょう。
もう1つ。個人情報の塊に思える登記簿の内容は、だれでも法務局で取得することができるようになっています。個人情報保護と不動産取引の安全性を天秤にかけた結果、公開することはやむを得ない…ということなんだと思います。
不動産を売買する際に行う登記は全部で4つ!
■ 表題登記
■ 所有権保存登記
■ 所有権移転登記
■ 抵当権設定(抹消)登記
登記事項証明書を見たことがない人の方が多いはずですから、法務省の見本を一緒に見てみましょう。それぞれの登記がどこに反映されるのか…?を確認してください!
表題登記【不動産売買の登記1】
表題登記というのは、「建物がこの世に生まれましたよー」という最初の登記のことで、種類・構造・床面積・建築年月日などが記載されています。赤ちゃんが生まれた時の出生届け(しゅっしょうとどけ)のようなものですね。
上の「登記事項証明書・見本」の表題登記の部分を見てください。
新築物件の場合、この表題登記を建物建築後1か月以内に行う義務があります。この義務に基づいて「土地家屋調査士」先生が登記を行うと、その不動産に関する建物の登記事項証明書が誕生します。(上記画像の緑色の紙です。)この段階では、甲区・乙区がないため、表題登記の部分しかない寂しい感じの書類になります。
この登記は法律で義務付けられたものですから税金は非課税。登録免許税はかかりません!もちろん、土地家屋調査士先生の報酬は必要ですよ。建売住宅の契約をすると、8万円~12万円プラス消費税という感じで請求されます。
所有権保存登記【不動産売買の登記2】
所有権保存登記というのは、権利部(甲区)に初めてされる登記のことです。「建物の親(所有者)は私です!」と主張するための登記で、所有権保存登記を行うと甲区ができあがります。
上の「登記事項証明書・見本」の所有権保存登記の部分を見てください。
新築戸建てを購入すると、売買契約が終わってから表題登記を行い、残代金決済日(=引渡日)に、所有権保存登記と抵当権設定登記を行うことになります。
所有権保存登記の登録免許税をチェックしましょう~~
税率は0.4%ですが、次の要件を満たすような住宅であれば軽減税率が適用されますから、税率が0.15%になります!(62.5%OFF)
■ 自己居住用住宅
■ 新築(注文住宅)または取得後1年以内に登記完了
■ 登記事項証明書記載の床面積が50㎡以上
注意点を解説します。
新築日は登記事項証明書記載の日付を確認してください。
登記事項証明書記載の床面積はマンションだと注意が必要です。分譲時パンフレットに記載された面積は壁芯面積で、登記事項証明書に記載された面積は内法(うちのり)面積になります。
よくわからないですよね…(汗)
壁芯面積は壁の中心部分を含む面積です。一方、内法面積は壁の内側までの面積です。分譲時パンフ(壁芯面積) < 登記事項証明書(内法面積)となるので、面積の確認は登記事項証明書(謄本)で行いましょう。
なお、認定長期優良住宅 または 認定低炭素住宅なら、税率は0.1%になります!なかなか出会わないですけどね~
書類を実際に見たことがないとイメージできないので、ココはちょっと難しいかもしれません。
次に、何に対して税率をかけるのか…?という問題です。
これは「法務局の認定価格」に対して…になります。東京法務局管内・新築建物課税標準価格認定基準表(平成30年4月1日以降)によると…
木造の戸建て … 95,000円/1㎡
RC造の戸建て … 143,000円/1㎡
木造共同住宅 … 100,000円/1㎡
RC造の共同住宅 … 143,000円/1㎡
となっています。
参考サイト…
不動産登記における評価額のない建物の課税標準について(東京法務局)
参考資料…
建物面積が100㎡で軽減の有・無を比較してみましょう。
無:95,000円×100㎡×0.40%=38,000円
有:95,000円×100㎡×0.15%=14,250円
差額は23,750円
所有権保存登記は、軽減の有無で大きな違いはありませんね。
所有権移転登記【不動産売買の登記3】
所有権移転登記というのは、不動産を売買した際に、所有権が売主さまから買主さまへ移ったことを公示するための登記です。
上の「登記事項証明書・見本」の所有権移転登記の部分を見てください。
先ほども解説しましたけど、第三者に対して「私が権利者ですからね!」と主張するために必要な登記ですから、登記は必ず行ってください。
登録免許税を見てみましょう~
土地の売買を行った場合…
