不動産の仲介会社とは?みんなの疑問に宅建マイスターがお答えします!
不動産を売ったり、買ったりするとき、「不動産仲介会社」が皆さまのサポートをしている…ということを知らない人が多いようです。そこで、仲介手数料を支払うことになる「仲介会社」って…そもそも何?という疑問にお答えしておこうと思います。不動産以外の仲介サービスを使ったゆめ部長の経験を織り交ぜながら解説しますね。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
「不動産取引のキソ知識」3つを確認しよう!
不動産仲介会社の仕事について解説する前に「不動産取引のキソ知識」3つを見ておきましょう。
キソ知識1:売主さまと買主さまは利益相反関係になる!
売主さま高く売りたい立場で
買主さまは安く買いたい立場です。
売主さまを優先させれば買主さまが損をし
買主さまを優先させれば売主さまが損をします。
つまり、売主さまと買主さまは「利益相反」関係になります。
…天秤をイメージするとわかりやすいですね。
キソ知識2:「片手契約」と「両手契約」
売主さま・買主さまのどちらかだけ担当する契約を「片手契約」といい、売主さま・買主さまの両方を同時に担当する契約を「両手契約」といいます。
上記の2枚の図を見るとわかりやすいと思います!
キソ知識3:仲介会社は契約が決まらないと報酬がない
不動産仲介会社の報酬は「仲介手数料」です。この仲介手数料は成功報酬制になっているため、売買契約が成立して初めて報酬が発生します。つまり、どんなに苦労しても、努力しても、売買契約が成立しなければ報酬は0になるということです。
この成功報酬制によるデメリットは…
不動産屋さんは「無報酬なんて絶対イヤだ!」と考えます。
そうすると…
売主さまが損をしようと…関係ない。
買主さまが損をしようと…知ったこっちゃない。
どっちか攻めやすい方を見極めて徹底的に詰めてやる!!
となります。
まぁ、誰にでも想像できることですよね??
こうやって、仲介手数料を支払ってくれるお客さまの信頼を裏切り、自分たちの利益確保を最優先させてしまう…という問題が生じるわけです。
この3つのキソ知識はOKですか!?
この知識を理解している前提で解説を進めていきましょう。
参考記事…
不動産仲介会社の仕事は「結婚の仲人さん」ではない!
不動産仲介会社は、売主さま・買主さまをつなぎ、売買契約を成立させることが仕事であり、結婚するときの仲人さんのようなイメージを持っている人が多いかもしれませんね。
でも、これは…
一部「正解」で
一部「不正解」です!
レベルが高いプロの不動産屋さんが仲介するなら「正解」
宅建士ではない不動産屋さんが仲介するなら「不正解」
どういうことか…解説しましょう。
レベルが高いプロの不動産屋さんは、売主さま・買主さまの要望をしっかりヒアリングしたうえで、不動産のプロとして妥当な金額や条件などを提示して、双方が納得できるように導くことができます。
ご年配の社長さんと取引をしたとき「これぞ!プロ!!」と感じる仕事を見せてもらったことがあります。絶大な信頼感が結んだご縁を見て感動したし「一生現役!」という姿がカッコよくて憧れてしまいます。
こんな不動産屋さんによる仲介であれば、「結婚の仲人さん」のようなイメージが成立すると思います。
しかし、宅建士ではなく、プロ意識も低い不動産屋さんが仲介する場合はどうでしょうか??
残念なお話ですけど、この人たち、売主さま・買主さまの双方が納得できるかどうか…には全く興味がありません。考えているのは、早く売買契約を成立させ、仲介手数料を稼ぎ、歩合給をたくさんもらいたい!ただ、それだけです。
これじゃあ、双方の幸せを願うような「結婚の仲人さん」になれるわけがありませんよね。
「結婚の仲人さん」のような仕事ができる不動産屋さんはかなり少数派で、たぶん、全体の1%くらいじゃないかな…と思います。
では、どうすれば、納得できる不動産取引を実現できるのでしょうか?
その答えは、不動産屋さんに求める役割を「結婚の仲人さん」から「離婚訴訟の弁護士」へと変えることです。
さぁ、不動産仲介会社の仕事についてもっと深く考えてみましょう。
不動産仲介会社の仕事は「離婚訴訟の弁護士」のようにお客さまの利益を守ること!
