毎年課税される「固定資産税」と「都市計画税」…ちゃんと理解していますか?
マンションや戸建(マイホーム)を購入するときは、仲介手数料・登記費用・銀行費用・火災保険料など、すぐに支払わなければいけないお金ばかりに目が行ってしまい、購入した後のランニングコストを忘れてしまう人が多いみたいです。「固定資産税・都市計画税」この2つの税金は毎年課税されますので、不動産購入前にしっかり勉強しておきましょう。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
固定資産税・都市計画税とは…?
固定資産税・都市計画税というのは、毎年 1月1日 時点で不動産を所有している人に課税される税金のことです。
都市計画税は「市街化区域」内の不動産に課税されます。市街化区域というのは既成市街地や、おおむね10年以内に街づくりをしていきましょうというエリアです。東京23区は大きな河川沿いの一部を除いて市街化区域になっていますから、通常は固定資産税と一緒に都市計画税も課税されることになります。
固定資産税の税率は原則 1.4%
都市計画税の税率は23区だと 0.3% です。
なお、固定資産税と都市計画税を合わせて「固都税(ことぜい)」と呼んだりしています。不親切な不動産屋さんだと「固都税は年額で〇〇円ですね。」とか「固都税の精算は…」などと言いますから覚えておきましょう!
不動産取引は「普通は慣れていない。」わけですから、お客さまに専門用語を連発する不動産屋さんはダメだと思います。担当者のこういうところもチェックすると安心して任せられますね。
固都税は「納税通知書」または「公課証明」で確認!
固都税の課税額は「納税通知書」または「公課証明」で確認することができます。東京23区の場合、毎年6月の前半頃に都税事務所から「納税通知書 + 課税明細書」が郵送されてきますので、この書類で確認してください。
もし、売却する際に納税通知書を紛失してしまったら、「公課証明」や「名寄帳(なよせちょう)」でも確認することができます。ただし、「公課証明」「名寄帳」は1円単位まで記載されていますが、実際に納税するときは100円未満が切り捨てられますので、正しい税額は実際に納税する金額が記載された「納税通知書」で確認した方が良いと言えます。
※ 名寄帳 … 所有している不動産の一覧表
なお、「公課証明」と似た書類に「評価証明」という書類もあります。
簡単に説明すると…「評価証明」に固定資産税額・都市計画税額を加えた書類が「公課証明」です。登記をする時には原本が必要になり、通常は「評価証明」「公課証明」のどちらでもOKです。
取得してみたい方は「都税事務所」または「市役所」に行ってみてください。(郵送での請求もOK)
都税事務所は23区の各区にあり、23区内の不動産であればどこの都税事務所でも取得できます。例えば、港区の都税事務所で練馬区にある不動産の評価証明・公課証明を取得できるということですね!
三鷹市・武蔵野市・小金井市・調布市など多摩地域(西東京)の不動産であれば、各市役所で取得できます。多摩地域の場合、残念ながら他の市の不動産については取得できません。例えば、三鷹市役所で小金井市の評価証明・公課証明は取得できないわけです。注意してください!
新築なら固定資産税の軽減を受けられる!
