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2018年12月29日
不動産売買の流れ

ムダに厚い不動産の査定書は全く意味がない!【上級宅建士が解説する保存版】

不動産を売却することになり、不動産屋さんに査定依頼すると、たくさんの査定書が送られてくるかと思います。厚い査定書もあれば、A4の紙1枚にまとめられた簡単なものまでありますから、どの査定書を信じたらいいのかわからなくなるはずです。

 

そこで、不動産屋さんが何を考えて査定書を作成しているのか?そんな仕事の裏側を交えながら、不動産の査定書について解説します。

 

不動産業界15年宅建マイスター(上級宅建士)2級FP技能士の「ゆめ部長」が心を込めて記事を執筆します!それでは、さっそく目次のチェックからいってみましょう~


【目次】

1.  日本人が大好きな不動産の「分厚い査定書」はハッキリ言って意味がない!

2.  厚みのある不動産査定書の中身はどうなっているの…?

3.  不動産査定システムで算出した金額はズレすぎる。実は査定額をいじっている!

4.  不動産査定システムの計算式にあてはめる数字 (評点) を自分で決めるのはムリ!

 4-1.  土地の査定方法

 4-2.  建物の査定方法

5. 不動産査定書に難しいデータを使う理由は法律が根拠を求めているから!

6.  私が不動産を査定する場合…

7.  どうしても細かい内容の不動産査定書が欲しいなら…

8.  最後に…

日本人が大好きな不動産の「分厚い査定書」はハッキリ言って意味がない!

たくさんの不動産査定書を並べて比較したら、皆さんはどの査定書を基準にしますか?

 

おそらく、「難しい数字が並んでいて読みたくない」査定書、「ムダに厚い」査定書の金額を信じて販売価格を決めようとするのではないでしょうか?書かれている内容はわからないし、内容を読み込むこともないはずなのに…。

 

厚みがあると権威的で信用できそうな気がしてしまうものは仕方ありませんが、それは間違いった選択だと、ここでハッキリ断言しておきます!

 

売却する不動産が、居住用の土地・一戸建て・ファミリータイプのマンション一室などであれば、そんなに難しいデータなんて必要ありません。つまり、ムダに厚みのある査定書に意味なんてないのです。

 

この記事を読み終わると、業界の裏側も知ることができるので、私の考えを理解できると思います。少し長くなりますけど最後までお付き合いください。

厚みのある不動産査定書の中身はどうなっているの…?

大手が作成した30枚の不動産査定書の中身をのぞいてみましょう。

 

ごあいさつ

査定に関する簡単な説明

不動産売却の流れ

査定物件の概要

地図

路線価

成約事例と販売物件の図面

査定金額計算  …難しいデータはココで出てきます。

査定額と売出提案価格

サービス内容の紹介

謄本、公図、測量図などの法務局資料

ハザードマップなど

 

30枚の書類を綴じた不動産査定書を見ると、「豪勢な感じを演出するためにムリヤリ書類を挟み込んだでしょ!?」と思うのは私だけではないはず!いらない資料を排除してわかりやすい査定書を作成することが本当のサービスだと思いますが、いかがでしょうか…?

 

ちなみに、査定金額が最後の方に書かれている理由は…「お客さまが1番気になっている金額を先に伝えると、その後の説明に興味がなくなって話を聞いてくれなくなるから」だそうです。これは、大手仲介会社に勤務していた時の店長に教わりました。

 

私はそんなこと気にせず最初から査定金額を“ドーン”と書いています。金額 ⇒ 根拠と資料 ⇒ 金額という順番であれば、金額が気になって話を聞いてくれないことも減るからです。

 

もったいぶる営業手法は好みではありませんし、結論を先延ばしにされるのはストレスになると思っています。

不動産査定システムで算出した金額はズレすぎる。実は査定額をいじっている!

