不動産売却の利益計算で「取得費」になるもの・ならないものを解説します!
不動産売却して利益が出たら所得税・住民税が課税されるんですけど、その計算方法がちょっと複雑で、【売却金額-購入金額>0円】なら利益があるから課税しよう!という単純な話ではないんです。
今回の記事では、税率をかける元になる「利益(売却金額-購入金額)」から差し引くことができる「取得費」について解説します!
購入代金や仲介手数料だけでなく、税金や建物に付属するエアコンなども「取得費」にできるけど、引越代金、家具・家電の購入費用は「取得費」にならない…ということを一緒に見ていきたいと思います。利益を圧縮できれば納める税金を減らすことができますからしっかり勉強しておきましょう。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産売却の利益(譲渡所得税)の計算方法を確認しよう!
不動産売却の利益(譲渡所得)に対する税金の計算式は次の通りです。
課税譲渡所得金額 ×「所得税・住民税」
「課税譲渡所得金額」…漢字が8文字並んでいて見るのもイヤですね (笑) これは、所得税率・住民税率をかけ算する元になる「利益」のことです。この金額をできる限り少なくすることで「節税」を狙っていきます!
まず「課税譲渡所得金額」を分解してみましょう。
課税譲渡所得金額 = 「譲渡所得」 - 「特別控除」
「特別控除」は一定の要件を満たせば、「譲渡所得(売却利益)」から「-3,000万円」してくれる…そんなありがたい制度のことです。「利益を圧縮したいんだ!」という気持ちで考えると、この特別控除のありがたみを実感できますね!!
「譲渡所得」は売却した時の利益のことです。「売却金額 - 購入金額」で計算するのではなく、利益から売却時と購入時の諸費用を引き、建物減価償却費を加えることで計算します。
で、さらに「譲渡所得」を分解してみると…
譲渡所得 = 譲渡収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )
「譲渡収入金額」はもらったお金で、「譲渡費用」は売却するのに払ったお金です。この2つは下記の参考記事で解説しています。
参考記事…
不動産売却の利益計算で「譲渡収入」「譲渡費用」になるものを解説!
今日の記事は「取得費」について詳細に解説していきます!
「取得費」の計算方法を確認する!
取得費を分解すると次の計算式になります。
取得費 = 土地価格 + 建物価格 + 購入諸費用 - 建物減価償却費
「土地価格」と「建物価格」が不動産の取得費になるのは誰でも理解できますね。問題なのは「購入諸費用」になります。意外なものがOKになったりしますから、過去の領収証を引っ張り出してきて少しでも利益圧縮を図るように頑張ってください!
「購入諸費用」が増えるとういことは…
=「取得費」が上がる
=「課税譲渡所得金額」が下がる
= 節税になる♪
とういことですからね!
「建物減価償却費」の計算はちょっぴりメンドウなので次の参考記事をどうぞ。
参考記事…
不動産売却の利益計算…建物減価償却費の加算を忘れていませんか?
黄色のマーカーを引いた部分をまとめてみると次のようになります!
譲渡収入金額
- 取得費(土地+建物+購入諸費用-建物減価償却費)
- 譲渡費用
- 特別控除
× 所得税率・住民税率
この式をもうちょっと簡単にすると…
不動産を売却したお金
- 土地購入価格
- 建物購入価格
- 購入の諸費用
- 売却の諸費用
+ 建物減価償却費
- 特別控除
× 所得税・住民税
漢字をたくさん並べた正式名称とかをムシして、このように書いた方がわかりやすいですよね。
税法って、頭がイイ人による弱者イジメな気がするんだよなぁ…。ゆめ部長はいじめられっぱなし(涙)
課税譲渡所得金額の計算で「取得費」になるもの・ならないもの
「取得費」の計算式をもう1度見ておきましょう。
取得費 = 土地価格 + 建物価格 + 購入諸費用 - 建物減価償却費
計算式は単純ですけど、先ほどもお話した通り、「購入諸費用」に含まれる・含まれないの区別がわかりづらいので注意してください。
土地の購入代金は当然ながら取得費になります。それ以外にも、建物解体費用・整地費用・擁壁工事費用・測量費用なども取得費になります。しかし、住宅ローンの金利・火災保険料・引越費用などは取得費に含めることができません。詳細は下記の項目を参照してください。
次に、「建物減価償却費」の計算式を確認します。
建物取得費 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
建物減価償却費は不動産売却価格に「+」されるので、できるだけ少なくしたいところですよね!