日本の不動産取引では、1社の仲介会社が、売主さま・買主さまの両方を担当する「両手仲介」が頻繁に行われていますが、本来は、売主さまだけを担当する、または、買主さまだけを担当する「片手仲介」があるべき姿です。不動産仲介会社は、お客さまの利益を守るべく、相手方と積極的に交渉をする存在でなければいけません。
不動産仲介会社の正しいイメージは…
「結婚の仲人さん」ではなく
「離婚訴訟の弁護士」だということです。
上の図「片手仲介のイメージ図」を見てください。
片手契約であれば、売主さまを担当する不動産屋さんと、買主さまを担当する不動産屋さんは、それぞれのお客さまの利益を最大限にするために頑張ります。不動産屋さん同士は「VS関係」になりますから「離婚訴訟の弁護士」みたいですよね。
次は「両手仲介のイメージ図」を見てください。
両手契約であれば、売主さまと買主さまは利益相反関係にありますから、本来はどちらか一方を味方するわけにはいきません。とはいえ、実際に行われている実務では、どちらか弱そうな方を攻めて契約を成立させ、不動産屋さんは「仲介手数料をもらえたからそれで良し。どちらかが損をしても知らない。」という立場になります。
どうですか…ガッカリしましたか?
残念ながら「仲人さん」のイメージとは異なりますよね。
でも、これが現実なんですよ。
ここで、ゆめ部長からの提案!!
レベルが高いプロの不動産屋さん以外は両手仲介禁止にしよう!
参考記事…
仲介会社の仲介手数料には販売経費が含まれている!
仲介会社が売主さまの不動産売却をサポートする場合、高額な広告費を支払い、物件情報を買主さまに向けてアピールします。
■ スーモ・アットホームなどのポータルサイト
■ 自社Webページ(ノムコムなど)
■ 新聞折込チラシ
■ ポスティングチラシ
■ オープンハウス(現地販売会)
などなど。
経費だけでなく、時間と労力も投下して仲介会社は販売活動を行っているのです。もし、仲介会社が存在しなければ、これだけ多くの情報を無料で簡単に手に入れることはできないでしょう。
次に、新築を分譲する不動産屋さんが、仲介会社に販売を依頼せず、直接販売する場合を考えてみます。「売主直売につき仲介手数料不要!」とアピールしている新築一戸建てや、新築マンションなどをイメージしてください。
売主さまが自分で広告を行いますから、その広告費は物件価格にオンされます。また、皆さまの購入手続きもサポートしなければいけないので、人件費だって結構かかります。
不動産取引にはノウハウが必要ですし、トラブル処理もできなければいけません。プロを雇わなければいけないとなると、人件費を安く済ますことは難しいですよね!?
実は、仲介業務は疲れるし面倒だし大して儲からない。だから、新築分譲業務にチェンジしよう…そんな不動産屋さんがたくさんいます。新築分譲もすごく大変な仕事なのに「仲介はもうイヤだ…」と考えてしまうくらい、仲介業務は大変なのです。
これを理解できると、「新築マンションは仲介手数料がかからないからイイよね~」という発言が間違っていることがわかるはずです。
売主さまの代わりに仲介会社が広告費や人件費を支払い、取引に伴うリスクを負っているからこそ現在の販売価格で抑えられているのであって、仲介会社が無くなれば、販売経費が価格にオンされるわけですね。
まぁ、仲介会社を排除すれば仲介会社の利益分はカットできます。でも、不動産売買は高額な取引になるにもかかわらず、味方になってくれる専門家がいない…というのは不安ではありませんか??
不動産仲介会社の義務と損害賠償責任
不動産仲介会社は様々な義務を負っています。
簡単に確認だけしておきましょう。
■ 宅建業法35条…「説明義務」「調査義務」
■ 宅建業法31条…「信義誠実義務」
■ 民法…「善管注意義務」
■ 媒介契約…「契約成立に向けての積極的努力義務」
これらの義務をまとめると…
プロとして、誠実に、十分注意して、仕事してよ!
という感じでしょうか。
まぁ、あたり前に思える義務ばかりですね。
このような義務を負っているわけですから、
義務違反があれば、当然、責任を追及されます。
具体的には…
「債務不履行」「不法行為」に基づく損害賠償請求です。
不動産屋さんに対する損害賠償額は増加傾向にあります。仲介手数料をはるかに超える数千万円の損害賠償が認められた判決も出ているんですよ。
不動産仲介の仕事は年々難しくなっています…
不動産仲介会社は多すぎる…という話
コンビニよりも多いと言われている不動産屋さん。
一体、どれくらいあるのでしょうか!?
宅地建物取引業者数
2019年3月末(平成30年度末):124,451
コンビニ
2019年3月末(平成30年度末):58,340
なんと、コンビニの2.1倍もあります!