査定するために集めたデータを「不動産査定システム」に打ち込むと、実はメチャクチャな金額が出てきてしまい、そのままではお客さまに提示できないケースがほとんどです。

 

本当に驚くほど金額がズレますから、不動産査定システムで算出された査定金額を加工しなければなりません。事前にお客さまへ提示する金額を考えておき、この金額に査定システムの金額を合わせていくわけです。

 

具体的には、比較対象物件の「評点」を上げたり下げたり、「〇〇率」という項目をイジって調整したりします。「〇〇率」という項目が入っている査定書が多いので、1度チェックしてみてください。

 

大手で査定をしていたときは、「こんな査定書に何の意味があるんだろう?」とずっと思い悩んでいました。

 

比較対象物件の「評点」や「〇〇率」を自分の主観で決めるということは勘に頼るということで、不動産屋さんのオジサンが「おれの勘はあたるんだ!」と言っているのと何も変わりません。

 

ちなみに、不動産流通推進センター の「既存住宅価格査定マニュアル」では、「市場調整率」が-15%~+10%で入力できます。5,000万円の物件なら、最大で4,250万円~5,500万円までイジれることになってしまうのですから怖いことです。

 

私が大手で勤務していた店舗では、さすがに「経験と勘」だけでは心許なかったのか、査定依頼物件の資料を営業全員にまわし、それぞれが「成約価格帯」と絶対に決まるであろう「決まり値」を書くようにしていました。

 

この数字を参考にして、担当者が査定金額を決めるのです。

 

地元密着の大手でしたから、査定システムのように大きく外すことはありませんでした。結局、まだ経験と勘に頼るしかないのかな…と思いますね。

 

「〇〇調整率」は、「流通性比率」・「市場調整率」・「価格調整率」・「部屋別調整率」など、査定書によって名称が異なり、+10%~-15%で設定します。

 

査定システムで算出された金額を自分で決めた金額に合わるために、調整率を110%と書いてみたものの根拠がないため、「なぜこの数字なのですか?」と質問されたときに「数字はシステムで自動的に決まります。」と答えるしかありませんでした…。

不動産査定システムの計算式にあてはめる数字 (評点) を自分で決めるのはムリ!

不動産査定システムでは、査定物件・成約事例・周辺の成約事例・現在の販売物件などに評点を付けて比較しますが、この数字を営業マンが決めることには無理があります。

 

なぜなら、成約事例として使う物件は自分で見たことがありませんから、陽当りが良かったのか、地型が整形地か旗型地かもわからないからです。わかるのは駅距離・築年数・面積などのデータに限定されてしまいます。

 

具体的に中古戸建の査定で説明してみましょう。土地と建物を分けて計算します。

土地の査定方法

土地の計算式… 

成約事例の坪単価 × (所有物件の評点 / 成約事例の評点) × 面積(坪)

(査定書によって計算式は異なります)

 

ちょっとわかりづらいですね。最初に簡単な具体例をいれておきます。

 

■ 成約事例の坪単価(@1坪=約3.3平米)が100万円

■ 所有物件の評点120点

■ 成約事例の評点100点

 

100点の物件が@100万円で成約しているということは…

120点の査定物件はいくらで売れるのかな?

 

100万円÷100点=1万円(1点あたりの@単価)

1万円×120点=120万円

 

こうやってみると簡単ですね!具体例はここまで。

 

所有物件の評点は、現地を見に行けばある程度正確に付けられますが、成約事例の評点はどうでしょうか…?

 

成約事例は個人情報の問題もあり、正確な場所の特定をできない場合がほとんどのため、周辺環境・日照や通風・前面道路の幅員や種類・地型・隣地との高低差や高圧線下など、点数を付けることができない項目がたくさん出てきてしまいます。

 

それにもかかわらず、ムリヤリ評点を付けて査定システムに入力するわけですから妥当な数字を導き出せるわけがないのです。

 

安い金額で不動産売却依頼を取りたければ、査定物件の評点を下げて成約事例の評点をあげれば簡単に金額を操作できてしまいますね。

 

さらに言うと、現地を特定できても点数付けは営業の感覚に頼らざるを得ません。

 

例えば、「嫌悪・危険施設」なしは評点0、ありは-10、影響大は-20とあります。0 ~ -20の間で担当者が選ぶのですが、ゴミ屋敷・お墓・火葬場・暴力団事務所・幼稚園などをどれくらい嫌がるかは人によってだいぶ変わるものですから、この部分もハッキリしないと言えます。

 

また、不整形地の場合は最大で-30となっていますが、プラン入れがうまい設計士であればー30を-15にできるかもしれません。

 

