片手仲介の不動産取引が怖い…と感じる理由を宅建マイスターが実務経験から語る!
ゆめ部長は、売主さま・買主さまの両方を担当することになる「両手仲介」を禁止にしています。つまり、すべての売買契約が「片手仲介」になるのですけど、ここには「リスク」が潜んでいることがあり、契約に不安を感じることがあります。
今日の記事では、他の不動産屋さんと共同仲介になる「片手仲介」で生じるリスクについて語ってみようと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
片手仲介(共同仲介)・両手仲介の基礎知識
片手仲介(共同仲介)・両手仲介の基礎知識について、すっごく簡単に具体例で説明しておきます。
下記の4者がいるとします。
■ 仲介会社 A:ゆめ部長
■ 仲介会社 B:他社不動産会社
■ 売主さま
■ 買主さま
両手仲介というのは…
仲介会社が、売主さま・買主さまの両方を担当する取引
片手仲介というのは…
ゆめ部長 :売主さま担当
他社不動産会社:買主さま担当
仲介会社が2社いて、それぞれにお客さまがいる取引
仲介会社からすると「共同」で取引をまとめます。
だから「共同仲介」とも言います。
分かれ・ダブル…
片手仲介の場合、仲介手数料を分け合うと言う意味で
「分かれ」と言うこともあります。
逆に、両手仲介の場合、仲介手数料が2倍なので
「ダブル」と呼ぶ人もいます。
上の図とこの説明でもイメージがわかなければ、
ぜひ、下記の参考記事を読んでみてくださいね。
参考記事…
今日の話は、この片手仲介(分かれ)の売買契約で生じるリスクについてです!
片手仲介の売買契約で生じるリスク
片手仲介の売買契約を締結する場合…
ゆめ部長が「売主さま」を担当すると、
他社の不動産屋さんが「買主さま」を担当します
ゆめ部長が「買主さま」を担当すると、
他社の不動産屋さんが「売主さま」を担当します
つまり、他社の不動産屋さんが、
■ 不動産取引を理解しているか
■ 知識・経験があるか
■ 宅建士の資格を取得するなど勉強しているか
■ 仕事に責任感があるか
こういう部分を確認しておかないと
ゆめ部長は安心して売買契約・引渡業務を行えません。
具体的にどういう問題が生じるのか…??
解説していきましょう。
ゆめ部長が買主さまを担当する場合
ゆめ部長が「買主さま」を担当する場合ですから、
他社の不動産屋さんが「売主さま」をサポートします。
売主さまは、手付金を受領し、売買代金を受領する立場です。
また、代金受領と同時に所有権を移転しなければいけません。
高額なお金を受領する立場ですから、
ゆめ部長としては、売主さまについて、
■ 本物の所有者なのか?
■ 判断能力はあるのか?
■ 代理契約の場合、代理権は有効に授与されているのか?
■ 契約条件が売主さま有利になっていないか?
このあたりをチェックしたいところです。
しかし、共同仲介の場合、
売主さまに関することは他社の不動産屋さんが担当するため
ゆめ部長が完璧に確認することができません。
相手が大手仲介会社やベテランの宅建士であれば
安心できるでしょう。(油断はできません)
でも、賃貸管理がメインの会社や宅建士でなかったら…
なんだか、すごく心配になりますよね?
もう少し理解を深められるように、
上記の4パターンを順番に見ていきます。
【1】売主さまは売買対象不動産の本物の所有者?
2017年に積水ハウスが63億円をだまし取られた「地面師事件」を覚えていますか?
この事件では、詐欺師が所有者のフリをして、買主である積水ハウスさんが売買代金を騙し取られてしまいました。
高額な案件だから狙われた!と思うかもしれませんが、ゆめ部長が取り扱うマイホームでも起こり得る事件ですから注意しなければいけません。
どのように防ぐのか…?