正直、不動産屋さんの数は多すぎる状況なんです。不動産業界は参入障壁が低く、簡単に多額な利益を出せる可能性があるため、仕事ができないのに残っている会社がたくさんあると言えます。
こんな会社が存続していることで過当競争が起こり、不動産屋さん同士がムダな仕事と広告費用を発生させているという面もあると思っています。妥当な数まで不動産屋さんが減れば、もっと情報の正確性・鮮度が上がりますし、仲介手数料を安くすることもできるはずです。
不動産テックで業務の見直しが図られ、SNSなどで個人がブランディング化される時代ですから、勝ち組と負け組の差は大きく開き、不動産屋さんが自然淘汰される時代になるでしょう。
仲介会社なしでの不動産売買契約も可能です
仲介会社の仕事は、売主さま・買主さまの利益を守りご縁をつなぐことですから、自分で相手を見つけられたら、仲介会社に頼まず仲介手数料を節約しても良いことになります。
2つのパターンに分けて見てみましょう。
【1】売主の不動産会社による直売物件
売主の不動産会社が仲介会社に頼らず、自社でスーモ・ホームズ・アットホームなどのポータルサイトに情報を掲載したり、新聞折込広告とポスティングを行いながら現地販売会を開催して販売しているケースがあります。
このような場合、売主さまから直接購入することになりますから、「仲介」する立場の会社が存在していません。だから、仲介手数料はかからないことになります!
新築マンションでは、ほとんどのケースで仲介手数料はかかりませんよね。
ちなみにですけど…
売主の不動産会社が仲介会社を入れる最大の理由は「仕事がメンドウだから」です。不動産仲介の仕事はマジメにやると、本当に大変な仕事だと思います。
参考記事…
【2】個人の売主さま・買主さまが協力して売買契約を行う場合
仲介会社に頼まなくても、買主さまを見つけられるケースがあります。
例えば、隣地・親戚・知り合い・相続人・離婚時の元奥さんなどが「購入したい」と言ってくれることは十分に考えられることですよね。
このとき、不動産取引のプロである仲介会社に入ってもらわず、売主さま・買主さまが協力して売買契約書を作成することもできなくはありません。ただ、ちょっと心配がありますので、お時間があれば下記の記事を読んでから判断してください。
参考記事…
ゆめ部長が不動産以外の仲介サービスを使った経験
ゆめ部長は「婚活」や「転職」で仲介サービスを利用したことがあります。この体験を通して、仲介サービスを提供する側から、提供される側になって感じたことをまとめます。
先に結論を言っておきますと、
「仲介サービスには価値があるよなぁ~」です。
【1】婚活
ゆめ部長が嫁さんと出会ったのは婚活です。「えーっ婚活!?」とか「なんでそうなるの?」とか、いろいろ言われましたけど、なんでそんな拒否反応があるのかよくわかりません…。別に堂々と「婚活したんだよねー」と言っても良いと思うのですけどね。
というわけで婚活の話をします。
婚活は男性と女性を結びつけるサービスですね。レインズと同じように、会員の男性・女性が登録する協会があり、そこに所属する仲人さんが、良い人に巡り合えるようにサポートしてくれるわけです。
ゆめ部長の場合、最大手のIBJという協会に所属している女性の仲人さんにお願いしました。写真撮影のポイント・写真屋さんの紹介・アピール文の加筆と修正・お見合いのアドバイス・プロポーズまでの戦略など、いろいろと丁寧にサポートしてもらえたおかげで、婚活は数か月で終わりました。
いろんなWebページを見ましたけど、書いていることがメチャクチャな仲人さん、書いているのは良いことなのに、会ってみたら変な仲人さんもいました。また、私たちは不動産業界でいうところの「物件」ですから、良い物件を仕入れることに夢中の仲人さんも…。不快感を与えていることに気づくこともできないんだな…と思ったりもしました。
ピカピカの物件じゃなくて悪かったね(笑)
こうやって逆の立場にたってみると、良い不動産会社・信頼できるスタッフを探すのは、なかなか大変だな…と気づかされました。でも、諦めずに一所懸命探せば、感度が高まったアンテナには情報が引っかかるもの。皆さまにも、不動産屋さん探しを頑張ってもらいたいですね。
結婚も不動産も人生で重要なイベント。この経験は貴重なものになりました。
【2】人材紹介
ゆめ部長は何度か転職しているのですが、出戻り・紹介・起業だったので、不動産専門の人材紹介サービスを使ったのは1度だけです。
人材紹介サービスは、就職先を探している人と、スタッフを募集している会社を結びつけるのが仕事ですよね。
ゆめ部長が自分で求人情報を探した感想としては、情報が古い・内容が薄い・ウサンクサイと感じるWebサイトが多く、探すのが大変だな…と探し始めて1日でイヤになってしまいました。
ちょっと気分転換で過去勤務した会社の応募ページを見てみると…
毎月お客さまを15組~20組任せます! ⇒ ウソ
みんな定時の19:00には帰社しています! ⇒ ウソ
週休2日でプライベート充実 ⇒ ウソ
売り上げ好調 ⇒ ウソ
不動産業界を改善したい ⇒ 大嘘!