固定資産税評価額に対して税率をかけます。
令和3年3月31日まで:1.5%
固定資産税評価額というのは、毎年6月に入ると郵送されてくる「固定資産税・都市計画税の納税通知書、課税明細書」または、都税事務所で取得できる「評価証明書」に記載されている金額です。実際の取引価格の大体70%くらいになると言われていますけど、エリアによっては大きくズレていることがあります。
建物の売買を行った場合…
固定資産税評価額に対して税率をかけるのは土地と同じです。
税率:2%
下記条件を満たす住宅:0.3%
■ 自己居住用住宅
■ 取得後1年以内に登記完了
■ 登記事項証明書記載の床面積が50㎡以上
■ マンション等の耐火建築物は築25年以内
木造等耐火建築物以外は築20年以内
上記を満たさない場合でも、次の場合はOK
・耐震基準適合証明書を取得
・既存住宅売買開始保険へ加入
築25年を超えるマンションや、築20年を超える木造戸建てを購入するのであれば、「耐震基準適合証明書」を取得できるか確認するとよいでしょう。
参考記事…
「耐震基準適合証明書」を取得すれば築25年を超えても住宅ローン控除を利用できる!宅建マイスターが徹底解説!
中古住宅の建物に関しては、登録免許税の軽減を受けられるかで大きな違いが出てきますね。実際に計算してみましょう。
固定資産税評価額1,000万円の建物に関して軽減の有・無を比較します。
無:1,000万円×2.0%=200,000円
有:1,000万円×0.3%=30,000円
差額は170,000円
戸建てと比べてマンションは建物が占める割合が大きいので、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかは大きなポイントになります。築年数が経過している不動産を売却する場合は、高値成約を勝ち取るためにも、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかを事前に確認してくださいね。
もう1歩進んだ知識をチェックしましょう~
認定長期優良住宅の場合:共同住宅は0.1%・戸建は0.2%
認定低炭素住宅の場合:0.1%
建物の軽減は令和2年3月31日までです。
売買ではなく、相続・遺贈・贈与で不動産を取得した時は次の通りです。
相続:0.4%
遺贈・贈与:2%
抵当権設定(抹消)登記【不動産売買の登記4】
抵当権設定登記とは…銀行からお金を借りる際に、購入する不動産に対して銀行が設定を求める登記です。抵当権が設定された不動産にかかわる住宅ローンを返済できなくなった場合、銀行は不動産を競売にかけ、他の債権者に優先して融資したお金の返済を受けることができます。
上の「登記事項証明書・見本」の抵当権設定登記の部分を見てください。
抵当権は乙区に記載されます。この抵当権を抹消できないと不動産を売却できません。まぁ、売却はできますけど、誰も購入しません。なぜなら…抵当権が残っていたら、抵当権が実行されて競売にかけられちゃうかもしれないんですから。
登録免許税を見てみましょう~
債権金額に対して税率をかけます。
税率は0.4%ですけど、先ほど見た建物の所有権移転登記と同じ条件を満たすのであれば、税率は一気に75%OFFの0.1%まで軽減されます。
具体例で計算してみましょう。皆さまが住宅ローンを4,000万円借りてマイホームを購入したとして、軽減の有・無を比較します。
無:4,000万円×0.4%=160,000円
有:4,000万円×0.1%=40,000円
差額は120,000円
抵当権設定登記も登録免許税の軽減を受けられるかどうかで大きな差が出ますね!
最後に…
登録免許税って、難しくて、なんだかよくわからない税金だと思いますけど、結構な金額を納税しなければいけません。しかし、軽減を使うことができれば大幅に下げることができる税金でもあります。
不動産屋さんは「耐震基準適合証明書」の威力を理解していないことが多いので、不動産を購入するならこの知識は必須だと思います。また、不動産を売却する際も、この知識があれば高値成約を目指せる可能性が上がりますね。
なお、「耐震基準適合証明書」があると、住宅ローン控除も利用できるようになってしまう特典付きなんですよ!
この記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
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