簡単に説明しておきます。
不動産売買契約の場において、
売主さまの本人確認として次の物をチェックします。
■ 登記済権利証(登記識別情報通知)
■ 実印
■ 印鑑登録証明書
■ 運転免許証・パスポートなど顔写真付きの本人確認資料
■ 住民票(戸籍の附票など)
書類を使った本人確認方法は次の通りです。
STEP.1
売買契約書に直筆した氏名・住所が、登記済権利証・印鑑証明書・住民票と合致しているかを確認
STEP.2
押印した実印と印鑑証明書の印影が一致するかを買主さまの目の前で確認。印鑑証明書を折り曲げ、売買契約書の印鑑の上に重ね、パタパタめくりながら一致するかをチェックしましょう。
STEP.3
売主さまの顔と運転免許証の写真が一致するかを確認
このように、公的書類・登記済権利証を使うことで所有者確認をするのですが、残念ながらほとんどの不動産売買契約でこのような確認がされていません。
これが、ゆめ部長には怖いのです…。
買主さまは高額な手付金を支払うわけですから、目の前でしっかり確認してもらわないと困りますよね!?
参考記事…
【2】売主さまに判断能力はある?
売主さまに判断能力があるかどうか…?
これも重要なポイントです。
売主さまが成年後見制度を利用していたり、
認知症を患っていたり、
高齢者で不動産の売却を理解できていなかったり…。
超高齢社会の日本では、今後増えてくる問題です。
判断能力がなかった場合どうなるのかを説明すると…
成年後見制度を利用した成年被後見人が売主さまになる場合、マイホームを売却するには家庭裁判所の許可が必要になります。東京法務局で取得できる「登記されていないことの証明書」を取得せず、売主さまの判断能力確認も怠った結果、家庭裁判所の許可を得ずに売買契約を行ってしまうと、この取引は「無効」となります。
また、判断能力がない売主さまと売買契約をした場合、後日、この取引を「取り消し」される可能性もあります。
買主さまにとって大きなリスクですから、
売主さまの判断能力確認は大事な手続きなのです。
売主さまが高齢者の方ですと、
老人ホームに入所していたり、
病院に入院していることがあります。
面談することを拒否されるケースだってあるでしょう。
こうなると、不動産屋さんはメンドウが嫌いですから、
「まぁ、大丈夫でしょ。」と勝手な判断をしがちです。
こうやって、売買契約に問題の火種が生まれるので、
相手の不動産屋さんがしっかりしているか…
ゆめ部長がドキドキしてしまうわけなんですよ。
参考記事…
【3】代理人による代理権はあるの?
売主さまが代理人を立てて売買契約することがあります。
遠方・病気や怪我・高齢など、いろんなケースで代理契約が行われるのですが、代理人が本当に売主さまから代理権を与えられているのか…?この確認も大事です。
代理権があるのか?確認したい書類は次の通りです…
本人の確認書類
■ 権利証 または 登記識別情報通知
■ 運転免許証・パスポートの写しなど
■ 印鑑登録証明書
■ 住民票(住所変更時のために)
■ 実印を押印した代理権授与の委任状
代理人(個人)の確認書類
■ 運転免許証・パスポートの写しなど
■ 印鑑登録証明書
これらの書類を求めつつ、
本人に面談して売却意思を確認することが推奨されています。
でも、実際に面談している不動産屋さんは少数派です。
もし、無権代理人と売買契約をしてしまうと、この取引は「無効」になる可能性があります。特に、親族が代理人となるケースでは、実印と印鑑証明書を不正に用意しやすい環境にあるため要注意です。(相続・離婚案件など)
ここで、現場での体験を2つ紹介します。
四国に住む売主さまが、不動産屋さんを代理人として、東京にあるマンションを代理契約した際、ゆめ部長が上記の書類を求めたら「おたく、メンドクサイねー」と文句を言われたことがあります。
他には…「そんなウルサイこと言うなら売ってやらねーよ!ガチャッ(怒)」なんてケースもありました。
ねっ!?共同仲介って怖いでしょ??
参考記事…
【4】「現況有姿」で売主有利にしていないか?