建物取得費は、建築費用だけではなく、建物取得の諸費用・税金・建物に付属するエアコンや給湯器の購入や設置費用などの合計金額になります。
土地・建物共通項目の取得費については、建物 /( 土地 + 建物 )で計算してよさそうです。例えば、マンションで土地と建物の割合が…土地40%・建物60%、仲介手数料(諸費用)が100万円の場合、建物分の仲介手数料は100万円 × 60% = 60万円という計算です。
具体的な計算は、必ず税理士先生・税務署へ相談してくださいね。
マイホームの「取得費」になるもの【土地のみ】
■ 購入代金
■ 土地上の建物(古屋)代金 および 解体費用(1年くらいで解体)
■ 整地・埋立・盛土・擁壁工事・下水道工事などの費用
■ 測量費用
マイホームの「取得費」になるもの【建物のみ】
■ 購入代金・建築費
■ 設計料・設計変更費用・建築確認申請料など
■ リフォーム・増改築
■ エアコン・給湯設備等で建物に付属する設備
マイホームの「取得費」になるもの【土地・建物共通】
■ 仲介手数料
■ 司法書士先生の報酬
■ 訴訟費用(遺産分割は除く)
■ 立退料
■ 違約金(別物件購入するため契約解除した場合)
■ 不動産取得税・登録免許税・印紙税
■ 固定資産税・都市計画税の精算金
■ 住宅ローンの事務手数料
■ 住宅ローン保証料(借入日~使用開始まで)
■ 住宅ローン金利(借入日~使用開始まで)
■ 団体信用生命保険料(借入日~使用開始まで)
マイホームの「取得費」にならないもの
■ 住宅ローン保証料(使用開始日以降)
■ 住宅ローン金利(使用開始日以降)
■ 団体信用生命保険料(使用開始日以降)
■ つなぎローン事務手数料・金利
■ 火災保険料等(家屋・家財・地震)
■ インターネット加入料・CATV使用料
■ 管理準備金
■ 管理費・修繕積立金
■ 引越費用
■ 家電製品・家具・カーテン購入費用
■ 町内会費
購入時の金額がわからないと「概算取得費」で計算することになる…
両親が購入した不動産を相続したので、当時の売買契約書が見つからず取得費がわからない…そんな場合は「概算取得費」で計算することになります。上記の「実額取得費」と比較して有利な方を利用できますが、通常は「実額取得費」になるでしょう。
概算取得費 … 譲渡収入金額 × 5%
購入諸費用・売却諸費用・建物減価償却費を含めて単純に取得費を「譲渡収入金額」の5%で計算します。5,000万円でマイホームを売却して、固定資産税と都市計画税の清算金が10万円だった場合で考えてみると…
( 5,000万円 + 10万円 )× 5% = 250万5,000円
利益( 売却金額 - 購入金額 )から引ける取得費がこれだけだと、税率をかける元が高くなり、納税額が上がってしまいますね…(悲)
参考記事…
最後に…
意外なものが取得費として認められることに驚いたかもしれませんね。取得費をどんどん増やして積み重ね、利益を圧縮して節税する!!ということを意識してください。
なお、経費を証明するためには領収証が大事です。売却する時は領収証を全てかき集めて税理士先生・税務署へ持っていきましょう。自己判断だと損をする可能性がありますし、間違った申告をしても大変です!
もし、これから購入されるのであれば、領収証は売買契約書のファイルなど1か所にまとめて保管することをオススメします。紛失しているお客さまが多いですから注意しましょうね。
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■ 2019年10月16日 投稿
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