新築住宅であれば「建物」の「固定資産税」が軽減されます。「土地」と「都市計画税」は軽減されませんので注意してくださいね。
■ 新築一戸建て
・新築から3年間 1/2
・地上階数3以上の「耐火建築物または準耐火建築物」は5年間 1/2
■ 認定長期優良住宅
・新築から5年間 1/2
・地上階数3以上の「耐火建築物または準耐火建築物」は7年間 1/2
■ マンション
新築から5年間 1/2
【 条 件 】
■ 令和6年(2024年)3月31日まで
■ 居住部分が家屋の 1/2 以上
■ 専用住宅・店舗併用住宅(居住用1/2以上)
■ 床面積が50㎡以上280㎡以下(課税床面積)
■ 1/2になるのは課税床面積120㎡の部分まで
つまり…
長期優良住宅ではない一般的な新築一戸建て(2階建 or 3階建で非耐火構造)なら4年目、マンションなら6年目に固定資産税額が大きく上がるということです。4年目以降に「あれ…?なんでこんなに高いんだ!?」と驚かれる人が多いようですけど、この記事を読んでくれた皆さまは大丈夫ですね。
なお、建物は築年数の経過に伴い価値が下がる分、税額も下がりますけど、3年くらいでは大きな減額にはなりません。
次に、地上階数3以上の「耐火建築物または準耐火建築物」について解説します。
3階建ての新築一戸建てを購入した場合は「建築確認申請書の第四面」を確認してください。「耐火建築物」「準耐火建築物」にチェックがあれば軽減を受けられます。火災保険料を算出するときの「T構造(耐火)・H構造(非耐火)」を確認するときにも使いますから、下の参考画像を確認しておきましょう。
課税床面積というのは、マンションであれば、専有面積に共用部分の持分割合を合算した面積になります。マンションでは下記3つの面積がありますので注意してください。
■ 登記簿面積【内法(うちのり)面積】
■ パンフレット記載面積【壁芯(へきしん)面積】
■ 課税床面積(現況床面積)
大きさで並べると… 登記簿面積 < パンフレット面積 < 課税床面積です。課税床面積は、課税明細書または公課証明(評価証明)で確認できます。
なお、課税床面積が280㎡を超えたら軽減を受けられなくなります。広いヴィンテージマンションを契約した際に面積がギリギリだった…というヒヤリ経験がありますので、皆さまもご注意を!
固都税の納税時期と納税方法
固都税の納税は一括払い または 年4回の分割払いになります。
分割払いの場合、6月末・9月末・12月末・2月末が納付期限です。その年の納税通知書を確認してください。
納付方法は下記の通りです。
■ 窓口(コンビニ・金融機関・都税事務所)
■ 自動引落し(口座振替)
■ インターネット(クレジットカード・ペイジー)
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売却した年の1年分は売主さまに納税義務あり!
納税義務者は1月1日時点で不動産を所有している人になります。そのため、途中で売却したとしても、売却した年の1年分は売主さまに納税義務がある…ということです。
しかし、売買契約書には…「引渡日の当日から税金や管理費等の負担が買主さまに移転する」という内容が記載されていますから、売却する際には次のように清算します。
例えば、固定資産税・都市計画税の年額が109,500円、引渡日が4月11日だったとします。引渡日の前日までは売主さま負担、当日から買主さま負担になりますから、1月1日~4月10日までの100日間が売主さま、残りの265日が買主さまとなります。
計算式は…
売主さま … 109,500円 × 100/365日 = 30,000円
買主さま … 109,500円 × 265/365日 = 79,500円
売主さまは、4月11日に、残代金(売買代金-手付金)と清算金(79,500円)を受領するということになります。
なお、引渡日が翌年の1月1日以降になる場合、新年度の税額がまだ確定していません。そのため、次の方法により清算を行います。
■ 税額が確定してから後日清算する
■ 前年度の税額で清算し、税額が確定したら改めて清算する
■ 前年度の税額で清算し、再清算はしない
先ほど解説した通り、「公課証明書」「名寄帳」に記載されている金額≠実際の納税額となります。そのため、「公課証明書」に基づいて計算するのか、「納税通知書」に基づいて清算するのかも決めておきましょう。誤差ですけど、こんなことでもトラブルになったりするものですからね!
清算方法は重要事項説明書・売買契約書の両方に盛り込むこともお忘れなく!