だんだん、査定金額の計算式にあまり意味ないことがわかってきましたね。

建物の査定方法

建物の計算式… 

標準単価 × 品等格差率 × 規模修正率 × 原価率 × メンテナンス補正率 × 延床面積

 

(もっと細かい計算式を設定している査定書もあります)

 

これも土地と同じになります。現地に行ったことがないのに、建築したハウスメーカーや建物のグレードで調整する「品等格差率」や、住宅診断の実施・リフォーム・リノベーション工事の実施状況で調整する「メンテナンス補正率」を入力するなんて、どう考えてもおかしいと思います。

 

入手できる資料にはリフォーム・リノベーション履歴が書かれていなくても、実際は1,000万円を超える大掛かりなリノベーション工事をしたかもしれませんし、注文建築であることだけはわかったけど、有名設計士先生に依頼したこだわり住宅だったかもしれないですよね。

 

また、「品等格差率」は建物に使用される部材を目視してグレードを判断しますが、建築のプロではない宅建士が判断できるものなのでしょうか…

 

建物が「積水ハウス」・「住友林業」・「三井ホーム」などの大手ハウスメーカーであれば最高評価で良いと思いますが、地元工務店の職人のおじちゃんが建てた素晴らしい建物はどのように評価するのでしょうか?

 

「メンテナンス補正率」の評価も難しいところです。

 

外壁や屋根のメンテナンスを10年に1回しっかり行っていれば高評価できますけど、通常通りの15年に1回だったらどうなのでしょうか?これも同じプラス評価できそうですけど、10年に1回と比較したときに同じ補正率で良いのかわかりません。

 

また、フルリノベーションして価値が復活したとしても、誰かが使った後であれば中古感覚になります。その場合のマイナス補正はどれくらいで設定すればよいのでしょうか?

 

そんなのわかりませんよね。

 

実際、大手の査定書を見比べてみると大体「1.00」になっていますから、なんだか難しい査定システムを作ってみたものの、実際は有効活用できていないという実態が見えてきます。

 

なお、「標準単価」は(公財)不動産流通推進センターが毎年発表する数字や国土交通省の「建物の標準的な建築価額表」などを基にしますが、この金額で実際に建替えるのは厳しいと言えます。

 

建物は本体だけでなく、外構工事費などもかかるわけですから、そのあたりも加味しなければいけません。

 

例えば平成28年の木造住宅は165,900円/㎡ですから、80㎡・3LDKを1,327万円で計算することになります。実際はこの金額で再建築するのは少し厳しいですし、3階建ならさらに建築費が上がります。この計算式で計算すると建物の評価が安くなりすぎてしまうため気を付けています。

 

補足1…

有名建築家に依頼した住宅などは査定システムの対象外となっています。まぁ、当たり前のことですけど。

 

補足2…

リノベーション工事や防音室工事などを行っていた場合、私は15年で価値が10%程度になるという前提で計算するようにしています。

不動産査定書に難しいデータを使う理由は法律が根拠を求めているから!

私たち宅建業者が守らなければいけない宅地建物取引業法では、「媒介契約において査定価格についての意見を述べる際は客観的・合理的な根拠を明らかにすること」を義務付けています。

 

なぜ義務付けられているのかと言うと…

 

本来は嬉しい話のはずですけど、思ったよりも早くに成約できた場合「あれ?もっと高く売れたんじゃないの?」「なんでもっと高い金額で販売するようにアドバイスしてくれなかったんだよ!」とクレームになることは想像しやすいと思います。

 

査定金額の根拠をしっかり説明して納得できていれば、「こんなに早く契約になってよかったぁ~」と思えますから、このようなクレームにつながらずに済みますよね。

 

この客観的・合理的な根拠を明らかにするための1つの方法が、不動産売却査定システムを利用した査定書の提示になります。

 

しかし、この不動産査定システムは宅建士が現場で使いやすいとは言えません。この点は大きな問題だと思います!