入社1年以内で月収1,000万円の実績も… ⇒ 過去の給与体系
平均年収700万円以上 ⇒ ウソ
経験に応じて固定給の相談に応じます ⇒ ウソ
不動産業界は特にウソつき求人が多いので本当に困りました。
そこで、人材紹介サービスを利用して、専属のスタッフさんに希望条件を元に紹介してもらうことにしました。
担当者さんが特定の会社と太いパイプがあるため、そこに行かせようとしているのかな…と思う部分はありましたけど、求人情報の内容と現場の違い、新着の優良求人情報、募集よりも高い固定給を交渉してくれるなど、サービス内容は悪くなかったと思います。
この担当者さんは、多くの会社を自分で見に行き、社長さんと直接情報交換をしているそうです。さらに、一緒に飲みに行くこともあるとのことでした。だからこそ得られる情報や、経験値があるからこそのアドバイスは、やっぱり役に立ちますよね。
信用できる情報を得るためには、信用できる人から情報をもらうことが手っ取り早くていいな!と改めて感じ、仲介サービスの価値を再認識できました。
ブロックチェーン技術により不動産仲介業務が不要になるかも…?
5G時代の到来で不動産取引にも大きな変革がもたらされそうですね。
5G時代の4種の神器の1つ「ブロックチェーン」技術により、不動産取引の自動化が実現するかもしれない!そんなお話を紹介しておきます。
不動産取引を行うためには、法務局・役所・水道局・ガス会社・都税事務所・税務署など、たくさんの関係者から情報を集める必要があり、契約に必要な情報を収集するだけでも膨大な時間がかかっていました。このデータをブロックチェーン技術により連携・共有できれば、不動産仲介業務はかなり楽になることでしょう。
また、レインズなどの成約情報を一元管理し、ハザード情報などの評価も含めてAIに査定してもらえば、不動産屋さんの査定業務も必要なくなります。(今のAI査定の精度はまだまだイマイチですけどね。)
さらに、ブロックチェーン技術により、「P2P取引(ユーザー間取引)」「スマートコントラクト(設定条件が満たされると自動で契約実行される仕組み)」が実現され、この2つを組み合わせることにより、不動産取引が自動化されるかもしれません。
不動産屋さんは、仕事が楽になるどころか、仕事がなくなる可能性すらあるのかな??まぁ、完全にはなくならないと思います。でも、仕事量は減少していく運命にあると思います。
生き残りをかけて戦い抜く業界…。
なかなか、イイじゃないですか!!
【 参考 】
5G時代の4種の神器
IoT(Internet of Things):データ収集
クラウド :データ保管
ブロックチェーン :データ管理
AI :データの使い方を考える
「ブロックチェーン」の特徴を簡単に記載すると…
■ データをみんなで管理・記録する技術
中央集権化を防止(自律分散型)
■ データを改ざんすることが困難
■ コストを削減できる
詳細は「中田敦彦のYouTube大学」で勉強してください~
参考記事…
最後に…
「仲介手数料は高いのか…?安いのか…?」この疑問へ回答するためには、仲介会社の仕事内容・サービスの価値を正しく理解しておく必要があると思ったので、この記事を書いてみました。
仲介会社には価値があるんだ!とこの記事では書きましたけど、ゆめ部長は「法定上限の仲介手数料を納得して支払うのがあたり前です!」という立場ではありません。仲介手数料は、物件によっては安すぎますし、物件によっては高すぎるからです。物件の価格・物件調査のレベル・物件の流通性・物件価値上昇分などを総合的に見て判断してもらえるようになっていくといいな…と考えています。
そうなれば、ゆめ部長の仕事は「3%+6万円」以上の価値がある!と理解してもらえるはずですからね(笑)
“不動産の「悩み・不安・怒り」を解消するぞー✨ のお役立ち情報をツイート ✅ホンネで語るよ ✅業界の裏側…コッソリ教えるよ ✅役立つ知識を集めて発信するよ ✅さんへ優しく解説するね ✅ガンバル不動産屋さ…
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