不動産売買契約の解除で受け取った手付金・違約金は一時所得として所得税・住民税が課税される!
不動産の売買契約が解除された場合、お金を受領して「利益」が出る場合があります。「手付解除」なら手付金を返還せずに受領することがあり、「違約解除」なら相手から違約金を受領することがあります。
本来であれば、このお金は利益ですから確定申告をしなければいけません。しかし、売買契約が解除になったショックなのでしょうか…。確定申告を忘れている人がいるみたいですから、どのようにすればいいのか?について解説することで注意喚起したいと思います。
ブログ執筆:上級宅建士「ゆめ部長」
不動産売買契約を解除した際に受領する金銭
不動産の売買契約を締結する際には、一方的な自己都合で契約を解除する場合や、契約違反があって契約を解除する場合に備えてペナルティーを定めています。
「手付解除」と「違約解除」の2つを解説しましょう!
【手付解除】
「買うのが怖くなったから契約をやめたい…」
「転勤が決まったから購入を見送りたい…」
このような一方的な自己都合だったとしても、売買契約で定めた手付金を負担すれば、契約解除が認められるという定めです。
売主さまが手付解除する場合…
受領した手付金を返還し、
受領した手付金と同額のお金を支払います。
買主さまが手付解除する場合…
支払い済みの手付金を放棄することで解除します。
手付金は売買金額の 5%~10%くらいが相場ですけど、50万円・100万円などの比較的低額な手付金で契約することもあります。
【違約解除】
手付解除期日が過ぎた後に売買契約を解除する場合や、売買契約書で定めた事項に相手方が違約したことを理由に売買契約を解除する場合、あらかじめ定めた違約金を負担すれば、契約解除が認められるという定めです。
売主さまが違約解除する場合…
受領した手付金を返還し、
違約金を支払います。
買主さまが違約解除する場合…
既に支払い済みの手付金を違約金に充当し、
不足分を支払うことで解除します。
※ 手付金 < 違約金の場合
違約金額は売買金額の 10%または20% で定めるのが一般的ですが、20%は高額すぎますから10%が妥当だとゆめ部長は考えています。
「手付解除」「違約解除」のどちらにしても、契約解除をされた側は大きなお金を受領することになりますね。具体例を見ておくと…
不動産売買金額5,000万円・手付金額5%・違約金額10%の場合、
手付解除する場合は250万円!
違約解除する場合は500万円!!
これだけの所得(=利益)があったわけですから、税務署が課税せずに見逃してくれるわけがありません。具体的にどのような税金が課税されるのか…?を解説しますね。
参考記事…
受領した手付金・違約金は一時所得として所得税・住民税が課税される!
不動産売買契約が解除されたことに伴い受領した手付金・違約金は「一時所得」として所得税・住民税が課税されます。「一時所得」というのは…簡単に言えば「臨時収入」のことです。
不動産売買契約が解除されたことにより、相手からペナルティーとしてお金を受領していますので、手付金・違約金の受領は「臨時収入」=「一時所得」になります。(所得=収入=利益です。)
では、どのように税額を計算するのかを解説しますね。
まず、「一時所得」の計算式を見てみましょう。
一時金の総収入額
- 収入を得るための経費
- 特別控除額(最大50万円)
「収入を得るための経費」は細かいため、とりあえず0円だったと考えてください。
手付金が250万円だった場合の一時所得は…
200万円-50万円=200万円
違約金が500万円だった場合の一時所得は…
500万円-50万円=450万円
実際に課税される金額は、一時所得×1/2です。
手付金が250万円の場合…
(250万円-50万円)÷2 = 100万円が課税対象
違約金が500万円の場合…
(500万円-50万円)÷2 = 225万円が課税対象
次に、所得税と住民税をそれぞれ見ていきましょう。
【 所得税 】
所得税は、その他の収入と合算して税額を計算します。「総合課税」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。サラリーマンだと給与所得がありますから、ここに一時所得を合算して税率が決まります。
所得税は所得(=収入)が高くなればなるほど税率も高くなる「超過累進税率」を採用していますから、合算する金額が大きくなると、給与所得分の税率も上がることになります。
所得税額を計算する速算式を書いておきます。
所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超・330万円以下 10% 975,000円
330万円超・695万円以下 20% 427,500円
695万円超・900万円以下 23% 636,000円
900万円超・1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超・4,000万円以下 40% 4,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
(計算例)所得金額が800万円の場合の所得税は…
800万円 × 23% - 636,000円 = 1,204,000円
【 住民税 】
住民税は「都道県民税の所得割(6%)」と「市区町村税の所得割(4%)」が加算されます。
違約解除で225万円が一時所得になる場合は、225万円×10%=225,000円が翌年の住民税に加算されて徴収されます。源泉徴収されるなら12分割で18,750円ですけど、一括または4分割で納税する場合は驚いてしまうかもしれませんね。
上記の計算は、不動産売買契約が解除された際に受領したお金には所得税・住民税が課税されることを解説するためのものです。実際は控除を受けられたりするはずですから、詳細は税理士先生・税務署へ必ず確認してください。このWebページの記事は、税務の専門家へ橋渡しをするまでが目的です!!
一時所得は翌年に確定申告しよう!
不動産売買契約が解除になったら、すごく疲れると思いますし、とても困った状況になることもあるでしょう。こうなると「これだけ迷惑を被ったんだから、このお金くらい自由に使わせてよ!」と思う気持ちも、まぁ…わからなくはありません。
しかし、どんな理由であろうと、所得を申告しなければ「脱税」です。税務署にバレてしまえば大変なことになりますから、冷静になって、確定申告を忘れずに行ってくださいね。
確定申告する時期は、手付金・違約金を受領した年の「翌年 2月16日~3月15日」です。
受領した「手付金」「違約金」に対して所得税・住民税が課税されることを知らない不動産屋さんの方が多いと思います。「不動産屋さんから教えてもらわなかったから…」という理由は通用しませんから十分に注意しましょう!
最後に…
ゆめ部長は不動産取引の仕事を続けて15年以上になりましたけど、お客さまがペナルティーとして手付金・違約金を受領したことがなかったので「所得税・住民税が課税されるかも…」と考えたことがありませんでした。
この記事を書いたのは「売買契約が解除されて200万円もらったんだけど、これ…どうしたらいいの?」という友達からの相談がキッカケでした。
どう考えても課税されるよなぁ…と思いながらも即答できず、税務署に電話確認してからこの記事の内容を友達へアドバイスしました。
まだまだ勉強が足りないなぁ…。なんて反省をしつつも、こうやって勉強した知識をブログ記事にまとめ、アウトプットするという活動を継続することで、知識が急速に増えて熟成されていくのを感じてワクワクしています。これからもこのWebページを活用して、勉強したことを皆さまへ有益な情報として発信していきたいと思います。
皆さまに安心して選んでいただけるように、これからも学び続けますので、これからもどうぞよろしくお願いします!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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