勉強していない不動産屋さんは、とにかく、「現況有姿」「契約不適合責任免責」にしたがります。
理由は、メンドウが嫌いだし、楽をしたいからでしょう。
たとえば…
築50年の中古戸建を売買することになりました。
この物件は測量図はありませんが、
現況面積は登記簿面積よりも明らかに狭い…
こんな状況だったとします。
通常であれば、最新の技術で測量を行い測量図を付けるべきです。その際に、境界を明確にして、境界標も設置した方が良いでしょう。
それにもかかわらず、測量するのは時間がかかるし、境界確認書を隣地と取り交わすのはメンドクサイな…と考え、売買契約の条件を「現況有姿」「登記簿売買」にしようとしてくるのです。
せめて、現地でメジャーをあて、周間を測り、面積が減少する可能性が高いことを伝えればいいのですけど、当然、そんな手間はかけません。
このような売買契約をした場合、測量面積が登記簿面積よりもだいぶ狭いことが判明すれば、錯誤により「取り消し」されるリスクがあります。
ゆめ部長が「現況有姿」「登記簿売買」はリスクが高いことを説明し、測量を契約条件にしてもらえるようにお願いしても拒否されることがあります。しっかりした宅建士が相手なら、交渉する必要もないことなんですけどね…。
トラブルが生じないように、調査義務・説明義務を負うのが宅建士の仕事です。これを理解していない不動産仲介会社とは、取引しない方が良いでしょう。
ゆめ部長が売主さまを担当する場合
ゆめ部長が「売主さま」を担当する場合ですから、
他社の不動産屋さんが「買主さま」をサポートします。
不動産屋さんは売買契約が成立すると、
買主さまへのサービスが悪くなってしまうようです。
なぜなら、
売買契約すれば仲介手数料の請求ができるので
不動産屋さんにとっては売買契約がゴールだからです。
一方の買主さまは引渡がゴール。
ゴールの違いで熱量に差が出てしまうのでしょう。
ここで生じる問題は、買主さまを担当する他社の不動産屋さんがしっかりサポートしないから、売主さまにも迷惑がかかる!ということです。
1番多いのは住宅ローン手続きなので、
住宅ローンの被害体験を語ります。
住宅ローンで融資を受けられなければ、売買代金を支払えませんよね。そこで、売買契約から2週間~1ヶ月ほど「住宅ローン特約」を付け、この期間内に本審査の内定が出なければ、売買契約を白紙解除できるようにしています。
この特約は売主さまにはメリットがありません。
買主さまは売主さまに負担を負わせているのです。
そのため、この期間内に融資を取得する「義務」があるのであり、期間内であれば、ゆっくり手続きできる「権利」があるという認識は間違っています。
それにもかかわらず、多くの不動産屋さんが、この期限ギリギリに内定を取得します。自分たちが手続きをしなかったことが原因なのに、期限が近づくと「融資が出るかわからないので、覚書で延長してもらっていいですかねー?」と軽い感じで電話をかけてきます。
審査が通ればいいですけど、通らなかったら、売主さまの損失が大きすぎます。通ったとしても、引渡期限を過ぎてしまったら、売主さまの計画を変更しなければいけないかもしれません。
不動産屋さんっていう人たちは…
ギリギリまで動かない!
連絡・報告しない!
相談が遅い!
約束を守らない!
プロ意識が低い!
勉強不足で問題を理解できない!
利益しか考えられない!
その場をやり過ごせばOKと考える!
だから、問題を初期消火できず、
トラブルが拡大化・深刻化するのでしょう。
ゆめ部長が買主さまも担当できれば、こんなことで、心配したり、イライラしたりしなくて済むのにな…と思います。
最後に…
ゆめ部長は「両手仲介禁止!」で仕事をしていますけど、日本の不動産取引をアメリカ型のエージェント制(バイヤーズエージェント・セラーズエージェント)にするには、不動産屋さんのレベルアップが必須だと感じています。
相手の不動産屋さんを信頼できる。
だから、
自分のお客さまに集中できるのです。
宅建士の育成に時間と労力を注いでレベルアップを図り、エージェント制を日本の不動産仲介業に浸透させていきたいです。お客様目線のサービスを提供する業界になるように、ゆめ部長は微力ながら頑張っていきます!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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