 

個人情報取扱が厳しく成約事例の詳細情報がわからないために、宅建士の主観に頼る現在のシステムは、今まで通りの「不動産屋さんの勘に頼る査定」と何も変わりません。結局、誰にとってもメリットを生み出すことができていないと評価せざるを得ないわけです。

 

仲介業務に10年以上携わっていても、査定システムを利用して妥当な金額を算出する自信が私にはありません。必要以上に細かいデータを入力するのではなく、現実的に集められる資料・情報から、より正確な数字に近づけられる査定システムができあがることをこれからの不動産テック(リアルエステートテック…不動産×テクノロジー)に期待しています。

私が不動産を査定する場合…

不動産査定システムの問題点を把握したうえで私が行っている査定方法をまとめてみます。

 

まずは、現在売りに出されている類似物件と、直近の成約事例を集めます。この販売図面から読み取れるプラスポイントとマイナスポイント・販売期間などをまとめ、査定対象物件と比較して説明します。

 

販売価格が決まったら、周辺エリアで同一金額帯の物件を出してみて、自分が購入物件を探しているとしたら「購入したいと思うか?」を売主さまと一緒に考えるのです。

 

査定物件がマンションであれば、分譲時の価格表も入手して、成約事例と分譲時の価格を比較して「増減率」を計算して参考にしています。

 

こうやって、販売中の物件がなぜ売れていないのか?」「複数の成約事例と査定物件を比較して導き出される販売価格がいくらなのか?」をお客さまと一緒に考える方が、よっぽどわかりやすくて納得されると実感しています。

 

もちろん、原価法を用いた建物の残存価値の計算、リフォーム・インスペクション・
修繕履歴も価格に反映させています。

 

大手ほどの細かい計算式は使っていませんが、大手が提示する修正済みの査定金額とと私の査定金額がいつもほぼ同じになりますから、やはり、難しいデータや計算式は不要だと感じています。

どうしても細かい内容の不動産査定書が欲しいなら…

複数人が共有している不動産を売却する場合、どこの不動産屋さん・どの担当者に任せるか…?は、共有者が承諾しないと決められないと思います。

 

細かい内容が記載された査定書を見せることで安心してもらいたい、というご要望があれば作成することも可能です。

 

その際は、所有する資料の確認、リフォームや修繕履歴のヒアリング、法務局・役所・現地での調査を行う必要がありますのでご協力ください。

 

査定に必要な資料を収集できましたら、公益財団法人 不動産流通推進センター の「既存住宅価格査定マニュアル」を使った査定書を提示いたします。

 

もちろん、私たちが行う不動産査定はすべて無料です!

最後に…

訪問査定を受けたことがある方へ…。

 

皆さまの担当者さんは査定金額をしっかり説明してくれましたか?「査定根拠の説明が実はよくわからなかったんだよね…。」という感想が大半だと思いますが、査定金額を納得できているかどうかは大事なポイントです。

 

特に成約事例と競合物件の比較は重要ですから、これらの資料を提示してくれなかったという場合は、即、別の担当者・会社に依頼することを強くオススメして、本日の記事を終わりにしたいと思います。

 

文字数の多い記事を最後まで読んでくださりありがとうございました。よかったら、Twitterもフォローしてください!!

 

参考記事…

3つの不動産査定方法を宅建マイスターが実務経験を踏まえて解説します

マンションの査定方法を宅建マイスターが解説します

土地の査定方法を宅建マイスターが解説します

中古戸建の査定方法を宅建マイスターが解説します!

 

2019年8月17日追記…

現在、「手数料0円売却」・「セラーズエージェント」はお休み中です。「仲介手数料半額の不動産売却」をご検討ください。

 

事情を説明した記事はコチラ…

【超・重要なお知らせ】「セラーズエージェント」「手数料0円売却」をしばらくお休みにします。

この記事を書いた人
渡部 直人(ゆめ部長) ワタナベ ナオト
渡部 直人(ゆめ部長)
不動産取引の仕事一筋15年…仕事中心の生活をしてきました。ハッキリ言って仕事は趣味です(笑)でも、不動産業界にはなんか暗いイメージがあります。そこで、ゆめ部長は考えました。お客さまが安心して取引できるだけでなく、才能あふれる人財が楽しく働ける環境を作り、この暗いイメージを払拭・改善していこう!と。「全員がHAPPY」なんてムリだけど、ゆめ部長と係わってくださったお客さまにはHAPPYになってほしい。できることを1つずつコツコツ積み重ね「幸せの種」をまいています♪

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