注意点を追記します…
■ 評価替えの年(税額未定の時期)
■ 新築住宅の軽減がなくなる年
こんな時の清算方法は要注意です。税額が大きく変わる可能性がある場合は後日清算にすることも検討するようにしてください。もし、6月まで待てない場合は、4月になると「名寄帳」を取得できますので、この書類を使って清算額を算出しましょう。
固都税額は3年に1度見直されます(評価替え)
固定資産税・都市計画税は、「評価証明 または 公課証明」・「課税明細書」に記載されている「固定資産税評価額」に税率をかけて算出しています。
固定資産税評価額は、国が定める「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決定するものです。評価額は取引相場よりも安くなっており、土地は時価の約70%・建物は建築費の50%~70%程度と言われています。
この固定資産税評価額は3年に1度見直しされ、直近では、平成33年度(2021年)に評価替えが行われました。令和は3年・6年・9年…ちょうど3の倍数で覚えやすいですね。西暦も2021年・2024年・2027年…と下2ケタが3の倍数になっています。
評価替えが行われた平成30年4月の残代金決済の経験を紹介します。
目黒区・渋谷区・東村山市の残代金決済があったので、評価証明の金額を見比べてみたところ、目黒区と渋谷区は10%前後値上がり、東村山市は変わらず…という結果でした。司法書士先生に聞いてみたら、地方は下がっていたそうです。地価が上昇するエリア・下がるエリアの差は今後さらに大きく開いていくことになるかもしれませんよ。
2019年10月13日 追記…
土地の固都税は3年に1度の評価替えによって急激に税額が上昇することを抑えるために「負担調整措置」が講じられています。そのため、3年間は固定資産税評価額が変わらなくても、税額は徐々に上昇することがあるそうです。少し細かい話ですけど、土地の固都税は3年間変わらない!と言うわけではないことを知っておいてください。
2021年7月4日 & 2022年2月13日 追記…
2021年の評価替えで固定資産税評価額が上昇しました。ゆめ部長が確認した目黒区のマンション・杉並区の戸建ではどちらも約10%の値上がりでした。令和3年度税制改正により、2021年の評価替えで金額が上昇しているエリアについては、コロナ禍で収入減になった納税者の負担を軽減する必要があるため、2021年のみ「土地」の「固定資産税」を2020年度の税額に据え置かれる措置が講じられていました。しかし、令和4年度の税制改正大綱によると、2022年は住宅地の「土地に係る固定資産税等の負担調整措置」が終わるようです。納税額が増えてしまう人が増えますので注意が必要です。
タワーマンションの固都税が見直されました!
タワーマンションは低層階と高層階では販売価格が大きく異なりますよね。それなのに、今までは土地も建物も一律の評価基準で固定資産税と都市計画税が課税されてきました。
そこで、建物は階数が上がるごとに負担額を増やそう!ということになりました。ただし、それほど大きな増税にはなっていませんから、高層階を購入するような富裕層にとっては気にならないのではないかな…と思います。簡単な説明だけしておきます。
居住用超高層建築物(建物高さが60m超のマンション=タワーマンション)に対する固定資産税・都市計画税は、1階を100とし、1階上がるごとに 10/39を加えた数値に補正されます。つまり、1階上がるごとに約0.256%上昇するという計算です。
真ん中の階は増減なし、低層階は減税、高層階は増税となります。
計算してみると、50階建てのマンションであれば、25階は±0、1階は約-6%、50階は約+6%でした。25階の固都税が20万円だと増税はわずか12,000円/年にしかなりませんからお金持ちにとっては誤差ですよね…。
なお、この制度が適用されるのは、平成30年度から新たに課税されるマンションに限定されます。この時期よりも前に建築されたマンションには適用されません。
参考記事…
固都税が高い不動産に要注意!
価格が安い不動産の固都税には注意が必要です!
マンションなら…築年数が古かったり、駅から離れているかわりに専有面積が広い物件も検討したくなりますよね?ゆめ部長の経験では、築20年程度のマンションでも、専有面積が100㎡あれば、固都税が年額20万円になることもありました。
3,000万円半ばの物件を購入して年20万円の納税通知書が送付されて来たら「想定外だよ…(悲)」となりやすいことは想像できますね。
一戸建てなら旗型地(敷地延長)や不整形地に注意しましょう。不整形地で土地が50坪と広かった場合も年税額が20万円を超える可能性が高いです。新築一戸建てなら、4年目から一気に値上がりして毎年の課税額が30万円になる可能性があります。
いきなりこんな納税通知書がきたら…(怖)
大事なのでもう1度。
不動産を購入する時は、販売価格だけでなく、ランニングコストも絶対に確認してください。夢のマイホームが人生の重荷になったら…悲しすぎますよね。
最後に…
不動産屋さんは少しでも早く契約して歩合給を稼ぎたいと考えています。そのため、購入後のランニングコストまで丁寧に教えてはくれないものです。そもそも、そこまで考えていないのかもしれませんけど…。
ランニングコストは毎月の住宅ローン返済だけではなく、不動産取得税・固都税・修繕費用なども考えなければいけません。
マイホームは大きなお買い物ですから「売ったら終わりでサヨウナラ。」という不動産屋さんから購入したらダメだと思います。親身にサポートしてくれる不動産屋さんもいますから、しっかり時間をかけて探してみてくださいね。
皆さまの不動産売買が成功するようにお祈りしています!!本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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